「旅の再開」

世界一周770日目(8/8)

 

 

バスは

6時にオアハカに着いた。

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ここがどこだかも分かっている。
宿がある場所も大体検討をつけておいた。

ただ時間が早過ぎた。日はまだ昇っていない。

 

 

なんでたって
こんな朝早く着かなくちゃいけないんだっつーの!
せめて7時でもいいだろ!

 

 

 

ここはメキシコ、オアハカ

パソコンを修理するためにメキシコシティまで
戻らなければならなかったが、これでようやく旅の再開だ。

 

 

 

 

 

宿のスアッフはまだ起きていないに違いない。

下手に早いくチェックインし過ぎて
宿代を余分に払わされてもたまらない。
ひとまず7時過ぎまで時間をつぶしたいのだがー..

 

 

フラフラとソカロへ向かった。

時間が経つにつれて空がだんだんと白ずんでいった。

 

 

 

 

ソカロにはテントがいくつも張ってある
これは教師たちの賃上げの座り込みらしいのだ

僕は丁度いい場所を見つけるとテントを張った。

前回来た時よりかはいくらかテントの数が
減っているような気がしなくもないが、
ここに新しいテントがひとつくらい増えていても
誰も気にしないだろう。

 

 

メキシコでまた野宿するだなんて自分で笑けた。

手際よくテントを立て、中に入って銀マットを敷き
(ドイツで買った極薄の6ユーロのやつだ)、寝袋を広げた。

時間は清掃のおばちゃんたちが竹箒を掃く音が
「シャッ!シャッ!」とうるさかったが、いつの間にか寝ていた。

 

 

ソカロで野宿!イエス!

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9時過ぎに目を覚ますとあたりは少し賑わっていた。

テントの外に顔を出すと辺りにいた何人かと目が合った。
こういう時はスルーより
自分の存在そのものを笑ってくれた方が嬉しい。

優雅にテントを片付けた。まるで山のキャンプ場を後にするように。

「よいしょっ」とバックパックを背負って
サブバッグを前にかけ、ギターと雑貨の入った手提げ袋を持った。

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実はこのオアハカに80ペソ(640yen)の安宿があることを知った。

ソカロから500mほど歩いた所にある宿
「サンタ・ローサ」が宿の名前だ。

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受付でとりあえず4日分の宿代を支払うと、
ドミトリーへと案内してもらった。
広めの部屋に二段ベッドが4台。

手前のベッドの下段から「あ、どもっす!」と声がかかった。

 

 

「こっちに移ってきたんですね♪」

マコっちゃんだ

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写真なかったんで使い回しね。

 

 

 

体を横たえてパソコンを広げてくつろいでいる。

僕はコンセントが近そうなベッドの下段に荷物をまとめ、
支給されたシーツを敷いて枕カバーをせっとした。

このドミトリーにはマコっちゃんの他にもう一人しかいないようだ。
こんな安宿なのに。穴場なのだろうか?

 

 

もちろん、他のドミトリーやシングルルームには宿泊客がいた。

どこの国かは分からないが、ドレッドヘアーで裸足。
ヒッピーみたいな欧米人が数名、
二階はシングルルームになっているようで、
長い白髪を頭の後ろで結わえた欧米人が一人。

あとはここのスタッフだか客だか分からないような
メキシコ人たちが数名。

 

 

受付にはコーヒーが入ったポットが置いてあった。
こんな安宿でもコーヒーが飲めるだなんて少し意外だった。

僕はキッチンからマグカップを持って来ると中庭でそれを飲んだ。

ここの宿も中庭があって、緑に囲まれている。
メキシコの宿の植物の取り入れ具合はとても自然に思えた。

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屋上から。

 

 

 

宿のシャワーは安宿の名にふさわしいクオリティだった。

お湯は出ることにには出るのだが、水圧が弱い。
長い髪の毛を洗うにはかなり時間がかかった。
まぁ、そんなもんだろうな。

マコっちゃんは「けっこう汚いっすよね」と僕に言った。
「アフリカくらいかな?」と僕は答えた。

エチオピアの安宿なんて南京虫だらけだし、
トイレはこの世のものとは思えないほどに汚かったのを思い出した。
それに比べればメキシコの安宿なんて可愛いものだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旅の続き

と言っても、
オアハカで何をするかは特に決まっていなかった。

宿を出た僕はメルカドの方へと歩いて行った。

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ソカロの近くにあるメルカドをプラプラと歩き、
15ペソ(114yen)でバナナチップスを買って食べながら歩いた。

メルカド周辺ではタコスの屋台の他に、パンが大量に売られていた。

同じものを扱う店が何軒も横に並んでいるのだ。
こういうのを見ると一軒一軒の店の違いは一体何なんだろう?
と僕は考えてしまう。

差別化とか特に気にしていないんだろうな。
アリ地獄と一緒だ。お客さんがくればいいってことだろう。

 

 

 

ソカロ近くのメルカドを後にすると
別のメルカドにも僕は足を伸ばしてみた。

バスターミナルの近くにあるこのメルカドは
本当に地元の人間向けに作られている。

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その道幅の狭い感じや、生臭いにおい、
色とりどりの屋根代わりの布。
小さいタコスなら2ペソ(16yen) で食べられる。

面白そうな路地を見つけると進んで入っていった。

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自分が今どこにいるのか分からない感覚が好きだ。
メルカドの中で台車を押したジュース屋を見つけた。

ココナッツジュースは甘ったるく、
飲み干した時には少し気持ち悪くなった。

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このキャラすげー気になったんだけど、実際にいるの?

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直訳にもほどがある。てか「4」って…。本作は一本しかないはずだが..。

 

 

 

またメルカドの中でドラム、サックス、
笛のトリオのメキシコ人バスカーを発見した。

こんな場所で音楽なんてやっても稼ぎになるのかは分からないが、
少なくとも彼らのおかげでメルカドがより一層賑やかになったのは
間違いないだろう。

僕は10ペソを渡して写真を撮らせてもらった。

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こういう町歩きも悪くない。

一度宿に戻って昼寝をし、夕方にまた外に出て
適当にそこらへんにある物を食べて夕食を済ませた。

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マコっちゃん

と話していると、ビールが飲みたいですねという話しになった。

近くにスーパーがあるらしい。

そうだよな。
やっぱスーパーがどこにあるかって
割と重要度の高い情報だよな。

マコっちゃんの後についてスーパーまで向かった。

 

 

「この旅の中でさ、何か危ない目にあったりとかした?」

何の気なしに僕はマコっちゃんに質問をした。

 

 

「あ~、襲われたことありますよ」

「マジで?」

「財布盗られました。
千円くらいしか入ってなかったんですけどね。
一人だったら逃げられたかもしれないんですけど、
その時女のコといたんですよ。

アイツ最初は「私普段走ってるから」とか言っておいて
いざ逃げるとなると、ゼーゼーしちゃって!

その時夜だったんで相手が何を持って襲ってきたのか
分からなかったんですけど、
手に持ってたのがでっかい石だけだったんですよ!
笑っちゃいますよね。

だから柔道の体落としでソイツをコケさせて、
後ろからネックロックかけたんですよ。
もう完全に落ちたと思いましたね。

だけど、その時僕たちベロンベロンに酔っぱらってたもんだから
相手が腕から抜けちゃってー..、
後日その女のコに訊いたら
「20秒くらいしか技がかかってなかった」って。
自分では落としたつもりだったんですけどねー」

なんてファニーな話をしているうちにスーパーマーケットについた。

 

 

スーパーはかなり大型のもので、
受付でバッグを預けなければならなかった
(なぜかノートパソコンが入っていることを伝えたら返された)

時刻は21時を過ぎた頃だったが、店内は電気がバッチシついていた。

日本もそうだが、海外でこんなに電気を使っているのを見ると、
節電なんて意識が芽生えるのは
いつのことになるんだろうと思ってしまう。

コロナの缶ビールとつまみのチップスを買って僕たちは再び宿に戻った。

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話しているうちに旅人料理人のユウトさんも合流し、
この日は楽しい飲みになった。

この時ユウトさんが自分よりも
ふたつ歳下だということが分かったのだが、
話しぶりからは自分よりもかなり大人びていた。

髭をたくわえた顔もそうさせているのかもしれないが、
自分の考えをしっかり言葉にできている。

自分がどのような動機を持っていまこうしているのかが
しっかりと説明できていた。

 

 

時には彼女ができたばかりで遠距離恋愛中のマコっちゃんに
アドバイスや忠告をし、

最近意中のメキシコ人にフラれたらしいので少し凹んでいた。
まぁ、なかなかのプレイボーイでしたね。
ユウトさんは率先して下ネタを話して場を盛り上げてくださりましたよ。

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「こう!こうっすよ!シュって感じで!」
魚の捌き方らしい。

 

 

深夜一時くらいに宿のスタッフから
「話すならキッチンの方でにしてくれ」と注意を受けて、
僕たちは宴を切り上げることにした。

いつの間にか缶二本と瓶一本を飲んでいた。

 

 

明日はとことん寝坊することにしよう。

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