「キャンプに行こう!」

世界一周637日目(3/28)

 

 

あまりにも

ガクくんが軽装だったので、僕は驚いた。

 

 

「でも一泊二日ならこのくらいでいいっしょー?」

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荷物の約半分はカメラが占めている。
ノースフェイスのサブバッグには着替えくらいしか
入っていないようだ。

それでも、一度ガクくんの泊まっている宿、
キャット・アンド・ムースに立ち寄って銀マットは持って来ていた。

寝袋は持っていないらしい。
テントはマサトさんが別の旅行者からもらった小さなテントに
寝かせてもらうのだとか。

服装もザンビアで買ったという柄物の半袖のボタンシャツ、
その下にタンクトップ。
ハーフパンツに、ティンバーランドのブーツといった格好。

頭もドレッドヘアなので、もう漫画に出てきそうな格好だった。

マユさんとエリオットの荷物もかなり軽量化されたものだったが、
ガクくんの荷物がダントツで軽い。

 

 

 

 

 

6時になると僕たちは
車に乗ってケープタウンの街を離れた。

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エリオットが運転しているフィアットは
今はもう彼のものではない。

4日後に始まるアフリカ縦断の旅のために、
この車は友達に売ってしまったということだった。

 

 

郊外に出ると、ハイウェイがずっと続いているだけだった。

もちろん道路はちゃんとコンクリートで舗装されたもので、
道路の脇には広大な耕作地も見えた。

街の外というのはどこの国も同じなのかもしれない。

といよりも、地球上の上には人間が繁栄しているように見えるけど、
地球の面積のほとんどを支配しているわけではないことがよくわかる。

人は都市に集まるけれど、その外では人々が自然に寄り添う様な形で
比較的静かで慎ましい暮らしを送っているように感じられる。

 

 

 

 

 

街からすぐ出た場所のガソリンスタンドにある売店で朝食をとった。

車の後部を開けて、エリオットがみんなにクッキーを配布する。
なんだか遠足の引率に来ている先生みたいだなと僕は思った。

こういう風に自分の好きな時ではなく、
みんなと同じタイミングで食べるお菓子にはどこかありがたみを感じるし、
いつも以上に美味しく感じるのはなぜだろう?

 

 

車の中では、Fela Kutiやエリオットとマユさんの
好きそうな曲がかかっていた。

僕は窓際の席で景色を眺めていた。

マユさんが持って来ていた、
結婚式の招待状代わりのCDのジャケットには
楽しそうにしている二人の写真がコラージュされていた。

それらの写真はほんの数年前に撮られたものなのに、
写真の中の二人はかなりチャラく若々しく見えた。
それに対しては後部座席の三人は同意見だった。

 

 

 

 

一時間も走ると、僕の隣りに座っている二人は船を漕ぎ始めた。

うつらうつらと頭が揺れ、瞼が「ふっと」閉じる。
そして2秒か3秒してすぐに目が開く。

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正直言うと僕も眠かった。

だが、ヒッチハイクを始めた時から

「極力ドライバーさんにつき合って起きている」

というのが僕の一貫したルールだった。

窓を開けて風を取り入れたり、伸びをしてりして、
僕は眠らないように努めていたのだが、
結局は目的地に着く30分前くらいにブラックアウトを迎えてしまった。
ごめんね、エリオット。

 

 

 

 

 

 

 

キャンプ地

は山の上にあった。

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ガードレールもないような山道だったので、
車は速度を落としてゆっくりと登っていった。

途中でクラッチの調子が悪くなってしまって一度外に出たのだが、
そこから見えたのは別の惑星のような景色だった。

どこまでも続く平坦な大地に、存在感の山がドンとそびえ立っている。

そういった壮大な景色を目の当たりにすると、
『果たして今見ているのは現実なのか?』と思ってしまう時がある。
旅ってそんなのばっかだ。

 

 

 

 

キャンプ地の周りは岩場と木々や草むらが混じったような場所だったが、
その一部は黒っぽい色をしていた。

つい先日火事があったと言うのだ。

しかも人為的なものではなく、自然に起こった山火事らしい。

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オフィスには誰もいなかった。

 

 

「あぁ、6時間かけて20km歩きたかったなぁ。
でもスタッフがいないんじゃ残念だなぁ」

ガクくんが残念そうに言う。

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マユさんの話によると、
ここから今日キャンプをする予定の場所までは
歩いて6時間もかかるというのだ。

ずっと歩きっぱなしなんてことはないだろうが、
アウトドア初心者の僕たちには「6時間」という数字は
かなりプレッシャーだった。

オフィスについていたトランシーバーで連絡を取ると、
すぐにスタッフは来るまでオフィスにまで来てくれた。

入場料160ランド(1,600yen)を支払って、
僕たちはキャンプ地に向かって歩き始めた。

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目的地まで歩き続ければ3時間ほどで着くらしい。

ほっと胸を撫で下ろす。

 

 

 

そうしてハイキングは始まった。

そこまで早いペースではない。

僕のバックパックはテントも持って来ていたので、
10kg以上はあったと思う。

だが、背負ってしまえば、そこまで重さは変わらないものだ。
これなら3時間歩くのは容易いように思えた。

 

 

途中に見つけたアスレチックのような場所でエリオットは
驚異的なバランス力を見せた。

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エリオットを見ていると、僕たちでも簡単にできそうに思えてくるが、
実際にやってみると難しい。
片足を乗せただけで縄がグラグラしてしまうのだ。
僕たち三人はほとんど縄の上を歩くことができなかった。

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野原を抜けると、すぐに足場がデコボコした岩場に入った。

僕は前を行く人の足を見て、どこに足を運べば良いのかに集中する。

エリオットに「歩く時はどこを見ているのか?」と訊ねると、
「上と下を交互に見る感じ」と答えてくれた。

周りの景色も楽しむくらいの慣れが必要なんだと思う。

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歩いていて思ったことは、
南アフリカにこんな場所があったのかということだった。

今こうして自分がこんな場所を
バックパックを背負って歩いているだなんて、
冷静に考えてみればありえない話だった。

もともと僕は1人でお金のかからないように
プラプラ旅をするのがスタイルだったのだ。

最後尾を歩きみんなの後ろ姿を見ていると、
雑誌にでも使われそうな絵になっていた。

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実はこのポーズお願いしてやってもらってます。

 

 

 

 

最初の川で僕たちは昼食休憩を取ることにした。

バックパックを岩場に降ろすと、
まっさきにエリオットが服を脱ぎ始める。

そして何も身に付けることもなく、ジャジャブと川に入っていく。
石鹸やシャンプーは使わずに顔や頭をシャカシャカと洗い、
シャワーでも浴びているかのように脇も洗う。
まるで銭湯にでも来ているみたいだった。

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エリオット以外は全員水着に着替えた。

というか、全裸で泳ぐことに対して、我々は抵抗があったのだ。
そんなオープンじゃないのだ。日本人男子は。

 

 

水温はかなり冷たかった。

僕はそろりそろりと中に入り、
「さっむっっっ!!!」と悲鳴を上げるとエリオットは爆笑していた。

僕は冬に生まれたが、寒がりなのだ。

泳いだ場所は底の浅いプールのような場所だった。
「浸かっていた」と言ったほうがいいかもしれない。

 

 

誰かが「みんな全裸で写真撮ろうよ!」と提案したので、
男四人で岩の上に座り、それをマユさんが写真に収めた。

僕はiPhoneを私そびれてしまったので、残念ながらその時の写真はない。

泳ぎ終わった後は、各々割り降った食材や
道具をバックパックの中から出し、昼食をとった。

 

 

エリオットがアボガドやトマト、チーズをカットしていき、
それをパンに乗せたものをマユさんがみんなに配ってくれた。

「イタダキマ~ス!」と日本語で声を出してパンにかぶりついた。

やはり外で食べるご飯は美味しい。みんなで食べればなおさらだ♪

1時間ほど川で遊んだ後に、僕たちはハイキングを再開した。

先ほどと同じ様な荒れ地を進んで行った。

 

 

 

 

そして20分もしないでまた次の川を発見した。

今度はさいほどのよりも泳ぎごたえのありそうな場所だった。

 

 

「川を見つけたら泳ぐ!」

というのがエリオットのルールのようだった。

今度はハーフパンツ一枚になり、川に飛び込んだ。

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せいぜい3mもないような場所だったが、
自分の身長より高い場所から川に飛び込むなんて僕にとっては
初めての経験だった。

『そこが浅かったらどうしよう?』
なんてネガティヴなイメージがつきまとうが、
一度飛び込んでしまえば、その爽快感が病みつきになる。
三回ほど飛び込んで川遊びを楽しんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

いい加減

先に進まないと今日のキャンプ地まで間に合わないぞ、
とうことで僕たちは川に別れを告げて先を進むことにした。

ここには葉の尖った草が茂っており、
ハーフパンツを穿いているマサトさんやガクくんの足は
擦り傷だらけになっていたようだった。

 

 

辺りを見渡してみると奇妙な形をした岩が
ゴロゴロと転がっていた。

世界中には様々な奇岩がある。
思い出すのは世界遺産にも登録されている「ハンピ」がそうだ。

ああいった観光地に意外にも面白い形をした岩はあるのだ。

当然と言えば当然のことなんだけど、その再確認が新鮮に感じられた。

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16時頃に再び川を発見した

ここでもエリオット・ルールが発動した。

たぶんその場にいた日本人男子三人が

『マジかよ?!!』

と思ったと思う。

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だが、気持よさそうに泳いでいるエリオットの姿を見ていると
僕も泳ぎたくなってきた。

上半身裸になり、水着代わりのハーフパンツとサンダルで川に入った。

水温はひんやりと冷たい。

ただ川で泳ぐ。それだけなのに、楽しいのは不思議だ。

キャンパーたちはいろんな遊びを知っているような気がする。

 

 

エリオットが川を泳ぐ時間はほんとうに早かった。

沐浴でもしているくらいの時間の短さだった。どの川でも汗を洗い流し、
お風呂でやるように脇の下をシャカシャカとこする。

僕がそのことをマユさんに言うと

「エリオットは川全てを風呂のようなものだと思っているから」

と言った。

風呂て…。

 

 

 

 

 

再び歩きだすと、浅い川を渡らなければならない箇所があった。

先頭のエリオットは靴を脱いで裸足になり先を歩いたが、
川には幅15cmの長い鉄骨が橋代わりに横たわっていた。

僕はサンダル履きだったので、
みんなの支えになって川渡しをサポートした。

 

 

「シミくんが人生史上一番輝いている場所」

と誰かが揶揄した。

 

 

そこから会話が派生し、

「今まで生きてきた中で
どこが一番自分が輝いてきたシーンだったか?」

という話になった。

僕は高校生の時のハンドボールの公式試合を思い出したが、
あれが自分の人生で最も輝いていた瞬間だなんて思うと、
自分の人生がなんて味気ないものなんだと思わずにいられなかった。

瞬間とは言わないまでも、僕は今こうして自分の夢を叶えている

「今」が一番好きだと思った。

それでいいのだ。

自分の絶頂期を今決めてしまうだなんてもったいないぜ。
いつまでも輝いていたい。そう思うことが大切なんだと思う。

 

 

 

 

 

キャンプをする場所に着いたのは18時前だった。

近くのバンガローから水をもらって来て、
テントを立てた後は夕飯を作ることになった。

 

 

マユさんが以前

「キャンプするとその人がどんな人か見えてくるよね」

と言っていた。

テントを立てるにしても、手伝ってくれる人もいれば、
立てられたテントで当然のように寝るヤツもいるそうだ。

自分もかつては後者だった。
てかテントの立て方なんてわかんねーし。

 

 

 

それが今では不思議なもんだ。

徐々にキャンプの魅力みたいなのが分かって来た気がする。

iPhoneのトーチを頼りに手元を照らし、野菜を刻み、
エリオットがガソリンを利用した小型のバーナーに火をつける。

お湯を沸かしてパスタを茹で、刻んだ野菜にツナ缶やチーズを加えて行く。

 

 

 

完成したパスタも言うまでもなく美味しかった。

マサトさんが持って来た
インスタントの味噌汁もじんわり胃に染み込む。

あぁ、日本の味ってこんなに優しかったんだな、
また当たり前だったことを思い出す。

 

 

 

 

 

眠りについたのは21時だった。

周りには電灯はひとつもない。

空には天の川が見え、月明かりが辺りを照らしてくれた。

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キャンプ楽しいっすよね。

てか、うん。そうだな。
やっぱりアプローチの仕方だったのかな?

旅の延長線上にキャンプもあるって思うと、活動の幅も広がるし、
今まで興味のなかったことも知りたくなるもんです。

 
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2 件のコメント

  • シミ君今日は~、タイは今丁度お正月です、4/13~15日の間がソンクラーンと言い
    無礼講の水掛祭りで、1年で1番暑い時期で、軽く40℃を超えます。(汗)
    タイは今年は2558年なんですよ、不思議な国ですね。(笑)

    • >JOSANさん

      ソンクラーーーン!
      あれいいですよね!あの映像をYouTubeで見ていると僕も参加したくなります♪

      え???今お正月なんですか??!!
      それも2558年?!

      しかも40℃とか信じられません。
      こっちは寒くって…。
      フリース着てブランケットまとってます。

      地球も不思議です。

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