「え?!ピラミッドって16時までなの???」

世界一周556日目(1/5)

 

 

部屋は薄暗い。

 

 

今が何時頃かも分からなかった。

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二度寝から目が覚めて、
梯子のない二段ベッドの上でモゴモゴしてると、
外から賑やかな声が聞こえる。

時々申し訳なさそうに、
電気をつけないで別のベッドの人が荷物を
取りに入ってくるのが分かった。

 

 

えっと…、今何時だ?

 

 

 

あぁ…、もう10時過ぎかよ。

起きないと。

 

 

7時45分にセットしたアラームはちっとも役に立たなかった。

 

 

 

 

ここはエジプト、カイロ
泊まっているホテルの名前は
ボロボロのビルの五階にある

SAFARI(サファリ)」

という日本人と中国人がメインの人気宿。

 

 

 

 

ダハブから一緒にカイロにやって来た他のみんなは、
今日は例のピラミッドを観に行くらしい。

僕は昨日申請したエチオピアビザの受け取りが13時から
15時までだったので、

それを取り次第ピラミッドの前にあるという
ケンタッキーで待ち合わせをした。

 

 

レセプション前で
エチオピアビザ申請がどうのこうの言っている
大学生の男の子を見つけたので、
一緒に「大使館に行きませんか?」と声をかけた。

昨日散々迷ったエチオピア大使館だ。

誰かに
「ここはこんなに見つけにくい場所にあるんだぜ?」
と教えてあげたかったってのもある。

 

 

大学生の男の子は旅慣れていそうな割には、
パスポートの顔写真の載ったページと
エジプトビザのページのコピーが必要なことは知らなかった。

これで大使館に行ってたら
けっこう面倒くさい事態に陥ったことだろう。

自分のことは棚に揚げておいてですけどね(笑)

 

 

 

 

 

10

時半には大学生と出発することにした。

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大学生の男の子は

アメリカドルがないので
銀行に行ってもいいですか?

と言うので、
宿の近くにあったバンク・オブ・エジプトで
アメリカドルを両替しに行くことにした。

僕の方も2時間は時間があるので、
別に構わないよと一緒に銀行に入った。

 

 

 

 

大学生はそれなりに英語が喋れるようで、
受付の人に両替が出来るか尋ねて、整理券をもらった。

彼の順番まで、4人ほどいたが、
窓口が一人の人間の用件を処理するのには
時間がかかった。きっとそういう窓口なのだろう。

 

 

順番を待つ間、彼とベンチに座って、
どんなルートで旅をしてきたかなど、
バックパッカーにありがちな話をした。

彼は行きたいとこにスポットを当てて、
ガシガシ旅をする急ピッチな旅をしており、
既に西アフリカを縦断しようとしたらしい。

西アフリカで宿に鍵をかけていたのにも関わらず、
荷物一式盗まれてしまい、
一時帰国を余儀なくされたそうだ。

宿もそこそこに中堅クラスの宿だったようだ。

彼は保険に入っているので、
ある程度のお金は戻ってくるということが救いだろう。

 

 

 

僕は彼がどうやって
旅の資金を稼いだのかを訊いてみた。
そこには人それぞれにドラマがある。

彼が旅の資金をどうやって貯めたのかと言うと、
それは

「株取引」で稼いだ

と言うのだ。

 

 

僕は驚いた。

世の中にはそういう方法で金を稼ぐ人間もいる。

僕には真似しようとしても真似できないけどね。

 

 

 

 

僕と彼のお喋りは続いたが、
窓口はなかなか進まなかった。

彼は
「なんでこんなに時間かけてんだよ」
とブツブツこぼした。

 

 

待ち始めてから20分くらいで
ようやく彼の番がまわってきた。

彼は窓口で英語でアメリカドルが欲しいのだと
用件を伝えたが、窓口の銀行員は
「アメリカドルをエジプトポンドにでしょ?」
とすんなりとこちらの用件を理解はしてくれなかった。

しまいには
「アメリカドルは両替できません」と言う始末だ。

きっと最初の受付でもこちらの用件が
ちゃんと伝わっていなかったに違いない。

 

 

 

「ふざけんなよ。
なら最初っから言えや」

 

 

と大学生は日本語で不満を露わにした。
気持ちは分かるけど、

話している時の彼は基本的に敬語だったが、
不満をわざわざ口に出す時に性格が変わった。

 

 

 

 

 

 

両替

はできないまま、
僕たちはアタバ駅からドキ駅まで行き、
そのまま大使館を目指すことにした。

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電車の中で僕は
「なぜアフリカに興味を持ったの?」
と質問してみた。

 

 

彼は「これからアフリカ経済は発展していく。
そうなると食糧問題が浮上する。
実際に現地に行って、現状を見ておきたいのだと」
言った。

そして、そういう取り組みをしている
企業の株を買うらしいのだ。

 

 

「でも、僕なんかが考えそうなことは、
既に他の誰かが考えてるんですよね」

旅の仕方によっては、その国、地域を見る視点も違ってくる。

今、勢いに乗った国の今後の流れを意識して
旅する彼のような視点は僕は持っていない。

 

 

そんな株屋(なんて言ったらいいんだ?トレーダー?)
の彼の就職先はダハブらしい。

旅をしている最中に会った
お金持ちのドバイ人(移民ではなく正真正銘の)
彼を秘書として雇いたがっているというのだ。

僕は最初、お金持ちの冗談か何かだと思ったが、
彼とそのドバイ人は頻繁にメールやスカイプで
連絡を取り合ってるというのだ。
三日に一度は連絡がくるらしい。

 

 

「それって、向こうがゲイなんじゃないの?」

僕は冗談でそう訊いた。

 

 

「いや、それはないです」

彼は確信めいた感じできっぱりそう言った。

彼は旅先で何度かそのドバイ人と
一緒に行動を共にしていたらしく、
彼のことがよくわかっているそうだった。

 

 

「じゃあ、秘書検定とかも受けているんだ?」

「いや、受けてないですね。
僕が大学卒業後にあっちに行って、
最初の一年は研修みたいに
秘書の勉強をさせてくれるらしいです」

「ふーん」

 

 

話を聞いていて、

『自分の人生を相手に頼ってないか?』

という気がして来た。

ただの口約束かもしれないし、話が流れる場合だってある。

ドバイで暮らすなんてそんな容易くはないだろうし、
もし、そのドバイ人のビジネスが
上手く行かなくなったらどうするのだろう?

 

 

漫画家というリスキーな生き方を取っている僕は
「自分でなんとかしなくては!」という意識を持っている。
(そのくせ戦略が甘いところがある)

頭のいい大学生の針路は
どこか他人に依存する生き方のように僕は思えた。

きっと、彼なりの冗談なのだろう。

 

 

経済を読まないと株で利益を上げることは難しいはずだ。

だから口約束でよく分からない人間の
秘書になるなんて真似はしないだろう。きっと。

 

 

 

 

 

僕はだんだん彼に対する興味を失って行った。

 

 

それは一緒に行動している彼もそう思ったに違いない。

面白い話題も見つけられずに口数も減っていた。

ただ『合わないな…』と思ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ドキ駅

に到着すると、そのままスタスタと
エチオピア大使館へ足を運んだ。

彼はひとまず例の窓口で申請用紙をもらっておいた。

念のため、持ち合わせのドルがないので
すぐに両替してくるが待ってもらえるかと訊くと、
大使館はすんなりオーケーしてくれた。

ただ、僕のビザの受け取りは時間から30分過ぎないと、
もらえないということだった。

 

 

とりあえず大学生と一緒にアメリカドルを
両替してくれる場所を探すことになった。

大使館の近くには銀行両替屋が何軒かあるので、
見つけることはそう難しくなかったが、
銀行の対応がよくないと、彼はまたブツブツ文句を言った。

 

 

両替自体のレートは300円ちょっと
こちらが負けるだけだった。

手数料と考えればそんなものだろう。
僕も300ポンド(4,973yen)を追加で両替しておいた。

 

 

両替を済ませると大使館の近くの
ファストフード店で時間をつぶした。

彼は
「いつも自炊をしているから、食べたい物を食べるのだ」
と言い、700~800円くらいの
セットメニューを注文していた。

僕はコーヒーを飲みたかったのだが、
お店にはコーヒーというメニューは存在しなかった。

「コーヒーならあちらでどうぞ」と教えてくれたのは、
道路を挟んで向かい側にあるカフェだった。

店員さんたちはいきなり入ってきたアジア人二人を
おかしそうにクスクス笑いながら見ていが、
そこにはからかうような感じは全くなかった。

 

 

 

 

13:30に僕はビザを受け取った。

これであとは別の町でスーダンビザを取れば、
アフリカ旅のスタートは切れるだろう。

 

 

 

 

ドキ駅まで戻る道で彼とまた少し話した。

 

 

僕は彼の先頭をスタスタ歩いていたので、
後ろから「バサッ!」と音がして振り返ると、

彼は今まで鬱憤を晴らすかのように、
さっきまで飲んでいたファストフード店の
ドリンクカップを道端に投げ捨てた。
「叩き付けた」と言ってもいいくらいの投げっぷりだった。

思わず「どうしたの?」と訊いてしまう。

 

 

「いや、エジプトって、
ごみ箱とかないじゃないですか?
ついついやっちゃうんですよね」

 

 

僕は二の句を失った。

「ついつい」ってレベルじゃないだろ?
その投げっぷりは。

確かにここは汚い街で、
至るところにごみが落ちているけど、
何もそんなことする必要はないんじゃないか?

 

 

 

 

「エジプト人って馬鹿じゃないですか?」

歩いていて、彼は唐突に話題を振ってきた。

 

 

「馬鹿って言うと?」

「だって、さっきの銀行のヤツらもそうでしょ?
全然人の言っることを理解しようとしない。
それにここら辺にいる物売りを見てくださいよ?
彼らただ通行人にティッシュを売りつけるだけで、
なんも工夫ししようとしない。
「考える」ってことを放棄してますよ」

「それは僕たちが大学を出て、
マーケティングなんかの知識があるし、
そういうのを学ぶチャンスがあるからだよ」

「チャンスなら彼らにもありますよ。
彼らはやろうとしないだけ」

「そうかな?」

「そういう意味では教育って大事なんですよね。
結局は国でしょ?
エジプト人が馬鹿な方が国に取っては都合がいいんです。
だからコイツらはいつまで経っても馬鹿なままなんですよ」

「ま、それは程度の然こそあれ、日本も同じだと思うけどね」

「それはそうっすね。
ドイツ人は日本人なんかよりよっぽど賢いですよ。
もちろん個人レベルでは頭のいい人はどこにでもいますけど」

 

 

僕は国の教育に対する
明確な意見も持っていなければ、背景の知識もない。

そのため、当たり障りのない意見を口にすることが多い。

 

 

だけど、彼のどこか人を見下す態度は
好感が持てなかった。

 

 

『エジプト人=バカ、日本人=賢い』

 

 

みたいな図式で話をしてくる。

彼にその気はなかったとしても、
話を聞いている僕がそう思うのだ。

 

 

 

 

話しているとエジプト人に対する嫌悪感さえ感じられた。

彼との話の中に「平等」というワードがでてきた。

僕が使ったんだけど。

 

 

「平等」という言葉はある一定の範囲でなければ
意味は成さないと思う。

どこの国で生まれたか?人種は何か?
場合によっては性別がなにか?
という点で「平等は」世界規模で見れば
意味を持たなくなってくる。

 

 

日本人の目線でエジプト人を計るのは間違いじゃないか?

僕はそう思うのだ。

 

 

確かに彼らはお調子者な時があるよ。

商売やっているヤツはしつこい時もあるし、
タクシーの運転手ではボッてきたりする。

そのやり口は、
日本で教育を受けて来た僕たちからしてみたら、
少し幼稚に思えるかもしれないけど、
彼らの生きる場所を考えたら、
僕は「単に自分は運が良かっただけなんだ」としか思えない。

 

 

 

だからね、

この世界は「不幸平」なんだよ。

 

 

 

それが分かっていても、
僕個人のレベルでそれを是正することはできない。

僕にできるのは、ただただ、
彼らを受け入れることだけだ。

難しい時もあるけどね。

 

 

 

「タバコ吸ってから行くんで」

と地下鉄への階段の前で彼はそう言った。

一瞬、僕もタバコを吸っていこうかなと思ったが、
すぐに考え直して「じゃあね」と言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのまま

僕はピラミッドに向かうことにした。

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時刻は2時ちょっと過ぎ。

これならピラミッドに行ったみんなと
合流できるかもしれない。

 

 

問題はそこまで行く交通手段だった。

下調べを全くしていなかったので、
ギザ駅からバスに乗る方法しか分からない。

 

 

ひとまずギザ駅で下車し、
インフォメーションと書かれたところのおっちゃんに
「ピラミッドまで行きたいんですけど」
とジェスチャーを交えて尋ねると、

おっちゃんはニコニコしながら
「そうか!ならそっちの出口から出て、
ミニバスに乗れるよ!」
とすぐに教えてくれた。

 

 

その瞬間、僕はおかしくなって思わず笑いそうになった。

 

 

 

「おいおい。

やっぱり”愛”じゃねーか。
大切なのは」

 

 

ミニバスはいつもの様に
ふっかけてくるヤツもいたが、さんざんしつこく
中に乗っている乗客にさえピラミッドまでの金額を訊いて、
3ポンド(50yen)の値段で納得してミニバスに乗り込んだ。

定員に満ちるとバスは走り出した。

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駅周辺では交通渋滞があったが、
それを抜けるとマリオカートのようにミニバスは走った。

踏み込むアクセル、鳴り合うクラクション、
攻め込む車と車の間のスペース。

インドの運転とかなり似ている。

あー、またインド行きたいな。

 

 

 

 

そうしてあっという間にミニバスは
ピラミッドの近くの通りまで僕を連れてきてくれた。

シュクラン、とお礼を言って
待ち合わせ場所にしているケンタッキーに向かった。

 

 

時刻は14:40

もしかしたらひょっこりイッチーが
僕を迎えに来てくれているんじゃないかな?
と思ったが、それらしき姿はそこにはなかった。

 

 

ゲートはチケットがないと入れないようになっており、
僕はKFCの前で待っているほか無かった。

何人かの客引きがタクシー?と僕に寄って来たが、
「友達を待っているんだ」と言うと、すんなり去って行った。

 

 

15時に日本語の喋れるエジプト人の初老のおじいさんが、
僕に「“神棚”とはなんだ?」とか
マニアックな質問をしてきたので、
英語で応えるのにはなかなか頭を使った。

僕が「神様の家みたいなもんだよ」と教えると、
おじいさんはなぜか「かぐや姫」の話をしてくれた。

 

 

吹き付けてくる風が強かったので、
僕は「コーヒー買ってくるね」とKFCにひとまず避難した。

二階のレジでコーヒーを注文して一階におりると、
「かぐや姫」を話してくれたおじいさんの姿はなかった。

話、最後まで訊きたかったんだけどなぁ。

 

 

KFCでせっせと計算をしているマネージャーと相席をして、
僕は迎えを待った。

店内にはお金持ちの子供たちが、
テーブル周辺に食べ物を撒き散らかして、
きゃっきゃと遊んでいた。

Wi-Fiも入らないお店だったので、ぼっと入場口を見る。

入場口にはそれなりに人の姿があったが、
日本人がいれば服装ですぐに見分けがつくと思った。

だが、いつまで待っても誰も来なかった。

 

 

 

 

15:30には諦めて、
僕はピラミッドを観に行くことにした。

入り口で係員が僕に話かけてきた。

 

 

「お前、入場するのか?」

「そうだよ?」

「なら急げ!16時には閉まるぞ!」

 

 

「うそーーーーー!!!」

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一瞬『明日また来ようか?』と思ったが、
ここまでの労力を考えて結局は中に入ることにした。

チケットは80ポンド(1,326yen)もした。学割だと半額。

ダメもとで期限の切れた国際学生証を提示したが、
あっさりと失効してることを見破られた。

ケチ!30分しかないんだぞ!

 

 

 

僕はダッシュでピラミッドや
スフィンクスを見て回った。

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せめて夕日が見れればいいかな?
と思ってたが、夕方になると風は強く吹き、
砂嵐のように細かい砂が僕の顔に当たった。

見回りの警備員のおっちゃんに
「そろそろ閉場だよ」と言われてその場を後にした。

 

 

 

結局30分では他のみんなを見つけることはできなかった。

この吹き荒れる風のせいで、
みんなはすぐに帰ってしまったのかもしれない。

まー、そんなもんか。

 

 

『やっぱりピラミッドは
宇宙人が作ったのだろうか?』

 

 

僕が思ったのはそういうことだった。
思ったほど形が整っていなかったから、
僕は人間が奮闘した説に賛同したい。

 

 

 

 

 

 

 

 

ここ

からギザ駅までは
1ポンドでバスで行けるらしい。

どこからそのバスに乗れるのか、
尋ねて回ると、僕は一軒のお土産屋に連れて行かれた。

中から人のよさそうなおっちゃんが出て来て、
「ここに来るから待っていなさい」と教えてくれた。

 

 

「どこの町から来たんだい?」

おっちゃんは流暢な英語を話した。

 

 

「ダハブですね」

「出身は?」

「ジャパンです」

「ジャパーーーーン!
なんだ、日本人ですか」

 

 

途端におっちゃんは日本語をペラペラ喋り始めた。

ほとんど完璧に近いイントネーション。

 

 

 

なんと、ターレックさん
日本に20年も暮らしていたというのだ。
IT系の仕事をしていたらしい。

ターレックさんのお店では
ガラス製品と香水を扱っていた。

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商品全てを自分の工場で作っている、
まさにメイドイン・エジプト。

 



「日本からも芸能人が来てるんですよ♪」

日本語で書かれてお店の紹介のラミネートには、
ターレックさんと相武紗季が一緒に写っていた。

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思わずターレックさんの横にいる
架空の相武紗季の身長を測るようにした。

あぁ、このくらいの大きさね。
もっとデカいのかと思った。

 

 

 

ターレックさんが扱っている商品は
僕なんかが手が出せなさそうなものばかりだった。

「旅する雑貨屋 Drift」には向かないなって感じ。
自分のためならいいけどね。

 

 

 

その中で僕が惹き付けられたのは
小さな手のひらサイズのシーシャだった。

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どこでも見かけるフィルターつきのタバコを、
このガラスの容器にセットすると、
水をフィルター代わりに煙が通り、
体に摂取されるニコチンの量が減るという
健康志向の喫煙家には喜ばれそうな品物だった。

試しに一度吸わせてもらったが、
シーシャ内に入れられた水には
リンゴのフレーバーが加わっていた。

このお店ではアルコールを含まない、
日本人向けの香水も扱っている。

 

 

「日本になが~く住んでいましたからね。
日本人の好みならなんでも分かります♪」

ターレックさんは自慢げにそう話してくれた。

 

 

エジプトで有名なのは
蓮(はす)の花」の香水らしい。

ターレックさんは100%ジュースの様な
色の香水を僕にかけてくれた。

アルコールが入っていないので
鼻を突くような強い香りはなく、優しい匂いだった。

 

 

 

お店のすぐ前にバスが停まると言うので、
僕はお店の中でバスを待たせてもらった。

その間、ターレックさんのセールスを聞いていたが、
ターレックさんは押し付けがましく物を
売るということをしなかった。

 

 

「日本人はそういう風に物を売られると、
退いてしまいますからね」

たしかに。よく分かってらっしゃる!

 

 

リーズナブルな僕でも手に入る、
香水用の小瓶があったので、ふたつ仕入れておいた。

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結局バスは来なかった。

町で渋滞しているらしく、
ターレックさんはお店を閉めると、
僕を近くの地下鉄駅まで送ってくれた。

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満足な気持で宿まで戻った。

 

 

「お~~~、みんなお疲れ~~~」

「あ!結局ピラミッド行ったの?
私たち4時頃待ってたよ?」

「入れ違いだね」

「それより、
今日は早く寝といた方がいいぜ?」

「どうして?」

 

 

 

 

 

「明日の出発、朝6時半だから」

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むしろ、自分と違った考え方の人に
会えたことによって考えるいい機会になりました。

どもっす。

ピラミッドの閉場時間は16時まで!みんな気をつけろ!

 

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2 件のコメント

  • このブログで初めてあの日シミくんもピラミッドに来たことを知ったよ!笑
    そんな大学生いたんですね・・
    きっといつか日本社会で適応できなくなる時が来るでしょう・・

    • >ダイキさん

      返信おくれてごめんなさい!
      コメント返信できるくらいWi-Fiが早い場所がなかったものですから!

      僕もダイキさんがスフィンクに腹出してる写真見ましたよ!
      全然太ってないですよね?腹式呼吸の要領で腹出してるのかな?

      僕はタバコを止めて、ちょっとイライラ、言葉も荒くなってきました。
      仏のように優しくなりたいものです。

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