孤独なペイントの話 1

 

 

金曜日。6月16日。

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僕は神楽坂にいた

駅を出ると近くにロケバスが停まっていて、

そこには以前テレビで見たことのある、ジェンダーフリーの芸能人とギターを持った男が打ち合わせをしていた。

別に有名人を見たからどうってわけでもない。ふーん。知ってる顔だなぁって感じだ。

それに、僕はやることがあってここに来たのだ。

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ペイントが行われる倉庫は年季の入ったビルの4階にある。

そこへ行く前に一回のリサイクルショップとカフェバーが合体した”Loose”というカフェで、今回のペイントのオーガナイザー的存在であるトビーたちと軽くお喋りをした。

トビーと一緒にペイントで使用するベニヤ板を三枚取りだして、彼とはそこでバイバイをした。

縦90cm、横180cmの板が三枚。漫画の原稿用紙がものすごく大きくなったような気がした。

 

さてーーー、

はじめますか。

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とりあえず持って来たMacを開く。YouTubeで適当に音楽を流しながら、一方はiPadにいれている画像アプリやらなんやらを使って資料探しをする。

 

1時間くらい資料を集めると、時刻は12時を回っていた。

よし、いい感じだ。

 

 

 

 

僕はミントブルーの芯の入ったシャーペンを取り出すと、馬鹿でかい白面に向かって下書きを始めた。

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でも基本、漫画描くときはBのシャー芯だな。僕は0.5と0.3とを使い分けてる。

 

 

ベニヤ板に鉛筆、もしくは通常の芯で下書きをした場合、何度も消しゴムで消していると、痕が残ってしまうことがある。どうやら鉛がベニヤ板に刷り込まれてしまうらしいのだ。だから今回は水色のシャーペンの芯を使って見ることにした。

黒(?)のものと違い、線ははっきりと見えないが、線は消しやすい。ただ、すぐに削れてしまうので、頻繁にシャーペンの頭をノックし続けなければならない。

 

 

 

そして僕は絵を描きながら、慣れていった。

アップも何もしないで、いきなり絵が描けるわけじゃない。

描いていても、いまいちノることができない。

 

 

 

1時間ほど下書きを粘ってみたが、紙の大きさと自分の絵のバランスがとれていないことがわかった。どういうことかというと、細々と描きすぎてしまうのだ。

このペースで行ったら日曜日までに終わるわけがない。

 

 

どうする?

このまま納得のいかない下書きを続けるのか?

いや、だめだ。やっぱり僕にはぶっつけ本番のアドリブでいいものが描ける力が備わっているわけじゃないのだ。

 

 

バックパックからA4のノートを引っ張り出すと、僕はステッドラーのペンで絵のアイディアをまとめていった。

気づいたら夜の2時前だ。2時のボーダーラインは越えない方がいい。

寝袋を引っ張り出すと、コンクリートの硬い床に敷いて、モソモソとその中に入った。

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