「また恋に落ちる」

世界一周741日目(7/10)

 

 

朝食が

楽しみになったのはいつからだろう?

宿でブレークファストがつく場合なんか特に。

それはきっと旅に出てからだと思う。

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実家暮らしだった僕は
家にはいつも何かしらの食糧があった。

下に弟が二人いることもあったろう。

大抵の場合はコンフレークや食パンに
チョコレートクリームなんかを塗って食べることがほとんどだった。

 

 

旅をしていると、自分の食べ物は
自分で用意しなくてはならない場合がほとんどなので
「何が出てくるか?」というワクワク感もある。

大体想像できてしまうんだけど、
その期待を良い意味で裏切られた時なんかは
その日一日のスタートを上手く切れるだろう。

 

 

一番ワクワクさせてくれる理由は
タダでメシが喰えるからだけどね☆

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Yes!! I am a poor backpacker!!

 

 

 

ここはメキシコ、サン・ミゲル・デ・アジェンデ
泊まっている宿は「アルカトラズ」というホステル。
一泊170ペソ(1,320yen)。朝食付きだが、土日はナシです。

 

 

 

 

朝食が始まる時間ぴったしにベッドを抜け出して
キッチンへと向かった。

コーヒーとトースト、スクランブルエッグ。
かなりシンプルだが、昨日買ったトマトとバナナをそえれば
豪華な朝ご飯だ。

これがあるだけでちょっとリッチな気持ちを味わえる。

 

 

僕の片手にあるのは新聞ではなくiPhoneだ。

新聞なんかなくたってWi-Fiさえあればニュースは手に入るし、
誰とでも連絡が取れるし、映画だって観れてしまう。
いや、すげーなスマートフォンって。

 

 

朝食を食べ終わると、
僕はシャツを羽織ってテーブルの上にパソコンを広げた。

日記を書こうと思ったのだが、まったく気分がノれなかった。
五行くらいかけばスラスラ出てくるはずなのに、
書く内容は分かっているのに、文章が出てこなかった。

僕は諦めて町を散歩することにした。

 

 

 

 

物を作る人は作業場所に籠る人が多い。

マサトさんなんて電子書籍を出版するために
二ヶ月以上もエッサウィラにいる。

漫画家なんてその最たる例だろう。
一日中仕事場でカンヅメ。仕事場で寝ている人もいる。

同じ場所に留まっていると、何も活力が湧かない時がある。
それをどうやって対処しているのか、僕は疑問に思う。

 

 

 

漫画を志した大学時代。
4年時には一日の半分は自由に動けたし、大学に行かない日もあった。
もちろん家に籠って漫画を描く日もあった。

卒業後の世界一周の資金を貯めるバイト時代は
午前中の空いた時間に漫画を描いていた。

アイディアに煮詰まるったり、集中力や活力が途切れてしまうと、
まったく手が進まない。そんな時があった。

机の前で粘っても無駄に時間が過ぎて行ってしまう。
気分転換にネットサーフィンをしても、やはり漫画に気持ちは向かない。

漫画家のインタビューなりTwitterなりを見ていて思うのだが、
誰にだってこういう「凪(なぎ)」のような状態があると思う。
※海の上で風がない状態のこと。

それをコントロールできるのがプロなんだと思う。
体調管理はもちろんのこと、
モチベーションのコントロールだって上手いのだろう。

 

 

 

話を戻そう。

この「凪状態」からどうやって船を進めるのか

そのひとつの解決策としてあるのが、
外へ行くこと」ではないだろうか?

有名なクラシック音楽家も歩きながらアイディアを出したと聞く。
外に出ることはかなり大事に思えるのだ。

旅そのものが移動で常に外にいる状態だから、
僕はこの二年間そこまで日本にいた時に感じた
何もする気が起きない状態を感じずにすんだのかもしれない。

 

 

矛盾するようだけど、今それを感じてるのだ。外に出よう。

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サン・ミゲル

の町は小さく、
見所的な教会も近くにかたまっているので、
僕は民家の方へと歩いて行った。

坂の上にある町をどんどんと上の方へ登って行った。

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歩きながらも頭の中では悶々と何かを考えていた。

煮詰まった人間が考えることは大抵ネガティヴなことだ。

 

 

『おれの旅はこれでいいのか?』

『日本に帰ったらどうしよう?
やっていけるのか?』

『おれはこの旅から何を学んだんだ?』

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ちょっと待てよ。

じゃあ、旅に出ないで
日本で就職した方が”よかった”っていうのか?

おいおい自分でも分かってたじゃねえか?

旅に出なかったら死ぬ時に100%後悔したろう?
それは自分でも分かっていたはずだ。

「やっていけるか?」じゃねえだろ?

「やるしかねえ」だろ。

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バカか?安定も保証もどこにもないんだ。
行動を起こして前に進み続けるしかない。
ノイズなんて気にするな。
お前にできることは「やる」ことだけなんだ。

比較優位なんてナンセンスだ。
年齢という尺度で優越を決めるな。お前の人生だろ?

所詮どうあがいたところで自分が自分であることは変わりない。

 

 

『あの時こうしていれば..』なんていう後悔はないけど、
時間をもっと有意義に使えたタイミングはあった。

おれは何を恐れているんだ?

「将来の不安」?

何をいまさら。どこまで来たと思ってんだよ?
レールやメインストリームからどれだけ離れていると思ってんの?

 

地球の裏側だぜ?
メキシコ!

 

 

不安になるのは旅の終わりが見えてきたからだろう。

この旅も一生続くわけじゃないのだ。
いずれ僕は日本に帰り、そして旅漫画に挑戦しなければならない。

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いつの間にか坂を上り切り、石畳の道がずっと続いていた。

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適当なところで切り返し、
町の外側を歩くようにして宿のある方へと戻った。

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コンビニでジュースを買いバス停の木陰でひといきつく。
歩き続けているうちにだんだんと頭がクリアになってきた。

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「バッシャッ…!!!」

「うおっ!」

 

 

上から水が降ってきた

 

 

驚いて上を見上げる。

おばちゃんが屋上の植物に水をあげていたようにも見えた。
いらなくなった水を捨てたのだろう。

 

 

「ははは。驚かせちゃってごめんね。
ちゃんと見てたから大丈夫よ」と笑顔で謝る。

その笑顔にどれだけ癒されただろう。

文字通りそれは「癒し」だった。

メキシコ人の笑顔に、僕は癒されたのだ。
心がふっと軽くなり、優しい気持ちになれた。

おばちゃんだって、ここに暮らす人たちだって、
毎日が楽しいことばかりじゃないだろう。
それでもそうやって笑っていてくれるってのはさ、

うん。救われるんだよ。

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みんないい笑顔しとる。

 

 

 

 

町の高台からは教会を取り囲む街並が見渡せた。

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同じ様な土産を売る露店が隣り合わせななり、
店の人間は暇そうにしていた。

ブーツはまだ少し足に当たった。

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急な石畳の坂道を下り、
見つけたカフェで少し高めのアメリカーノを注文した。
濃い味の美味しいコーヒーだった。

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そこでまた日記を書き、16時くらいに外に出た。

一旦宿に戻ると、ギターを持って広場へ向かった。
昨日のマリアッチの演奏団はいないようだった。

何も気負わずに歌うことができた。
人懐っこいメキシコのみんなが話しかけてきてくれる。
それが嬉しかった。

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それでもやっぱりマリアッチたちは仕事を始めた。

どこから共なく巨大な人形を引き連れた
陽気なパレードが広場を練り歩き、
僕はそのタイミングでギターをケースにしまった。

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昨日よりも町には人が多くいることに気がついた。

教会の前にはステージが組まれ、
しばらくベンチで休んでいると、ダンスが始まった。

民族衣装に身を包んだ男女のダンス。
女のコはヒラヒラした鮮やかな洋服をまとい、
男はシンプルな服装で足の長さが強調される細いパンツと
よく鳴るかかとのシューズを履いていた。

横断幕には何かの40周年のイベントだと書かれていた。

おいおい。やっぱりここに二日いて正解だったじゃねえか。

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『あ~~~~..

メキシコ好きだなぁ』

 

 

 

 

コンビニで買ったコーヒーを片手に
僕は満ち足りた気分になった。

そう思った時に気がついたのだ。

 

 

 

 

これって恋じゃないか

と。

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旅の最中に何度もこの感覚は味わってきた。

その土地を訪れる前は、そこがどんな場所か分からない。
見聞きした程度の情報だ。

ワクワク、そしてドキドキする。

実際にそこを旅してみて、その国を好きになる瞬間がある。

「あ、おれ、この国好きだ」

って。

それはその土地の食事だったり、
雑貨だったり、出会った人だったりと様々だ。

 

 

嫌いになる国なんてなかった。
たった三日しかいなかったスーダンでさえ、
バスから見える砂漠地帯は僕に旅情を与えてくれた。

世界一周ブログ「恋する咲きログ」のタイトルの意味が
ここに来てようやく分かった気がした

 

 

 

 

僕は旅に恋をしているのだ。

 

 

きっとこの先何度だって僕は旅に惚れ直すことだろう。

21時をまわり肌寒くなってくると僕は宿に引き返すことにした。
祭りは最後まで見ることはしなかった。

 

 

明日ここを出よう。まだ見ぬ町や人に会いに。

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2 件のコメント

  • シミ君日本に帰国したら、何処に住む心算ですか、両親の住む家に
    居候ですか?。

    世界ー周が終わればシミ君は親から自立して、苦労を掛けた両親を
    援助して頑張って下さい!、もう日本では野宿は出来ませんよ、マジ
    でホームレスになっちゃいます。(笑)

    • >JOSANさん

      たぶん1、2年は一人暮らしに向けて準備です。

      両親を援助出来るかなんてわかりません。
      時代は常に不安定ですからね。
      それでも「どっか二人で旅行してきてよ」くらいは
      言えるようになりたいです。
      いや、マジ感謝してます。頭が上がりません。
      でもそれが束縛になるのも違う気がする。

      それにここからです。僕がやりたいのは。
      僕は旅漫画を描きます。もっと長いやつです。
      どういう風にして描いたものを売るのかも考えなくちゃいけないし、
      漫画を描きながら別の仕事ができるのが望ましい。
      きっとすんなりいかないことだらけです。
      でもやるしかない。

      ここまで獣道みたいなのを突き進んでしまったのならば、
      眺めのいい絶景スポットにぶち当たるまで進んでみてもいいでしょう。
      それにホームレスも、一歩手前ならアリだと思ってます(笑)

  • JOSAN へ返信する コメントをキャンセル

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