「ニュージーランドをヒッチハイクで南下しようぜ」

▷12月20日/ニュージーランド、オークランド〜ハミルトン

 

 

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前日は深夜2時過ぎにテントを立てた。

案の定セットしていたアラームの時間には起きることはできず、出発を一時間延長することにした。

 

11日間いたオークランドとも今日でお別れだ。オーストラリア行きのフライトは22日後のウェリントンから。あと三週間もニュージーランドを旅することができる。

これから徐々に南に向けてヒッチハイクでニュージーランドを旅していこうと思う。クライスト・チャーチに母の友達が住んでいるそうだ。母の代わりに挨拶でもしておこうとも思う。(あわよくば泊めてもらえるんじゃないかと企んでいたりする笑。でも、年末で無理かもな)

 

 

 

 

テントをたたむと、いつものように僕はダウンタウンに向けて歩き出した。

ダウンタウンには立派な建物で”Britomar(ブリトマー)”駅というのがある。一見外から見ると博物館のようで駅には見えない外装になっていた。まるで巧妙に隠してあるみたいだ。

駅にはフリーのWi-Fiが流れ、構内は人気が少なかった。僕は個室トイレでいつのも要領で体を拭うと、洗濯して濡れたままのTシャツをそのまま来た。

 

オークランドはかなり大きな街なので、ヒッチハイクをやるにはまず、街の外まで出なければならないのだ。

今回もお世話になっているヒッチハイクのサイトで、どこがヒッチハイクに最適な場所か調べておいた。行き先は”Papakura(パパクラ)”という街だ。値段は8.5NZドル(¥704)。

 

 

 

乗車券はレシートのように薄っぺらい紙だった。改札口は磁気カード専門のものしかなく、係員に乗車券を見せて改札を抜けた。

ブリトマー駅は始発駅だった。周りをトンネルの壁で覆われ、電車はかなり綺麗だ。車内には冷房がばかみたいに強めに効いており、濡れたままのTシャツを着ていたせいで凍えなければならなかった。えっ?なんで濡れたまま服を着るのかって?体熱ですぐに乾くからだよ。

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8:58に電車はゆっくりと駅を出発した。

街を抜けると景色は徐々に閑静な住宅地へと変わっていった。

どんな国のどんな街だってそうだ。中心地は栄えていてもそこからたった2、3キロ離れただけで静かになる。街では便利な暮らしはできるけど、賑やかなのは表面だけなんだろう。

特にこれといって外の景色には興味を惹かれなかった。僕は買ったばかりのiPadを取り出すと膝の上にショルダーバッグを乗せ、さらにその上にiPadを乗せてカタカタと日記を書き始めた。昨日よりかは文字を打ち込むのに慣れたような気がした。

 

 

 

パパクラの街まではいくつかの駅に止まった。

どの駅でもほんの数人の客の乗り降りがあるだけで、ダウンタウンを離れれば離れるほど、駅は小さくなっていくような気さえした。

ここに住む人たちは一体どんな風にして暮らしているんだろうと思う。この電車を通勤に使っているのかもしれないし、車仕事場まで出勤するのかもしれない駅のあまりに辺りに何もないと、逆にこっちが不安になったりする。

 

 

 

僕の乗った電車の終点はパパクラだった。

どうやらここが乗り換え駅のようだったが、他の駅同様に何もないに等しい静かな駅だった。

直ったiPhoneでマップアプリを起動すると僕はヒッチハイクポイントの方向を確かめ歩き出した。

 

 

駅を出てすぐのところにある教会からドラムの音とゴスペルが聞こえた。一瞬CDかデータの音をアンプから流しているように感じたが、ブレスやちょっとしたノイズからそれが生音であることがわかった。見なくてもわかる。その女性(の声だった)がとても上手いのだということを。

 

 

 

 

ヒッチハイクポイントは”Great South Road(グレート・サウス・ロード)”上にあった。駅から20分ほど歩けばいい感じのスポットがあるとサイトには書かれていた。

僕日曜日の静けさの中、クッキーとコーヒーを朝食代わりに歩いた。

コーヒーはガソリンスタンドで買ったのだが、ちっぽけなカップで3.5NZドル(¥290)もした。ついつい軽食をとっちゃうんだけど、あっという間に5〜600円に達するからね。やっぱりニュージーランドの物価は高いよなあとしみじみ思った。

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ニュージーランドのヒッチハイクにおいて注意しなかればいけないのは、ハイウェイ内でのヒッチハイクは罰金を持って禁じられているということだった。

さすがにもう罰金は喰らいたくない。というかほとんどの国においてハイウェイ内でのヒッチは禁止されてるけどね。

 

 

20分ほど歩くとちょうどいい停車スペースが出来始めた道はほぼ一直線に次の街まで続いている。

果たしてニュージーランドのドライバーは僕みたいなバックパッカーのために車を止めてくれるだろうか?

訪れた国の一発目ヒッチハイクはいつだって少し緊張する。

 

 

昨日拾ってきた段ボールをギターケースの中から取り出すと僕は太いマジックで「Hamilton」と行き先を書いた。

少しだけ道路の方に出て親指を立てる。車の通りは悪くない。何人かのドライバーがハンドサインで応答してくれたが、何も返事をしてくれないドライバーの方が多い気がする。

なぁに。まだ始まったばかりだ。のんびり行こう。

 

 

肩の力を抜いて気楽に構えたところで、車がスピードを落として停車スペースに止まった。

まだ5分も経っていなかった。

小走りで車に駆け寄り、段ボールを見せて行き先を訪ねた。中にはおばあちゃん(という歳にも見えなかった)と孫が乗っていた。

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「ハミルトンまではいかないけど、その半分くらいまでだったら行くわ」

 

 

トレイシーはフレンドリーな人で、僕にわかりやすいはっきりとした英語を喋ってくれた。

反対に孫のジェスパーくんは後ろでチャイルドシートに固定されて、僕がいる間はほとんど言葉を話さなかった。いきなしおばあちゃんが怪しいアジア人を車に乗せたからとまどっているのだろう。

 

僕はコミュニケーションを図ろうと買ったばかりのiPadを使ってオークランドで描いた似顔絵の写真を見せたのだが、ほんの少し警戒心が解かれたに過ぎなかった。

iPadを買ってよかったなと思うのは、iPhoneより画像が大きいことで、より視覚的にインパクトトを与えることができるようになったことだ。iPadを持ってることはまぁ、ちょっとはお金を持ってることなんだなってイメージを抱かせることもできるかもしれない。見かけ以上に笑。

 

 

僕がiPadで写真の整理をしていると、トレイシーが「外の景色を見なくても大丈夫なの?」と僕に訊いた。

 

 

 

「はっ!すいません!このiPad、ニ日前に買ったばかりでして…」

「ふふふふ。ここのハイウェイ沿いは綺麗でしょう。私はここを走っているときに見る景色が好きなの♪」

 

 

確かにそこには青い草の生えた小高い山や平地がハイウェイ沿いに続いていた。 ようやく景色がニュージーランドっぽくなってきたなと、僕は思った。

僕は写真を撮るのも忘れて景色を眺めた。

 

 

 

 

 

 

トレイシーにはラウンドバウトの近くで降ろしてもらった。

ラウンドバウトはハイウェイ直前にあるドーナッツ状で行き先ごとに道が伸びたもので、車はその直前で速度を落とすようになっている。絶好のヒッチハイクポイントでアイルランドではこのラウンドバウトでよくヒッチハイクした。

このラウンドバウトは車が止まるスペースがなかったが、ハミルトン方面に進んだ先に絶好の停車スペースがあった。車の通りは十分すぎるほどだ。これならすぐ車が止まってくれるだろう。

10分もしないで車が止まってくれたが、まさかの黒塗りの外車で正直僕は戸惑った。

 

 

中には若い母親のエリティシアと、幼い娘のロザイが乗っていた。

インド系の顔立ちでロザイの目はぱっちりとしてまつ毛が長い。先ほどと同じように僕はiPadを使ってコミュニケーションを図ったが、この子も警戒心をほとんど緩めなかった。突然車に乗り込んできた外国人だもんな。そりゃ怖いか…。

エリティシアは下着のようなデニムショーツを穿いて、頭にはキャップをかぶっていた。日本でいうと「ギャルママ」というところだろうか?訛りというか英語がはやすぎて、半分も聞き取れない。自己紹介を済ませると、僕は適当に相槌を打ってやりすごした。

車にはヒップホップが流れ、速度はかなり早く感じた。喋りかけたら事故でもおこすんじゃないかと思うほどにアクセルを踏んでいた。

だが、どうやらそれはこの車だけではないことがだんだんと分かってきた。周りの車も同じように100km以上出して走っている。僕が高速道路を走る車の速度に慣れていないだけなのだ。だってこの前まで南米にいたんだもの。

 

 

会話はほとんどなかった。

分かったことは二人はWellington出身で、現在はオークランドに住んでいるということだった。今日はハミルトンに住む親戚の家に向かっているらしい。

僕は日本の暮らしを引き合いに出して、ニュージーランドが暮らしやすい国を尋ねると、エリティシアは「まぁね」と言った。まぁ、そりゃこんな高そうな車に乗っているのだ。生活に苦労していないんだろう。

ハミルトン直前になって、エリティシア僕の身の上を訊いてきた。

 

 

「それであなた一体いくつなの?」

「26ですけど」

「ふーーーん。わたしは21」

「えっっっ!!!???」

 

 

まぁ二十代だとは思っていたけど、まさか僕より五つも歳下だなんて!早っ。

 

 

「日本はどうなの?わたしくらいの年齢早いの?」

「いや〜〜〜…早いですね。まぁそりゃ僕の同世代でも子供のいる女のコはいますけどね。というか僕は日本の中でもマイナーな生き方を選んだヤツなんで日本人代表みたいには考えないでください」

「ふーーーん」

 

 

エリティシアは「行き先が違うから」と、街の中心地から5kmも離れた場所に僕を下ろした。娘のロザイがぐずりはじめていたので、いつもの写真を撮ることができなかった。お礼を言って頭をさげると僕は車を見送った。

 

 

僕は車の中でもらったミートパイを食べながら街の中心地からへ向かって歩いた。

さすがにこの距離じゃヒッチハイクってわけにもいかないし、かと言って歩くのには遠すぎる。

 

 

1km歩いたところで、向こうから大柄のメガネをかけたおじさんがやって来た。僕の顔をマジマジ見たかと思うと「ハーイ!」と声をかけてきた。

 

 

「あ、どもっす!」

「ややっ!君は日本人か!だと思ったよ!コンニチハ!」

「ところで街の中心地まで行きたいんですけど、どうしたらいいですかね?」

「ふむふむ。それならこの道を5キロ歩くか、もしくはそこにあるバス停からバスに乗るかだ。君にいいものをあげよう。ほらバスの乗車券だ。あと一時間有効だよ♪」

「あ、あざっす!」

「ハッピー・メリークリスマス♪」

 

 

そう言ってメガネの大柄のおじさんはニコニコして去っていった。おいおい。なんだこ流れは?!

日曜日ということで本数は少なかったが、30分ほどでバスはやって来た。時効は13時前。いい感じだ♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして僕はハミルトンの中心地までやって来たのだ。

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中心地らしい場所でバスを降りてみたが、オークランドに比べるとほとんど人通りがなかった。

これがニュージーランドの地方都市なのだろうか?一体こも街の1住人はどこに行ってしまったんだ?と思うほどに街は静まり返っている。

 

 

僕はバックパックを背負ったまま街を歩き始めた。

いくつかの店はやっているということがわかった。

種類豊富なアメコミを扱った店や雰囲気のいい本屋。文房具店もなかなかいい味が出ていた。というか僕は自分の趣味の延長線上にある店にしか行かないな。バーとかレストランは全然行かないしね。

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街にあったショッピングモールはそこそこ賑わっていた。

僕はモールと外の中間みたいな場所で荷物を降ろした。バックパックから画材を取り出しオークランドの時と同じように漫画を描き始めた。

 

 

僕はオークランドだけじゃなく、規模の小さな町でもバスキングを試す必要があった。一体どれほどのレスポンスを得ることができるのだろうか?

 

すぐに若い夫婦が足を止めてくれた。

僕は顔を上げるとニコッと笑いかけ?「似顔絵いかがです?値段は好きに決めていいですよ?」と言った。女性の方が「それじゃあお願いしようかしら?」と僕にオーダーしてくれた。

 

僕が顏絵を買い始めるとだんだんと人が集まり始めた。一枚描き切ると、その人は僕に5NZドルをくれた。周りにいた人から次のオーダーが入る。

 

次に僕に似顔絵をお願いしてきたのは二人の娘さんつれたお母さんだった。娘さんたちを一枚づつの紙に描けばいいらしい。

 

僕が乗って描いていると警備員が現れた。

くっ、やっぱり敷地内だったか。ニコニコしながら「ここでバスキングはしないでくれよ?」と言って、僕が日本人だということが分かると、何か日本語らしい言葉を言ったが、僕にはそれが日本語には聞こえなかった。

 

なんとか一枚の似顔絵が完成 すると、依頼人のお母さんは「あなたについて行くから別の場所でももう一人の娘お願いよ」と僕に頼んできた。

警備員によるにはガーデンプレイスと呼ばれるところでならパフォーマンスをしていいことになっていたが、教えられた場所にはほとんど人なんていなかった。というか人が集まる場所がモールの中だけなのだ。

もう一人の娘さんの絵を買いている間に、お母さんはコーヒーとマフィンと瓶に入ったオーガニックのリンゴジュースの差し入れを僕にくれた。それだけでなく15NZドルも似顔絵に支払ってくれたのだ。

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ギャラリーだと思っていたがインド人顔のお兄さんも似顔絵の依頼をしてくれた。その場にいるのは僕とそのお兄さんだけだったので、彼の分の似顔絵が終わると僕は荷物を片付けてカフェにでも行こうと思った。

バックパックを背負おうとしているまさにその瞬間に先ほどのお兄さんが戻ってきて、「この写真を描いてくれんくれないか?」と続けてオーダーをしてくれた。兄弟従姉妹が車の上に座った全体図で描くのに時間がかかった。それに始終風が吹きっぱなしだったので、描いていると間、髪がほつれて顔にかかった。

 

そのお兄さんは絵を受け取ると、僕の手に小銭を握らせて逃げるように去っていった。手には1ドルコインが一枚と50セント以下のコインが何枚かあるだけだ。

頑張って描いた似顔絵に対してちょっとしかお金がもらえなかった時は、まぁ、がっかりするもんだよ。値段はお客さんに決めてもらうシステムだけどさ。

 

 

本日最後のオーダーはスリムなマオリ族のお母さん。

息子と娘がマオリの伝統的な服装だかをして一緒に写っている写真だった。こっちはノって描くことができた。

それだけやってアガリは45NZドル(¥3,730)。まぁ十分だろ。

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けっこうな美人さんだったな。

 

 

どうやら今はクリスマス休暇の真っ最中のようだった。どうりで人がいないわけだ。

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寝るまでの時間消化はサブウェイにお世話になった。

 

21時頃に三人の娘と両親が店に入ってきた。

娘たちは忙しなく、父親がしょっちゅう「ガールズ!座りなさい!」と注意をしていた。母親は染めたことが一目でわかるテカテカした赤髪で、なぜか濡れていた。

 

その三人娘は僕と同じテーブルに着くと「ヘイッ!」と生意気な声を出して僕を呼んだ。僕が声を出すと、「女かと思った!」とケタケタ笑い出した。

あぁ、このノリはあれだよ。アフリカなんかでよくあったやつだ。アジア人を見下して笑ってる感じだな。

その三人は食事中も時々声をかけてきたが、僕は無視してiPadで日記を描いていた。こいうバカにムキになって怒っても意味はない。

 

 

22時の閉店とともに店を出て歩いていると、車がハイスピードで僕を追い越して「ハオッッッ‼︎‼︎」と奇声を残して去っていった。びっくりした。

 

 

人をからかったりおちょくったり。小さな町で王様気分か?田舎のヤンキーかっつーの。そういう狭いコミュニティで偉そうにしているヤツらは好きじゃないね。

 

明日のヒッチハイクポイントの途中にある公園にテントを張った。

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