「やって来ましたメキシコシティ」

世界一周744日目(7/13)

 

 

バスの乗客

は一斉に降り始めた。

 

 

運転手に「メヒコ??」と訊いた。
「メキシコ=メヒコ」なのに僕はなにを馬鹿なことを訊いているんだ?

後ろにいた女のコが「ここが終点よ」と教えてくれた。

 

 

 

どうやらメキシコ・シティに着いたらしい。深夜1時半

 

 

 

バスを降りたのは僕が一番最後だった。

バックパックを背負うと僕はターミナルの中へと入っていった。

24時間営業のターミナルは電気が灯っていたが
そこにいる人間たちには生気がないように見えた。
深夜だか明け方に出発するバスを待っていようで、
どこかぐったりしていた。

バスを乗るまえに歯磨きをしなかったので口の中が変な感じだった。
僕はひとまずバックパックを背負ったままトイレへ向かった。

ターミナルのトイレは5ペソを投入すれば
入り口のバーが回る仕組みになっている。
ひと一人がやっと通れるような幅のバーをバックパックを背負ったまま
(そしてギターを持ったまま)通り抜けるのは骨が折れた。

 

 

用を足し、鏡を見ながら歯を磨いた。

しなびたナスのような自分の顔がそこには映っていた。
口のまわりには髭がうすく生えていた。

『これでもう少し濃かったら様になるのにな』
と思いながら髭を剃った。

外に出るのにてこずっていると清掃のおばさんが手を貸してくれた。
ひとまずバックパックごとバーを回転させ、向こう側からギターを預かった。

 

 

チェコで買った中国製のギターケースは完璧に壊れていた。

ジーッパーの部分が取れ、今は洗濯バサミで留めている。
みすぼらしさに磨きがかかったのでないだろうか。

 

 

寝床を探す途中で、遅番のスタッフがふざけ合っているのが見えた。
ここはどこか安全な気がした。

見つけたのは売店と売店の微妙な隙間だった。
こんないい場所だって言うのに誰もそこでは寝ていなかった。

ふふふ。伊達に野宿してないぜ。
これなら荷物が盗られる心配なく眠ることができるだろう。

 

 

僕は荷物を細い紐で括り、それを頭の上に置くと、
マットと寝袋と空気枕を出してそれを広げた。
誰も僕を注意するヤツはいなかった。

ターミナル泊は意外と易しいのかもしれない。

 

 

それでも熟睡することができなかった。

どうしても荷物が気になったからだ。

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ターミナルは

時間が経つごとに騒がしくなっていった。

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7時半になって僕はそこを後にした結局ほとんど眠れなかった。
ただひたすらウトウトするだけだ。

ターミナル内のベーカリーで菓子パンをふたつ買い、
血糖値を無理矢理に上げた。
一個半食べると少し気持ちが悪くなった。

 

 

 

ここでどこに泊まるかはもう決めてあった。

ぺんしょん・あみ~ご」という日本人宿がここでの定番らしい。
なんと宿代がわずか90ペソ(685yen)という格安だ。

 

 

バスターミナルからメトロの駅があり、
僕はそこで最寄りの「レボルシオン」駅まで向かうことにした。

メトロのチケットはどこまで行っても一律5ペソ(80yen)。
乗り換えを何回してもそれは変わらない。

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いつものように
「キエロ・イル・〇〇」の例文を使いまくって道を尋ね、
僕は二度ばかり駅を乗り換えた。

ここが治安の悪いらしいメキシコシティか…。

頭がボヤボヤしているせいでそこまでの治安の悪さは感じられなかった。

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40分ほどでレボルシオン駅に到着した。
歩いて2分ほどの近くに宿の名前が日本語で書かれた入り口を見つけた。

 

呼び出し用のベルをならすと、
オーナーのマリアさんが扉を開けてくれた。

宿はまるでマンションのようだった。
中心が吹き抜けになっており、いい感じに自然光が入るようになっている。

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マリアさんは日本語がペラペラだった。

談話実でどれくらい泊まるのかと尋ねられて僕は一週間と答えた。
最初の宿泊費は100ペソで二日目以降から90ペソになる。
バスキングで稼いだ小銭で640ペソ(4,872yen)を支払うと、
僕は渡されたシーツ類を持って三階のドミトリーへと向かった。

ドミトリーには4台のベッドがあったが、
泊まっている人は一人しかいなかった。

 

 

ドミトリーにはアツシさんという京都出身のお兄さんがいた

挨拶を軽く済ませて、
コンセントが近いベッドを見つけるとシーツを敷いた。

たまらなく眠かった。

枕カバーまですると僕は横になった。

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目が覚めた

のは14時で、マリアさんは「よく寝ていたね」と僕に言った。
「夜行バスで来てターミナルで全然寝れなかったんですよ」
と僕は言い訳をした。

僕は外に出てみることにした。サブバッグだけ持って宿の外に出た。

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フッテージ撮ってる。メキシコシティはけっこうスケーターが多い。

 

 

 

歩き出すと「革命記念塔」という大きな建物にぶちあたる。
その向こう側には大きなビルが立ち並んでいる。
それだけでいままで見てきたメキシコとこの街には大きな違いがあった。

スーツを着たビジネスマンたちがオフィスの外の屋台で昼食を取っていた。

 

 

オフィスビルの間を歩いている時に思ったのが、
ここはアメリカの地方都市よりも
発展しているんじゃないか?ということだった。
あのアンディ・ウォーホルの出身地である、
寂れたピッツバーグなんかよりもよっぽど活気がある気がする。
や、ごめんピッツバーグ。

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けっこうデカいウォールペイントもある。

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これとかシュール♪

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絶妙なアングルですねぇ。

 

 

ソカロという街の繁華街に近づくにつれ、
どんどんと人の数は多くなっていった。
どこでもバスキングができそうなくらいだった。

道端では靴磨きたちが小さなブースを出しているをよく見かけた。

 

 

街にはビルと歴史ある教会がきちんと同居していた。

等間隔くらいに大きな教会があるのだ。
グアナファトで会った建築学部生のオカノくんが
メキコシシティは見所があって一週間滞在したという話が理解できた。

 

 

僕はそれらの全てには入らず、遠くから眺めるだけで済ませた。
まだここにしばらくいるんだ。今じゃなくてもいいだろう。

 

 

屋台はどこにでもあるので、食べる物は困らない。
わずか4ペソ(32yen)のドーナッツを頬張りながら街歩きを続けた。

 

 

 

適当に入った建物は郵便局のようだった。

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え?郵便局でしょ?まぁ別にいいや。なんでも。

 

 

中でやっていたポストカードの展示会みたいなのを覗いて
外で煙草を吹かした。ここでは5ペソ(40yen)くらいで
煙草を一本だけ買うことができる。

箱で買ってしまった場合、僕は吸い過ぎてしまうので、
多少割高でも僕は一本で買う。

外でマルボロを一本吹かして、
持っていたビニール袋に灰と吸い殻を入れた。

 

 

制服を着たオルゴール弾きのおばちゃんがやって来るのが見えた。
あのユニフォームは定められたものなのだろう。

ただ、曲がなんとなく雰囲気を演出していた。
持っていた小銭を渡して僕は町歩きを再開した。

 

 

 

 

ソカロの手前にあるアルベルタ駅の周辺は
バスキングができそうな雰囲気だった。

路地は細く、車の交通量も多くはない。
通りは人々で賑わっている。

マップアプリにピンを刺しておいた。
もしかしたらここで路上演奏をするかもしれない。

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さらに歩いて行き、ソカロ駅を通り過ぎると、
辺りは観光地的な雰囲気から
地元の人間が利用するようなマーケットが広がっていた。
そこら辺で売っている食べ物の値段もいくらか下がったような気がする。

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ひとつのマーケットの中に入ってみると、服が山積みされ、
二階へ上がる階段を上ると、フードコートが広がっていた。

階段では子供が二人でメンコを打ち付け合っている。
そんなローカルな景色を見ると、僕はどこか安心した。

ひんやりとする床に座って先ほど買った炭酸飲料を飲んだ。

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宿までの帰り道は別の道を通ることにした。

そこで見つけたのが、文房具通りだった
通りには多くの文房具屋が軒を連ねていた。

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僕は漫画の原稿用紙と同じサイズの紙を探してみるとこにした。

この時どういうわけだか僕は漫画の原稿用紙のサイズが
「B3」だと思い込んでいた。本当はB4なのだ。

もちろんB3の方が大きい。
大きな紙のサイズになればなるほど見つけるのも難しくなっていく。

まるで舌切り雀のお宿を探すおじいさんのように、
僕は見込みがありそうな文房具屋で「B3」の紙を探してまわった。

やはりメキシコでは見つけるのが難しいのだろうか?

 

 

何軒も当たっていると、
LUMEN( ルーメン)」という店に行けば
紙が手に入るということだった。

今度はルーメン探しが始まる。
文房具屋でルーメンはどこに行けばあるんでしょうか?と尋ねて回り、
サルバドール通りに行けばあることが分かった。

言ってみると、そこにはしっかりとした看板がかけられていた。
「ルーメン」というのは製紙会社のようだ。

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そここで先ほどと同じように「B3」の紙を買いたいのだと店員に伝えると、
「何のために使うの?」と言われた。

「カリカトゥリスト(漫画家)でコミックを描きたいのです」
と用件を伝える。

店員は紙の質までも選ばせてくれた。
もちろんインクの裏滲みのしない厚めの紙をチョイスする。

渡されたのは漫画の原稿用紙どころか、
その6倍くらい大きなサイズの紙だった。

だが、嬉しいことに
ここでは紙のカットも請け負ってくれるというのだ。

大きな紙を四等分にすると、
原稿用紙に近いサイズになった。

それでも『原稿用紙ってこんなにデカかったか?』
と気になるくらいのサイズだった。

僕はそれをビニール袋に入れて宿に戻ることにした。

等分して80枚の紙が手に入った。
ミューズ漫画原稿用紙だったら40枚入り二袋分だ(笑)。

 

 

 

途中で「STEADTLER」の看板を見つけた。
ドイツ製のお気に入りのメーカーだ。

自分のもっていたペンを見せて、同じ物があるか尋ねてみた。
閉店間際だったため、店員のおばちゃんは始終眉に皺を寄せていた。

しかも値段は400円くらいする。
日本の1.5倍から2倍くらの料金だ。

やはり日本が一番文房具の質が高くて安い。それは間違いない。
結局ペンは買わずに店を後にした。

 

 

 

メキシコシティは広く、一日では到底見て回れないことが分かった。

宿も安い。うまく行けば路上演奏で宿代を捻出できるかもしれない。
ここ数日は宿に籠って作業をしようと思う。

 

 

 

歩いて宿に戻ったが、ブーツが足に辺り、痛くてたまらなかった。

こんな時、ヒールを履いている女のコのことを考える。
彼女たちはいつもこんな思いでヒールを履いているのだろうか?

いやぁ、マジ女子のコってすごいね。
以前男性がヒールを履いて一日を過ごす動画を見た。超キツそうだった。

宿に戻ると足にはマメができていた。

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————————————————
はい。先に言っておきます。
これから「ウキウキグダグダ沈没ライフ☆」が始まるので、
日記の内容は超単調になります。

あ~~~、これでようやく簡単に一日の日記を終らせられるよ。へへへへ♪

 
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4 件のコメント

  • ジミ君漸く旅に出て自由に長期に、漫画を描ける環境に成りましたね!。
    シミ君これまでの2年間の、旅の漫画のプロローグを旅の終盤のここで書
    き始めて下さい。
    旅の最中に靴が合わずに痛くて、歩けないのも何かのサインかも。(笑)

    • >JOSANさん

      す、すいません!
      せっかくの作業環境だったのですが、
      あまりに引きこもりだったので外で遊んでました!

      旅のハイライト漫画はー…、
      うーん。描く内容が沢山あり過ぎて
      日本で描くことになりそうです。

      靴も徐々に馴染んできました。

  • アミーゴも高くなりましたね。

    昔は1ドルが80円の時代に3ドルとかでしたので、愕然とさせられてしまいます。さすがにもうアミーゴにもWi-Fiは完備なのでしょうが。

    こちらは今日からヤンゴンですが、狭い個室が10ドルですからタイに逃げ出したくなりますが。まあ3年ぶりに到着したばかりですので3泊くらいはすると思いますが、映画館のラインナップが期待できないので週末には陸路でバンコクに向かうことになりそうです。そろそろ本格的な讃岐うどんも食べたいですし…

    • >citydeさん

      以前はそんなに安かったんですか!
      もうメキシコ全土が10ドルくらいするので
      僕はこれえ安く感じましたよ!
      Wi-Fiは完備ですが、遅いです…。

      ミャンマーの旅も共感できます。
      高いくせにそこまで設備は充実してないんですよね笑。
      朝ご飯もパンとジャムっていう。

      僕もうどん食べたいな..。

      タイ行きのバスの悪路にお気をつけ下さい!

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