「フリーテーマのオーダーはちょっと困るね」

▷1月6日/ニュージーランド、クライストチャーチ

 

 

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お金に余裕が持てると財布の紐もほんのちょっだけゆるくなる。

カフェなんてガンガン行くし、お菓子だってちょいちょい摘んでしまう。多い日で食費も20NZドル(¥1,658)とか行く日だってある。昨日もスーパーで7ドルくらいするサラダを買って食べた。

いやいや、サラダってけっこう重要だと思うんだよね。今、僕はこうして貧乏旅をしているわけだけれども、食までトコトン削ってしまったら、どこかで必ず体調を崩すと思うんだよ。だから食事には適度にお金を払って体の調子を整えてくれる野菜を食べようって話だよ。

 

 

 

今日の始まりはシャワーを浴びることからスタートさせた。

前回も行ったYMCAで5ドル支払いシャワーを浴びる。ナチュラルドレッドは相変わらず僕の頭のつむじ付近で絡まったままで、いくらほどこうとしても一向に元に戻らない。解いた分、小さくなっていく気配はあるんだけど、翌日になるとまた余分に絡まっているみたいだ。

「三歩進んで二歩下がる」みたいで終わりの見えないナチュラルドレッドほどき。このあと日本に帰ってどういうヘアスタイルにするのか本気で悩む。もういっそのことドレッドヘアの漫画家になろうとさえ思ったくらいだ。

 

 

シャワーを浴びて体をさっぱりさせると、そのままリスタートモールへと向かった。クライストチャーチも都市型キャンプをする上でどこに何があるのかはもう把握したよ。

 

バスキングを始める前に、リスタートモール内にあるいつものコーヒー屋さんで3.5ドルのコーヒーを注文した。

そこで日本人の男性が働いているのに今日初めて気がついた

ニュージーランドでは日本人顔のアジア人ってよく見かけるんだけど、彼が中国人なのか、韓国人なのか、はたまた日系の人なのかはわからない。まぁ、別の国を旅していても同じようなこと書いたけどね。いずれにせよ、そのコーヒー屋さんでは日本人の人が働いていたんだ。もしかしたら地震の起こる前からクライストチャーチのコーヒー屋さんで働いていて、お店が潰れてしまったから、今こうしてここで働いているのかもしれない。

『また以前のようにクライストチャーチを盛り上げていくぞ』みたいな決心とともに。漫画家の僕の頭はそんなことを考えた。

 

 

 

バスキングするポジションもいつもと同じだ。バックパックの上に腰を下ろすと漫画を描き始めた。

今日も早い段階から似顔絵のオーダーが入る。昨日ほどの忙しさじゃないけど、いろいろな人が声をかけてくれた。

中にはフリーテーマで僕に絵を描かせる人もいた。いや、実際こういうテーマで絵を描かせられると、一体何を書いたらいいのかわからない。

僕はちょっと考えて日本的なものを描くことに決めた。ちょうど今使っているのも買ったばかりのブラシペンで、筆のタッチが描けるからだ。

思い浮かんだのは「竹林」だった(ごめん、その写真Facebookにバックアップ残して、写真自体は消しちまった)

竹と言ったら竹取物語。そういや、ペルーのリマからクスコに向かうバスの中で、ジブリのかぐや姫を観たのを思い出した。

フリーテーマの時は下書きなんてしない。そのまま直感で絵を描いていく。出来上がった絵はなかなか渋い絵だった。オーダーをくれた女性も喜んでくれあみたいだ。是非枠に入れて飾ってください!

 

 

今日はまた、別の変わったオーダーがあった。あたりに人がいなくなってそろそろ引き上げようとすると、最後のお客さんがやって来た。「花が咲き乱れる道を歩いている私の絵を描いて」という不思議なオーダーだった。(ちなみに一番上の絵がその時の描いたもの)

僕が1枚仕上げると、その人はとても嬉しがってくれた。続いて「ダイヤモンドを掲げている絵は描けるかしら?」と別のオーダーもしてくれた。

話を聞く限り、去年一年は何かと大変な年だったみたいだ。ゲン担ぎの意味も込めて僕にそういうオーダーをくれたらしい。路上で絵を描いているとこういうこともあるのだ。自分が描いたということが付加価値になるような、有名な書道の先生が書いた文字には言霊の力が込められる、そんな漫画家に僕はなれたらいいなと思う。

 

バスキングを終えると、スーパーに行ってほんのちょっと豪勢な食事を買った。7ドルのサラダとかパンとかだ。

 

 

 

フードコートのテーブルが片付けられる中、ソファに座ってムシャムシャと食事を取っていると、となりにアジア人顔の老夫婦が食パンを齧っていた。

「ニーハオ?」と声がかかった。

 

 

「あぁ、すいません、僕、日本人なんですよ」

「あら、そうなの?私はてっきり中国人かと思ったわ」

 

その老夫婦は中国の上海よりも下の方にある海沿いの町で教師をしていたらしい。今は退職し、こうしてニュージーランドに旅行に来ているみたいだった。それでも、食パンをかじっているのがちょとわびしく思えなくもなかった。だって物価高いですもんね。

奥さんの方は僕にしきりに食パンをすすめてくれた。耳の部分にチーズが練りこまれたパンで生地の部分はモチモチしていてなかなかに美味しかった。

僕はちょっとだけ自分の旅の話を二人に聞かせた。二人はニコニコ微笑みながら僕の話を聞いてくれた。「いい人生ね♪」そう奥さんが言ったら。「はい。そう思います」僕は照れながらもそう言った。

 

 

 

夕飯とフリーWi-Fiを済ませると、今日もバスターミナルで充電をしながら日記を書いたり、絵は描いていた。

地元の若い子たちがバスターミナルにやって来ると、僕の近くのコンセントを使い始めた。どうやらバスターミナルは公共の充電エリアと化しているみたいだ。

しばらくすると黄色いビブスを着たセキュリティのおっちゃんが現れて、そのティーンエイジャーたちと揉め始めた。「またお前らか!」とか言っている。

僕は横目にそのやり取りを見ていたのだが、彼らはバスに乗るつもりなどはなく、バスターミナルでたむろするのが目的だったみたいだ。ビールの箱なんか持っていて、危うく没収されそうになっていた。中でも一人の女のコは口ごたえしたばっかしに、警察を呼ばれるハメになっていた。彼女はしきりに「ふざけんじゃないわよ!私のおじさんが警察なんだから!連絡して!」なんて言ってたけど、まぁ、嘘だろうな。それにもし仮におじさんは警察だったとしても、姪っ子から連絡が来てもいい迷惑だろうな。素行不良でしょっぴかれてるんだもの。

 

僕は巻き添いを食らいたくなかったので、今日は早めに寝床子に向かうことにした。

 

 

 

クライストチャーチ最後の夜。

この街が以前の活気を取り戻すにはまだまだ年月がかかるだろう。

それでも、ここにとどまり、街をリビルトしていく人たちがいる。僕はそういう人たちに会い、何か力強さのようなものを感じたのだ。

 

 


2 件のコメント

  • シミさんお金が有るなら髪を切ったら、天然ドレッドでは女の子が近寄らないわよ。

    • >yokoさん

      え⁈僕はてっきり、
      ホームレス同然の生活をしているから女のコが寄り付かないんだと思ってました!

      んーーーー、髪は旅限定で伸ばしていますのでご安心を。
      もちろん日本に帰ったらバッサリ切って心機一転です。
      もう髪の長い女のコの気持ちは嫌っていうほど分かりましたから。
      いや、あれ、ラーメンどう食べてるんだろう?

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