▷各停電車のぜいたく

 

 

 

時間調整があまりうまくない僕は、たびたび到着予定時間よりも早く家を出てしまう。

時間調整が下手くそな原因は、僕が時間に間に合わないことを極端に恐れているからだろう。

 

 

 

 

特に電車に乗ってどこか行く場合は駅に早めに到着してしまうことが多い。そういう時はどこで時間をつぶすか困ってしまう。

もし30分そこら早まってしまった場合には目的地に早く行ってしまってもいい。遅刻するよりはマシだからね。

ただ、時間が一時間以上空いてしまった場合、どこでどんな風に時間を消化するがが問題になってくる。

どこかに寄り道をするのもいいだろう。

ただしこの場合はちゃんと頭の中で自分の行動がイメージできていないとダメだ。「世界堂」などの文房具店に行ってしまったものなら、きっと僕は予定以上に時間を使ってしまうに違いない。本屋でもそうだ。BOOK OFFなんて行こうものなら時間なんてあっという間に過ぎてしまう。

僕は腕時計を持っていないので、こまめにiPadで時間を確かめなければならない。

 

 

新宿を経由して都内に出て行く時やっかいだ。

最近は小田急線の快速急行の本数が増えたので、20分くらいであっという間に地元の新百合ケ丘から新宿まで行くことができる。

そんなふうに時間が余ってしまった時、僕は『自分の部屋で作業をしていたらよかったな。どこかに勉強机があれば何かしらの作業ができるのにな』と考えてしまう。

そして、『まぁ、これも読書の時間だと思えばいいじゃないか』と気持ちを切り替えるようにしている。

 

 

 

 

 

 

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昨日もそうだった。

行き先は目黒で行われる「路地裏dining」というイベントで、僕はそこで17時から似顔絵を描くことになっていた。

15分前には会場に到着していたいが、地元の駅に到着したのは1時間15分前。

改札を抜けてしまった以上僕は電車に乗らなければならなかった。自分でもどうしてそんなに時間を余らせておきながら改札をくぐってしまったのかがわからない。こんなことならBOOK OFFに行っておけばよかった。

 

 

その時、僕には3つの選択肢があった。

1)快速急行であっという間に新宿にGO!!!(いつものパターンだ)

2)急行に乗ってやや時間調整をする(快速急行の場合とあまり変わらない)

3)各停に乗ってまったりと行く(これ、いいじゃん)

 

 

新宿まで向かうのにわざわざ各停を使う。新百合ケ丘から新宿までの23駅のひとつひとつに停まりながら。

これってすごく贅沢なんじゃないだろうか?

時々気がむいた時に僕は各停電車に乗る。とてつもなく座りたくて時間を気にしなくていい場合なんかもそう。だいたいそういう時は読書をして時間を過ごす。僕はその時間が嫌いじゃない。

とりあえず腰を落ち着けられる場所を見つけてそこに座る。

膝の上にバッグを乗せて文庫本を取り出す。

そこからの45分は密度の高い時間だ。時間そのものも気にならないし、本の世界にすぐに入っていくことができる。

 

 

 

 

 

 

各停電車に乗っている利用者は(快速)急行に比べると少し異なる。

どうやら各停電車を利用する客は学生が多いみたいだった。確かに急行に乗っては行くことのできない大学駅なんかもある。

時間帯にもよるのだろうが、彼らはあまり急いでいる感じがしない。

 

 

中学生たちは仲良く座席に並んで座ってゲームに熱中していた。「くそっ!」と一人の男の子がはっきりとした声でそう言った。僕は思わず吹いてしまう。だってそんな姿ってなんだか微笑ましくないか?僕に電車通学する時代はなかったが(きっとどこかの私立校に行っているんだろう)友達とあんなふうにゲームをすることはあったから。

 

途中、僕の隣に女性は座席に着くやいなや頭に整髪料をペタペタとつけ始めた。独特の匂いが鼻についた。そこまで熱心に人を観察しているわけではいので、彼女がどれくらいの年齢なのかはわからない。ただ、今髪の毛をセットしなければならない理由はあるのかは疑問だ。

 

 

視界の端に移る目の前の席に座る女のコがチラホラ視界に入る。

黒だか紺だかわからない色をしたコーディネートで全身を固めているせいだ。そのくせなぜかハンドバッグだけは白だ。電車の中にいるとすごい目立つ。まるで車内でカラスを見ているみたいだった。ああいう服装をするからには何か信条みたいながあるにちがいない。

 

 

入り口付近に立っている大学生(男)は友達に「お前ならできるよ!」みたいな言葉をけけていた。ニュアンスとしては「大丈夫さ」「なんとかなるよ」くらいの軽いものだった。まぁ電車の中でする会話なんだからその程度のもだろう。

 

 

僕の反対の隣に座った女子大生は明治大学の理学部に通う二人だった。

一人暮らしをしているのか、WiFiの利用速度や速度制限について話したかと思うと、ノーベル文学賞をボブ・ディランが受賞したことを少し話していた。

なんでもノーベル文学賞を受賞した報告をしようと思ったらボブ・ディラン本人に連絡が取れなかったという話だった。

「家で寝てたらしいよ」と速度制限を気にしながらもスマートフォンをいじくっている女の子は言った。まるで彼女がボブ・ディランに直接電話したような言い草だった。いや、マジで僕はそう思ったんだ。『お前何者だよ?!』って(笑)。

もう片方の女子大生が言った。

「ツアー先の時差があったんじゃない?あっ、そう言えばうちのお父さん『ボブ・ディランのライブ行った!』ってはしゃいでたわ(この子の頭の中では4月の来日公演と現在がごっちゃになっている。現在ディランさんは日本にはおらずスウェーデンにいた)

 

 

 

 

昼下がりの各停電車に乗った僕はピースフルな気分を味わっていた。なんならそこでビールでも飲んでいたのであればさらにいい気分になれたに違いない。

 

こういうのって贅沢なんだと思う。

ちょうど本も一冊読み終わったし、いい時間帯に新宿に着くことができた。

そのせいもあってか「路地裏dinig」での似顔絵も今日は盛況だった。

 

昨日はありがとうございました。

次回は11月4日の「VALI NIGHT(バリ・ナイト)」での出店でございます。

その前の日に昼間から「クリエーターズ・マーケット」というフリーマーケット的なイベントもあるので是非そちらも遊びに来てください。

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

「旅する漫画家」。世界一周後(2013-2016)、現在は海沿いの町に潜伏中。そろそろ旅がしたいぞ!