「グッド・ラック」

世界一周216日目(1/30)

 

縁起の良さそうな街
Lucknaw(ラクナウ)駅
に到着したのは6時前だった。

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辺りは霧がかり、
自分がどこにやって来たのか分からない。

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日の昇るまで待とう。
辺りが暗い中で街へと繰り出すのは危険だ。

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比較的安全なインドだが、
「もしかしたら」ということもあるし、
野良犬だって凶暴だ。
下手にトゥクトゥクに乗ってしまったら
ボられる可能性が十分にある。

 

 

だが、お腹は減る。

そして便秘気味だ。
もう3日も解禁されていない。

喰わねば!

 

 

モヤモヤした駅の外へ出る。
ジョードプルよりも北に位置する街だ。
予想していた通り寒い。

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すぐにやって来る
トゥクトゥクのドライバーたち。

「ヘイ!トゥクトゥク?トゥクトゥク?」

と勧誘してくるだけならまだしも、
うんざりするくらいしつこい。

しかも何台分のドライバーがいるもんだから、もう…。

しつこ過ぎるドライバーの顔の前に手のひらを
「ビシッ」と突き出し、
制する方法を編み出した。
これは地味に効果がある。

 

 

 

駅のから少し離れると、
朝早くからチャイの屋台が並んでいた。IMG_3810

 

 

ここで食べることができたのは
マーガリンを塗ったパンとエッグ・トースト。
パン好きの僕にはたまらない。

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お腹を満たすと
「解禁」のシグナルを感じた。

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きたきたきたきた!

トイレに直行する。

 

 

駅のトイレ3つに対し、
7人程待っている。

大丈夫!僕なら耐えられる!

僕の状態を察したトイレ番のにいさんは
「こっちを使っていいぞ!」と
非常用のトイレに案内してくれたのだが…

 

 

 

『うっ…』

 

便座のない様式のトイレ。
かなりの汚さだ。

蛇口は変な方向を向いてるし、
うんうんが流れてない。
これなら和式の方がよかった。

 

ど、どうしたら…

 

そうだ!ジョードプルの宿で
おっちゃんが別れ際に
黄色いトイレットペーパーをくれたんだ!

取り出しやすい様にバックパックの
サイドポケットに入れてあるぞ!

そうか!この時のためにおっちゃんは
僕にペーパーをくれたのか!

 

ダッシュでトイレから出て、
バックパックからトイレットペーパーを
取り出して再びトイレに駆け込んだ。

もちろん笑顔は忘れない!

 

トイレから出るとお兄さんが
「hand wash!」と言って
小さな石けんの破片をくれた。

おっ、こんなサービス初めてだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7時を過ぎても
まだ太陽は見えない。
依然として霧がかったままだ。

宿探しに行けなくもないけど、
早くチェックインし過ぎてしまうと、
24時間制の宿では不便だ。

駅のベンチで仮眠をとった。

 

 

8時を回ると僕は
駅のツーリストインフォメーションへと向かった。
ここからどうやってネパールへ入るのか
情報収集しておかなければ。

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貫禄のあるスタッフが言うには
「ネパールへはバスで行ける」とのこと。

バスターミナルの名前を紙に書いてもらって、
僕は宿探しへと向かった。

 

ビザが切れるのは2月6日。

余裕を持って一日前には出国したい。

そう考えると、あと6日もあるのかぁ…。
ここに来る前に別の街に寄ってもよかったかもなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

さてと、安宿はどこだ?

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「宿かい?
それならこっちだぜ!」

 

頼んでもないのに、
僕の先に立って勝手に案内してくる客引き。

「ほら!こっちだ!」

とりあえず、彼の案内する宿に声をかけてみるが、
安宿のラインにはひっかからない。

 

「ねえ、250ルピー(412yen)
以下の宿ないの?」

「そんな宿は存在しない!」

「あぁ、250ルピーね。あるぞ」

 

また別の客引きがやって来る。

もう!なんなんだこの街は!

 

犬は多いし、

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サルまでやがる!

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案内されたのはツーリストでは
発見不可能などローカルな宿。

ヒンドゥー語で書かれた看板。

ちっさい入り口。建物の2階。

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「この人がさ、
250ルピーの部屋があるって
言うから来たんだけど…」

「ああ350ルピーね!」

 

少しでも高い部屋に泊まらせようと、
人の話も聞かないで
350(577yen)の部屋を見せられた。

インドにしてみては、
この街の人間は英語を解さない割合が多い。

ここのスタッフも数字などの
簡単な英単語なら分かるが、
会話となると、ヒンドゥー語で喋り始める。

うん。悪いけど、
何言ってるかぜんっぜん分からねぇ!

 

 

「だから!250だって!
トゥー・フィフティ!」

今度こそ案内されたシングルはスライド式のドア。
立て付けが悪く、部屋の鍵を閉めても
扉をめくるように部屋に侵入できてしまう。
さすがにそんな部屋には泊まれない。

 

「いやいや!
この扉、鍵する意味ないじゃん!」

「ちっ!分かったよ。
さっきの350ルピーの部屋、
250ルピーでいいよ」

 

 

シーツは霧がかった天気のせいで
水分をたっぷり含んでいる。

バックパックを置いて一息つくと寒さを感じた。
洗濯物をする気にもシャワーを浴びる気にもなれない。

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はぁ、ラクナウか…。
ぜんぜん「Luck」じゃねえな。

 

余計に金を巻き上げようとするスタッフと
英語のやり取りにイライラしながら、
二日分の宿代を払っておいた。

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もしかしたら
漫画を描くのに
うってつけの場所があるかもしれない。

そう望みを託して街に出た。

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どういうわけだか、
ギターのピックが示し合わせたように
スペア共々姿を消してしまったので、
ギターも一緒に持っていく。

 

良くも悪くも
インドらしさを持った街だ。ここは。

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街はごみで散らかっているし、
牛や犬やサルがいる。交通状態も似たようなもん。
砂煙と排気ガスをモクモク上げて
トゥクトゥクが右往左往する。

 

ひとつ気にいった点を挙げるなら、
そこそこ美味しいパンが手に入ることくらいだろう。
チャイ屋で売られる丸パンはほんのりと甘い。

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インド中でパンを食べて来たけど、一番はコルカタ。
あとはどこも味気ない食パンばかり。

ラクナウのパンはまぁまぁってとこかな。
僕はちょっぴり甘いパンが好きなんだ。

 

 

 

人に尋ね、楽器屋を探すも
全然見つからなかった。

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漫画を描くのに適したカフェもなければ、
ネット屋も全然見当たらない。

「CYBER CAFE」と書かれたお店に足を運んでも
手のひらで追い払うような仕草をされるばかり。
またブログが書きたまっちまうなぁ…。

 

ネパール行きのバススターミナルで
時刻と金額を調べて僕は宿に戻った。

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『この街にあと
6日間もいれるか?』

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もういっそのこと
ネパール行っちまうか!!!

 

 

ビザ申請のオンライン・フォームでは
2月5日にイミグレーション・オフィスを
尋ねることになってるけど、

オンライン・フォームが導入されたのは
ちょうど一ヶ月前だし、
入国する国境もメジャーじゃないし、
そこまで厳しくないだろう。

 

まぁー…、もし仮に

「2月5日まで入国できません」

なんてことになったら、
近くの町で宿を探すか
野宿でもキめてやるってーの!

 

そうだ!
ネパール行っちゃおう!

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そう決めた僕は
ラクナウ駅で最後のバスキングをかまし、
宿に戻った。

問題はずる賢い宿のスタッフが
払い込んだ250ルピーを
素直に返してくれかどうか…。

 

 

「ねえ、
予定変更で明日ネパールに
行かなくちゃならないことになったんだ。

悪いんだけど、宿代二日分として
払った500ルピーのうち、
250ルピー返してくれないかな?

ほら!これ食べてよ!
ラスクとバナナ!
もちろんタダとは言わないよ。
これチップ」

 

30ルピーを彼に渡した。
ニヤつくスタッフ。

 

「オーケー♪」

「おお~!サンキュ~!」

彼と軽くハグする僕。

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「ただ、すぐには返せない。
今手持ちのお金がないんだ。
ボスが帰ってくるまで待ってくれ」

宿なのにお金がないなんてことがあるのだろうか?

 

「えっ?ああ。いいよ。
ボスはいつになったら
帰ってくるわけ?」

「7時半」

 

まぁ、宿代が戻ってくるんだ。

少し腑に落ちないところがあったが、
僕は水シャワーで顔と頭だけ洗い、
外に軽く夕食を食べに行った。

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時間の10分前に戻って来て、
レセプション前で椅子に座りながらボスを待つ。
ボスが帰ってきそうな気配はない。

約束の時間になってもボスは帰って来なかった。

 

「なぁ、
ボスはいつになったら帰ってくるんだ?

もういいよ。
僕は明日の朝早くに出発しなくちゃならない。
君がお金立て替えてくれれば、
それでこの話はおしまいだろ?」

「リラックス!リラァ~ックス」

 

少し眺めの英語会話になると、
すぐにヒンドゥー語に切り替えて
わけのわからないことをわめくスタッフ。

時々「150だろ?」とか
金額をすり替えてくるのが僕をイラつかせた。

 

居合わせた他のスタッフに
ボスがいつ戻ってくるのか尋ねると、

「まぁまぁ、落ち着いて。
あと30分したら帰ってくるから」

と教えてくれたので、
僕は自分の部屋に戻り
ブログの下書きをして時間をつぶした。

 

 

 

21:15。
再び彼らの元へ向かう。

レセプションに彼らの姿はない。

同じ階にある部屋で
男同士同じベッドで毛布にくるまって
ケータイをいじったりしてくつろいでる。

 

「おい…。
ボス戻ってくるって
言ったよな?」

「や~、戻って来てないね」

「250ルピー返してくれ」

「だから、
ここにはお金はないんだって」

「それなら君たちが
立て替えればいいだろ?
戻って来たボスに
返してもらえば済むはずだ」

ヒンドゥー語でまくしたてるスタッフ。

 

 

もしかしたら、
ボスなんていないんじゃないのか?

 

 

チェックインした時も対応したのは
このクソ生意気な若造だったし、
このままうやむやにして
お金を返さないつもりじゃないのか?

ていうかコイツらのなめくさった態度に
もう我慢の限界だ。

 

 

 

 

 

 

 

ドンッ!

ベッドを蹴り上げた。

 

 

「おい!テメェら、
金を返すまで寝かせねえぞ!」

闇金◯島くんモード全開(笑)
ここから全て日本語(笑)

 

「なあ、
ここに250ルピー返すって
サインまであるよなぁ?
これは一体どういうことだ?」

さっき宿の名刺の裏に書かせたサインを見せる。

ヒンドゥー語でわめくスタッフ。
アホスタッフの胸ぐらを掴む。

 

「はぁ?知らねえよ。
おい?なんなんだよ?
さっきのチップと
ラスクとバナナはよぉ?
(こう書くとカワイイね)

それにお前『プロミス!』とか
言ってたじゃねえか!」

 

ようやく観念したスタッフ二人は
自分たちの財布から
お金をかき集めて、僕に渡した。
240ルピー。10ルピー足りない。

 

「ほら!これで私たちの財布はすっからかんだ!」
とでも言わんばかりに空っぽになった財布を
見せつけるもう一人のスタッフ。

 

 

いや、知らねえから。

 

 

宿なら多少はお金を手元に置いておくべきだし、
ボスがいつ戻ってくるかも曖昧。

しょっちゅうケータイ
いじっくってるスタッフに対して、
ボスに電話してくれと僕は何回も言った。

 

 

「ったくよぉ…。
ふざけんじゃねえよ」

 

そう捨て台詞を残して
僕は3階の部屋に引き上げた。

 

 

居心地のよかったジョードプルから
別の町へ映った途端これだ。

ラクナウ。どこがラックなんだか。

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まぁー…、その町に長くいれば、
別の面白さも見えてくるだろうとは思ったのですが、
ネパールに行きたいという思いに駆られて脱出してしまいました。

56日間旅したインドとも一時お別れです。

バラナシとか「The インド」な街にもう一度行ってみたいので、
ビザを取り直す予定です。

ひとまずシミの「旅の続き~インドを東から南、そして西へ」編。
ひとまず終幕です。

 

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2 件のコメント

    • >れーな★ちゃんさん

      旅人には演技力が求められます。マジで。

      僕だってこんなヤクザな真似はしたくないですよ。
      こたつでミカン食べたいですよ。

      にしてもネパール、
      夜が冷えて来たな…

      パソコンのキーボードを打つ手が
      かじかんで…

      いつもコメントありがとうございましゅ。
      鼻水が…。

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