▷湿度との戦い

 

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あれだけ蒸し暑かった夏を汗をダラダラ流しながらクーラーも使わず扇風機のみ乗り切った僕だったが、どうしても乗り切れそうにないのが

今この瞬間だ。

地球変動だか温暖化だかなんだか知らないけど、

いくらなんでも雨が多すぎやしないか?!ちきしょーめ!

 

 

梅雨でもないのに連日雨が降り続いている。ここはどこの惑星なんだ?「銀河鉄道999」にそんな星出てこなかったか?あれ?ワインが降ってくる星だっけ?

外の湿度はもちろん100パーセント。室内では50パーセント以上もある。

室温が23度に対する夏の蒸し暑さに対する不快度を示す「不快指数」は69.2だった。どうやらこの数値は「快適」を示すらしいが

僕は不快でたまらない。

 

 

 

いや、マジで聞いてくださいよ。

湿度が高いとまいっちゃうのなんのって、

原稿用紙が湿気るんだっつーのコノヤロー!!!

 

これが自然の摂理だとしたら僕はここで生きてゆくことは難しいかもしれない。

あぁ、人間ってどうしてこんなに弱いんだろう?

 

 

紙とペンによるアナログな漫画を描いている僕の場合、原稿用紙が湿気るとインクが滲むようになる

細い線だったら滲まないこともない。

でもGペンって筆圧の強弱によって線の太さを変えるじゃない?太い線を引こうと思ってと線を引くと「じわ〜〜〜…」とインクが紙に滲むんですよ。

もうこうなったら漫画なんて描けない。お手上げだ。

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先に断っておくけど「エアコンを使う」っていう選択肢はナシ

「ドライ」を使えばこの問題は即解決なんだけど、可能な限りエアコンは使いたくない。エアコンに頼ってしまえばそれからずっとこいつに頼って生きていかなければならない気がする。

それにエアコンってお金がかかるじゃない?それにやっぱさ、地球によくないよ。現状を文明の利器に頼った挙句、結局はそのしわ寄せが未来に繰り越されるわけでしょう?なら使わないに越したことはないよね。

 

 

 

よくわからないエコな意識を持った僕はあれこれと試行錯誤を重ねてみた。

最初は扇風機(これは自分の中ではセーフなのだ!)。扇風機の首を振って空気を攪拌(かくはん)してみたけどまるっきり効果ナシ!ふぁっく。

次に試してみたのはいつも使っているインクをべつのものに替えてみること。町田の世界堂に行って買ってきたのは「開明ドローイングゾルK」なるもの。いつも使っているパイロットの製図用インクよりも濃いみたいだ。だがこれもあまり効果がなかった。『ん?ちょっともってりしてる?』ってくらい。

湿度50パーセントの壁は高い。

他にも原稿用紙を空気にさらさないようにこまめにファイルにしまってみたけどそれもダメだった。

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漫画家と湿度の戦いは終わらない。

ぜったいプロの漫画家なんかは一日中エアコンをつけっぱなしにしてるに決まってるんだから!くっそ〜!

僕はこの問題を解決する糸口が見つからないあまり思わず不貞寝したくらいだ。

えっと、昨日はあまりの湿気り具合に6時間くらい不貞寝してたかな?おかげで今日はオールで起きてます。

 

 

 

 

 

 

 

そして最終的に投入したのは

「除湿機」

だった。

 

 

こいつは清水家の押入れでずっと長いこと眠っていたシロモノだ。

かなり昔の型で機能は「送風」と「連続」の二つしかない。一体何が違うのかがわからない。そしてシンプルなくせに重い。

 

 

僕はさっそく自分の部屋に持っていくと、窓を全部閉めきって除湿機を稼働させてみた。

湿度計を設置するとどうだろう?

ゆっくりと、ゆっくりと湿度が下がってくるじゃあないか!

 

 

あれにはマジで感動したね!

中のタンクに「ポタ..ポタ..」と水が溜まっていく様を見ていると、湿度を攻略したような気になれたものだ。湿度の低下に伴い部屋の空気もちょっぴりカラッとしてきたように感じた。

そして30分も経てば、さっきよりかインクのノリもマシになってきた。

 

僕はこの時ばかりは除湿機というものがこの地球上に存在してくれたことに深く感謝した。心の底から除湿機の功績を褒めちぎった。君は押入れに眠る邪魔者なんかじゃなかったんだ!ありがとう除湿機!よくぞ!よくぞやってくれた!

僕は嬉しさのあまり除湿機に目玉を描いてやったくらいだ。

帽子を被せればそこに命が宿ったようにも見えた。

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ういうい。かわいいやつめ..♪

 

 

 

 

 

 

 

そして今、僕は外に降りしきる雨を見ながら考える。

湿度の高い国は日本の他にどこがあるだろうか?と。そしてそこで暮らす漫画家たちはどんな生活を送っているのだろうか?と。

 

 

漫画というアートが成立するためには国の経済もそこそこに発展していなければならない。

熱帯にある東南アジアの島国はここよりももっと蒸し暑いだろう。したがって漫画家も少ないだろう。

だから漫画家という職業が成立しているのは先進国だろう。となると、他に湿度の高い先進国というとどこになるのだろう?

イギリスなんて年がら年じゅう雨が降っているイメージがあるけど、きっと室内には暖炉があって、ポカポカした部屋の中でロイヤルミルクティーでも飲みながら優雅に漫画を描いているんじゃないだろうか?そうなんだろ?!ジェイミー!!

アメリカとかは、なんだかんだでアートに適した気候なんじゃないかな?カリフォルニアとかいるだけで楽しそうだし。

カナダは寒いだろうから、みんな室内でぬくぬく過ごしているにちがいない。

気温は違えどオーストラリアやニュージーランドも似たようなものだろう。

ヨーロッパに漫画家なんているのかな?それに寒かったとしても湿度自体はそれほど高くないんじゃないかな?

 

 

まるで日本人の僕だけが逆境で漫画を描いているような、そんな被害妄想に駆られた。

どうして僕だけが湿度を相手にこんなに悪戦苦闘しなければならないんだと。

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乾かしてます。

 

 

 

うん。わかってる。

どうせ日本にしたって他の漫画家たちはエアコンをバリバリ使ってるんだろうさ。きっと。

ただ、昭和の漫画家たちが今の僕と同じような悩みを抱えていたことは間違いないだろう。

まぁ、僕が言いたいのはただひとつ。

 

さっさと雨止めっての。

 

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