「ブエノスアイレス、南米最後の街」

▷12月6日/アルゼンチン、エル・カルファ〜ブエノスアイレス

 

 

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どうでもいい話だけど、キーボードをカタカタ叩く音や、iPhoneで文字を打ち込む時のパシパシする電子音も悪くない。

映画の中で出てくるタイプライターがカシュカシュなる音も好き。

ちゃんと文字が打たれて形になっているような気がするから。

だけど他のヤツがキーボードをバシバシ打ってる音は好きじゃない。

別に他のヤツが文字を刻んでいても何も面白くないからね。

 

 

そんなわけで今僕は耳にイヤホンを突っ込んで、iPhoneが文字を打つ時に出す「パシパシ(もしくはタシタシ)」という音を聞きながらこの日記を書いてる。

いや、ほんとどうでもいい話題だな。こんなんばっか日記に書くからいつも長ったらしい日記になるんだよ。

 

 

 

 

 

 

8:30には宿に迎えのシャトルバスが来た。乗客は僕しか乗っていなかった。

そのあとバスは何軒か他の宿を回り空港へ行く他の乗客を拾っていった。

これでパタゴニアともお別れだ。この旅の中で来れてほんとうによかったと思う。

 

バスの車窓から見えるだだっ広い草原や自然が僕を名残惜しい気分にさせてくれた。

 

 

 

 

 

エル・カラファテの空港はほんとうにちっぽけな空港だった。

入ってすぐのところにカウンターがあり、そこでチェックインを済ませた。バックパックはいくらか食料が入っていたので重ささ18㎏。

 

 

案の定空港内のカフェや軽食なんかはバカ高かった。搭乗時間まで一時間を切っていたので、iPhoneをWi-Fiに繋いで時間を潰すことにした。相変わらずアップデート後の劣化版iPhone4SはWi-Fiにつながるのが遅い。マジで中古でもいいからiPhone5Sが欲しい。

 

 

 

搭乗時間になり僕は飛行機に乗り込んだ。
飛行機のボディはかなりきちんと整備されているように思われた。太陽の光を反射してピカピカと輝いている。

何度か経済破綻に陥り、今ではインフレが凄まじいアルゼンチンだが、飛行機はしっかりしていることが僕は意外に思えた。

国内線の座席の間隔は通路を挟んで両側に三列づつの座席があるだ。

 

 

なぜだか僕の隣には日本人の若い夫婦が座った。こういう時に見ず知らずの日本人と居合わせるとなぜか変な気分気なる。

ここは地球の反対側にあるアルゼンチンだよな?と。

男性は図解で分かる石油ビジネスの本を読んでおり、女性は疲れたそうにすぐに眠ってしまった。

 

 

 

僕は窓側の席を取っていたので、そこから外の景色を眺めることができた。

滑走路を走り、フワッと機体が浮く、どんどんと陸地が小さくなっていくのが見える。空港内のすぐ近くには大きな湖があった。エメラルドグリーンの水面が風に吹かれて波立っていのが分かる。

 

やっぱりパタゴニアに来てよかったな、改めて僕はそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3時間のフライトで僕はブエノスアイレスに到着した。

外に出るとすぐ目の前に海が見えた。

初夏くらいのポカポカとした気温で人々は足や腕を出した軽い服装をしていた。どこかピースフルな空気が流れている。ここがあのケチャップ強盗で有名なブエノスアイレスなのか?
気温でここまで幸せな気分になれるのも珍しい。

『これならケチャップをかけられても許せるかもな…』そう僕は思った。

 

 

 

ここから宿の場所までの行き方は既に調べておいた。空港のスタッフにローカルバスの乗り場をきいてそこまで向かった。

バスがやって来る直前に僕は近くにいた男性にバスの料金を訊いてみた。すると彼は「専用のカードがないと乗れないよ」と僕に教えてくれた。

まぁ、ダメもとで運転手にお金を払おうと思っていると、その男性は僕の分の乗車賃まで払ってくれた。

いきなりブエノスアイレスで優しくされるなんて!

やっぱりこの気候が影響しているのだろうか?

 

 

 

 

 

宿の近くの通りで僕はバスを降りた。

通りの店はほとんどシャッターを閉めており、そのためほとんど人が歩いていなかった。

 

 

僕はケチャップ強盗に注意しながら宿のある場所まで向かった。

宿は普通の居住ビルの3階にあり、入り口にはなんの表札もかけられていなかった。ここに宿があることを知らなければ見つけ出せないだろう。

 

 

入り口は閉まっており、外のボタンを押して誰かを呼ぶ形になっていた。3階のボタンを押すと「オラー!」と声が聞こえて、思わず僕も「ペルミッソォ…!(すいませ〜ん!)」と返事をしてしまう。

予約をした旨を伝えると扉が開いた。入ってすぐに鉄格子で覆われたエレベーターを軸に階段が上へと続いていた。

僕はバックパックを背負ったままドスドスと上まで上がった。上から「こちらでーす!」と声がする。

アルゼンチンでは2階から「1階」が始まるため、僕は4階まで階段を登らなければならなかった。

 

 

 

「上野山荘」

のオーナーであるいつこさんは元気のいいシャキシャキした人だった。

扉を開けてすぐのところに共有スペースがあり、その奥にドミトリーやキッチンなんかがある。

 

 

管理人(代理)のけいこさんという方が僕に宿の施設の案内をしてくれた。

旧式のエレベーターはなんと使うことができるらしい。二重扉を自分で開閉しなくてはならなかったが、その古めかしいエレベーターはちょっとしたアトラクションのように僕には思えた。

 

 

エレベーターの使い方を訊いている時に、マサトさんが他の日本人の方と一緒に外から帰ってきた。

ここの宿を予約してくれたのはマサトさんだ。ありがとうございます♪

 

 

 

 

 

 

荷物をベッドの脇に置き、一息つくと僕はバスキングをしに外に出ることにした。

いつこさんが言うには、アルゼンチンは二日前から連休が始まっており、人なんてほとんどいないわよ?と僕に教えてくれた。

先ほどここへくるまでの道のりで、歩行者天国のような道を見つけたのだ。バスで通り過ぎたため一瞬しか目に入らなかったが、そこそこ人が歩いていたような気がする。

 

 

 

「フロリダ通り」は宿からほんの5分程度の距離にあった。

連休にも関わらず、そこにはかなりの人が歩いており、路上パフォーマーの姿も見つけることができた。

 

 

フロリダ通りの始まりには似顔絵師が三人もいた。そしてそのレベルは僕の漫画似顔絵なんか足元にも及ばないクオリティだった。着色入りでリアルなものもあれば、特徴をとらえてデフォルメしたポップなものもある。看板を見ると15分以内に仕上げると書かれていた。ヤツらはプロフェッショナルだ!何人かが似顔絵師の周りを囲んでその様子を見学していた。

 

 

僕は「RETRATO(似顔絵)」と書かれた部分を隠すようにして看板を出しギターを構えた。

フロリダ通りは歌うのにはまさにうってつけの通りだった。僕の他に音楽をやっているバスカーが回りに一人もいないのもありがたかった。

近くでタンゴを踊っている老夫婦がスピーカーから音楽を流していたが、やれないこともない。

喉の調子もいい。Caravanの曲を気持ちよく歌うことができた。人通りも多過ぎず少な過ぎずで、ちょうどいい感じだ。

 

 

それなのにレスポンスは全くと言っていいほどないのに、僕はかなり困惑させられた。

場所を移ってみたものの、レスポンスはない。

人々は僕の目の前を素通りし、冷たい目線を僕には投げかけた。

今までボリビアやチリ、パタゴニアのバスキングを経験してきた僕は都会の人間の冷たさを感じずにはいられなかった。

あまりのレスポンスのなさに歌に気持ちが入らなくなり、一時間半で切り上げることにした。

50ペソをいれてくれた人がいたので、アガリは100ペソまで行ったのが救いだった。

 

 

落ち込んだ気分を紛らわせるためにマクドナルドで10ペソのソフトクリームを買い、フロリダ通りの奥まで歩いてみることにした。

フロリダ通りは音響の面では間違いなくベストロケーションだろう。
ただ、そこに住む人々の冷たさでいうとかなり悪い。

そりゃ僕の実力不足もある。彼らからレスポンスを得るにはそれなりの実力がなければダメだと思う。

僕の他に音楽を演奏しているのはたったの二組しかいなかった。レスポンスを得ているのはアンプを使ったエレキギターの早弾きをしているヤツだった。

 

 

 

 

 

 

僕は肩を落として宿に帰った。

腹は減っていなかったが、宿のすぐ脇にある中国人経営のスーパーで買ってきた野菜を使っていつものスープを作って、それをマサトさんと二人で食べた。

野菜はいい。いくら食べても太らないし、体の調子を整えてくれる♪

 

 

 

 

「マサトさん、日本に帰った時、すぐに動けるように段取りとか組んでたりするんスか?」

なんの気なしに僕はマサトさんに尋ねてみた。

「うん。最近ずっとそのこと考えてるよ。帰国後にすぐに動けるように準備してるよ」

 

 

 

 

その言葉を聞いた時、僕は一気に不安になった。

てっきり僕はなぁなぁな言葉が返ってくると思ったのだ。

マサトさんは色々な人と繋がり、自分が帰国後にしたいことを明確に思い描いていた。目標を設定し、そこへ到達するまでのプロセスもイメージできていた。

 

 

 

対する僕はまだ漠然としたプランしか頭の中になかった。

動きたくても何をしたらいいか分からない、あの悶々した毎日を過ごしていた大学生の自分に逆戻りする恐怖さえおぼえた。

おれは一体何をしていたんだ⁈

 

 

 

 

帰国後のマサトさんのプランを聞くと、自分が随分と無駄なことをしていたような気にさえもなった。

中でもブログがそうだった。

僕はこの二年五ヶ月、一日の内容をこと細く書くというスタイルでずっとブログを書いてきた。

もともと本を読むのが好きだったし、リアルタイムでは金丸さんがいい文章を書いていた。他のブログはダイジェスト的なものが多かったが、僕は文章りょの多いブログが読みたいと思った。少数の人が読んでくれるブログを「忘備録」として書き続けた。

 

 

この旅の中でかなりの時間をブログに費やしてきたと思う。だがそうする必要なんてなかったのだ。

この旅を次に繋げたいのであれば、もっと読者を巻き込んで面白いコンテンツつ作りができただろうし、長文のスタイルを止めれば漫画を描く時間も増えた。

これから日本で自分のことを売り込んでいかなければならないのにセルフプロデュースができていなかった。旅の始まった頃から相棒から同じことを言われ続けてきたのに…。

 

 

 

宿にいた元編集者のお兄さん、シンヤさんもトークに加わってもらった。二人ともずっと物を知って考えいるので、僕はますます置いていかれた気分にさせれた。

 

 

進研ゼミからのダイレクトメールに必ず漫画がついてきた。大体内容はいつも同じで、「スタートアップをしないと置いていかれるぞ!」といったものだった。大体恋愛が絡んできて、最後にはリア充ハッピーだ。

毎回そこに「取り残されるヤツ」が出てくる。

今の僕がそうだ。

 

 

 

この日は深夜一時までモレスキンのノートを前に自分の身の振り方を考えていた。

焦りだけが募る…。

 

 


5 件のコメント

  • いつも楽しいブログありがとう。

    ほかの人と比べずに、もっと自分を楽しんでほしいなあ。

    先日、屋久島に世界30国以上の国でバスカーしてきたTim Scanlan & Toshi bodhran という方達のライブがありました

    さいこーでした

    なにをやってきたか?なにをやりたいか?でもなくて

    今、この瞬間を楽しむ彼らから、今までみたいなステレオタイプみたいな発想は、

    捨てちゃおうって思いましたよ

    肩に力をいれず、お腹の中心から声をだして、楽しみましょう

    シミ君の描写豊かなブログでどんだけ、楽しませてもらっていることか!

    後悔してるかもって聞くだけで、悲しくなってしまいますよ

    いつも応援してますよ~

    • >ひまわりさん

      「ぐっ…」とくるような励ましのコメントありがとうございます。

      今回マサトさんたちのお話を聞かせてもらい、色々と反省点を見つけたんですよね。

      『もっとこうした方がよかったんじゃないか?』
      ってものばかりです。

      まぁ、旅そのものは100%楽しめてるので後悔はありません。貴重品とか失くなっちゃったけど、あれは笑い話です。心のどこかでは『美味しいやん!』なんて思ってます笑。

      旅してきた人のライブっていいですよね。
      どこか異国の匂いがするから。

  •  ソフトクリームが10ペソですかっ!

    ブラックマーケットで半額になるとしても高いですね。年末年始に過ごす予定のタイのマクドナルドは9バーツで、私のお気に入りのディリークィーンは安い店で10バーツです。最近は抹茶フレーバーが加わりましたが、色が付いてるだけで風味が足りないわりに割高なのでバニラばかりです。

    ところで私は南米は7回くらい旅行していますが、まだパタゴニアには一度も足を踏み入れたことがありません。もしチリに移住するようになれば自分の自動車で旅行すれば良いかなと先送りしていたのですが、物価が高過ぎて躊躇してしまいそうです。こちらで見てるとパタゴニアは良さそうなので2017年には南下してみようかと考えていたのですが、円高になるかペソの大暴落でもなければキビシイですね。

  • 焦らず、自分のペースで良いと思うよ!
    前向きでいれば、絶対に良い結果出るよ♪
    NZも楽しんでね♪

    • >まおりさん

      いつも応援ありがとうございます。
      それでも、日本に帰ったら
      一回くらいはどん底を味あわなければならないきがします。
      何かを作る人間が絶対通るようなやつです。

      とりあえず前向きに。
      道は開きます!

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