フェスも終わり、野外でのイベントも落ち着いた冬のシーズン。
冬は僕にとって絶好の漫画を描くいい機会になった。
僕は自分の部屋で漫画を描き続けていた。
ご存知の通り僕はプロの漫画家ではないので、プロのようなことは言えないのだけれど、僕個人の感覚として言わせてもらうのならば
(あぁ、今酒飲んでナッツ喰いながら文章書いているからくどいな)
漫画を描くのにはリズムがある。
これはきっと漫画だけじゃなくて何かを創り出す仕事はそうだと思う。
製作活動には「リズム」や「ノリ」を掴むことがすごく大事だ。
創るまでは大変だったり、時にはライターズ・ブロック(製作活動に気持ちが向かないこと)なんかにぶち当たったりする。
だけど、それさえ乗り越えてしまえば、あとは創ることが楽しくなっていく(のはなぜだ?!)
注意しなけばならないのは、その「リズム」や「ノリ」を失ってしまうことだ。
たとえば僕の場合、ノって漫画を描いている時に「そろそろメシの時間かなぁ?」だとか「フロにでも入ろうかな?」とか時間を気にして作業を中断してしまうと、今まで作りだしてきたグルーヴを逃してしまうことが多い(「グルーヴ」ってなんかかっこいいね!)
まぁ、ご飯やお風呂くらいだったら、またノリを生み出せばいいのだけれど、もしくはいい波に乗ればいいのだけれど(たぶんここらへんはサーフィンに通ずるところがあるのではないだろうか?まぁ、僕はサーフィンなんてやったことないけどさ)
時間を空けてしまえば空けてしまうほど、その時感じていたいい流れ/波に再び乗ることは難しくなってくる。
ノリやリズムをつかんだら、それを離さないこともまた大事なのだ。
もちろんそれ以外に漫画を描く上で僕は色々なことを感じる。
プレッシャーやらコンプレックスやら不安やら。っていうかさ、これって漫画を描き始めた時からちっとも変わってない!
ちょっと話は逸れるんだけど、ついこの間「SCHOOL OF LOCK」を聞いていてら、中田ヤスタカが出てたんだよね。彼が言っていたんだけど、
「曲を創る時は毎回『やりたくないな』って感じる」
らしい。
『前回よりいい曲ができるかわからない』と彼は言っていたんだよね。
おいおいおマジかよ?!あんなサクサク曲作っちゃうようなプロでさえそう思うのって僕は思った。
自分の選んだ道をどう進んでいくか。
人とは違った道を選んでしまった僕がどういう風に生きていくのか?
散々悩んだ挙句、結局は「描くしかない」ということに気づく。いつだってその繰り返しだ。もういいよ。そういう泣き言は。さっさと描けよ。
でも、落ちる時はやっぱり落ちてしまうものなのだ。
そして漫画を描くことに気持ちを向ければ向けるほど、僕は孤独になっていった
「一体おれは何をやってるんだ?」って一日に何度も思う。
Asian Kung-Fu Generationのボーカルである後藤正文(通称ゴッチ)が脱サラをしてバンドをやり始めた時に行ったセリフがある。
「おれたちは幸せになれないだろう」
きっとこれは「バンド活動を続けていくのであれば、自分たちは人並みの幸せを手にすることはできないだろう」と言っているのではないかと僕は解釈している。
まぁ、でもそれはバンドを結成した当初の話であって、今はまぁ、ご存知の通り日本のロックを牽引するビッグバンドになったわけだから、幸せっちゃ幸せじゃね?と僕は思ったりもするのだけど。
漫画はー、アシスタントや原作、作画がいたとしても、結局は自分一人で生み出していくものだ。他の人は違うかもしれないけど、友達とぺちゃくちゃおしゃべりしながら物語を創ることなんて僕には不可能だ。
後悔はしていないけど、最近僕はよく思うんだ。
「おれは一体なんて職業に就こうとしているんだ?」って。
まだまだ僕の漫画のレベルは商業誌と比べれば到底及ばない。圧倒的に描く量が足りない。だから僕は漫画を描く。
だけど、描けば描くほど、僕は一人になっていく。
ブログも描く余裕なんてなくなってしまった。
SNSもやらなくなった。
LINEだって見れなくなってしまった。
ごめん、そんなすぐにレスポンスなんて返せないよ。
だから通知も切ってしまった。
そうするとせっかく連絡をくれた仲間たちは返信をよこさない僕に対して腹を立てたりする。
あぁ!もう!一人にしてくれよ!おれは描かなくちゃいけないんだよ!描かなきゃおれの未来はないんだよ!
「旅漫画を描く」なんて言っているけど、自分の表現したい世界観はまだまだ再現できていない。
記憶は、自分では薄れていっていないつもりでも、時間が経つにつれて少しづつ薄れていってしまっているのかもしれない。
僕はそれが怖い。頼りは記憶をとどめた三年間を綴ったこのブログだけだ。
漫画製作に集中していたとしても、流れを見失ったりして落ち込んだりもする。
自分のやりたいことをやるって本当にキツいな。だんだん何が楽しいのかもわからなくなってきちまう。
別に僕は働きたくないわけじゃない。
漫画を描くことを職業にしたいのだ。
でも、そこには僕のエゴもある。自分の描きたいテーマをもってして漫画を描きたいのだ。一体だれが「旅漫画」なんて読みたいのかわからない。だけど僕はそれを読んでみたい。自分の頭の中にしかない旅漫画を。
いやぁ、音楽やってる人ってすごいよ。尊敬するよ。心から。
その背景には僕なんかの想像が及ばないほどの努力があり、重圧があり、レーベル側と自分たちが表現したいことの間に葛藤があるんだろうけれども、楽しそうに自分の曲をぶちかますアーティストたちを見ていると、自分だってそんな風に漫画を描きたいと思うのだ。
「ぐだぐだ考えたって仕方ないんだよ。そうだよ。やるしかないんだよ。やるしか」
そう考えて僕は冬の間はずっと漫画を描いていた。
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