▷くたびれヘッドホン

 

 

 

旅から帰ってきた僕は物欲をあまり感じなかくなった。こと衣類に関しては。

や、ちょっと、訂正します。

本買うのにめっちゃお金使ってます。あ、ただ、BOOK OFFなので、費うお金もたかが知れてますけど。

 

 

それと、中古のCD。これははずせない。

「中古レコード」って書くとなんだかハイソな趣味のように聞こえるけど、中古CDだって同じようなもんでしょう?

まぁ、レコードの方が長く持つんでしょうけどね。なんせ再生機を持っていないもので。それに高いんだろうな。そんなわけで僕は一枚もレコードを所有しておりません。

まぁね、中古CDに関して言えば一番安いやつだと300円以下で買えちゃうからね。ついつい追加で中古CDを買ってしまうんだよね。

それで、帰ってきてどうするかというと、ソニーのCDウォークマンにセットしてパイオニアのヘッドホンで聴くってわけです。ちょっとした贅沢ですね。

きっと今なら安価で音が良くて、それでいて小型のスピーカーなんて山ほどあるんでしょうけど、僕は相変わらずヘッドホンを使っているわけです。

なぜか?

 

 

それはヘッドホンがスピーカーとしても役に立つからでしょう。

え?僕だけですか?

音量上げてヘッドホンから音流しているのって?!

 

 

 

 

 

 

 

というか、

今だったら音楽ならスマートフォンに入るし、スピーカーも内蔵されているから、多くの人はスピーカーなんて買う必要なんてないと思うけど、僕が高校生の時はそんなのはなかった。

音楽を持ち運ぶプレーヤーは最初はMDプレーヤーだった。高校に入ってしばらくしてiPodを買った。iPodも当時は『これに音楽のデータが何千曲と入るのか!!!』と、僕にとっては衝撃だった。

当時のiPodはイヤホンを差し込むジャックしか搭載されていなかったので、自分の耳から離れたところで音を流したい時は必然的に音量を上げることとなった。ダンスなんかを練習している子たちはちゃんとスピーカーを持っていたが、僕はちゃちな音の割れるイヤホン・スピーカーで全然構わなかった。

使っていたイヤホンはTSUTAYAなんかに売っている1500円くらいの安物のイヤホンだ。部活やっている高校生の雑なライフスタイルじゃイヤホンなんてすぐに壊れてしまうから。

 

 

 

 

 

 

 

ある時、

僕は塾の自習室にいた友達がヘッドホンをスピーカー代わりにしているのを見つけた。

そこは駅から徒歩2分にある雑居ビルの四階にある小さな塾だった。個人が経営しているわけではなく、関東一帯のあちこちに同じような塾があるみたいだった。

授業内容は大したことはなかったが、自習室は塾が開いている間はずっと使えるようになっていたのはありがたかった。なんせ僕は自宅では勉強ができないグズな学生だったからだ。高校生の時は僕はそこを頻繁に利用していた。

だいたいいつも授業が終わると10分かそこら、同じ塾に通う友達や講師たちと喋ってから帰っていた

たぶんその友達は授業が終わった後にヘッドホンをスピーカーにしていたはずだ。

 

 

 

 

彼の父親は音楽に関わる仕事をしていた。

音楽のレビューを書いているとも聞いたことがあった。そして若かりし頃はミュージシャンとして活動してた時期もあったらしい。

そんな彼の父親は自分の息子に音楽にちなんだ名前をつけたが、彼自身は音楽を仕事に選ばなかった。今では某有名文芸雑誌で働いているはずだ。「音楽は仕事ではなく楽しむもの」というのが彼の考えだったのかもしれない。

彼の家には何度か遊びに行くことがあった。遊びに行くと言っても彼の狭い部屋で少し話をして本かCDを借りるくらいだったけれど。

家には大量の音源があり、本もたくさんあった。

 

 

 

 

そんな彼が使っていたヘッドホンは当時、CDショップの試聴機でよく使われているのと同じ型だった。

 

 

オーディオテクニカ、ATH-PRO5MK、DJモデルヘッドホン

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それが彼の使っているヘッドホンの名前だった。8000円くらいするやつだ。

値段自体は同社のヘッドホンと比較すると高い方ではないが(だって2〜3万とかゴロゴロあるぜ?やばいっしょ!)、

当時僕たちは高校生だったのだ。高校性にしてみればいいヘッドホンを使っていたということがおわかりいただけるだろう。

僕はなんだかそれが羨ましかったし、『やっぱりあいつはセンスあるなぁ..』と心の底では感心していた。

 

 

 

 

それから僕は浪人時代を経て大学へと進み、アルバイトをするようになっていくらか自分で使える金が増えると、彼が使っていたものと同じCDを買い求めた。19歳か20歳くらいのことだ。確か町田のヨドバシカメラで買ったんだと思う。

僕が高校生だった当時は彼の姿がヘッドホンをつける姿をカッコイイと思っていた。

 

 

だが、実際に自分で使ってみるとヘッドホンっていうのはファッションと同じで、以似合ったり似合わなかったりすることが分かった。

ショックだった。

『あ…、おれヘッドホン畑の人間じゃないんだ..』

って。

結局、彼と同じヘッドホンを買ったはいいものの、その後、外に持ち出して使うようなことはなかった。

幸いなことに、ヘッドホンを着用している自分の姿を自分で見ることはない。だから家では存分に気兼ねなく使うことができる。

 

 

 

 

そして僕は今でもそのヘッドホンを使ってる。

イヤーパッドはとっくにはがれてしまったが音には問題はない。いろいろな音楽がこれからもこのヘッドホンから流されることだろう。

物欲はごく限られたものにしか湧かないが、今のところスピーカーを買うという選択肢は僕の中にはない。

さすが日本製と言わざる得ない。あとなん年使えるんだろう?壊れるまで使ってやろうと思う。

 

まぁ、良い音の出るスピーカーでいつも聴いているCDを聴いてみたいって気もするけどさ。

 


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ABOUTこの記事をかいた人

「旅する漫画家」。世界一周後(2013-2016)、現在は海沿いの町に潜伏中。そろそろ旅がしたいぞ!