「ノースランドへ戻る」

▷1月9日/ニュージーランド、ブレメン〜ピクトン〜ウェリントン

 

 

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だいたい僕は公園や芝生の生えた静かな場所にテントを立てるんだけど、だいたいそういう場所は朝早くから散歩スポットになることが多い。みんな家に帰った夜遅くに寝床を探し、そして早起きした誰かの足音や話し声で起こされるのだ。

もう一ヶ月も野宿してニュージーランドを旅してきた。サウスランドに来てからは寝てから起きるまで一度も目を覚まさなかったこはなかったな。寒さで目を覚ましたり、夜中に風が吹いてフライが吹き飛ばされた音で目を覚ましたり、夜中にどっかの酔っ払いが大声を出してその声で起こされるとかそんなんだ。そんな生活に体は慣れてしまったようだ。あぁ、マジでベッドで寝たい!

 

 

朝から川沿いを散歩する人たちに起こされて僕はテントをたたんだ。まだ時間も早かったので、そのままバーガーキングへ行き、朝のWi-Fiタイムを取る。1.5ドル安コーヒーにはほんとうに助けられたよ。そうして10時まで作業をしてようやく重い腰をあげた。

今日はピクトンからフェリーに乗ってウェリントンまで戻るつもりだ。ここからピクトンまでは25kmしかない。一瞬バスで行こうかとも考えたが、やっぱり最後のシメもヒッチハイクで移動することに決めた。

 

 

この一ヶ月間、バスで郊外まで行くことはあったが、街から街への移動は全てヒッチハイクだった。

ほんとうにいろいろな人に出会った。ドライバーの親切心によるところが大きいヒッチハイクだけど、それでも、ヒッチハイクをしなければ出会うことのなかった人たちがそこにはいて、彼らは彼らの物語を生きていた。ヒッチハイクは僕のニュージーランドの旅をより濃いものにしてくれたのだ。

 

 

ピクトンまでは続く道は一本道で、僕は町を出てすぐのところにあるガソリンスタンドの前でヒッチハイクをやろうとした。すると、その場でガソリンを入れていたおじさんに「ヒッチハイクをするんならこの先にある橋を渡った場所でやるのがベストだよ」とオススメのポイント教えてもらった。地元の人の情報は有力だ。僕は素直にその助言に従うことにした。

 

ヒッチハイクポイントまで向かう途中で5ドルのチェリーを買った。以前どこかの町で路上販売されているのを見て気になってはいたのだ。これでサウスランドが最後だと思い買ってみたのだ。大ぶりのチェリーはシャクシャクとして水分をたっぷり含んでおり、日本では食べたことのない味と食感だった。やっぱりお金を払わないと得られない経験ってあるよね。特に食べ物ではさ。

 

 

教えてもらった通り橋を渡るとそこには車が止まれる十分なスペースがあった。僕は荷物を下ろすとダンボールを取りだし「Picton」と行き先を書いた。そしてものの15分で車が止まった。最後までありがとうニュージーランド。

ドライバーはジェイソンさん一家で、後部座席にはチャイルドシートに座った目の大きい男の子がいた。お子さんは生後18ヶ月になるみたいだ。その子はずっと僕のことを見ていた。ティム・バートンの描くキャラクターに出てきそうだ。

ピクトンまではあっという間だった。僕はパン屋の近くで車を下ろしてもらうことになった。車を降りる際にジェイソンさんが言った。

 

 

「何か君から霊的なもの感じるんだよね」

「それっていいやつですか?それとも悪い方ですか?」

「いや、いいほうだよ。君を見守っている感じだ。君をヒッチハイクで拾うときも何かポジティブなものを感じたんだ」

「はい。僕も時々、何かに守られているような気がするんです♪」

 

 

社内にいるときはそんな話し一切しなかったし、話題は唐突だった。ジェイソンさんは「Look after」という言葉を使った。確か世話をする、ケアするとかそういった意味の熟語だったと思う。

あぁそうだよな。僕がこうして旅を続けてこられたのも、誰かが見守ってくれてたからなんだよな。反対に、ちょっとズルいことをするとすぐにバレた。それも僕にそうさせないようにするためだったんだろう。そっか。そうだよね。いつもありがとう。日本に帰ったらすぐ墓参りに行くよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ピクトン町は観光客で溢れかえっていた。

つい先ほどフェリーが到着したようだ。カフェやレストランの席のほとんどは埋まっていた。そんな中で空いていたレストランに僕は入ったのだが、内装がしっかりしている割にはインスタントコーヒーを出すような店で、Wi-Fiも使い物にならなかった。一時間ほどで店が混み始めたので僕は外に出ることにした。

 

 

外ではバイオリン弾きのバスカーがそこそこに稼いでいた。ということはここでやれなくもないんだろう。まぁ、気楽にやってみようかな?

気楽に漫画を描いていると早い段階でオーダーが入った。中東系の顔をした家族のお父さんは調子のいいことを言って僕に二枚オーダーをくれたけど、5ドルにディスカウントしてくる人だった。思わず「え?これって一枚の値段ですよね?」と尋ねると、もう5ドルを支払ってくれた。いや、最初と言ってることが違ったんだよ。

どういうわけだか、今日は満足のいく似顔絵がかけなかったが、それでもレスポンスはよかった。似顔絵にもそんな日があるのだ。うまく書けない日が。アガリは110NZドルくらい。

えっと、写真はさ、Facebookにバックアップをとろうと思って大量アップロードしてたんだけど、ニュージーランド旅の最後の方の写真はFacebookにアップされる前位に、iPadのアルバムから消しちゃったんだよ。

てか、Facebookの写真のアップってさ、いつからあのアップロード完了までの残り時間を示すゲージが表示されなくなっちゃったんだろう?

 

 

 

 

18時時にはフェリーターミナルでチェックインを済ませた。一時間ほどで搭乗開始になりフェリーはピクトンの町を離れた。来るときは見れなかった、南島と北島との間にある景色を見ることができた。

22時にはウェリントンに到着した。フェリーターミナルには深夜の便を待つ客たちが集まっていた。11日前、僕はここにいたのだ。あの時壊れていたコーヒーの自動販売機は未だに壊れたままだった。

そこにいた乗客たちを見送った後、僕はいつもの寝場所へと歩いて行った。

明日でニュージーランドもおしまいだ。ちょっとだけ、名残惜しい。


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