「”腑抜け系旅人”という新ジャンルを開拓したい」

世界一周776日目(8/14)

 

 

高地

にあるサンクリストバドルの夜は涼しい。
蚊もいないのでぐっすり眠ることができる。

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睡眠時間だってゆうに十時間を越えている

8時間以上の睡眠は体に害だと聞いたことがある。
寝れば寝るほどに僕の寿命は減っていることだろう。

 

 

ここはメキシコ、サンクリストバドル・デ・ラスカサス
泊まっているのは日本人宿「カサカサ」。

メキシコシティ以降から腑抜け度合いに磨きがかかったが、
ここは構わず行きたいと思う。

「腑抜け系旅人」っていう新ジャンルのパイオニアになろうかな。

あぁ、何書いているかわかんねーな。

 

 

 

 

 

10時に起きてキッチンにいる他の人たちに
「おはよーございまーす」と挨拶をする。

すかさずタケシさんが「コーヒーいります?」と僕に尋ねる。

骨の骨の髄まで貧乏根性が染み付いてしまった僕は
思わず「いくらです?」と訊いてしまう。

朝のコーヒーは無料でいただくことができる。
しかもいい豆を使っているので香り豊かだ。

 

 

 

日の当たる庭に出てコーヒーをすすっていると思わず
「煙草吸いてぇ」と声が漏れた。

タケシさんがすかさず、
「それなら名物、カサカサ煙草吸う?」と僕に尋ねた。

こんな場所で日本のサービス、というか心配りが感じられるのだ。
タケシさん、あなた一体何者なんですか??!!

 

 

庭(っつてもコンクリで固められたスペースなんだけど)
と建物の間くらいに、オオバコのような大きな葉の植物が生えていた。

見た感じ雑草のようだ。触ると表面がベトベトしている。
煙草の葉なんて僕は初めてみた。

実際にこれをそのまま吸うわけじゃない。
すでに乾燥させたものがあるので、それを細かくちぎり、
手のひらサイズのシーシャのようなものでポコポコと吹かすのだ。

普段吸い慣れているフィルターつきのタバコに比べると
少し苦みがあった。

 

 

 

 

 

呑気にタバコをふかしていると、
ふいに庭でセッションが始まった。

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ここにはなぜだかパーカッショニストたちが多く泊まっている

パチカ歴8年のシュンさんに、

ジャンベのジュンさん、

コンゴ演奏者のナオキさん(確かそんな名前だった)、

そして管理人のタケシさんはボイスパーカッショニストなのだ!

タケシさんはニューヨークやオーストラリアで
ボイスパーカッショニストとして活動していたこともあったそうだ。

タケシさん、あなた何者なんですか!!??

 

 

 

庭にアンプが二台運ばれた。

マイクがセットされ、音が調整されるとセッションが始まった。

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みんななかなかに熟練者なので、
まるで最前列でライブを見ているようだった。

ボイパを生で見たのもこれが初めてかもしれない。
『一体どこから音が出ているんだ?』と思うくらい、
タケシさんは口ひとつで実に様々な音を出していた。

 

 

Macのガレージバンドで録音し、
一本目のセッションが終わると、タケシさんがみんなに提案した。

 

 

「じゃあ今度はテーマ決めてやってみましょうか?
“タコス”だったら、おれがサルサソースで、
シュンくんはトルティーヤ、トマトとか大事っすよ」

 

 

打楽器奏者がどういう感覚でセッションするのかは分からないが、
タケシさんがみんなに提案してるのを聞いているのは面白かった。

僕はキッチンに戻り、コーヒーの残りをいただいて
パーカッショニストたちのセッションに耳を傾けていた。

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セッション

が終るとタケシさんは僕に今日の予定を訊いてきた。
僕が「バスキングにでも行こうかな?」となんとなく答えた。

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「もし、僕を信じてくれるなら、
バスキングのいい場所教えましょうか?」

 

 

なんとタケシさん、ここ、サンクリストバドルでも
バスキングをしたことがあるそうだ。

 

 

「う~~~ん..、まぁ稼げたら嬉しいんスけど、
楽しかったらどこでもいいかな?」

「バスキングやる場所だったら
『幸せ』重視か、『景気』重視がありますけど?」

「なんすかそれ?」

そこから「徹子の部屋」ならぬ「タケシの部屋」が始まった。

 

 

 

タケシさんの出身は関西だが、ご家族が商売をしていたらしく、
商いに触れる機会が多くあったようだ。

大阪の小学生たちは店にアポをとって
仕事やお金にまつわる質問をする授業もあったのだとか。

さすが大阪!え?大阪でしたっけ?

 

 

話の内容はひとつのトピックから
多岐に渡りかなりボリューミーだった。

一言で話のテーマを述べるなら

自分のパフォーマンスとレスポンスの関係性

だろう。

 

 

今はこうして宿の管理人をしているが、
ミュージシャンとしての経験もあるタケシさん。

録音かメモでもとりたくなるような内容のつまった話だった。

僕がそのことを言うと、タケシさんは
「そういうのは何年もかけて
自分の身に染み込ませて行くものなんですよ」と言った。渋いっ!

 

 

二時間近くぶっ通しで話を聞かせてくれたので、僕は心配になって
「お仕事とかは大丈夫なんですか?」と尋ねてみた。

するとタケシさんは
「僕にとって大事なのはこっちの方の時間なんですわ。
ここへ来てくれた人たちと話すことが。
掃除とかは暇な時間にすればいいんです」と言った。

いやいや、タケシさんの綺麗好きはそんなもんじゃない。
常に宿のどこかを掃除している印象がある!

 

 

円卓に座ったかおりさんが熱心に話すタケシさんを横目に
何やら渋い顔をしていた。カオリさん曰く「よくある光景」だそうだ。

いや、でも聞いてる方からするとめっちゃ面白いんですよ。

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この日は宿を出ないで一日中ベッドの上で漫画を読んでいた。

ここにはしっかり漫画があるのだ。

もちろん全巻揃っているものは少なく、
連載中のものは途中で終っていたりするのだが、
「名作」と呼ばれる漫画は全巻あるのはどこも同じだ。

 

 

ここには手塚治虫の「火の鳥」が文庫本で全巻コンプリートされていた。

僕がこの漫画を読んだのは小学生の時だったと思う。

内容も大人向けなので、
最初は『わけわかんねぇな』と世界観くらいしか分かっていなかったのだが、
読めば読むほど味が出て来る漫画だ。

 

 

「未来編」が好きだ。
事故死から蘇った主人公は体の半分以上を人工臓器でもたせているため、
生身の人間ではなくロボットと心を通わせるっつー
生命観をテーマにした話だ。
医者だった手塚治虫にしか作れない話だろう。

 

 

小腹が減ると近くの売店にクッキーを買いに行った。

時々ふと顔を上げて外を見ると、通りを子供たちが駈けて行った。

 

 

『こんなことをしていていいのだろうか?』と思ってしまうが、
まぁ、目的のないグダグダした滞在も旅の醍醐味ってね。

切迫感なんて振り払って、嫌なことなんて忘れちまおう。
今はブログも漫画もナシだ。僕はただのバックパッカーだ。

 

 

 

 

カオリさんが作ってくれる晩ご飯は
卵かけごはん」だった。

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最初今日の献立を聞いた時は失礼にも
『手抜きか!!!?』と思ったのだが、

実際それを目にしてみると
「こんな卵かけごはん、今まで食べたことない!」
と思うくらいの絶品だった。

白米と生卵の他にズッキーニやアボガド、
薬味ネギがふんだんに盛られ、
アクセントの醤油をかけると味はぐっと引き締まる。

 

 

近所のメルカドで買ったと可愛いマグカップにお吸い物がよそられる。
じんわりと胃袋に沁みる。

あぁ、こんなヘルシーなご飯食べられるって幸せじゃあねえか…。

 

 

 

そうして僕は
SAMURAI CHAMPLOOを最終話まで観て
ベッドに就いたのだった。

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ふふふふ♪腑抜け♪

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4 件のコメント

  • 君がルアンパバーンでギターを弾いているころに出会ったバリスタです。漫画は上手くなったかい?僕は日本でコーヒーが上手くなった。とある大会で日本2位にもなったりした。最近はカメラにハマっている。rollei35という通好みのかわいいカメラをつかっている。だから、君もカメラをやりたまえ、きっと良いのが撮れる。と思ったりしたが、如何せんバックパッカーは金がないものな。無理は言わん。

    なんだか元気そうでなによりだ。
    深夜に昔の日記を読み返していたら、君の事が出てきて、旅する漫画家で調べたのだ。
    まだ旅をしているんだね。ビックリだ。
    日本に帰ってきたりするのかな?
    そうしたら、俺のコーヒーを飲みに来なよ。懐かしいというよりはむしろ最先端で驚きの味だけど。もちろん、懐かしいコーヒーもつくれる。

    懐かしくなって、つい長々書き込んでしまった。覚えてなかったらすまんな。

    まぁ、そのときまで。さようなら。

    • >旅するバリスタさん

      もちろん覚えているさ。
      「機会仕掛けのオレンジ」が好きで
      ルアンパパーンに来る前は歯医者に行ってたろ?
      一緒にメシ喰った時に会った君の知り合いの
      「一日に必要な糖分はスプーン1杯のハチミツで摂取する欧米人」
      のことも覚えてる。
      すげえな。日本で二位だなんて。あの後もバリスタを突き詰めて行ったんだね。

      こっちは残りの金が少ないけど、のんびり旅をしているよ。
      アルゼンチンまで行って金が余ってたらニュージーランドへ渡るつもりだ。

      もちろん漫画も描いてる。
      自分のサイトでもアップしているのだけど、
      よかったら
      「世界新聞(http://sekaishinbun.net/tag/シミ/)」
      も見てくれよ。おれの寄稿した漫画が読めるから。
      絵はちったあ上達したかな?

      ちなみにカメラは一年前にチェコでバックパックごと盗まれた。

      まぁ、旅ももうそろそろで終りだね。
      どこでコーヒー淹れてるのかな?そしたら遊びに行くよ。
      コメントありがとう。まさかラオスで会ったヤツからコメント来るとは
      思わなかったな。それと「小説書いてる」とも言ってなかったっけ?
      まぁ、いいや。

      またどこかで♪

  • シミ君は腑抜け系旅人じゃ無いよ、ただ今は長い旅に疲れて居るんだよ。

    本当に腑抜けに成るのは、ジミ君が日本に帰ってからじゃない。(笑)

    • >JOSANさん

      『何かしなきゃ!』と常に何かしなくちゃいけない
      ブロガーの切迫感のようなものを感じるがあまり
      うまく動けないのはわかっているんですよね。

      書き貯めた日記なんて馬鹿丁寧に書いていないで
      もっと楽な方にシフトしてもいいと思うのですが、
      一日単位で始めた僕のブログなので、そこは最後までやりたいと
      思います。

      問題は日本に帰ってからですね。
      一度にいっぺんのことはできませんから、
      焦らず、ブレずに行きたいと思います。

      相棒がいてくるので
      日本に帰ってもなんとか前に進めると思います!
      頼るとかそういうんじゃなくてね、
      ヤツはいい感じでおれを引っ張り上げてくれるんです。

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