「滝壺」

世界一周638日目(3/29)

 

 

みんなが

テントから出て来たのは8時過ぎだった。

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昨日の就寝時間が21時。

ということは11時間も僕たちは眠っていたことになる

川で遊んだり、長い距離を歩いてきたんだ。
みんなぐっすり眠れたことだろう。

 

 

ここは南アフリカ、ケープタウンから
車で二時間ほどの距離にあるキャンプサイト。

 

 

 

 

 

大きな樫の木を見て、エリオットは
「これはもとからここに生えていたものじゃないな」と言った。

言われてみれば、周りには樫の木なんて生えていなかったからだ。
きっとキャンプ用にここに植えられたものなのだろう。

朝食はオートミールにバナナとハチミツを混ぜたものだった。
オートミールをイギリスでは「ポレッジ」と言うらしい。

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僕は会話の中でどうしても「オートミール」と言ってしまった。

エリオットはあまりにも僕が間違えるので、
「次にオートミールって言ったらここに置いていくからな」
と冗談を言った。

だって仕方ないじゃないか。
大好きなthe HIATUSの”Deerhound”っていう曲で
オートミールが出てくるんだから。

余談だけど、作詞作曲をしている細美さんは
アメリカで暮らしていた時もあるようだが、
一度もオートミールを食べたことがないとラジオで言っていた。

なんだかフツーに食べる分には美味しくないらしい。

 

 

オートミールの作り方は至って簡単。
湧かしたお湯(適量)にオートミールの”素”をぶち込むだけ。

原料は何か分からないが
(調べると「燕麦」ってのが出てくる。なんだそれ?)
穀物っぽいものが混じっている。

それが、お湯を加えるとおかゆのようになるのだが、
おかゆと違うところはオートミールには粘り気があるということだ。

それに味があまりにも淡白で、何かを加えないと食べられたものではない。

だからバナナとハチミツの組み合わせがなければ
美味しいとは思わなかっただろう。

 

 

オートミール、じゃなかったポレッジを食べ終わると、
使った容器に水を少し入れて手でへばりついたオートミールを落とした。

あんなに粘り気のあるオートミールも水と手で簡単に落とすことができた。

手ってなんでもできるんだよな。インドだとカトラリーだもんな。

 

 

 

 

 

 

 

朝食を

済ませると僕たちは出発した。

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目的地はここから先に進んだ場所にある滝だった。

またロールプレイング・ゲームのように
バックパックを背負った僕たちは列になった。

先頭は相変わらず足の速い
(っていうか歩幅が一番ある)エリオットだった。

 

 

樫の木のすぐ近くを流れる川でペットボトルに水を補給した。

こんな山の中を流れる川なので、飲料水として飲むことができるのだ。

昨日泳いだ場所でくんだ水はいくらか草の匂いがしたが、
ここの川は上流に近いのだろう。美味しい天然水だった。

 

 

 

 

今日もトゲトゲ草の林を抜け、ゴツゴツした岩場を通り抜けた。

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昨日よりも今日はさらに歩きやすくなっている。

体が長い距離を歩くことに慣れてきたんだと思う。
カナダ前にいい準備なる♪

 

 

 

 

 

 

 

目当ての滝は一時間ほど歩いた場所にあった。

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滝が見えて来た瞬間、僕たちは思わず声を上げた。

四方を岩肌に囲まれ、
まるで映画の中にでも出てきそうな秘密の場所だった。

滝のある場所まで降りて行くのは大変だったが、
滝を目の当たりにした時は息をのんだ。

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岩陰に荷物を置くと、みんなは焦るように水着に着替えた。
エリオットはもちろん

全裸だった。

彼を見ていると「ヒッピー」という言葉がすぐに浮かんでくる。

うん。きっとヒッピー全盛期の時代にタイムスリップしたとしても、
彼ならすんなりと馴染むことができるなんじゃないかと思う。

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滝の前は底の深い湖のようになっていた。

やはりこちらも水温はとても冷たい。
最初は凍えるような気持なのだが、体を動かすと徐々に水温に慣れていく。

3m以上あらう大きな岩肌から飛び込みを決めたときはかなり壮快だった。

あれ、一瞬時間止まるよね。

マサトさんに写真を撮ってもらったんだけど、
写真のデータもらうの忘れちゃったな。

「あぁ、おれ、なんてボディバランスが悪いんだ」

って自分の姿を見て落ち込んだから、あれはいいかな?

いや、うん。服のサイズ選びって重要だよね。サイジングってーの。

 

 

 

 

僕は滝壺に泳いで行ってみることにした。

ガクくんは岩の上で体を焼いており、
エリオットは岩の間の水たまりにいた魚を捕ることに夢中になり、
マサトさんは一ガンレフを片手に写真を撮り、
マユさんはそんな二人を眺めていた。

 

 

滝壺までは足場はなかった。

最初は平泳ぎで向かっていたのだが、疲れてしまい、
背泳ぎでゆっくりと滝壺に向かう。

滝壺の下の方は岩が陰を作っており、水温は一気に下がった。

「ドドドドドーーーーッッッ…」

という音と共に飛沫が顔にかかる。

 

 

僕はそれに対して恐怖心さえ覚えた。

足の届かない深い水場。もし溺れたら誰も助けてくれない。

何かこの滝壺に潜んでいるんじゃないかと、
いもしない”何か”が怖くなって僕は背泳ぎで引き返した。

足の届く浅瀬までやって来ると、
僕は太陽によって温められた岩場の上にへたれこんだ。

重力の感覚が分からない。トリップってこういうことなんじゃないか?

耳に入った水が抜けなかったせいもあるかもしれない。

 

 

 

 

 

しばらく休むと僕は用が足したくなった。

 

 

「大」の方だ。

 

 

ちなみにキャンプでは野糞は当然。

エリオットは昨日ハイキングを始める前に
岩場の奥の方で済ませていたし、マサトさんもガクくんも
今朝方そこら辺にかましてきた。

 

 

僕はー、

 

 

 

僕はウォシュレットがないと
用が足せない子供だった。

 

 

それもこれも小さな頃からおつき合いしていた

「痔」のせいだった。

いや、今はね、手術したからもうないんですけどね。
あれは酷かった…。

 

 

枕が変わると眠れない人がいるように、
トイレが変わるとウンコができない少年だったのだ。

6日間とかヨユーだったな。スキーキャンプとかの笑。

だが、それも徐々になれてきた。
今の僕には携帯ウォシュレットと言う名の秘密兵器がある。

それがなかったら、トイレットペーパーを濡らして
簡易的なウォレットティシュを作る技も編み出した!

 

 

さすがに滝壺や川にウンコをすることはできない。
僕は携帯ウォシュレットに川の水を補給し、場所探しへ繰り出した。

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これは到着した時の写真だね。ウンコするとこねーっしょ。

 

 

 

だが、滝壺周辺には適度な茂みはなかった。
もう一度岩山を登らなければいけなかった。

僕が半ケツ状態でウロウロしていると、
みんなが僕の方に注目しだした。

マサトさんに至っては

一眼レフで
シャッターチャンスを
狙っているくらいだった。

きっと日頃僕がちょくちょくマサトさんが半目になって眠ること
からかっているので、その仕返しなんだと思う。

 

 

そして僕は羞恥プレイのなんたるかを理解できたような気がした。

うん。

その恥ずかしさの向こう側に快感がーー..

 

って

 

 

 

 

出るわけねえだろうが。

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僕は諦めた。

体が「ストップ」をかけた。精神力が体に勝ったのだ。

 

 

 

昼食のサンドイッチもいただき、

今日の最後は男全員で全裸でダイブ!

けっこういい写真だったんだぜ?
特にガクくんの隠し方が神がかっていたなぁ。
君にも見せてあげたかったよ。あー、残念。

 

 

 

 

 

 

 

 

14時には

滝のある場所から引き上げた。

 

帰りの急な岩場もなかなかに大変だった。

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ルートは途中で別のルートになった。

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最初は山を登る様なルートで、
みんなは汗をかきしんどそうに山を登った。

僕はちょっとしたクライマーズ・ハイになっており、
途中まで飛ばして歩いた。

山を越えると、後は平地が続き、僕はモンゴルの草原を思い出した。

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先頭は相変わらずエリオットで僕はそれに続いた。

 

 

「ねぇ、血尿って出たことある?」

僕は冗談めかして訊いてみた。

 

 

こんなに長い距離をバックパックを背負って歩いていたことが原因で、
旅中に一度血尿を出したことがあったからだ。

 

 

「いや、その話はしたくない。考えたくないんだ」

急に深刻な顔つきになるエリオット。
どうやら思い出したくない過去があるようだった。

うん。血尿ね…。仕事のストレスだろうか?

 

 

 

途中エリオットはカメラを撮ることに夢中になり、
僕たちは日本語でペチャクチャお喋りしながら歩いた。

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そうしていると
あっという間にスタート地点に戻って来ていた。

ちょうど日の沈む18時だった。

風が強くなり、日が沈み切ると
汗で湿ったTシャツのせいで体がひんやりした。

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帰りの

車の中では僕はマサトさんとガクくんを寝かせないように、
色々と話題をふり続けいた。

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日本語でずーーーっと喋っている僕たちに
エリオットが「なぁ、アイツら何を話しているんだ?」
とマユさんに訊ねる。

時々「ジーザス!」と小声で呟くのが聞こえた。

そうだよな。運転している後ろでよくわかんねー言語で
ぺちゃくちゃ喋られたら「うっせ!」ってなるもんな。

 

 

それでも僕は喋り続けた。

っていうか、人の話が面白かった。

 

 

最初は映画の話だった。

ガクくんはなかなかに映画を観ていたので、
面白そうな映画を訊きだすことができた。

反対にマサトさんはあまり映画を観ないようで
つまらなそうにしていた。

 

 

山を下ると、今度はガクくんが
日本の与那国島で出会ったテツさんという強烈な方が営む
小さな食堂のオーナーの話をした。

ガクくんも佐賀県以外の46都道府県を旅したことがあるという
面白いヤツだけどね。あー。日本の旅したいな。

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なんか一人ポーズが決まってます。

 

 

 

トークの最後の方で話していたのは

「ファースト・インプレッショッン(第一印象)

の話だった。

 

 

そこで友達がどうのとか人付き合いがどうのとか、
まぁ、僕とガクくんはどこかひねくれたところがあったので、
話が弾んだのだが、

マサトさんの口から出て来たのは、サラリーマン時代に

 

 

100万円を貸してもいい人リスト

 

 

を作ったことがあるという話だった。

返済とか信用とかそういうの度外視で、
その人が困った時に「サっと」その人に100万円を貸せるか?
というマサトさんの基準でリストが作られるらしいのだ。

マサトさんは

「100万円貸せる人を増やしたいと思っていた」

と言っていた。

 

 

ここでの100万円というのはただの数字でしかない。

サラリーマン時代の金銭感覚が繁栄されているが、ここで大事なのは、

「心からその人を助けたいと思えるか?」

ということだと思う。

自分なりにその人のことをきちんと理解し、尊敬し、
好きになれないとこのリストには加わらない。

「リストの名前を増やしたい」というのは、
つまり「できるだけ沢山の人たちを愛したい」ということなのだと思う。
広い意味でのLOVEね。

 

 

このような考え方をする人だからこそ、
マサトさんの周りには人が集まるんじゃないかと僕は思った。

そうだ。だからだ。だからこんなにマサトさんは人に慕われるのだ。

ブログの読者さんたちはもちろんのこと、サハラマラソンでも力を貸してくれる方々がいて、ナイロビのツアーなんか11人もいたと言う。

単なる偶然、ラッキーなのかもしれない。

だが、これこそがマサトさんの持つ人徳なんだと思う。

 

 

「いやぁ、
僕はリストに名前増やさなくてもいいですけどね。
そんな多くの人を理解できないし。
相方がいればいいですね?」

そうガクくんが言った。僕もその考えに同感だった。

 

 

「友達100人できるかな?」

という小学校の時に唄わされた歌があるが、
僕は100人も友達がいたら、ないがしろにしてしまうヤツも
出てくるんじゃないかと思っているからだ。

どこからどこまでが「友達」なのか考えたことがある。
言葉に惑わされ過ぎなのかもしれない。

歳を重ねてから出した答えは、そんなに沢山の友達はいらない。

好きな人がいてくれればいい。
それに今の僕には相棒がいるってことだ。
もう100万円もないけどね(笑)

 

 

 

 

 

今日は日曜日ということもあり、夕飯も作る時間もなかったので、
ピザを夕飯に食べた。

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グリズリー・マン」というアラスカで
熊に喰われた男(とそのガールフレンド)のドキュメンタリー映画の話が
僕を怯えさせた。

そんな僕にガクくんは別れ際に
「カナダの旅で熊に喰われないようにね!」
と恐ろしい言葉を投げかけて来た。

 

 

 

部屋に着くと、みんなあっという間に眠ってしまった。

この日は寝苦しかったのを覚えている。

そろそろ南アフリカの旅も終わりだ。

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みんな「日本に帰ったらキャンプする!」って言ってました♪

僕もキャンプの楽しさを感じられた二日間でした。
連れて行ってくださったマユさんとエリオットにはほんとうに感謝しています。

後ろでずっと日本語で喋っててごめんね!エリオット!

 
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2 件のコメント

  • 人の人に対する許容できる範囲は、考え方や心がけ次第で 広がっていけると思います〜〜
    ( ̄▽ ̄)
    そうすると友達が自然に増えるかも知れませんね

    • >そらさん

      お久しぶりです。
      返信できなくってごめんなさい。
      また「体臭キャラ」に戻りつつあります!

      今回の友達談義はなかなかに面白かったです。
      人それぞれに人とどうつき合って行くかってありますよね。
      僕は沢山のひとたちと仲良くするキャパシティがないので
      まぁ、友達がわんさかいなくてもいいと思ってます。
      基本フラフラ1人でどっか行っちゃうようなヤツなので。

      でも、旅先で会った人たちって
      どうしてだか「友達」って感じがするんですよね。
      不思議です。

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