「バスターミナルは24時間営業」

世界一周658日目(4/18)

 

 

5時半に

起きてテキパキと荷物をまとめた。

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Googleマップはここからバスターミナルまで
一時間半もかからないと言っているが、
通勤ラッシュと重なる可能性も考慮に入れた。

二時間にプラス一時間。
これなら乗り遅れっこないだろう。

えっと出発時刻は9時55分だったっけかな?

 

 

 

ここはアメリカ、ニューヨーク、JFK国際空港

ニューヨークを脱出する時がついに来た。

ここからいよいよ僕のオン・ザ・ロードが始まるのだ。

 

 

エア・トレインの車内で僕は念のためeチケットを確認した。

 

 

 

「あれ…???

これよく見たら
先にArrival(到着予定時刻)って書いてあんじゃん、

 

あ…」

 

 

 

 

 

バス、
乗り過ごした。

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もう嫌だ!

なんでったって、先にアライバルって書いてあるんだよ?
フツーに考えて「出発時刻☞到着時刻」の順だろ!

おかしいだろっっっぅおうおう!

 

 

出発時刻が6:15って、15分前にバスが出発してるじゃないの。

もう完璧にアウトですねー。

 

 

昨日ネットでチケットを購入した際に
もちろん時刻も確認したのだが、
どういうわけか頭の中ではDepartureとArrivalが反対に記憶されていた。

エア・トレインの車窓から見える朝焼けがやけに綺麗に見えた。

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僕はこのままバスターミナルまで行って
チケットの表記の仕方が悪いだのなんだの言って抗議して、
別の日に振り替えてもらうか、返金してもらおうかと考えたのだが、

 

 

これが日本だったらどうだろうか?

 

 

きっとそれらのモクロミは実現しないだろう。

「あんた寝坊したんでしょ?」

みたいに言われたらアウトだ。

う、うん。これは自分が悪いんだ。

いや、違うよ。これはしょうがないよ。
チケットを買い直そう。

 

 

たまたまカンボジアでお会いしたウエダ兄さんが
同じようにして日本で飛行機を乗り過ごしたという投稿をしていたので、
僕はかなり共感が持てた。

乗り過ごすだなんてこの旅でほとんどなかったのに。
ちゃんと起きたのに…。

 

 

 

 

 

 

 

なんとか

テンションを元に戻し、
セントラルパーク近くの駅で降りた。

 

 

 

マクドナルドの前で黒人のおっちゃんが
黄色い給水栓に腰掛けていた。

帽子を手に小銭を要求する仕草をしているように見えたので、
僕はバックポケットに入れてある小銭を取ろうと
ジーンズのバックポケットに手を突っ込んだのだ。

二三歩おっちゃんに近づいて分かったのだが、
おっちゃんはホームレスでも何でもなかった。

だが、このままモーションを格ゲーのように
キャンセルできなかった僕が言った一言は

「タバコ売ってくんない?」

だった。

 

 

おっちゃんは「そんなのタダでいいよ」と
快く一本僕にわけてくれた。マルボロだ。

僕はお礼を言って、
おっちゃんのライターでタバコに火をつけてもらった。

久しぶりに吸う煙草はちょっとだけ美味しく感じた。

嫌なことがあるとため息をつく。
リラックするする時にふっと息をつく。

あの「吸って☞吐いて」という動作のタイミングだったり、
吸い込む空気の量だったりは、一種の呼吸法なのかもしれない。

タバコはそれに味がついたものだ。たぶん。

 

 

おっちゃんと僕がマクドナルドの前でタバコを吹かしていると、
別の黒人のお兄さんがやってて
「ようおれにもタバコ売ってくれないか?」
と一ドル札を差し出した。

おっちゃんは「もちろんだとも」と言って
最後の一本をお兄さんに渡した。

「あはは。なんだかタバコ屋みたいになっちゃったね」
と僕はそう言った。

 

 

僕はメトロカードに
残り乗車一回分の金額が残っているのを思い出した。

「たぶんあと一回乗れると思う」
そう言ってタバコのお礼におっちゃんに
メトロカードをプレゼントした。

 

 

不思議なことに、アフリカを旅してから
黒人に対する偏見が多少なりともぬぐい去れていた。

あの土地を旅して感じたことは人間は
どこへ行っても人間だということだし。

自分たちが感じる喜びや悲しみは
人種なんて関係ないってことだった。

 

 

日本にいたころ、旅に出てまだ間もない頃は
「黒人」とカテゴライズされる人々に対して、
恐れのようなものを抱いていた。

あのクリンクリンの頭だったり、
特有のオーバーサイズの服装だったりだ。

もちろん、世界には差別があって、
それは職だったり治安、教育に影響を及ぼしているのだと思う。

僕は聖者でもないので、大それたことはできない。

ここで書きたいのは、以前よりもフラットに
彼らと接することができるようになったと言うことだ。

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一服を済ませた僕はそのままマクドナルドに直行し、
朝のコーヒーにありついた。

二階の席で通りを見下ろしながら
今日は丸一日漫画でも描こうかな?と思ったが、

しばらくすると僕の直感

 

 

「バスキングするなら今!」

と言っていた。

 

 

 

僕はその直感に従って見ることにした。

荷物をまとめてセントラルパークまで歩いて行き、
昨日バスキングできなかった場所へと向かった。

すでに公園内にはアホほどの人が一心不乱にランニングを興じており、
天気がいい分、昨日よりも沢山の人々がいた。

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それに乗じてパフォーマーが何組もいた。

僕が目をつけていた場所の近くでは
ドラムマーをたずさえたダンスユニットがパフォーマンスをしており、
バスキングさえできないような状況だった。

音の反響する通路には既に別のバスカーがスタンバイしていたが、
このまま外のダンスユニットのパフォーマンスが終わるのを待っていても
埒が空かないだろう。

 

 

僕はギターを取り出し、似顔絵師を装う体でバスキングを始めた。

思っていたよりも音が響くため、唄えなくもなかった。
僕はそのまま歌を唄い始めたのだが、
3曲目くらいで隣りのヤツが僕に声をかけてきた。

細身のストリート系のファッションの帽子を被った黒人のお兄さんだった。
ちょい爽やか系。

 

 

「やぁ。おれはエイブラヒム!
悪いけど、このあとおれらがここで唄うんだ。
だからー…分かるだろう?」

「は、はぁ。おれもここでやりたいんだけど、
何時に終る?」

「ああ。15時かな?」

「えっと、今何時だっけ?」

「10時半」

「えっと、5時間やるってこと?」

「そうだ。あ、ちなみにおれたちの後も
別のヤツがここでやる予定だから☆」

 

 

 

 

 

 

 

アホか!いや、お前らはアホだ!!!

好きなだけ唄ってろ!おれは帰る!

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僕はソッコーでヤル気を失くした。

ていうか、自分もバスキングしてみて
如何に金丸文武さんがすごいかが分かった。

確かに活気のある街ではバスカーがおり、
場所取りは早い者勝ちのようになっている。

そんな中でコンスタントに旅費を稼ぎ、
世界一周を成し遂げてしまった金丸さんが
どれほどすごいかが身にしみて分かった。

 

 

同時に自分はそうなる必要がないこともよく分かった。

だって、おれは漫画家だろう?
こんなとこでミュージシャンの真似ごとなんて
しなくてもいいんだよ。

描こ描こ。

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シナモンロールで糖分を摂取すると、
そのままマンハッタンの西側のエリアで
ローカルなマクドナルドでコーヒーを一杯だけ注文し、
ずっと絵を描いていた。おかげでかなりはかどった。

考え方を変えれば、きっとさっきのお兄さんは
僕に漫画を描かせるためにあそこにいたのだと思う。謝謝。

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日も暮れると、
歩いてグレイ・ハウンドのオフィスがあるバスターミナルまで向かった。

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なんとバスターミナルは24時間開いていたことが
この時に分かった。

それなら二日前もここで夜を明かして、
そのまま早朝に出ればよかったじゃないか!

出発するのであればここで空港泊なんてする必要は
どこにもなかったのだ。

 

 

 

紙のチケットを入手すると、
近くで1ドルピザを2枚と60セントちょっとの
ドーナッツを二個食べて胃を満たした。

思えばカナダに入ってからロクなものを食べていない。

今日は一体何杯コーヒーを飲んだだろうか?
そしてヘルシーな食事を一切取っていない。

体は大丈夫だけど、都市型キャンプ生活を
一つの都市で長く続けて行くには、何か工夫が必要なのだと思う。

 

 

 

バスターミナルで夜を明かす人は僕以外にも大勢いた。

そりゃそうだよね。朝6時に出発だなんて、
早起きするよりここで待った方がいいに決まっている。

 

 

中には段ボール持参で
待合スペースのフロアに寝る人までいたくらいだ。

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この後ここは雑魚寝スペースと化すのです。

 

 

 

僕もそれにならって、荷物を紐で固定した後、
銀マットを敷いたが、床はなかなかに冷えていたため、
眠りは浅かった。

 

 

さあ、今度こそニーューヨーク脱出だ!

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バスターミナルでぽっちゃりした女のコが僕に何かをまくしたてる。

英語が早過ぎるのともう眠たいので、何言っているのかまるで分からない。

他の人が通訳してくれたのだが(英語で)
「安いお菓子の自販機なら上のフロアよ!」
と僕にアドバイスしてくれていたようだった。

何それ?てっきり怒られているのかと思ったよ。ぽっちゃり恐るべしです。

 

 

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