「コーヒー農園に行けない子」

世界一周581日目(1/30)

 

 

中毒

かもしれない。

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コーヒーの魅力に取り憑かれたのは高校生の時

通っていた塾の自販機で110円で
(信じられないかもしれませんが、そんな時代があったのですよ)
売られていた“ROOTS”のコーヒーをいっつも飲んでいた。

デミタスとか美味かったなぁ…。

 

 

「コーヒーを飲めば
カフェインの効果で頭が冴える!」

一種のプラシーボ効果を僕は味わっていたのかもしれない。

 

 

 

浪人時代では、コーヒーは
一日を始めるのに欠かせないものになった。

朝一番で代々木ゼミナール町田校に行き、
自習室の前の自販機の紙コップコーヒーを飲む。
もちろん濃さはマックスだ。

コーヒーは僕にとって辛く孤独な浪人時代を
乗り切るための潤滑油でもあった。

 

 

 

大学時代はカフェに行って本を読むようになった。

主に地元の新百合ケ丘駅付近のカフェが僕の行きつけだった。

中でも改札前の二階にあるタリーズコーヒーがお気に入りだった。
あそこのコーヒーは高いけど美味しい。
自分のタンブラーを持って行くとちょっとだけ割引してくれる。

 

 

 

また、大学生の僕にとってカフェは勉強部屋でもあった。

大学三年生の時に一度だけ表参道のドトールコーヒーで
バイトしたことがあったが、
その時所属していたNGOのスタッフの活動が忙しくて
辞めざる終えなかった。

(バイトの女子のドロドロした話を聞かされた時は
『ここじゃやってけないな』と思った)

 

 

 

漫画家になることを決め、大学卒業後のフリーター時代は
常に家でインスタントコーヒーを飲んでいた。

 

 

『やべぇ、集中できない。コーヒー飲むべ』

そんな感じに。

 

 

もちろん世界一周の旅路の中でも
ほぼ毎日必ずコーヒーは飲んで来た。インドはチャイだったけど。

 

 

 

 

 

 

 

エチオピアに来たかった理由。

それは言うまでもなく

 

 

「コーヒーを飲むこと」

だ。

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おいしいコーヒーの真実
という社会派の映画を観たことがある。


 

これはスターバックスコーヒーに
コーヒー豆を輸出しているエチオピアの
ある地域に住む人たちの労働状況を知らせる映画なんだけど
(フェアトレードって大事ですよね。高いけど…)

社会派の考えを持つよりも、

僕はここに来れば美味しいコーヒーが飲めるのだと、
旅に出る前からエチオピアに対して情熱のようなものを燃やしていた。

 

 

 

この国では至る所に小さなコーヒーの露店がある。

インドでは国民的な飲み物は
チャイ(ジンジャーを入れたミルクティー)だったが、
ここではコーヒーなのだ。

濃厚な味わいのブラックコーヒーに砂糖を入れるのが
現地のスタイルのようだ。ミルクは入らない。
値段は一杯5~3ブル(29~17yen)。

もちろんピンキリだ。
エスプレッソマシンでコーヒー出すようなお店に行けば
値段はもちろん高くなる。

 

 

 

 

 

僕が

どれほどコーヒーを愛してやまないか
理解していただけたと思う。

そして、僕は
これからコーヒー農園に行こうと計画していた

 

 

僕がアディスアベバにいた頃、
「コーヒー農園に行きたい」と言うと、
「それならジンマだよ」と誰かが教えてくれた。

現にここに来る途中にコーヒー農園らしきものを見た。
昨日同じバスに乗っていた地元の人が
「あれがコーヒーファームさ!」と僕に教えてくれた。

ついでに言っておくと、
今僕が泊まっているホテルの名前は
COFFEE LAND HOTEL」。
まさに僕にうってつけの名前だ。

 

 

前日、ホテルのスタッフにどこに行けば
コーヒー農園を見学できるのか訊いておいた。

スタッフは僕にコーヒー農園が
あるらしい場所の名前を書いたメモを渡してくれた。

 

 

 

 

11時には外に出た。

僕はそこら辺に停まっているトゥクトゥクに声をかけた。

メモの場所まで20ブル(116yen)で連れて行ってくれるとのことだった。

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トゥクトゥクを走らせること5分。

コーヒー農園の看板らしきものが見えた。

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入り口からは農園が見えなかったが、
ついに僕はここにやってきたのだ。わざわざ日本から。

僕は木陰で暇そうにくつろいでいる警備意さんたちに
軽く挨拶をしてオフィスらしき建物の中に張った。

 

 

すぐに受付の女性がマネージャーを呼んで来てくれた。

僕は「コーヒー農園を見学に来たんです」
と簡潔になぜ自分がここに来た理由を話した。

マネージャーはすぐに奥の部屋に引っ込んだ。

 

 

「ちょっとそこに座って待ってなさい」

「はい」

 

 

 

ツアー的な観光には熱心じゃない僕だけど、見たいものだってある。

こうい場所で待たされると
ソワソワするのは僕だけじゃないと思う。

 

 

 

三分くらいでマネージャーが戻って来て僕に言った。

 

 

「ここにはコーヒー農園はないんだ。
農園はここからかなり離れた場所にある。
それに、君が見学してもいいかどうかは
ここで決めることはできないんだ」

「は…、はぁ」

 

 

僕は状況をうまく飲み込めなかった。

だって、ここに来たのはアディスアベバで
他のエチオピア人が教えてくれたからだし、
ホテルのスタッフにここの場所を聞いて来たのだ。

 

 

「じゃ、じゃあどうやったら見学できるんですか?
できれば今日中に見学したいのですが」

「それなら別のオフィスに訊いてみてくれ。
ここではなんとも言えない」

 

 

マネージャーから別のオフィスの住所が書いた紙を渡された。

 

 

あれ?
何か話しが違うぞ?

 

 

 

アポイントもなしで来たのだから
向こうも対応に困るのは理解できる。

だけど、見学ができるかできないかを
決められないってどういうことだ?

他の人のブログを少し読んだけど、
別に予約なんてしなくても見学できそうな感じだったぞ?

 

 

 

 

 

僕は言われた通りに別のオフィスを探した。

オフィスの場所を訊いてまわっている途中で、
親切なお兄さんがバイクで僕を連れて行ってくれた。

そして僕が次にやって来たオフィスは
区役所的な場所だった

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二階建ての建物にはいくつも部署があり、
ひとつひとつの部屋に番号がふってあった。

僕は適当な部屋でどこに行けば
コーヒー農園の見学について訊けるのか尋ねた。

言われた番号の部屋に入ると、
笑顔が素敵なふくよかな女性が
「ウェルカム!」と僕を迎えてくれた。

これならなんとか見学ができそうだ。僕はそう思った。

 

 

「それじゃあこっちよ!」

女性に案内されてまた別の部屋に行く。

別の部屋には男性職員が二人おり、ハローと僕に挨拶をした。

 

 

「それで、君はなんでコーヒー農園に見学に行きたいんだい?」

「なんでって、ツアーみたいなものです。
特にこれと言って理由はないです。
あ、コーヒーが大好きってことですかね?」

「ふーん。すまないな。
我々はいまいち、君の言っていることがよく分からない。
ここになぜコーヒー農園に行きたいのか
書きだしてくれないか?」

 

 

男性職員は英語を話せたが、
残念ながら理解力というものを持ち合わせていないようだった。

僕は渡された紙に4つほど、挿絵つきで
なぜコーヒー農園に見学に行きたいのかという理由を書きだした。

僕が作った願書を見て、男性職員たちはニヤニヤと楽しそうにした。

これでも漫画家のはしくれだ。
エンターテイメント性は持ち合わせている。

 

 

「うん。それで、
君は”レター”を持ってる?
それがないと見学の許可は出せないんだ」

「は??!!
なんですかそれ?そんなの持ってません!」

「あちゃ~~~~…じゃあ無理だね」

「いやいや。
さっき行ったコーヒー農園のオフィスで、
ここに来れば見学の許可がもらえるって言われたんですよ?」

「ここではコーヒー農園の見学については
許可が出せないんだ」

「それじゃあ、
そのレターというのはどこでもらえるんですか?」

「いや~~~…それは分からないなぁ。
我々としてはレターがないことには、
コーヒー農園を見学させることはできないんだよ」

 

 

 

僕はわけがわからなくなってしまった。

せっかく今まで順当に進んできたかと思っていた道が
全くの誤りだったように感じた。

デッド・エンドの行き止まり。
ゴールに辿り着くためには迷路の道を
引き返すか壁をよじ上るしかない。

 

 

 

 

うなだれて部屋を後にした。

外に出ると優しそな顔をしたおじさんに声をかけられた。
彼もまた英語をしゃべることができたが、
理解力が乏しかった。

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右のダンディーな人ね。

 

 

 

同じ質問、返答を繰り返した後、
おじさんの口から聞かされたのは

 

 

コーヒー農園は企業内容を外部に漏らさないために、
部外者を入れたがらない

ということだった。

 

 

つまりここにはコーヒー農園はあるが、
見学はできないということだ。

なんだそりゃ…。

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歩いて

宿のある場所まで戻った。

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『一体おれは何しにここまで来たんだ?』

 

 

なんで今泊まっているホテルの名前は
「COFFEE LAND HOTEL」なんだ?

 

 

ってか教えてもらった場所全然違うし!

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一体何を勘違いしているのか僕に教えてくれないかい? 

 

 

 

帰り道の途中で、風景やここに住む人たち、
この町の空気感を感じられたので
僕は少し前向きな気持になることができた。

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ガキんちょかわいっ!

 

 

 

小さな携帯電話屋でUSBコネクタがついたプラグを買い、
カフェでマンゴージュースを飲めば、気分は大分すっきりした。

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まぁーーーー…、これも旅なのかなぁ?

ジンマの町には今泊まっている宿よりも安いホテルがあった。

昨日たまたまそのホテルのことが書かれたブログを見つけたので、
僕は念のためそこに料金を確認しに行った。

 

 

ホテル・セントラル・ジンマ」には
確かに安いシングルルームがあった。

一番安い部屋で料金は120ブル(695yen)ほど。

しかも僕が今泊まっているホテルよりずっと大きくて、
ロビーは広く、そこではサクサクのWi-Fiが使えた。

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ロビーでは数人の欧米人たちが
スマートフォンを片手にくつろいでいる。

ロビーを抜けたところに
オープンテラスのカフェがあるのが見えた。

 

 

 

僕は2時間ほどそこで久しぶりのブログ更新をすることができた。

アフリカに来てからまともなネット環境にいれたためしがない。
こういうツーリスト向けの場所がほんとうにありがたかった。

日が残っているうちに、僕は行ったん自分の宿に帰り、
ノートに漫画を描いた。

そして絵が描けなくなるまで暗くなるとまた外に出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

セント

ラル・ホテルに行く前に近くのカフェで夕飯をとった。

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僕はベジ・パスタを注文すると、
コンセントのあるテーブル席に座った。

さっきかったサムソンのコネクタを使って
iPhoneを充電しようとした時に気がついたのは、
USBのコネクタの差し込み口が歪んでおり、
最後まで挿さらないということだった

まさにエチオピア・クオリティだ。

 

 

アディスアでも同じ様なコネクタを買っていたのだが、
それは充電が完了するのに従来の5倍くらいの時間がかかる
という粗悪品だった。

ここではスマートフォンのアクセサリーが安価に手に入る。
だが不良品が多く出回っているのだ。

 

 

 

 

 

僕はこのプラグを買ったお店へ行って返品、
もしくは交換してもらうとした。

だが時刻は20時を回っており、
同じ店に行った時には閉店していた。

 

 

近くの開いていたお店に同じプラグと
これを交換してはもらえないだろかと頼んだが、

どこも交換ではなく、返品と追加料金によって
別の商品が手に入るという内容の取引だった。

そりゃそうだ。誰も不良品なんて受け取りたがらない。

僕は「自分の持っているケーブルは
メイド・イン・ジャパンだからサイズが合わないのだ!」
と主張したが、それは効果を成さなかった。

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セントラル・ジンマのレセプションで22時まで作業をした。

自分の宿に引き上げる頃には、
ホテルの門はしまっており、門番のおっちゃんに
「お前はなぜここにいるんだ?」と声をかけられたが、
「友達と話していたんだよ」とその場をやり過ごした。

 

 

 

自分の部屋に引き上げ、とりあえずシャワーを浴びる。

部屋の電気は豆電球のような明るさで赤みがかっており、
部屋の中はかなり薄暗い。

そんな中で備え付けのテーブルでしばらく作業をした。
相変わらずこっちのWi-FiはiPhoneしか接続できない。

 

 

 

 

念のため、ジンマのコーヒー農園のことを調べていると、
2012年に書かれた素晴らしいブログを発見した。

2012年だったら、僕は世界一周ブログを読み始めている。

だけど、こんなブログは今までみたこともなかった。

 

 

というよりも、僕が見つけたブログは
世界一周というよりかは個人的な旅のブログで、
おなじみのランキングのバナーなんてものは貼っていなかった。

ただ、文章だけで構成されており、
ひとつかふたつの記事ごとに写真の回がある。

なによりこのブログの魅力は
文章がものすごく上手いことにあった。

ひとつひとつの記事を読むと
小説の短編を読んでいるような気持にさせてくれた。
文章量もほどよいくらいで僕のブログみたいにグダグダしない。

 

 

僕はこういうブログを求めていた。

本がなかなか手に入らない状況で
(僕はタブレットを持っていないし、アプリで買う気も今のところない)
本のもつ読み応えを持つブログを読みたかった。

 

 

見つけたブログがまさにそれだった。

僕は

「うっひょ~~!マジ最高です!文章上手過ぎッス!」

とコメントしようか迷ったのだが、

ブロガーの方が

『うわっ!なんだコイツ?!キモっっ!!!』

とスルーすることは容易に想像できたので、
個人的にいくつかの記事を
リーディングリストに残しておくことにした。

 

 

 

コーヒー農園には行けなかったな…。

今日はそれだけだ。

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—————————————-
★世界一周ブログランキングに参戦しております。

ほい!お疲れさん!お疲れさまでした!おれ!

え?コーヒー農園ってそんなに見学難しかったの?
情報収集してない人はこれだから困っちゃうよねぇ~~~。

てかガードが固いんすよ。スパイじゃねーっつーの!
遠く離れた日本からはるばるやってきたんだぜ?
もっとウェルカムでもいいじゃん…

ぐすっ…

 
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(実際僕たちにはそういうサイト作成スキルは
ほとんどありませんのでハードルは低めに)
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4 件のコメント

  • 私みたいに一日家で過ごしているだけの奴に言われても
    なんとも思わないと思うんですけど、
    すごく絵がうまくなったと思いますよ。
    上から目線的な発言で申し訳ないんですが。

    幼稚園に子供達の絵が飾ってあるんです。
    顔だけの子、胴体も描ける子、手足まで描ける子。
    すごくいろいろなんですけど、いけないとはわかっていても、
    自分の子供の絵を見て、ウワァッッってなって息苦しく
    なってます。絶対成長するってわかってるんですけどね。
    うちの子は絵を描くのが好きだし、それでもう満点です。

    • >あっきーさん

      ほ、ほ、ほんとですかぁっっっ???

      いやいや、上から目線だなんて、そんなこと全然ないですよ!
      だって、漫画を読む人のほとんどは
      絵を描かない人たちじゃないですか!

      幼稚園の絵かぁ〜〜、
      小さい子って感受性の豊かなですよね。

      ちょっと違うかもしれないのですが
      イギリスに自閉症の5歳くらいの女のコで
      “アイリス・グレース”ちゃんってのがいるんですけど
      幻想的な絵を描くんですよね。

      ※NAVERまとめ☞(http://matome.naver.jp/odai/2141696040310994301/2141696329215136403)

      子供ってすげー!

  • >スパイじゃねーっつーの!

    笑ったぁ~。

    我が家もコーヒー好きで正月にはとうとう、
    1万円のコーヒー福袋を購入です。
    2000円から始まったんですけどね。
    夏には水だしコーヒーだと思うんです。
    しみさん、世界中のコーヒーが飲めるっていいですね~。
    アフリカのコーヒー。
    それも現地でむコーヒー。
    旅費代とか考えると、一杯何万のコーヒー!?
    う~ん、味わってみたい!!

    • >あっきーさん

      哀しいのは

      僕が貧乏性だということですね。

      高いコーヒーは飲めません。
      ローカルのコーヒーばかりです。
      今もダハブで買ったインスタントコーヒー飲んでます。

      でも、高いコーヒー飲んでる人ってお洒落だ…。

      僕は基本めんどうくさがりなので
      インスタントで済ませてしまうのですが、
      相棒のまおくんは豆とか”ひいちゃう”ヤツです。

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