「やって来ましたチチカステナンゴ」

世界一周798日目(9/5)

 

 

寝心地の悪い

ベッドから抜け出すと
僕はさっさと荷物をまとめて部屋を出た。

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部屋の外でホソイさんに愚痴を聞いてもらっていると
タビジュンさんがどこから共なく現れた。

まさか世界一周ブログランキング一位で
元ホストという経歴を持つ、旅人一番のお洒落さんの
タビジュンさんともあろうお方が、
こんな狭いドミトリーに泊まっていたなんて

僕は意外だった。

 

 

荷物をまとめて少しお話させていただいた。

僕の履いているブーツや歯ブラシに注目して
「旅人ってこだわりある人が多いよね」と言ってくれた。
人の持ち物を褒めるところから
会話を広げて行くスキルはさすがタビジュンさんだ。

 

 

「そう言えば、ヤッケンさんにお会いしたんですよね?」

「ヤッケンくんのこと知っているの?」

「はい。イタリアのフィレンツェでお世話になりました。
一緒にお酒飲まれてましたよね?」

「アイツね、酒癖悪いよ..」

 

 

思い出したくない過去を振り返るように
苦々しくタビジュンさんは呟いた。

僕はブロガー根性で彼の写真を取りたくなるのを必死で堪えて、
宿を出る別れ際に一枚だけ写真を撮らせていただいた。

だって、人気ブロガーなんて僕からしてみたら
アイドルみたいなものだから。

 

 

僕たちのルートは逆方向だ。

僕が南下していくのに対して、
タビジュンさんはこの後メキシコ、キューバ、
アメリカと旅をしていくらしい。

 

 

「またどこかで」

そう言って僕たちは別れた。

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僕のもっている唯一のタビジュンさんの写真です(笑)。
ポージングが秀逸ですね!

 

 

ここはグアテマラ、アンティグア
向かうはチチカステナンゴという町だ

 

 

 

 

 

雑貨とテントとギターを宿に置いてきたこともあり、
荷物は一気に軽くなった。

16kgという重さがこれほどまでに軽いとは思わなかった。

そのままメルカドや民芸品のマーケットの近くにある
チキンバスのターミナルへと向かい、
まずはチマルテナンゴという町まで向かうことにした。
料金は5ケツァール(80yen)。

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わずか10kmちょっとほどしか離れていない隣り町なので、
あっという間にチマルテナンゴに到着した。

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ここがチキンバスのハブ(乗り換え場)となっているらしく、
チチカステナンゴ行きのチキンバスはすぐに見つかった。

ブログを通してこの町が「置き引きの多発する町」
だということを聞いていたので少し警戒していたのだが、
実際に訪れてみるとなんてことない小さな町だった。
物価は年々上がって行くが、
治安もそれに比例して改善されていくような気がする。

 

 

チキンバスが向こうから走ってきて、
集金係がバスの入り口から半身を乗り出して行き先を叫んでいた。
急かされるようにしてバスに乗り込んだが、

 

僕は言葉を失った。

 

 

 

 

 

車内にはこれでもかというくらいに
現地人が乗り込んでいたからだ。

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ひとつの座席には三人が腰掛け、通路では何人かは立ち乗りだった。

運転手は「奥に行け」と言うが、これ以上奥に進めっこなかった。

バックパックを背負ったまま乗り込んでしまったので、
僕は入り口付近に立っていることしかできなかった。

そんな僕にお構いなしにバスは発進した。
運転手はギアをシフトするレバーの近くにバックパックを置かせてくれた。
「大丈夫。見ていてやるから」という言葉を聞いて僕は安心した。

 

 

チキンバスは確かに混み合っていたが、
こういう空気感が嫌いではない。
現地人にチャンプルされるこの感じは旅なれではだと思う。

しばらくすると席が空き、
おばちゃんが「ここに座りなさいよ」と手招きしてくれた。
こういう温かさが嬉しい。

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チキンバスはスピードを出して走った。
チマルテナンゴの先のいくつかの小さな町を抜けると道路は山道になった。

急なカーブが連続し、バスが曲がるごとに体に遠心力が加わる。
カーブとは反対方向に引っ張られるようになり、
前の座席の上についた手すりに必死で捕まらなくてはならなかった。

チチカステナンゴに着く間、
通路側の人間だけが必死にこの「G(遠心力)」と戦わなくてはならない
おちおち寝ていることもままならないくらい体が引っ張られるのだ。

前に座っていた女のコがビニール袋に吐いていた。

それがアンティグアからチチカステナンゴへ行く道のほとんどだった。

ちなみに一番楽なのは窓際の席だ。
呑気に寝ているヤツを見ると格差のようなものを感じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三時間

ほどのドライブで
バスはチチカステナンゴへ到着した。

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僕は売店で一本マルボロを買い求めて店の前で吹かした。
降ろされた場所はただの路地だったが、
次々にチキンバスがやって来て排気ガスを巻き散らしていくため、
煙草を吸っているんだか排気ガスを吸っているんだか分からないくなった。
僕はすぐに火を消して宿を探すことにした。

 

 

一件目に当たった宿はなんと100ケツァール(1,600yen)もする宿だった。

僕がゴネていると75ケツァールにまで下がったが、
千円以上もする宿は泊まりたくはない。
予算はせめて60ケツァール(923yen)だ。
僕は別の宿を探すことにした。

 

同じ場所を言ったり来たりしていると、
茶色のベストを着たおばちゃんが僕に話しかけてきた。
どうやら観光案内の人らしい。

僕が予算を告げると
「私が口を利けば安くで泊まれるよ」と僕を宿まで案内してくれた。

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案内された宿はさっき足を運んだ宿のすぐ近くにあった。

三階立ての宿で受付は二階にある。
おばちゃんが宣言した通り宿代は一泊60ケツァールになった。

宿のオーナーは「お前はハポン(日本人)だろう?」と一発で
僕が日本人であることを当ててきた。
きっとここには雑貨目当ての日本人が多くやって来るのだろう。

 

 

シングルルームはどこにでもありそうな安宿だった。

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ベッドがひとつに、トイレ/シャワーが併設。
オーナーが言うには「テレビがついていること」が売りらしい。
Wi-Fiなんてものはなかった。

なお後で町歩きをしていると「ミニホテル」という場所で
50ケツァールの宿があった。そっちはもっと小さそうだ。

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荷物を置くと僕はチチカステナンゴの町を歩いてみることにした。

明日戦況の投票が行われるからだろう。
路地にはグアテマラの国旗のカラーである
水色と白の旗が葉風になびいていた。
それがいくつも連なっているので見応えがあった。

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見所となりそうなメルカドや教会は宿の近くにあった。
明日のサンデーマーケットもここで行われるらしい。

チチカステナンゴの町自体は
1時間そこらで歩き回られるような大きさだった。
これなら日帰りでここに来てもよかったかもしれないな。
僕はそう思った。

 

 

 

ここに来て僕がまずやらなけらばならないことは
ATMで金をおろすことだった。

三社ほどの銀行がひとつの通りにかたまっていたが、
なぜだが僕がお金をおろせるATMは「5B」と呼ばれる
銀行のものだけだった。

話に聞くところによると引き下ろし手数料が
500円近くかかると言うのだ。
まったくもって馬鹿げているよ。こんなに高い手数料があってたまるか!

だが、そこでしか楽天マスターカードは受け付けないのだ。
他の銀行のものでやっても
「取引できませんでした」とか言うメッセージが出る。

まぁ、この手のトラブルは今に始まったことじゃない。

勝負は明日のサンデーマーケットだ。
他の人のブログを読んで、
どんな雑貨が出回るのかイメージを膨らませてきた。
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町歩きの途中、寂れたショッピングモールとも言えないような
複合施設に足を運んでみた。
いくつかのテナントは閉まり、数えるほどしか人がいなかった。
いるだけで悲しくなるような場所だった。

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階段を上ったところにはゲームセンターがあり、
そこでは日本から払い下げられてきたであろう
アーケードゲームが置いてあった。

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メタルスラッグ」は僕が中学生の時にハマったゲームだ。

わずか1ケツァール(16yen)でできるなんて驚きだ。
地元のヤマザキショップの前だとワンプレイ50円だぜ?

 

 

 

15時くらいになると僕は宿のオーナーに教えてもらって
Wi-Fiの使えるカフェへと言ってみることにした。

カフェの値段はどこも似たようなものだ。
まぁ、訪れるのが観光地ってこともあるだろう。

カフェの二階に上がると
カフェ・コン・ラチェ(ミルク・コーヒー)を
10ケツァール(160yen)を注文した。

店員は白いシャツの黒いパンツを穿いた愛想のいいヤツだった。

 

 

カフェは作りのしっかりした観光客向けの内装だったが、
僕以外の客はそこにはいなかった。

テーブルの中央には小さなグアテマラの国旗のついた旗が
空き瓶に差してあった。

全開になった窓から風が吹き込んでパタパタと旗がなびいた。
オフシーズンの寂しさがそこにはあった。

僕がここにいる間に二組くらいの客しか来なかった。

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自然光の入るテーブル席で
僕はいつものように作業をすることにした。

窓から入ってくる風が肌寒かった。
僕はスタッフにお願いして近くの窓を閉めてもらった。

ぼんやりと外を眺めたが、
窓の外に広がっている景色は決して心弾むものではなかった。
メルカドの連なったトタンの屋根が続いているだけだ。

 

 

チチカステナンゴの町にも雨期はしっかり訪れていたようだ。
夕方になるにつれ雲行きがどんどん怪しくなり、
ポツポツと雨が降り出した。
やがて「ザーーーーッッ…」という
細かい音が聞こえるようになった。
いつの間にか外に出ていた人たちの姿も見えなくなっていた。

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18時になると僕は店を出た。

いつの間にか外はすっかり冷え込んでいた。

 

 

この町で嬉しかったことは、
それは食事のレパートリーが増えたということだった。

メルカドにはいくつも屋台が出ており、
15ケツァール(234yen)でカレーのようなものを
食べることができた(たぶん、カレーだと思う)

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外にはおなじみのタコスの屋台も出ていた。
3つほどで10ケツァール(160yen)だった。

売店で煙草とスナック菓子を買い求めて宿に戻った。

 

 

 

 

雨が降り出すと、ほんの少し、閉塞感のようなものを感じる。

窓の外にはシトシトと雨音が聞こえ、
近くを走る自動車の音がやけに大きく聞こえた。

僕はシャワーも浴びずに、歯を磨くとベッドに横になった。

 

 

この宿が自慢しているテレビ(ケーブル)がどんなものかと、
チャンネルを回すと、そこにでは「バードマン」が放映されていた。
僕が南アフリカからアイルランドへ向かう飛行機の中で観た映画だった。
もちろんこちらではスペイン語に吹き替えられていた。

雨の影響もあってか、ところどころで映像が途切れた。
そして最後のは画面はモザイクがかかったようにして止まってしまった。
ははは。グアテマラらしいや。

 

 

 

22時には僕は眠りについていた。

オフシーズン。山あいの小さな町の宿。
雨の音がずっと聞こえている。

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