「動作とクリエイティヴな人の話」

世界一周600日目(2/19)

 

 

あれ?
600日?

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はぁ~、へぇ~。そうですか…。

自分が日本を発って何日目かは日記書く時に分かるから、
この日は全然600日っていう実感なかったよ。

まったくいつまで旅は続くんでしょううかね?
帰国までのルートはもう決まってるんですけど、はい。
訪れる旅先にどれくらい滞在するかは
まったくのノープランでしてて…。

 

 

このあいだのケニアやその前のスーダンみたいに、
三日間とかいうスルーっぷりもあれば、
インドに三ヶ月とかいうこともあるわけでして。
でもお金は減る一方でして…。

 

 

えっと、はいはい。そうですね。
ウガンダで沈没している話でしたね。

 

 

 

 

 

僕は相変わらず首都のカンパラにいる。

決してウガンダという国が
カンパラ以外に見所が全くない、というわけではない。

旅する漫画家には作業場となる街や宿が必要。
ただそれだけだ。

 

 

タカユキさんから
依頼されたバーのメニュー製作、3日目

本日の作業内容は、昨日描いた下描きのペン入れ

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ポリタンクにバナナが…!!
さすが常食としているだけはあるね。

 

 

 

僕も起きて、顔を洗って
すぐに作業に取りかかれるわけじゃない。

何事も準備なりウォームアップなりが必要だ。

いつもの売店でバナナを買い、
宿に戻ってくるとスタッフさんからWi-Fiのパスワードをもらう。

 

 

というのも、ここの宿はWi-Fiを使う度に
新しいパスワードが必要なのだ。
まったく質めんどくさいシステムだ。

一旦デバイスの電源が切れてWi-Fiとの接続が遮断されると、
もうそのパスワードは使えない。

またスタッフのお姉さんに

「毎度すいませんねぇ、あの、その、
Wi-Fiのパスワードもらってもよござんすか?」

とヘラヘラしながら訊ねるのだ。

たぶん、宿のお姉さんは

『日本人はなんであんなに
ネットばっかしているんだろう?』

って思っているはずだ。

 

 

彼女たちにステレオタイプを植え付けたのはこの僕。
旅する漫画家シミに責任があるだろう。

まぁ、いいや。ここの宿のWi-Fiはいちいちめんどくさいという話。

 

 

 

ネットに繋いで、
僕はTwitterやFacebookのタイムラインを
新聞のページを繰るように指でスクロールする。

新聞の方がよっぽどためになる情報が載っているだろう。

こっちに載っている情報はただの暇つぶしだ。
僕は活字に飢えているのだから仕方ない。

 

 

Facebookのメッセンジャーをチェックすることも忘れない。

タカユキさんからメッセージは届いていたが、
「仲間と相談するので詳しいことは分からない」
という内容のメッセージだけだった。

うむ。そうか。
それじゃあ、今日はガツンと描いて
クライアントさんを驚かせることにしよう!

 

 

 

 

 

 

 

そうして僕は作業に取りかかった。

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スコットランドで仕入れた
イギリスのメーカー(ただし中国製)のペンは
こういう時に役に立つ。

同じ太さでメーカーの違うペンを僕は何本も持っているけど、
どの会社が作っているかによって描きごこちが微妙に異なる。

今使っているペンは、漫画用のノートだと若干滲んでしまうのだが、
コピー用紙との相性は抜群だった。

線の強弱を意識して、
どれが最適な太さか0.8ミリから0.05ミリまで
全6本のペンから選んでいく。
何度も何度もキャップを開け閉めして、テーブルの上にペンを転がす。

 

 

 

Wi-Fiの早い宿ではYouTubeが僕のBGMやラジオ代わりだ。

テーブル脇についたコンセントで
iPhoneを充電しながらずーっとイヤホンをしている。

あいかわらずELLE GARDENは僕の中での
トップアーティストでテンションを上げてくれるし、

トーク番組など、人の喋ってくれる動画では、
自分の知らなかったことがなんとなく頭に入ってくる。
後者の方は意外と聴き入っちゃうことがあるんだけど。

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まずは一枚目っと。

 

 

 

そして、
シャーペンの線をペンでなぞるのは、
一見すると単純作業のように見えがちだ。

だが、僕の頭の中では、
線の描き方が頭の中でイメージされている。

 

 

小学生の時に習字を習った記憶はないだろうか?

「とめ」や「はらい」があるように、絵を描くのにも、
それと似た動作があるのだ。

数十センチから1ミリ以下までの動作を
頭の中でイメージして描いていく。

そして、線にアクセント(強弱)をつけることは、かなり大事だ。

 

 

漫画を描き始めた時は
「とりあえず細い線が描ければなんだって描くことができる」
と思っていたが、僕は精密画を描くような漫画家ではない。

どちらかと言えば、大雑把。
下手さをオリジナリティとすり替える。そんなヤツだ。

そのアクセントも考えながら線を引いていくのだ。

輪郭線は太く、影や皺などは細い線で。とそんな具合に。

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ほい。二枚目っと。

 

 

 

これはスポーツのシュートの自主練習にも似ている気がする。

僕は高校生の時、ハンドボール部に所属していた

初心者で周りについていくために、
一人で居残りのシュート練習をよくした。

ゴールキーパーのいないゴールに向かって、
逆サイドから二歩分のステップをして、三歩目の左足で飛ぶ。

空中でタメて、頭の中に架空のゴールキーパーを思い描き、
空中で上半身を傾ける。鋭角に、ピンポイントにシュートを放つ。

「シュートを打つ」という意味なら同じ動作だが、
自分の理想とするシュートに近づけるべく、何度も何度も繰り返す。

あー、懐かしいな。そんな高校時代。

部員8人だったからレギュラーだったけどね。
※ハンドボールはひとチーム7人。

 

 

 

今僕がしていることはまさに、シュートだ。

や、頭の中ではペンを剣に見立てている。
一太刀、一太刀を出来るだけ精確にキメる。

そして、何度も何度も繰り返すことによって、
ようやく理想の「線」が引けるようになるのだ。

理想はさらなる理想になり、決して完成というものがない。

右手の力の入れ具合、角度、線を引くスピード、

もっと言えば机の大きさや照明の明るさ、
湿度、ありとあらゆるものが関わってくる。

 

 

前にも書いたけど、クオリティの高い物を描くには、
作業環境が変わらない職場を構えて缶詰になった方がいい。

だけど、旅をしながら絵を描くのは
イマジネーションとジャズみたいな即興能力が必要される。
それが面白いところだと思う。

あ、下手なくせに何言ってんだろ。
口じゃなくて手動かせってーの。描こう描こう。

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 「ウィンカーは壊れてるのでハンドサインで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

坂口恭平

が今、僕の中でアツい。

 

 

YouTubeでは彼が喋っている動画が
片っ端から再生されている。

僕が初めてこの人を知ったのは
独裁国家の作り方」という本からだった。

 

 

おなじみヴィレッジ・ヴァンガードで彼の本を買ったのだが、
初めはアーティスティックで
オリジナリティのある人だなぁと思った。

今日はなんだかカタカナ英語が多いね。

だって「芸術的」とか書くと岡本太郎みたいじゃん。
もっとポップな感じってことね。ノリに近いです。

 

 

僕がまだ日本にいたころは
「新内閣政府」なんていうものを勝手に作って、
熊本に移住したってくらいのイメージしかなかった。

彼が早稲田大学の建築学科出身で、
卒業論文に「ホームレスの住居」を調べてた写真集を
作ったってことも知っていた。

 

 

坂口恭平はTwitterでもフォローしている。

今は文筆業に専念しているらしく、
なかなかツイートの数も多い。

そして、多くのTwitterユーザーの第三者からしてみたら
無味乾燥な退屈な呟きよりか、
面白いと思わせてくれるものが多いのだ。

坂口恭平自身、エゴリサーチもしているので、
自分のことが取り扱われるとリツイートやリンクを共有したりする。

 

 

最初に彼の映像を見たのも、
彼が共有したTwitterのリンク経由だった。

坂口恭平が34歳の時の映像で
「オトナの!」というユースケ・サンタマリアと
いとうせいこうがMCを務めるトーク番組のものだった。
http://youtu.be/Fza0SWIt46I
ペラペラペラペラと喋り、よおく話を聴いていると、
この人の変態っぷりと頭の良さがよくわかってくる。

僕は続けざまに、鹿児島中央駅での街灯演説や、
スロベニアでのラジオ放送を聴き、
Sound Cloud(という音楽共有サイトです)で
彼の弾き語りを聞いたりもした。

 

 

坂口恭平は他の人が思いもよらないような
突拍子もないことをしている。

人とは違うことをしていると
『なんだアイツは?』と白い目で見られたりもする。

だけど、ゴーイング・マイ・ウェイで自分のしたいことをする。

それでいてクリエイティヴな坂口恭平さんは、
僕にも勇気を与えてくれるわけです。

 

 

彼のようにはなれないし、なりたいとも思わない。

フィールドは違えど、勇気や希望を与えてくれる。
ワクワクさせてくれる。

僕にとって彼はそんな人間なのだ。

 

 

今日は動作とクリエイティヴな人の話。

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★オマケ

仲間がリンクのシェアをしていたのですが、
就職活動から逃げて世界へ旅だち、
今は海外で暮らしているという男の子のブログ
を見つけました。

彼のようなヤツも好き。
是非海外で自分のライフスタイルを切り開いて欲しいと思います。

自分の生活を創るって意味ではクリエイティヴだよねぇ。

てか、この言葉が好きなのです。何かを創る人。そんなことば。

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2 件のコメント

    • >まお

      そこは「封神演儀」を思い出してよ!
      あの漫画貸してくれたのもまおくんじゃないか。

      やたらめったらデカい足はポップだし、何よりおれの足もデカい(28.5cm)。
      通常よりもデカいサイズはポップになる(気がする)

      うん。でもね手足長く描き過ぎたね。
      次回はまたこれよりももう少し上手くなってます。
      何事も積み重ね。スケボーのトリックの練習のように。

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