「頭ボヤボヤ」

世界一周703日目(6/2)

 

 

深夜一時に

夢でハッと目が覚めた

 

 

頭がボヤボヤしながらそこら辺の茂みに向かって立ちションをし、
また眠りについた。

やけに頭がボヤボヤした。

「寝ボケる」ってこういうことなのかなぁ
と思いながらまた眠りについた。

 

 

 

 

8時過ぎに川辺で目を覚まし、
テントの中で昨日買ったフレッド・マイヤーのセール品の
パンとトマトを食べたが、
まだ頭が寝ぼけているのか全く食べた気がしない。

いつものようにテントを畳んだが、
なんだか自分がほんとうにテントを片付けているのか実感がなかった。
やけに今日は頭が起きるのに時間がかかる。

 

 

 

ボヤボヤした頭を抱えて僕は歩き出した。

セブンイレブンでカフェイン強めのコーヒーと
iPhoneの充電用のUSBポートとソケットがついたブロックを買った。
5ドルちょっとで純正品ではない。
アメリカと日本のコンセントの形状は同じだ。

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コーヒーを外で飲み干したが、まだ頭は覚醒しない。

なんだか今日は調子がおかしい。

体がダルいわけじゃない。食欲も…よく分からない。

トイレ?ちょっと行っておこうかな?
尿意がよく分からない。こんなのって初めてだ。

 

 

 

なんだか頭が起動の遅いレトロなパソコンにでも
なってしまったような気分だった。

自分の体から実感が薄れてしまったような気もする。

セブンイレブンにはトイレがなかったので、
すぐ隣りのドーナツ屋に入ってドーナツをひとつ注文して
トイレを借りた。

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ドーナッツを食べても50%くらいしか味がしなかった。

「食べた」という実感が妙に感じられなかった。
食べ終わったあとも、自分がドーナッツを食べたという記憶が
しっかりしていなかった。

 

 

『これって若年生アルツハイマーとか
そんなんじゃないよな??!!』

そう考えると自分に自信がもてなくなってくる。

 

 

ボヤボヤしながら僕はヒッチハイクを始めることにした。

目的地は昨日と同じ、カリフォルニア州の始めの町
Crescent City(クレッシェント・シティ)」だ。

 

 

雨は今にも降ってきそうだった。

1kmほど歩き、車が止まれそうなスペースを見つけると
僕は親指とボードを立てた。

予想した通り雨はすぐに降って来た。
霧雨だったがすぐにレインカバーがしなびた。

雨に濡れているという実感も薄かった。
こんな天候では車も止まらなかった。

 

僕は毎回ヒッチハイクをする時には
開始時間をチェックしているのだが、
気がつけば一時間が経過していた。時間の感覚も鈍かった。

僕の体はどうにかなってしまったのだろうか?

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1時間半

を経過したころにようやく車が止まってくれた。

隣り町のBandon(バンドン)までしか行かないというが、
ヒッチハイクは最初の一台が肝心。
僕はお礼を言ってその車に乗り込んだ。

運転手のジョンと愛犬のデュークは長距離をドライブして
今から家に帰るのだと言う。

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「コイツはかなりパワーがあるが、普段は大人しいいい犬さ♪
どこへ行く時だって車に乗せてるんだ」

「それじゃあデュークはトラベリング・ドッグだね」

 

 

体と意識はマッチングしないのに、
会話はできてしまう自分が不思議だった。

ジョンは身内に不幸があったらしく、
ここへ来るまでは気を落としていたそうだが、
僕との会話で元気を取り戻したとそう言っていた。

 

 

「腹減っているかい?」

そう言ってジョンは僕にスナックの箱を開けると、
そこから一本だけ菓子を取り出し、残りを全部僕にくれた。

それだけでなく、隣町の駐車場で僕はおろしてもらう際に
「セーフ・トラベルを!」と言って僕に8ドルをくれた。
その全てが2ドル札だった。

 

 

 

 

 

 

ジョンと別れた後、少しだけ感覚が戻って来たきがした。

もしかしたら夜中に夢で起きて、
そのせいで脳みそがぎっくり腰みたいな状態に
なってしまったのかもしれない。そう僕は考えた。

 

 

バンドンは小さな観光地で、
ちっぽけなメインストリートにはいくつもの
土産物屋やカフェレストランが軒を連ねていた。

昼前の時間帯だったが通りには誰もいない。
僕はギターを取り出して歌ってみたが、いい感じに音が響き渡った。
人通りさえあればバスキングにうってつけだと思う。

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僕はまたヒッチハイクを再開することにした。

今いる場所は引き続きずオレゴン・パシフィック・ハイウェイだった。

ハイウェイと言えども車が速度を出して走っているわけではない。

バンドンはちょうど沿岸のカーブの一番急な部分に位置しており、
ここを通過する車は速度を落としてここを走り抜けて行った。
これなら車はすぐに止まってくれるだろう。

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期待に反して車はなかなか止まらなかった。

レスポンスはいい。

ニコニコしながら「頑張ってね」的な微笑みを
僕に投げかけてくれる人たち。
彼らのレスポンスもしっかりと確認できる。

 

 

それくらい車の速度は遅かったが、
それでも車は止まってくれなかった。

アメリカをヒッチハイクしてきて初めて中指を立てられたが、
まだまだ頭はボヤボヤしていたので精神的なダメージもそこまでなかった。

『あ、中指立てられた』
くらいに思った。

感情も鈍いってことか。

 

 

 

 

一時間が経過して、
僕は休憩がてら近くのガソリンスタンドで用を足した。
トイレに行きたいという感覚も鈍いままだ。

トイレを済ませると先ほどの場所に戻り、
再び親指を立てたが車は捕まらなかった。

 

 

 

ここはもしかしたらヒッチハイクに向かない場所なのかもしれない。
僕は諦めて場所を移動することにした。

バンドンの町を離れれば離れるほどヒッチハイクに適した場所から
遠ざかって行くような気がした。

車は速度を増し、車道の幅もどんどん狭まって行った。

それでも僕は歩き続けるしかなかった。

 

 

 

しばらく歩くと一台の車がUターンするようにして僕の横に並んだ。

運転席から女性が何かを言うがよく聞き取れない。
車が完全に停車してようやく、その車が僕のために
止まってくれたということが分かった。

 

 

「あなたのことさっき町で見たわよ?
乗せていってげましょうか?」

「た、助かります…」

 

 

 サンディとタフィの親子が運転する車は
数キロ先の”West Coast Game Safari“という、
動物園のような場所で僕を降ろしてくれた。

降りる際に冷えたビールを一本いただいだ。

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「ここなら車が捕まりやすいわよ!」とは言うものの、
ハイウェイ沿いに突然出現するような場所だ。
ここに誘導するようにして車をつかまえるしかなかった。

肝心の交通量はというと心もとないくらいに少なかった。
遠くの方からチャリダーがやって来て
「グッドラック」と声をかけて言った。

僕ができることは親指を立てる意外に残されていなかった。

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思っていたよりも早く車が止まる。

あれ?意外。

 

 

 

 

 

運転手のハワードさんは、
かつてはアメリカ中をヒッチハイクで旅したそうだ。

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ヒッチハイカーが受けた恩は次の世代にでも返す
といったような感じで、
ヒッチハイカーを乗せることは当然の義務のように
考えているようにも思えた。

ドライブをしながら1930年代の旅を題材にした歌を唄った
フォーク・シンガー、ウッディ・ガスリーや
その他にもオススメの小説なんかを教えてくれた。
僕は忘れないようにiPhoneのメモに描き残した。

 

 

「私の時代にはそんな便利なものなかったけどね」

「まぁ、なかったらなかったで
僕もメモ帳に書くと思いますよ?」

 

 

こうしてかつての旅人によくしてもらうと、
僕も次のヒッチハイカーやバックパッカーに
このバトンを繋げていかなくてはなぁと思うのだ。

 

 

 

バトル・ロックというビュー・ポイントで
ようやく海が見えた。

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今朝の

天気は一転して快晴。心地よい風が吹く。

こんな綺麗な沿岸沿いを旅したくて、
僕はオレゴン・パシフィック・ハイウェイを選んだのだ。

一発で300km進めてしまうようなフリーウェイで
ヒッチハイクをしたのであれば、
このような景色に巡り会うことはできなかっただろう。

テントを広げて干した。
パンを食べながらビールを煽り、潮風に吹かれながら海を眺めた。

最高だ。こういう時に弾き語りをしたくなる。
三人家族が僕の歌をニコニコしながら聴いてくれた。

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30分ほどして、僕はヒッチハイクを再開することにした。

車の量はそこまで多くないが、
ヒッチハイクをやれないほどじゃない。
いや、やらなくちゃ進めないんだけどさ。

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ここでも一時間半ほど待っただろうか?
車が止まるスペースも不十分だった。

先ほど会ったチャリダーがやって来て、しばらく休むと、
「またどこかで会うかもね」と言ってまた僕を追い越して行った。

 

 

 

 

本日最後のドラバー、スティーヴさん
良い天気の海沿いを走るのにふさわしい男だった。

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携帯のテキストブックを販売しているらしく、
車の後部にはテキストが平積みされていた。

三度の飯よりもサーフィンが好きなのは会話から理解できた。

サーフポイントが訪れるよりも前に
「次のサーフポイントは~」といった具合に
僕に詳しく説明してくれるのだ。

 

 

娘さんが二人いるらしく、
「娘たちには『若いうちに旅に出ろ』って言ってるよ」

そういう旅に理解のある素敵なお父さんだった。

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スティーヴさんにはクレッシェンド・シティの手前の
Brookings(ブルッキングス)という町で降ろしてもらった。

地図で見る限り、あまり大きな町には思えなかったが、
実際に足を運んでみると、
旅人の需要を満たすのには十分な規模の町だった。

フレッド・マイヤーの駐車場で降ろしてもらい、
スティーヴさんは降りる際に5ドルを僕にくれた。
またまたありがとうございます。野菜食べなきゃね。

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フレッドマイヤーのトイレで洗濯物だけ済ませると、
僕はバスキングにトライしてみたのだが、
ここでもすぐにセキュリティが現れて僕を追い払った。

やはりそういうものなのだろう。
まぁ、トライするならいいっしょ。

 

 

なぜかこの町にもフレッド・マイヤーのすぐ近くに
セーフ・ウェイがあった。

どうして大型スーパー同士が隣接するのだろう?
両者の違いはなんだ?僕は首を傾げた。

 

 

セーフ・ウェイの総菜コーナーでサラダを買い、
そしてTaco Bellで1.45ドルのナチョスを食べて
充電をしながら日記を書いた。

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21時になるとタコベルを後にし、マクドナルドに梯子をした。

というのも、ここのマクドナルドにはコンセントがなかったからだ。

23時の閉店までブログを連投し、店を後にした。

マネージャーのおばさんは慌てて片付けをする僕に
「そんな急がなくてもいいからね」と優しい声をかけてくれた。
あぁ、こういうのって嬉しいなぁ。

 

 

 

外に出ると近くの工場がライトアップされ、
煙がもうもうとたちこめているのが見えた。
それがどこか幻想的に思えた。
今なら夜の工場ツアーに参加する人の気持ちが分かる。

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フリースジャケットのポケットに手を突っ込みながら
近くの河原にテントを立てた。

どういうわけだか頭はまだ冴えない。

なんだか夢の中にいるみたいだ。

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4 件のコメント

  • シミさん

    さすがにアメリカのフードばかりだと、身体に悪いんじゃないかなぁ?
    たまには味噌汁とかおぢやとか食べないとネ(^◇^)

    • >ウタさん

      味噌汁ぅぅぅぅ!!!

      いや、本当にそう!日本食ってすごいです!
      ヘルシーなのが日常的ってどういうことなんでしょう?

      最近製作活動でリアルタイムとはラグがありますが、
      ちょっくら隣りの国にタコス喰いに行ってきます!

  • どうか頭の冴えが徐々にでも戻ってきていますように!

    前夜泊まった場所で、何かエネルギー的な影響を受けられた様に
    受け取れますが、まだ今も影響をひきづっているなら、
    思いつくやり方で気分を軽くする事を試し
    (気持ちが軽くなる歌を歌ったり、楽しくなる漫画を描いたり、
    綺麗な風景に感動したり・・・)、
    もやもやエネルギーに離れて行って欲しいと伝えてみるのも
    一手かもしれないですね。。

    中には頑固なエネルギーもあるので、その場合は
    凛とした態度で対処してみて下さい。

    気分がちょっと落ち込んだりしている時は、他のエネルギーの
    影響を受けやすくなったりもするので、心への栄養もお忘れなく。

    素晴らしいアメリカの旅が続きますように!

    • >みっこさん

      大丈夫です。
      けっこう長かったんですけど、一週間以内には元に戻りました!
      一体なんだったんでしょう?

      意外と体や頭を動かすとスッキリしたことから、
      やっぱり脳みそがギックリ腰的なことになってしまった
      ように感じます。

      そのボヤボヤしていた状態を楽しんでもみたいですけどね。
      やっぱりご飯は美味しく感じる方がいいですね♪

      タイムラグがあり、もうまもなく出国なのですが、
      栄養のある物にありつけそうです♪

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