「まだ君(モロッコ)を好きでいれる」

世界一周512日目(11/22)

 

 

エアコンディショナー
からようやく温風が流れてきたのは
深夜3時くらいだったと思う。

 

 

モロッコのバスはなかなかに冷える。

それを想定してパタゴニアのアウターを
中に持って来たいたのだが、
それを上回る冷え込みっぷりだった。

 

 

てかあと2時間もねられねーじゃねーか…。

 

 

 

ここはモロッコ。
僕は今サハラ砂漠へと向かっている。

 

 

 

 

メルズーガという町で降ろされた。

僕の他にも観光客が何組か乗っていた。

バスを降りるとさっそくタクシーの
運転手たちが声をかけてくるが、
そこましつこさを感じない。

中国人の女の子2人組はホテルの客引きと
交渉して今日の宿を取っていた。

 

 

僕は「イディール」という人を探した。

フェズから申し込んだサハラ砂漠のツアー。

このイディールという人が僕のことを
迎えに来てくれるはずなのだが…。

 

 

「すいません、
イディールさんってこの中にいます?」

「イディール?知らないな?
なぁ、イディールってヤツ知ってるか?」

「イディール?
イディールなんてここら辺には
同じ名前のヤツが沢山いるよ」

 

 

オロオロしているうちに
この場に残っているのは僕一人になった。

日の昇る朝5時からご苦労様だ。
ホテルの客引き二人が僕につき合って残っていてくれた。

 

 

「おい。あんた。
そのイディールとかいうヤツの
連絡先は知っているのかい?」

「いやーーー…、
ここに迎えに来てくれるっていうことしか
知らないんだよね…。
あ!そうだ!
僕、ツアーを申し込んだホテルの名刺持ってるよ!
悪いけど、そこに電話かけてもらってもいいかな?」

 

 

お願いして電話をかけてもらったのだが、
自動音声でホテルには繋がらなかった。

おいおい。どうなってんだよ?
ここにイディールさんが
迎えに来てくれるんじゃなかったのかよ?

 

 

 

 

「あんた、騙されたんじゃないか?」

 

 

マジで??!!!

 

 

「よく似た様な観光客がいるよ。
高い金払ってツアーに申し込んだのはいいんだが、
バスを降りてみると誰も
迎えに来てないってパターンのヤツが。

ツアーに申し込んだ時に
領収書みたいなのはもらわなかったのか?
普通ツアーに申し込むと申し込んだ代理店の領収虜と、
現地のホテルの連絡先みたいなのをもらうんだが」

 

 

僕はフェズとこちら側のホテルのとの
やり取りが上手く行っていなくて、
迎えが遅れているんだと思いたかった。

だって80ユーロも払ったのだ。
騙されるにしたらあまりにもエグい!

 

 

でも、待てよ。

そしたらトリップアドバイザーに
レビューなんて書かせないだろう。

じゃあ
「ツアーのレビューを書いてくれ」
っていうあれはなんだったんだ?

 

 

「諦めた方がいい。
もしくはフェズに払った金を取り返しに行くかだ。
ここからフェズに戻るバスは夜の7時だ。
まぁ、ひとまずうちのホテルに来なって」

 

 

お言葉に甘えて客引きの
おっちゃんのホテルに行かせてもらった。

その間に何度かホテルに電話をかけてもらったのだが、
相変わらず電話には誰も応答しない。

寝不足で頭がボヤボヤする。

レセプションでミントティーをいただいて
椅子に深く腰掛けた。

 

 

「せっかくここに来たんだから、
ここでツアーに申し込んで、
参加してからフェズにお金を取り返しに行けばいい。
砂漠は嫌なことを忘れさせてくれるさ!」

「やっぱりー、騙されたんですかね?
けっこうちゃんとしたホテルだったと思うんだけど…」

 

 

そう言うえばレビューと
一緒に集合写真を撮ったのを思い出して、
「コイツが容疑者です」みたいに見せてみた。

 

 

「うーーん。
コイツはただのスタッフじゃないか?
普通は年寄りがオーナーやってるものだけどな」

 

 

ますます騙された可能性が高まってくる。

 

 

「今電話をかけない方がいい。
フェズに戻っても逃げられてしまうからな。
電話をかけるならフェズに着いてからだ。
いきなり電話がかかってくれば
ヤツも逃げ場がないだろう」

 

 

もうどうしていいか分からなかった。

とりあえず泣き寝入りだけはしたくないから
フェズに戻ることにする。

 

 

 

 

ツアーは…、

どうしようか?

 

 

せっかくここまで来たんだ。
ここでツアーに申し込んだらいくらかかるんだ?

 

 

「300ディルハム(3,998yen)だ。
もちろん同じ内容でな」

 

 

安ぅぅぅぅ~~~~~….、

仮にバス代フェズからメルズーガまで
170ディルハム(2,266yen)払っても
4千円くらいはお得じゃない?

 

 

 

 

 

 

 

もう誰を信じていいのか
分からなかった。

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とりあえず客引きのおっちゃんが言った
ツアーに申し込みをしようと思った。

もう騙されるのもごめんなので、
領収書がもらえないかと言うと、

300ディルハムのうち、
前金100ディルハムを渡してくれれば
いいと言うので素直に支払った。

 

 

 

ツアーまではここのホテルで休ませてくれるらしい。
案内されてホテルの敷地を歩く。

ホテルの裏はすぐ砂漠になっていた。

砂漠は昨日の夜に降った雨で湿気を含んでおり、
砂煙はたたなかった。

IMG_1414

 

 

 

ホテルの敷地にはテント宿泊者の姿があった。

どこかの欧米人の髭をはやしたお兄ちゃんは
ここに一週間以上滞在しているそうだ。

まぁ、シャワーさえ使えれば僕も同じことができるな。

 

 

今度はちゃんと連絡先を訊いておいた。

客引きで僕をこのホテルまで連れてきてくれた
おっちゃんはラクダ引きもしているらしい。
名前をハミットと言った。

オーナーには話しておくからと、
砂漠のホテルの一室に案内されると、
僕はシャワーも浴びずに靴を脱いでベッドに横になった。

 

 

はぁーーーーーーー….、
80ユーロ…。

枕が涙で濡れそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ドンドンドンドン!」

 

 

 

突然のドアをノックする音。

ベッドに入ってから5分も経っていない。

 

 

ったく、なんだよぉ~。とドアを開けると、
そこにはさっきのテント泊の兄ちゃんと
見たこともないモロッコ人が
焦った顔をして立っていた。

 

「コイツ、お前のこと探してたぜ。
よかったな。騙されたわけじゃなかくて」

 

 

 

ようやく来たよ。

 

 

 

「あなたがイディールさんなんですか?」

「いや、イディールはホテルのおれのアニキだ」

「なんで迎えに来てくれたなかったんですか?
騙されたと思って別のツアーに申し込んじゃいましたよ。
前払いで100ディルハム払っちゃったんですけど。」

「それなら後で返す。よし!行くぞ!」

 

 

今度こそ本当なんだろうな?

とりあえずおっちゃんの車に乗り込んだ。

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砂漠の中を突っ切る道路を車は走る。

 

 

「なんで迎えに来てくれなかったんですか?」

「違う!おれは迎えに行ったよ?
バスがいつもとは違う場所に停まったんだ!」

「それなら、
次回からちゃんと確認するべきですね。
僕みたいなツアー客が他にも出てきますよ?」

 

 

もう怒っても仕方ないし、なにより眠かった。

連れていかれたホテルは
今度こそツアー側のホテルだった。

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レセプションでは
今度こそイディールさんが僕のことを迎えてくれた。

寝る前だというのに、
カフェオレをいただき、パンをかじり、
ボヤボヤした頭で歯磨きをして、
そっこーでベッドに横になった。

 

 

ツアーはどうやら夕方5時から始まるらしい。

僕と入れ違うように、
日本人の団体が楽しそうに
ツアーに出かけて行った。

 

 

 

 

 

 

13時には目を覚ました。

雨の音が聞こえる。

 

 

 

雨ーーーー。

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自分が運がいいんだか悪いんだか分からない。

どっかのブロガーさんが、
いっつも天候に恵まれないのを思い出した。

 

 

 

さっきまで使えた電気が使えなくなっていた。

少し高い10ディルハムのコーヒーを注文して
外の景色を眺めてた。

 

 

 

 

ここでもモロッコのスタッフは
僕にフレンドリーに声をかけてきてくれた。

 

 

「ジャポン?」

「そうだよ」

「コニチハ!」

「ははは」

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ほんとうにこのやり取りだけなんだけど、
きっと多くの日本人がモロッコを訪れたんだろうな。

ここでも自分が日本人であると告げた時の
彼らのリアクションはけっこう嬉しいもんだ♪

 

 

ギターを弾いてくれないかとお願いされたので、
部屋から持って来ていつものヤツを弾いた。

なんだかんだで
色んな国でバスキングしてきた
僕のパフォーマンスはちったあ様になっているに違いない。
自分で言うのもなんだけど。

一曲が終ると、
「ひゅ~~~~っっっ!!!」
と拍手と歓声が沸いた。

 

 

部屋にあった打楽器を持ち出すスタッフ。

「セッションしょうぜ」と各々がリズムを打つ。

僕にセッションするようなスキルは無いので、
4つくらいのコードを延々とリピートをしていた。

 

 

「さあ!唄えよ!」と煽るスタッフ。

そう言われたらこっちもノれる♪

過ぎてしまえば
これもきっといい想い出になるんだろう。

雨なんか気にならない。天候は運次第だから。

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「よーっし。
じゃあツアー行くぞぉー」

「えっ?もう?!!
5時からじゃなかったっけ?」

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16時に声がかかった。

大急ぎで自分の部屋まで戻り、
アウターの中にフリースを着てサブバッグを背負った。

ってかおれ一人しかいねーの?

 

 

ラクダが行儀よくホテルの裏で待っていた。

僕があてがわれたのは白いラクダ。

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ほーい。じゃあ行くぞ~と
あっさりとサハラ砂漠ツアーが始まった。

あ、やべ、歯磨きセット忘れた…。

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さっき降った雨のせいで砂漠はマットな質感で、
ラクダ引きのハミット(彼も同じ名前なのだ)も
歩きやすそうだった。

時折日本人が彼に教えたであろう
ベタなギャグを織り交ぜてくる。

 

 

夕方の砂漠は強い風が吹き付けて来た。

砂漠がこんなに寒いものだったなんて思わなかった。

フードを被り、風で飛ばないように紐で調整する。

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ハミットはツアー中、スマートフォンで
ずっと誰かと電話をしていた。

フードに吹きこみ風の音しか聞こえない。

「ボボボボボォォォーーーー」という音のみ。

ラクダがハミットの歩調に合わせてのっしのっし歩く。

見渡す限りの砂漠。

 

 

 

なんだか、贅沢だな。この時間。
砂漠を自分独り占めしてるみたいだ…。

地球ってやっぱりすげー…。


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一時間ほど歩いたところにあるキャンプ場には、
「ベルベルテント」と呼ばれる
遊牧民のベルベル人が使っているテントがいくつかあった。

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それにツアー客が泊まるわけだが、
僕が泊まるテントには、僕一人しかいなかった。

昨日はここに6人ほど泊まっていたらしい。

そのギャップって何よ?

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晩ご飯はハミットお手製の
タジン鍋をいたただいた。

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外は30分おきぐらいに星が見えた。

目の悪い僕でも、真っ暗な砂漠に突っ立って
ずっと空を見ていた。

眼鏡があったらもっと綺麗に見えるんだろうなぁ。

 

 

 

 

そう言えばさっきから打楽器の音が聞こえる。

ベッドを抜け出し、音のする方へと歩いて行った。

別のツアー客がたき火を囲み、
ベルベル人たちが打楽器を演奏する。

 

 

 

演奏は夜遅くまで続いていた。

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はぁ~~~~…、よかった。

騙されなくて。

「まだ君を好きでいれる」

っていうミスチルの歌詞は
この時のためにあったみたいです。

 
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4 件のコメント

  • メガネの事、私もJOSANさんと同じ事思いましたよ。
    サハラ砂漠といえば、満点の星空が見えるスポットらしく、
    他のブログで、よく書かれてました。
    だからシミさんのブログでも星空が出てくるかと思いました。

    >眼鏡があったらもっと綺麗に見えるんだろうなぁ。

    世界中旅してまわっているのに、これは勿体ないですよ!!

    • >あっきーさん

      せっかく星が綺麗に見えるところにいながら
      なんで眼鏡を買わないかと申しますと、

      眼鏡をかけないことに慣れてしまったからです(笑)

      旅に出る前に眼科に行った時、お医者さんから
      「なんで眼鏡をかけないの???
      と驚かれました。

      目が悪いことに慣れてしまっているんですよね。
      薄暗い部屋だと、テーブルの向こう側に座った人の顔も
      心なしかぼやけて見えます…。

      眼鏡買わねば!

  • 海外でのツアーやホテルでは領収書は、料金と引き換えに貰うのが
    常識ですよ、これを嫌がる相手にはご用心!。

    それとメガネは外国では意外と安いので、購入してたら如何ですか?
    旅がより楽しく成りますよ。(笑)

    JOSAN。

    • >JOSANさん

      そうですよね。
      領収書はもらうことに越したことはないですよね。

      向こうもめんどくさがったり、
      こっちも『まぁいいか』となったり、

      だんだんと騙されることに対して
      警戒心が薄れてしまっているので、
      気を引き締めたいと思います。

      眼鏡はそろそろ作ってみようと思います。
      まずはいくらかかるか調べることからかな?

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