スキャンし忘れた!まぁ、読めなくもないでしょう。
久しぶりにあった友達のあだ名は
「マカロニ」
だった。
「久しぶり」というほど頻繁にあったこともなければ、「友達」というほど親しい間柄でもなかった。僕とマカロニとの出会いはボランティアつながりだった。
そんな彼が今、個展を開いているらしい。
場所は井の頭線、新代田駅の目の前にあるカフェ「RR」の二階。
右側のお店です。
そして展示しているのはなんと
ハンガーだというじゃないか。
ハンガーってあの服をかけるために使うあれだよな?
一体誰がわざわざハンガーを見に来たりするのだろうか?
入場料はコーヒー1杯。
ブレンドコーヒーを注文して、ハンガーが展示してある二階へと登っていくわけなのだが、もうすでに二階まで続く階段の壁にはいくつかハンガーがかけられてあった。
二階に辿りつくと、綺麗にハンガーが飾られている。
彼に言わせれば、ハンガーをかける釘にまでこだわったそうだ。
マカロニは展示場の住人のようにそこで待っていた。
いつも仕事終わりにここに来るそうだ。
もともと骨董品や雑貨が好きというマカロニ。
ちなみにあだ名の由来は、ボランティアの活動中に自分のお弁当にマカロニが入っていなかったことに対して、本人は軽いウケ狙いのつもりで大げさなリアクションをとったつもりが、その後の自分のあだ名になってしまったのだとか..。
展示してあるハンガーはこだわりの一品ばかりだった。
日本製のものもあれば、ヨーロッパで使われていたヴィンテージのハンガーなんてものもある。
十字架に似た木製のハンガーは、丈の長いドレスをかけるものだった。高い場所に吊るしておけるようにえがついたというのだ。
「でも、これ、絶対狙ってたよね♪」
と僕たちは中学二年生のように遊ぶ。
全員27歳。こういう歳の取り方もありだよな。
ふと思い出したのは、
僕とマカロニはこれで会うのが二度目ということだった。
それなのに、どうして僕たちはここまで近いしものを感じられるのだろうか?同年齢って本当不思議だ。
また、それはマカロニがこだわりのあるヤツで、自分の世界を表現しているヤツだったってのもあるだろう。
ギャラリーを開くのにも、いろんな準備が必要だ。場所を抑えるもはもちろんのこと、フライヤーを作ったり、それをいろんな雑貨店においてもらったり。物販用にTシャツまで作っていた。一人でやらなければならないことは多かっただろう。
マカロにから学んだことはいくつもある。
僕もただ漫画だけ書いていればいいわけじゃないってことだ。傷ついてもいいから、出版社にぶつかっていかなきゃならないんだろう。
後日、マカロニから連絡があった。
「シミに吉報だよ。もしかしたら個展が開けるかもよ?」
早とちりってやつは誰にでもあるものんだ。もちろん僕にだって。
けど、その頻度、思い込みの激しさは人よりも強いと思う。
うん。漫画家の妄想癖と言ってもいいかもしれないな。文面以上のことを想像しちまうんだよ。今回もそうだ。
前回の個展を訪れた際に、紙コップに落書きをしたのだけれど、それをカフェのマスターが気に入ってくれたというのだ。
「これはチャンスかもしれないよ?」そうマカロニは言った。確かにそうだ。
まさか無名の漫画家の僕がいきなり個展なんてやっちゃっていいのか?というためらいもあったのだけれど、チャンスの神様は前髪しか生えていなくて、彼が通り過ぎる前にその前髪をしっかりつかんでおかないとチャンスは逃げちゃうのだと、どこかの本に書いてあったきがする。なんだったけかな?
マカロニからそんなメッセージを頂いたものだから、僕は日本に帰ってきてから仕上げた原稿用紙や、描きかけのもの、手もとに残している似顔絵なんかをまとめて井の頭線新代田駅前にあるカフェ「RR」まで向かった。
下北沢から井の頭線に乗り換えるのはお金が余分にかかるので、下北沢駅から新代田までは歩いて向かった。せいぜい5〜6分くらいの距離なんだよ。そんな遠くない。
店についたときは、マカロニの姿はまだそこにはなかった。
店にはご主人と奥さんの二人がおり、僕のことを覚えていてくれたようで、僕はとりあえずコーヒーを注文した。
「前回も安田くんの個展にいらしてましたよね?」
奥さんが僕にそう声をかけてくれる。
どんな風にこのあとの会話を運んでいくのか、精一杯頭を回転させる。なんせ店の二人とは前回ほとんど会話もしたことがないから、ちゃんと話すのはこれが初めてだ。
「ええっとー..、
前回ここに来た時に紙カップにイラストを描いたんですけど、それをご主人が気に入ってくれたと安田くんが教えてくれましてー..。それで、個展を開かせていただけるかもしれないと聞いたものでしてー…」
ご主人がにっこり微笑んで言う。
「そこまでは言ってない」
そこまで「ブツッ」と言い切られてしまうと僕もどうしていいのか分からない
え?!だって個展ができるかもって聞いて来たのに。無駄足だったってこと…??
早とちりってのは実に厄介だ。
自分が思い込んで行動したのに、相手は全くそんなことを思っていなかったのだから。こんなに自分の気持ちが先走っちゃって相手に伝わらないことほど哀しいことはないね。って僕は何を言っているのだろう。
そういうわけで僕はマカロニがカフェに置いておいた「DJアゲ太郎」を読みながら、適当にお二人と話し、マカロニが姿を現わすのを待った。
いや、これは考えようによっては傷つく練習みたいなものだったのかもしれない。こういう風に上手くいかないことを乗り越えて人は成長するんだろう。
うん。いいこと言った。おれ。
描いた漫画はマカロニにプレゼント。そんかし、ラムチャイごちそうになりました♪
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