泥のように眠ったはなし

 

 

フジロックに設置するごみ箱のペイントを終えたあと、

僕は一気に体の力が抜けたような気がした。

もしかしたら明日は疲れがドっとでてバイトもキツいかもしれないな。

僕はそう思った。

そうだ。明日はバイトを休もう。

念のため、前日にバイトを休むLINEを社員さんに送っておいた。

そこでふと考えた。

 

 

 

月曜日は忙しい日だ。

たとえ、僕がまだまだ使い物にならなかったとしても、雑務をこなす人間は一人でもいた方がいいはず。

きっとみんなは遅くまで残って仕事してるんだろうな。

バイトがーーー…

と考えて僕はふと思いとどまった。

 

 

 

 

考えてみれば、

僕は何かに所属すると、いつも同じようなことを考えては、ちょっと無理してきたなと。

特に世界一周の資金を集めるために働いた串焼き屋さんなんてまさにそれだった。

社員さんと同じくらいシフトに入り、まるでそこで手厚い保障でも受けている対価のようなマインドになっていた。

 

 

やる気を出して働くのはいいけれど、所詮僕はバイトでしかない。

そこの線引きを忘れてはいけない。

バイトは確かに気分が楽かもしれないけれど、その分リスキーだってあるのだ。保障とかは会社勤めをしている人ほど厚くない。もちろん低所得だ。

 

それに、休みたいのに休めないのも考えてみたら変な話だ。

僕はなにもサボるわけじゃない。最大の資本である自分の体のマネジメント。コイツがダメになってしまっては元も子もない。

 

そして一番忘れていけないのは、僕は漫画を描きたいってこと。

お金を稼ぐのは楽しいし、あればなんだか安心した気分にさせられてしまうけど、大事なのは少ない生活コストで、自分の時間を最大限に作り、そこで作品作りをすることだ。ブログだってそうだけどね。これもいつかーーー、、、

なんて取らぬ狸の皮算用はやめにしよう。でもデータを残して置くことは大事ね。

 

 

まぁ、でも、「この日は働きます」って言ってシフトを作ってもらっているようなものだから、いきなり休んでしまってごめんなさいではあるよね。

みなさん、忙しい月曜日に休んでしまって、ごめんなさい。

 

 

 

翌日の朝早くにいつものコインランドリー前でLINEを確認すると社員さんから「今日は休んでも大丈夫だよ」と返信があった。

僕は安心して家に引き返し、寝袋にくるまった。

 

 

 

 

 

 

 

そしてーーーー、、、

 

 

 

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起きたのは何時だろう??

 

 

 

何度か目を覚ましては再び眠りについた。

人間ってこんなに寝れるんだっけ?っていうくらい眠っていたと思う。

夢もみなかった。ただただ眠っていた。

起きなきゃなぁと思っても体が動かなかったし、なにより活力が湧かなかった。

 

そうか。自分でも気づかないうちに疲れが溜まっていたんだ。

三日間も倉庫に閉じこもりっぱなしでロクな食事も取らなかったし、風呂にも入ってなかったしな。それにやっぱコンクリートの上に寝るってさすがに睡眠の質も落ちるよね。やるんだったら、せめて時間を決めて、ちゃんと体を休ませる場所も別に必要だよね。

そうい風に考えるのはやっぱりアスリート的。

それなら何日かに分けてペイントをした方がよかったのだけれど、今回は限られた時間で作品を作り上げなきゃいけなかったから、それはそれで仕方のなことだ。

無理をして作品を作った分、休息も必要ってことなんだろうな。

わかりきったことだけど、夜通し描いたっていいことないよ。

 

 

 

16時に目がさめたけど、それでも動こうという気分にはなれなかった。

僕はソファの上で村上春樹の「遠い太鼓」のページをめくっていた。

 

 

「遠い太鼓」というのは村上春樹が奥さんと一緒にヨーロッパを三年間放浪しながら小説を描き上げた時の紀行文だ。あの「ノルウェイの森」もその旅の途中で生まれた。当時はワードプロセッサーなんてなかったらしく、手書きで原稿を書いていたらしい。

この紀行文は僕から言わせてもらえば実にブログ的だと思う。

いや、当時はそこまでパソコンもオープンに開けていなかったから、ブログなんてなかったし、ましてや自分の私生活や思いをつらつらと書くという行為もあまりなかったんじゃないかなと思う。エッセイとかはあったけどね。

 

まぁ、いいや。僕がすごいなぁって思ったのは、作者が体験する出来事が鮮明なリアリティを持って描かれていたってことなんだ。

どこそこあるホテルの支配人がどうだったとか、他に泊まっていた客がどんなに迷惑極まりないヤツだったとか。周囲の様子だとか、ちょっとしたハプニングだとか。食べ物が美味しかっただとか。ワインの銘柄とか。目的地へ向かう途中のドライバーとの会話だとか。

よくそんなに細かく覚えているよなと思う。

そこに書かれたこと全てが真実ではないかもしれないけど、そうやって詳細に出来事を書き記すことができるのはやはり小説家ならでだなと思うのだ。

だって、僕だってそれでこそ、こうしてブログなんぞ書いているわけだけれども、記憶全てを文章に置き換えられるわけじゃないからね。

Macのタイムマシーンみたいに100%のバックアップをとることなんてできっこないのだ。

そう考えると、忘れてしまっていることの方がもしかしたら多いんじゃないだろうか?

 

 

新しい生活が始まって早くも4ヶ月が経とうとしている。

もう夏がやってくるのだ。

時間が加速度を増しているのがわかる。

 

きっと、この夏も色々あって一瞬で終わってしまうのだろう。

そしてその分僕は歳をとる。

 

 

人がいつ死ぬかなんてわからない。

今日が人生最後の日かもしれない。

もしー、

僕の人生が今日で終わりだったとしたら、

あっさりとそれまでの人生を受け入れられるだろうか?

 

 

そういう意識を持って日々を生きなくちゃだめなんだ。

一日一日が記憶に焼きつくような、そんな人生を生きなくちゃ。

 

 

 

15時間近く泥のように眠る日だってある。

その日をどんな日にするかだって自分自身によるんだ。

僕がここに記しておいた以上、未来の僕は過去の僕を覚えていられるだろう。

 

 


2 件のコメント

  • お疲れさま。がんばったね〜。
    充分な休養のあとはおいしいもので
    栄養補給しなくちゃ
    で、またいいお仕事ができる

    • >ヴィセンテ伊藤美由紀

      そうですね〜〜。
      やっぱりバシッとした製作には
      きちっとしたルーティンに落とし込んだライフスタイルが大事だと思います。
      睡眠もおざなりにはできないですね。

      うん。睡眠大事です。
      からだに「あとどれくらい睡眠が必要!」ってメーターがあればいいんですけど..。

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    「旅する漫画家」を目指す、清水陽介(シミ:24歳)の世界一周ブログです。