世界一周718日目(6/17)
ビーチに
テントを張れば清掃員に叩き起こされるのは
都市型キャンプの経験上分かっていた。
それにビーチには他にも
寝袋だけで野宿しているヤツがいるのだ。
郷に入っては郷に従え。
僕も彼らに習ってテントは立てずに寝たのだが…
ここはアメリカ、ロサンゼルス。ヴェニスビーチ。
潮風のせいで寝袋がしけっているのが分かった。
それに自分の姿は周りから見えてしまっているわけだし、
熟睡なんてできやしない。夜中に何度も目覚が覚めた。
7時頃。辺りを見回す。
ビーチを散歩やランニングをしている人の姿をチラホラ見かける。
僕はそのまま二度寝。乾くまでまってくれよぅ..。
8時前になってビーチをならす車が
周りを何度も往復している音がうるさいので
僕はようやく活動をすることにした。
寝袋は夏用で乾燥するのだけは早い。
どうやらこの一時間で乾いたようだ。
ノロノロと向かった先はスターバックス。
コンセントのある席は既に誰かが座ってしまっている。
大体アメリカのスタバでは誰かしらノートパソコンを広げて
作業をしている。
ただし、バックパックごと来店するのは僕くらいしかいないが..。
コーヒーを飲みながら日記を一本書いて、ブログをアップした。
そしてルートを調べてすぐ近くのバス停からバスに乗った。
ドライバーの女性は親切に乗り換えチケットのことを僕に教えてくれた。
どこまで行けるのかは分からないが
1.75ドルでバスを一本は乗り換えることができる。
ロサンゼルス中を移動するにはバスはお財布に優しいと思う。
向かった先は、あの有名なハリウッド・サインでもなければ、
女優/俳優たちの手形が見れる
グローマンズ・チャイニーズ・シアターでもない。
向かった先はnudie jeansのコンセプト・ストアだ。
9ヶ月前にスウェーデンのイェーテボリで手に入れたジーンズは
かなりダメージがきていた。
自分で修理した回数は数知れず。
南米へと行く前に破れそうな箇所に
パッチを当ててもらおうと思ったのだ。
この日のためにちゃんと洗濯もしてある。
コンセプト・ストアはかなりこじんまりとしていた。
オーバーリアクションで来店したのだが、
スタッフの反応はかなり薄かった。
漫画でセリフを当てるなら
『おいおい、
変なヤツ来ちゃったよ…』
だ。
「ざわっ…」
店内には看板犬もいたのだが、
犬のリアクションさえ薄かった。
僕が近づこうとするとかえって逃げる始末だ。
そんな空気感を察して、僕はフレンドリーに、
そして丁寧にここまで来たいきさつを話した。
それでもスタッフたちの反応は微妙だった。
あれ?nuide jeansってこんな会社だったっけ?
僕が修理してもらおうと思っているのはジーンズの側面部分。
いつもギターを持って長いこと歩いているので、
側面がギターケースによって擦れて
穴が開きそうな部分がいくつもある。
そこにパッチを当ててもらえないだろうか?と僕が頼むと、
スタッフは難色を示した。
「ここにパッチを当てることはできないわ。
もし当てたとしたら、足が開かなくなっちゃうのよ?」
いやいや。
そこをどうにかして欲しくてここまで来たんじゃありませんか?
心なしか嫌そうにしている気がする。
仕方がないので、側面は自分でメンテナンスをするとして、
いつも破けてしまう股の部分に追加で
パッチを当ててもらうことにした。
19時前に来れば修理は終るそうだ。
近くにカフェがないかスタッフに訊いて、店を後にした。
ちなみに今履いているブーツ。新品と比べてこんなにも違う。
こりゃ履けないよね。早くメキシコで修理してもらおう。
本日二軒目
となるスターバックスは大きな店舗だった。
そこでグランデのコーヒーを注文して日記を書いたり、
ブログをアップして時間を過ごした。
『もうそろそろ
nudie jeansも卒業かな?』
僕はそう思うようになった。
2009年、大学一年の終わりにnudie jeansを見つけた。
そのスタイリッシュなシルエットに最初は惹かれた。
知れば知るほどカッコいい会社だなと思った。
取り組みも素晴らしい。
2012年からは全ラインをオーガニック・コットンに変えた。
だが、6年も同じ会社のジーンズを穿き続けていると
自分のニーズからは少し離れているような気になってきたのだ。
僕が欲しいのは丈夫で長持ちするジーンズだ。
素材にもこだり、しっかりとしたコンセプトを持っているもの。
約二年旅をしてきて感じたのは
『nudie jeansは旅向きじゃない』
ということだった。
そもそも生地が薄いのだ。
『穿けば穿き込むほどにあなたのジーンズになっていきます。
ストーリーと共に。破れたとしても修理しましょう。
コンセプト・ストアに持ってきてもらえれば無料で修理します』
と謳ってはいるものの、その「自分らしさ」のために
わざとダメージが現れやすいよう生地を薄くしているのでは?
と思う節もある。
高校生の時に買ったGAPのデニムが未だに穴が空いていないのだから。
バイト時代で店内を駆け回っていたのにもかかわらず。
素材の問題なのだろうか?
オーガニックコットンってそんなにやわなの?
そんなわけないっしょ。
そもそもジーンズとはアメリカで作業着として普及したものが、
現代でファッションとして位置づけられたと聞く。
本来ならジーンズ(デニム)は丈夫なもののはずだろう。
自分が連日穿きっぱなしで酷使しているのは考慮にいれるとしても、
やっぱり生地が薄い。
nudie jeansは北欧、スウェーデンの会社だ。
だからスタイルにこだわるのかもしれない。
今日のジーンズとは単なるお洒落着に過ぎず、
丈夫さなど重用視されていないのではないだろうか?
だとしたら、
「旅に向くジーンズ」とは
一体どんなものなのだろうか?
やはりリーバイスか?
や、個人的にリーバイスは王道過ぎてあまり好きじゃない。
お洒落番長である相棒にそんなことを漏らすと、
いくつかオススメのジーンズメーカーを教えてくれたが、
イマイチピンとこなかった。実際に穿いてみないことには分からない。
nudie jeansが丈夫で旅向き、
日常生活で穿いたとしても最低5年は持ってくれるジーンズを
作ってくれるのであれば話は簡単なのだが。
年々シルエットは細身になるばかりだ。
そんなんじゃ全然機能的じゃねーっつの!
なんでそこをないがしろにしちゃうかな?
もう十分細いジーンズは作ったじゃないの!
その逆を行く「普遍的なジーンズ」を作ってもいいんじゃないの?
断っておくが、僕はお洒落じゃない。好きな格好があるだけだ。
自分の人生に寄り添う衣類を
「ライフウェア」と僕は呼んでいる。
- 毎日穿ける。
- 飽きがこない(シルエット)。
- 素材にこだわりがある。
- 丈夫。
それが僕がジーンズに求める条件だ。
もう自分で作っちゃった方が早いのかなぁ?
服なんて作ったことないけどね。
自分の探しているものが見当たらないのだ。
※余談だけど、最近「25年穿けるパンツ」という記事を相棒が教えてくれた。
元Google社員が設立した「The Quater Century Pants」っていうらしんだけど、
それそれ!まさにそんな感じ!まぁ実際に穿いてみないと分からないけどねぇ..。
興味あるよ。
日本の職人技術はかなり世界最高峰なんだから、
先を越されないでバシッと作って欲しいよ。
桃太郎ジーンズは保証10年らしいけど、あのラインがどうも…。
シンプルなのでいいのに!
18時半になるとスターバックスを後にして
再びコンセプト・ストアに足を運んだ。
修理職人のお姉さんが僕の要望通りに
ミシンでばっちしパッチを当ててくれていた。
「これで日本に帰るまで穿けそうです。
ありがとうございます!」
修理の終ったジーンズを手にし、お礼を言って店を後にした。
表情が硬い…
バスに
乗って向かった先はサンタモニカだった。
マクドナルドの「M」のマークを見つけた時は、
迷わず店に入り、そのままそこで作業をした。
日本人のカップルが近くのテーブルで
ディズニーランドへ行く計画を立てていた。
僕とは大違いだ。僕の分も楽しんで来てくださいな。
マサトさんに頼まれている電子書籍の表紙絵の
一枚のペン入れを終らせ、23時になるとマクドナルドを出た。
巨大な桟橋の上には遊園地があり、
観覧車のネオンがいつまでも灯ったままだった。
静かな場所を見つけるとテントと寝袋を砂浜の上に敷いた。
おやすみなさい…。
てかなんで日本語で同じ意味の言葉の
「デニム」と「ジーンズ」「パンツ」があるんだろう?
英語だったらdenimは生地だろうに..。
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どなたかいいジーンズ・メーカー(なんかこう書くと語感的にダサい?)
があったら教えてください。
素材と丈夫さが鍵かな?
日本のメーカーのGOHEMPとGOWESTが気になるところ。
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