「メキシコでヒッチハイク..」

世界一周730日目(6/29)

 

 

『そろそろだな…』

 

 

マップアプリのGPSを見て僕は思った。

忘れ物がないか頭の中でチェックする。
棚に置いてあるギターは忘れるべからず。

 

バスターミナルとも言えない、
「タバコ屋さんの角」みたいな場所で僕はバスは止まった。

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ここはメキシコ、プエルト・ピニャースコ
アメリカとの国境に面するメヒカリからは300kmほど離れている。

 

 

 

僕がどうしてこの町を選んだのかと言うと、
ここが宿のありそうな規模の町であったことと、
海が近かったということだ。

 

iPhoneを片手に海の方へと歩いて行った。

海に近づけば近づくほど観光地のようになっていくのが分かった。

時刻は7時過ぎでまだ開いている店も少ない。
コンビニですらまだ営業していなかった。

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朝の静けさ。

 

 

 

見つけた宿で値段を尋ねてみたが、
200ペソ(1,571yen)が最低ラインのようだった。

これじゃあヨーロッパのホステルとほとんど変わらない。

自分の中では「千円以下」というラインを設けている。
そのラインを下回る宿をこの町で見つけることは出来なかった。

 

 

海沿いには見るからに高さそうなホテルが立っていた。
近くにバギーに乗る欧米人を見た。
退職して老後を楽しんでいるような感じの人だった。
ここはそういう町なのかもしれない。

面白味を感じなかった。

港に停泊した船を写真に撮るくらいしか
貧乏旅行者の僕にはすることがなかった。

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し〜〜〜ん..

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ひとまず海に出たが、
ビーチは自分のいる場所から離れたところにあることが分かった。
とてもじゃないが、バックパックを背負って
ビーチまで行く気にはなれなかった。

何より修理したばかりのブーツが足に当たり痛くてたまらなかった。

あとどれくらい歩けばまた元の状態に戻るのだろうか?

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ヨタヨタと足を引きづりながら思った。

 

 

 

 

『ヒッチハイクやっちゃう??!』

と。

 

 

 

 

メキシコのバスがどれくらいの距離で
どれくらいの値段なのかはなんとなく分かった。

メキシコシティまでにいくつも町に立ち寄っていったら
あっという間に費用がかさんでしまう。

いいじゃん、まずはやってみようよ?ヒッチハイク。
ダメなら諦める。海沿いだったら治安も悪くないんじゃん?

自分でも馬鹿らしく思えるのだが
頭の中ではヒッチハイク決行する気でいた。

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段ボールに手が伸びる。

 

 

 

地図を見て次の町に続くハイウェイに検討をつけた。
幸い2kmほど歩けばそこへは辿り着けそうだった。

ハイウェイの直前にはガソリンスタンドがあるのは
アメリカもメキシコも一緒のようだった。

トイレで頭を洗おうと思ったのだが、
蛇口に取り付けられたレバーを倒さないと水が出ない仕組みだった。
節水の意味だろうか?

根性で髪を洗い、上半身裸になってTシャツを洗い、
それを濡れたまま着た。
外は気温が上がり始め、すぐに服が乾くことは予想出来た。

掃除のおばちゃんに半ば追い出されるようにしてとトイレを出た。

 

 

ガソリンスタンドに併設するコンビニで
500ml缶のアイスティーを買って半分くらい飲んだ。

冷房の効く店内では従業員たちが暇そうに
和気あいあいとお喋りをしていた。

床掃除をしているスタッフの顔が少し曇っていたように見えたので、
僕は「そろそろ行くか」とわざと口に出し、
空元気でバックパックを背負った。
ちゃんと寝れていないので体には浮遊感があった。

痛む足をひきずってヒッチハイクポイントまで向かった。

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ハイウェイの始まる場所までは
意外に距離があることは歩いている最中に思った。

暑いと水分をよくとる。とりわけ製飲料水なんかは。

自分では暑いと思っていても体は冷えていることがある。
今回はまさにそれだった。

アイスティーを勢いよく飲み過ぎたため体は冷えていた。

気分が悪くなり、
どこかの駐車場の裏にバックパックを降ろして寝転がった。
辺りには誰もいない。

 

 

「焦ることなんてないさ」

そう口に出して、自分の気持ちを落ち着かせた。

 

 

 

 

 

 

気分がいくらかよくなると、再び僕は歩き出した。

ヒッチハイクポイントを見た瞬間、
僕はそう簡単に車がゲットできないなということが分かった。

ハイウェイ手前がUターンするように車道がなっており、
なぜだか向こうから来る車はそこでUターンして
町の方へと戻っていったからだ。

 

 

次の町の名前が書かれた標識の前に
メキシコ人のお兄さんが一人いた。

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どうやら彼もヒッチハイクをしているようだった。
標識によってできた日陰をうまくく利用していた。

ヒッチハイクをする上で僕はなるべく楽はしないようにしている。
ただでさえ車に乗ることは楽なので、
それ以外は精一杯アピールしようという。
ヒッチハイカーのマナーみたいなものだ。

僕は荷物を下し、洗濯物をバックパックの上に乗せた。
この日差しならすぐに乾くだろう。

 

 

片言のスペイン語とジェスチャーで
お兄さんと一緒にヒッチハイクさせてもらうことにした。
現地のヒッチハイカーがいれば成功率も上がるだろうと思ったからだ。

ハイウェイへ向かう車が来るとお兄さんは
「ピューーーイッ!」と口笛を吹いて頭上で素早く手招きをした。
どうやらこれがメキシコのヒッチハイクのスタイルらしい。

 

 

僕は段ボールに行き先を書いた。

行き先は「Sant Ana(サンタ・アナ)」という名前の町。
ヒッチハイクで『ここまでは行けそうだな』と思う距離にあるだけだ。

向こうからやって来る車のほとんどは目の前で
Uターンして引き返していった。

車が通るとアピールしたが、ドライバーたちは
「少ししか進まないんだよ」と手でサインを作る。

しまいにはヒッチハイクをしていたお兄さんは
「今日は日が悪い」とばかりに戦線を離脱した。

「ここでヒッチハイクしたって車なんて捕まりっこないぜ?」
そう言っていたようにも思えた。

もちろんスペイン語なので、そんな気がしただけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は一人で

ヒッチハイクをしなければならなかった。

それもメキシコで。

 

 

要領はいつもと同じだ。
行き先を書いたボードを掲げて、笑顔で親指を立てる。

意外にレスポンスはいい。

問題はハイウェイへ入って行く車の数が少ないことと、
僕はスペイン語が全く喋れないことだ。
こんなんでヒッチハイクできるのだろうか?

ここで一日を過ごして「ダメだった」と感じるのもありだろう。
そうなればメキシコでヒッチハイクするのも諦めがつく。

気づいたら洗濯ものは乾いていた。

そのタイミングで一台の車が止まった。

 

 

 

 

え??!!ウソっ!!!??

 

 

 

 

ダッシュで駆け寄る。
運転席にはサングラスをかけたお兄さん

彼は少し英語が話せた。

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お兄さんって歳でもないか。

 

 

 

「サンタ・アナまで行きたいんです!」

「う~~ん。
サンタ・アナまでは行かないんだよ」

 

 

『逃してなるものか!』

 

 

 

僕は必死にジェスチャーと英語でアピールした。

 

 

 

「いや!途中まででも大丈夫です!
ステップ・バイ・ステップ!リトル・バイ・リトル
(一歩ずつ・ちょっとずつ)で構いません!
シティー・トゥ・シティーで大丈夫です!」

「あ、なら次の町まで乗せていってやるよ?」

「ほんとですか?!グラシアス!」

 

 

 

 

車は軽トラックのようになっていた。
僕が後ろにバックパックを置き、助手席に乗りこもうとすると、
お兄さんは「乗るなら後ろだよ」と言った。

砂煙をあげて車は走り出す。

風を体中に受ける。
後ろで結わえた長い髪がほつれて顔バサバサとかかった。

適当な場所に腰を下ろした。
進行方向とは逆を向き、遠ざかっていく景色を眺めた。

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笑いがこみ上げてきた。

こうして車の荷台で風に吹かれながら
ヒッチハイクをしているだなんて
まるで映画の中の世界だと思ったからだ。

年季の入ったバックパックとサブバッグ。そしてギター。
穴の空いたジーンズにブーツ。それだけで絵になる。

道路はどこまでも続く一本道。辺りには何もない。

時々「MOTEL」の看板を見るが
誰こんな場所に泊まるのだろう?と思ってしまう。

運転手との会話は一切ない。

僕はただただ流れ行く景色を眺めていた。

 

 

やがてサボテンや山々が見え始め、
ここでようやく僕はメキシコらしい風景に会うことができたのだ。

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2時間ずっと荷台の上で揺られていた。

路面はボコボコとあまり状態はよくなかったが、
それでも人間寝れてしまうのだ。最後の方はウトウトしていた。

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100km以上

走ってやってきたのは「Heroica Caborca」という町だった。
現地の人たちは「カボルカ」と言う。

 

 

僕を乗せた車は町の中心地地を通り抜けた。
僕は窓ガラスを軽くノックし、ハイウェイの入り口に行きたいのだと
お兄さんに伝えた。

お兄さんは「わかっているよ♪」とハンドサインで答えた。

車は町を迂回するようにして、
ハイウェイ直前のガソリンスタンドで止まった。

 

 

「ここを通る車は全部サンタ・アナへ向かうよ」
そうお兄さんは教えてくれた。

「ム~チョ・グラシャス!」
僕はお礼を言ってお兄さんと別れた。

 

 

 

 

 

まさか一発目のメキシコのヒッチハイクが
こんなにもスムーズに行くとは思っていなかった。

一時間も待っていなかっただろう。

メキシコでヒッチハイクできるというのは
どうやら本当らしい。

しかも現地の人のお墨付きのヒッチハイクポイントで
車を降ろしてもらえるだなんて
次のヒッチハイクがうまくいかないはずがなかった。

 

 

すぐ近くのコンビニでジュースを買って休憩を挟んだ。

時刻は13時。これならまだ余裕だろう。

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完璧!

 

 

 

ガソリンスタンドの脇に立って同じようにヒッチハイクを再開する。

レスポンスはいボチボチ。

こっちを見て笑ってくれる人もいれば、
ハンドサインで答えてくれる人もいる。
半分以上はスルーだ。これはアベレージってとこだろう。

 

 

 

ポジションは文句なしにいい場所だった。

だが車は一台も止まらなかった。

 

 

一番暑い時間帯に日陰にも入らず
馬鹿みたいに車に向かってサインを送っている。

これで肌が焼けないはずがない。
メキシコでヒッチハイクする場合には
日焼けは覚悟しなくちゃいけないだろう。

 

 

 

 

1時間半が過ぎた。

このまま無理に続けてもレスポンスはますます下がるだろう。
しなびたヒッチハイカーなんて誰が乗せたいと思うだろうか?

外国で生気の抜けたヒッチハイカー。
それより、ギャグみたいな元気のあるヤツの方が
乗せてもらえる確率が上がるに決まっている。
休憩も大事だ。

 

 

僕は近くの「デイリークイーン」に入った。

店内にはばっちし冷房が効いていた。
濃厚でコシのあるアイスを食べると少し元気になった。

よし!ヒッチハイク再開だ!

 

 

同じようにヒッチハイクをしていると、
ガソリンスタンドのスタッフが僕に水とスプライトを差し入れてくれた。
まるで応援されているようだ。

 

 

 

 

 

 

また一時間が経ったころに
ようやく一台の車が止まってくれた。

や、やった。運転手は英語の喋れるおっちゃんだった。

 

 

「あ、ありがとうございます!
サンタ・アナまでなんですけど..」

「悪いね。サンタ・アナまでは行かないよ。
バスで行ったらどうなんだい?」

「いやぁ~~~..
バス代がちょっと高くて..」

「サンタ・アナまでだろ?
おれがバスのチケット買ってやるよ?」

 

 

 

ヘロヘロだった僕はバスターミナルまで
送ってもらうことにした。諦めたのだ。

ヒッチハイクに馴染みのない国でヒッチハイクやろうたって、
うまくいかないに決まってる。
それも外国人がやる場合なんかとりわけ。

おっちゃんがくれたのは500ペソ(3,938yen)だった
メキシコで一番額の大きい紙幣だ。

マジでありがとうございます..。

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カボルカからサンタ・アナまでは83ペソ(654yen) 。
100kmほどの距離だった。

僕はほっとしてターミナル内でバックパックを降ろし、
ベンチに腰をおろした。

体じゅうがベトベトする。
日陰がこんなにも涼しいものだとは思わなかった。
ターミナルではWi-Fiが手に入った。

 

 

やって来たバスに乗り込んだ。
今日くらいは宿に泊まりたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一時間

ほどでバスはサンタ・アナに到着した。

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ここでもバスが止まった場所は、
小さなバス会社のオフィスの角。
どっちに進んでいいのかも分からない。

サンタ・アナはほんとうに何もない町だった。
何もなさ過ぎて治安さえいいように思えてくる。
地図を確認しても宿を見つけることはできない。

僕はただ次のヒッチハイクポイトになるだろう町外れまで
歩いて行くことしかできなかった。

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途中でスーパーで菓子パンやジュースを買った。
そういうものなら安いみたいだ。

あいかわらずブーツは指に当たり続けている。もう拷問だ。

汗をかきながら、はぁはぁと息をつき、歩いて行った。

 

 

 

 

 

町外れには

BIENVENIDOS A SANTA ANA

と書かれたゲートがたたずんでいた。

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辞書で意味を調べると「ようこそサンタアナ」という意味らしい。
そのサンタアナには宿がないのだもの。皮肉にすら感じるよ。

 

 

近くの小さな定食屋でタコスやジュースを飲んだ。
お会計は500円ほど。
どんなにしていてもお金はかかってしまうものだ。

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美味かった。

 

 

 

もう少し進めばガソリンスタンドがあるかもしれない、と
僕は町からどんどん離れていった。

1kmほど歩いたがヒッチハイクができそうなガソリンスタンドは
見当たらなかった。
代わりにチャイニーズフードのレストランと、モーテルがあった。

モーテルは営業時間が23時までだと入り口には書かれていたが、
ドアには鍵がかかっていた。

 

 

中にはモーテルで働いているであろうおばさんがテレビを見ていた。

僕はダメもとで「建物の脇にテントを張っていいか?」と尋ねてみた。

「オートストップ!マニャ~ナ!ネクスト・シティー!」
とかジェスチャーも交えて。

どうやらこの二年間でボーディーランゲージのスキルも
いくらか上がったようだった。おばさんはすぐに理解してくれた。

それだけでなくすんなりとテントを張ることを許可してくれた。

ま、マジで助かります…。

 

 

 

 

 

テントを立てるとやることがなくなってしまった。
疲れて日記さえ書く気さえ起こらない。

ギターを取り出し、地面に座って弾いた。

テレビを見ていたおばさんが外に出てきて
しばらく僕の音楽に耳を傾けていた。

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