「インド旅行記」
本の存在は前々から知ってはいた。
ヴィレッジ・ヴァンガードには結構な確率で置いてあったからだ。
だいたいこの本の隣には、桜つよしの「インドなんて二度と行くか!ボケェ!」や
たかのてるこの「ガンジス川でバタフライ」が置いてある。
それでも「インド旅行記」を読まずじまいだったのは、
そこに冒険のエッセンスを見いだすことができなかったからだ。
著者は中谷美紀だということはわかっていた。
たまたま一巻を手に取ることがあったので、最初から最後まで読んで見たのだが、
正直にいってしまうと
あまり面白くなかった。
人によって意見が異なるってことは重々承知だ。
でも、あえて感想を言わせてもらうならば、この本は
ごくふつうの旅行記なのだ。
インドの旅行記といえばドタバタコメディでトラブルの連続ってのが相場だが、
さすが日本のリッチな女優さんがインドを旅するだけあって、
そこにはハプニング性も欠けるし、文体も固すぎて読んでいて退屈な気分になってしまう。
不思議なのが、そこに書かれている史実の忠実さだ。
たぶん、帰国後に改めて調べ直したのだろうけれど、人間の記憶力に収まるレベルじゃないくらいに、観光で訪れた場所や食べ物の情報が詰め込まれているのだ。
っていうか、フツーに旅してたら、そんなの頭に残ってない。僕ならすぐに忘れる!
ツアーガイドさんが言う史実だって、「ふんふ〜ん。あ〜、そうなの」って感じで
相槌はうつものの右から左に流れて行ってしまうのが一般人。
でも中谷美紀は違う。
会話の再現も正確だし、英語で喋ってるらしいガイドの言わんとしていることもほぼ完璧にトレース。
ミキさんはよっぽど、書籍化を目論んで旅をしていたに違いない。
面白いところだってあるさ!そりゃ!
なんて、心が汚れまくっている僕はついつい考えてしまうのだけれど、
もちろん面白い箇所もあった。
彼女はインドに入ってから「なんちゃってベジタリアン」を実践しているし、
趣味の一環とはいえ、ヨガを実践するために
わざわざアシュラムなんかにも行ったりしているのだ。
観光なんて誰でもできる。
それも史実なんてものはググればいくらでも書いてあるのだ。
観光地に足を運ぶことを悪だとはしないけれど、それを文章にしてしまうと面白みに欠ける。
(いやぁ、難しいよね)
けれども、旅は当の本人にしか体験できないライブだ。
その場所に行き、何を感じ、何を思ったのか、
たとえ同じ場所に行ったからといって、その人が感じることはそれぞれだ。
インドでベジタリアンを実践したり、ヨガをするためにアシュラムまで行っているのは
中谷美紀自身のオリジナルな体験だ。
読者の欲を言わせてもらえば、もっとそこを掘り下げて、彼女らしい言葉を使って本を書いて欲しかった。
本の大半は自分が体験したことと、先にも書いた史実(大昔のインドの王様の名前だとか建物の建築様式だったりとか)を旅の時系列に沿ってつらつらと書いているだけなので、
本全体の感想としては「さして面白くない本」といったところだ。
もったいないと思った。
自分だけの文体で、しかも面白く旅行記を書くなんて難しい話なんだと思う。
けれど、この「インド旅行記」は四冊も出ているわけだし、
もしかしたら、2巻からはもっと面白くなってくるのかもしれない。
そう期待して、kindleで2巻をダウンロードして読んで見たのだけれど、
内容はさしてかわらなかった(笑)
写真集ではないので著者の写真はほとんどないのだが、
美人がインドを旅しているってだけで、読者は楽しめるのかもしれないな。
僕が言いたいことはただひとつ。
早くインドに行きたい!
ってこと。
そこまで面白くなかったけど、ここまできたら
3巻4巻も読むと思う。たぶん。
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