フジロック最終日⑤

 

 

 

 

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グリーンエリアに着くと、そこでは多くの人たちが首を長くして次のアーティストの登場を待っているところだった。

グリーンステージの次のアクトは“YUKI” だ。

 

 

どういうわけだか今年のフジロックは僕の10代の黒歴史思い出を想起させるアーティストたちがたくさん出ている。

ゴリラズやレキシ、そして細美さんなんか。彼らの音楽は今でも聴いている。思い入れのあるアーティストってそれが自然な距離感なのだろう。聴き込む期間が長いからこそ、自分のストーリーも曲とシンクロしていくのだ。また、それだけ人から愛されるアーティストだからこそ、活動期間も長いのだと思う。

まぁ、僕にとってYUKIとは、長澤まさみ目当てで見に行った「タッチ」の主題歌を歌っていたアーティストであり、アニメ「ハチミツとクローバー」の主題歌を歌っていたアーティストであり、なんなら「るろうに剣心」のヒットチューン「そばかす」を歌っていたボーカルでもある。JUDY AND MARRYのベストアルバムだって持ってる。

とりあえず「ふがいないや」聴いて。

 

 

 

 

そんなYUKI目当てにお客さんたちがグリーンエリアに集まるのも無理はない。

僕は足を止めてYUKIの登場を待った。

 

5分もしないで、歓声が沸いた。

ステージから羽がもっしゃもっしゃした小柄な女性が元気いっぱいに飛び出てくる。

あぁ、YUKIは全然変わらないなぁ。栄養士の資格を持っているらしい彼女は、ほんとうにアスリート的な体をしている。ナイキのCMに出てくる筋肉質な体だとかそういうんじゃなくて、アーティストとして動ける体ということだ。

曲は最近のものから懐かしいものまで。

元気いっぱいのYUKIに僕は見とれてしまう。

あぁーー、YUKIちゃー

 

 

 

 

 

 

「YUKIちゃん、やっぱ可愛いわぁ〜〜〜〜…」

 

 

 

 

 

そう言ったのは、僕の目の前でキャンピング用の椅子にどかっと腰を下ろしている40代くらいのおっちゃん二人だった。

白髪の混じったおっちゃんがビール片手に言うセリフは、彼らのリスナーとしての歴史を僕に感じさせた。

その口調は姪っ子に5年ぶりくらいに会ったおっちゃんのそれに似ているような気がした。

だが、よく考えてみれば、40代である彼らはYUKIと同世代である可能性だってある。自分たちだけおっさんになってしまって、現在目の前のステージ上を駆け回っている用紙の変わらない女のコ(と言っても差し支えないだろう)を目にしたら、そりゃ「アイツ今でもかわええわ〜〜..」っていう感慨に浸るだろう。

うん。そっちの方がありえるな。

 

4曲ほど聴いた僕は、オアシスエリアにあるボランティアスタッフ本部に戻ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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最終日のシフトはとても短いものだった。

というのも、僕たちは前夜祭から活動しているからだ。活動時間を均すためにも、そういう時間調整が行われているのだろう。

 

 

集合時間になったからと言ってすぐに活動が始まるわけではない。

まずはみんなでお弁当を食べる。なんだか遠足みたいだね。

中には弁当なんていらないから、ライブを見せてくれっていうヤツもいるのだけれど、だいたいのボランティアスタッフはお弁当を食べるために集まる。

今回の僕のテーマは、できるだけフジロックの飲食店に行くことだったので、弁当を無理やり腹に入れることもあった。

どういうことかっていうと、どっちも食べたってこと。

 

 

 

 

最終日のお弁当は豪華だった。

牛肉と豚肉そして白米(ちょっとの野菜)という炭水化物に脂質というスタミナ弁当

 

 

 

そうなのだ。

フジロックのお弁当は不味くはない。

だが、明らかに栄養バランスがおかしいのだ。YUKIちゃんだったら顔をしかめること請け合いだろう。

「とりあえず肉くっとけば体力つくから!」という楽観的な考えが反映されているとしか思えない。

僕は野菜が食べたいのに..

 

 

考えてみれば、フェスの飲食店自体がそのようなものばかりなような気もする。

栄養というよりも、いかに味がはっきりしていいて(濃くて)、美味しいと感じられるか?脂っこくて、ギトギトしたものが好まれている。

それゆえ、スタッフ用のお弁当がそういう風になってしまうのも無理はないだろう。

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うめっす。

 

 

 

 

 

 

ブルーシートの上でお弁当を食べ終わると、なぜだかこのタイミングでアイスブレイクが始まった。

アイスブレイクとは、初対面の人たちが緊張をほぐすためにやるレクリエーションみたいなもので、活動最終日にやるのはなんだかおかしかった。

 

内容は「ヒューマンチェーン」という人間知恵の輪だ。

班員全員が話になって手を中央にかざし、誰が誰の手かわからないような状況で、手をつなぎあう。それをほどいていくというものだ。ほどき合う前に、知恵の輪がちゃんと繋がっているかを確かめるために隣の人から手を握られたら、反対の手を握り返すということをやる。

 

 

ナイト班は2班あったため、今回は対抗戦。

どちらの班が早く解けるかを競い合うことになった。早く解いた班には商品が出るらしい。

 

 

 

 

フジロッカーっていうのはいわば同心の塊みたいなヤツらだ。

っていうか、遊び心を忘れた人間はここにはいない。

みんなできゃっきゃと言いながら、知恵の輪を解きにかかるのだけれど、人数が多いためになかなかほどけない。

そうこうしているうちに隣の班が先に知恵の輪を解いてしまった。反則があったみたいで、この勝敗はうやむやに。

ここまでやって、ようやく本日の活動がはじまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

最終日の活動はごみ資源の分別ナビゲートの他にもうひとつある。

それは集めた資源をひたすらに再分別する作業だ。

 

 

会場内では資源を集めてきたが、中にはそれ以外の物が混じってしまっていたり、汚れてしまっていて、資源ごみとして回収できないものもあるのだ。

それを時間の許す限り分別し直すのが、最終日の活動のひとつである。

去年も同じだった。

 

 

 

 

この再分別ははっきし言ってしまえば楽な作業でもある。

本部テントでパイプ椅子に座りながらぺちゃくちゃとおしゃべりしながら分別していればいいのだ。

 

 

だが、考えてみてほしい。

ずっと同じ作業が2時間ほど続くのだ。

最初は楽しいかもしれないが、だんだんとその単調作業に嫌気がさしてくる。

こうなってしまったら、作業に集中して無言になってしまうか、もしくは「山手線ゲーム」なんていうのが始まるかに決まっている。

はっきし言って、僕はこのしりとり的な遊びが好きじゃない。

 

 

 

 

 

 

「は〜〜〜い!それじゃあ、場外のナビと資源分別、みんなどっちがやりたいですか〜?」

 

 
コアスタッフがみんなに声をかける。

だいたいこういう時はみんな楽をしたがるのだが、なぜだか、今回は場外を志望するヤツが多かった。

 

声をかけたコアスタッフたちが驚いた顔をしていた。まさか楽をしたがらない人間がいるだなんて!そんな顔をしていた。彼らがいうには、どうやって資源分別を志望するヤツを場外に回すかに知恵を絞っていたらしい。や、僕はあの単調作業をしながら山手線ゲームをするよりかは外で体を動かしていた方がいい。

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まさかじゃんけんまでして場外に行きたいだなんて!

 

 

 

 

場外を志望したメンバーたちとともに向かった先はキャンプサイト脇のごみ箱だった。

だいたいシフト始まりの際にはごみ箱は目も当てられないような散らかり具合になっている場合が多い。

僕たちはそれを予想して構えていたのだが、なぜだか最終日はごみはほとんど入っていなかったし、それにきちんと分別されていことがわかった。

 

 

なんだか正直者が報われたような気がした。

べつに僕はごみの分別をしてもよかったのだけれど、ちょと拍子抜けでもあった。

 

 

最終日の活動はあっという間に終わってしまったのだ。

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