「獲らぬタヌキのなんとやら」

世界一周794日目(9/1)

 

 

隣人は

昨日から新しいヤツに変わっていた。

rinnjinn

これ、眼科っぽいんだけど、マツゲが立体なんですよ。

 

 

 

直に顔を合わせたことはないが、
昨日も夜にオカリナみたいなのを
スピーカーから流した音楽に合わせて吹いていた。

朝7時過ぎから始まった隣人の演奏のせいで、
僕は起きなければならなかった。

シャワーを浴び、8時過ぎにフラっと外に出た。

 

 

 

見つけたジュース屋でブルーベリーの生絞りジュースを
5ケツァール(80yen)で買って飲んでいると
日本人の女性から声をかけられた。
三日前にケーキとこぶ茶を売っている別の日本人の方と一緒にいたのを
僕は覚えていてた。

適当な世間話をしていたのだが、
なんだか今日がここを発つのにぴったりな日のような気がしてきた。
思い立ったが吉日。
ウダウダと無駄に一日を過ごすよりもどんどん先に進んだ方がいい。

置き引きの犯罪が気になっていたテマルテナンゴを彼女は
「あんなのただの何もない町よ!」と言って退けた。

 

 

 

ここはグアテマラ、サンペドロ・ラ・ラグーナ
ひとまずアティトラン湖の対岸にあるパナハッチェルに行ってみよう。

 

 

 

 

 

僕は宿に戻って荷物をまとめるとすぐにチェックアウトした。
荷物は相変わらず重くて動きづらいが、それもあとちょっとだ。
アンティグアの町で雑貨は日本に郵送してしまおうと思う。

 

 

ボート乗り場に行く前にヤキトリ屋のご主人に一声かけておいた。

他人とは一定の距離を保つのだろう。
特に感慨もなしに「はぁ、それではよい旅を」とだけ言われた。
なんだか味気ない人だ。まぁ、ひとそれぞれっつーことで。

反対にパウンドケーキのおばちゃんは
お得意さんの僕に対してはフレンドリーだった。
ここのパウンドケーキはサンペドロの一押しだと思う。
それがもう食べられなくなるなんて淋しさを覚えるくらいだ。

 

 

パナハッチェル行きのボートは今まさに出発しようとするところだった。

バックパックと雑貨を入れた手提げをボートの上に起き、
ギターとサブバッグを持って席に着いた。
パナハッチェルまでは35ケツァール(539yen)。

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ボートは風を切って走った。波を切る振動が心地良くも感じた。

アティトラン湖の景色を見ているうちにボートは対岸に着いていた。

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あぁ、もっと乗ってたかったな。

 

 

ここから宿代が一気に上がるようだ。

ネットで調べてみてもパナハッチェルでは安くても
一泊千円はするらしい。
ひとまず調べていた宿を当たってみようかと歩き出した。

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『く…雑貨が重い..。』

 

 

 

ボート乗り場で待ち構えていたシャトルバスのドライバーが
甘く行き先を囁く。

負けてなるもかと、ずんずん先に進むうちに、
サンペドロに比べるとパナハッチェルの町が
なんだか味気ないものに見えてきた。

 

 

別のシャトルバス(会社)のスタッフが

「アンティグア?」

と声をかけてきた。

 

 

アンティグアはこの次に行こうと思っていた町だ

そしてこのスタッフが他の会社の人間と違っていたのは
バスの発着時刻を案内してくれたことだった。

 

 

「シャトルバスで行くならあと5分で出るよ?
チキンバスだと14時まで待たなくちゃならないねぇ」

 

 

手にはギターと雑貨の入った手提げ

もちろんバックパっクの中にも雑貨が詰まっている。
これでチキンバスに乗るのは地獄だな、と僕は思った。
安さで苦痛を味わうのであれば、
少し金を払ってでも快適に移動したい。

雑貨を傷つけたくないという心理が働いた。
こうなったらトコトン先に進んでもいいかもなぁ。

 

 

 

そしていいアイディアを思いついたのもこのタイミングだった

そのアイディアと言うのは、
アンティグアの町でバスキングをして金を稼いでしまおうという計画だ。

アンティグアを訪れたバスカーの先輩である金丸さんのブログを読むと、
一日に50ドルも稼いでいたと書かれていた。

いくらミュージシャンと素人の力の差はあるとは言え、
アンティグアが稼げる町であることには違いないだろう。

そう踏んで僕はシャトルバスでアンティグアに向かってしまうことにした。

 

 

 

 

バス会社のスタッフは僕の手提げを持ってオフィスまで案内してくれた。

アンティグアまでは90ケツァール(1,386yen)。

「高ぇんだよ!」

と悪態をつきたくなるがここは我慢だ。
快適さにはかえられない。

スタッフに案内されて、車がやって来るという場所まで向かった。

 

 

やって来たのはバスでもなく、ミニバンでもなく、ただの自家用車だった。
スタッフ曰く「客が集まらなかったから」らしい。

満員で窮屈なミニバンに乗せられるよりこっちの方がマシだ。
これなら90ケツァール分の快適さが得られたような気がした。

車内には僕より先にイギリス人の中年男性が助手席に座っていた。
スペイン語が話せるようでドライバーと冗談を言い合って
楽しそうにしている。

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僕は後部座席で窓の外の景色を眺めていた。

車はスイスイと山道を走り、途中誰かが乗って来たが、
その頃には僕はウトウトとまどろんでいた。

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気がついた時

にはアンティグアだった。

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「どこで降ろせばいい?宿はとっているのか?」と
ドライバーに訊かれた。

「いや、ホステル探そうと思って..」そう僕が答えると、
ドライバーはホステルがあるらしい通りで僕を降ろした。

降ろされた場所は石畳のどこかの交差点。
工事中らしく、土が堀か掘り返されている。

 

 

一番最初に目に飛び込んできたホステルで僕は値段を確認してみると、
なんと40ケツァール(616yen)だと言うじゃないか。
しかもドミトリーには誰もいなかった。

なんだよ!あるじゃん!安宿!
しかもWi-Fiだってついている。速度も申し分なかった。

 

 

とりあえず4泊するとフロントに伝えて
僕は荷物を置いて町を歩いてみることにした。

IMG_9606

 

 

 

ここは世界遺産の町らしい。

メキシコ旅の後半で会ったマコっちゃんやユウトさんも
ここに滞在していたので、楽しめそうな気がした。

だが、実際に歩いてみると
そこまで気持ちは弾まなかった。

町の中心部には公園があり、
その周りに欧米人向けのカフェがあったが、人通りはまばら。

辺りをウロウロして路上演奏できそうな場所を探したのだが、
いい場所がない。

屋根の下がアーケードのようになっていいるが、
公園の周りを車が走っているので、
パフォーマンスをする環境としてはあまり良いとは言えない。

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最近外で唄っていなかった僕は
練習がてらにギターを弾き始めた。

レスポンスはかなり薄い。
時々観光客らしき人がコインを入れてくれるくらいだ。
1ケツァールコインで16円。それが数枚。

マジで泣ける..。

 

 

しまいには近くの建物の前でデモ隊が
バカスカと太鼓を叩き始めた。

警備員がどこからともなく現れて演奏にストップをかけた。

 

 

 

あれ…?
話と違くないですか?

 

 

 

 

10ケツァールにもみたいいアガリは
すぐに煙草や食費に消えた。

やがて雨が振り出し、僕は宿に戻らなくてはならなかった。
ボコボコした石畳が歩きづらくてしょうがなかった。

 

 

 

宿に戻ったのはいいが、無気力感が体全体を覆っていた。

ドミトリーの中には備え付けのテーブルがあり、
そこで作業でもできそうな気がしたが、室内が暗かった。
コンセントのある位置も微妙に遠い。

何もする気にもなれない。

『これってもしかして病気なんじゃないか?』と思うくらい
何も手につかなかった。

 

 

シャワーを浴びると、そのままベッドの上で
ずっと日本の映画のトレイラーをYouTubeで見ていた。
せめて映画が観れたら心は満足できるのに…。

 

 

夜が深まるにつれて雨脚は強まり、
部屋の中にいても「ザーーーーッ…」という音が聞こえた。

 

 

 

僕は一体何をしにここまで来たのだろう?

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