いつもカバンに入れておきたい。そんなペン
僕がステッドラーに惹かれた理由は、
それがドイツ製のペンだからだろう。
このペンを使い始めたのはたしか21とかだったと思う。
それまで僕がドイツ製品で知っているものといえば、メルセデスベンツくらいしかなかった。
ある時近所の「アートマン(文房具店)」で手に取ってからというもの、
僕はずっとこのメーカーのペンを愛用している。
STAEDTLERはドイツ製と言いながらも比較的どこでも買い求めることのできるメーカーだ。
僕が漫画を描くのに使っている「ピグメントライナー」という種類のペンであれば、
安ければ一本260円ちょっとで買うことができる。世界堂価格だけどね。
他の製図用のペンよりもちょっと高いかな?ってくらいの値段設定だ。
ピグメントライナーのボディはとてもシンプルだ。
グレーのプラスチックに白いインクで文字が印刷されている。
だけど、書かれている英文をしっかり読めば、
そこにはちゃんと「MAEE IN GERMANY」と書かれていることがわかるだろう。
どこか使っている本人を特別な気にさせてくれる。そんなペンでもある。
このペンのすごいところは何もブランドだけではない。
キャップを閉め忘れてもペン先が乾かない
「18時間キャップオフ機能」
というものもついているのだ。
耐水性のインクはイラスト向きで、アナログで着色をする時などにはうってつけで、線が滲まない。
世の中には数多くの製図用のペン(絵を描く人で言う「ミリペン」)があるけれど、
それらの個性を引き立てているのはインクに他ならない。
uniにはuniのインクのよさがあり(あまり滲まない)、
SAKURAにはオールマイティーなインクの安定性があり、
PilotのDrawing penには独特の細さがある。
使っている製図用のペンのインクを言葉に表すのは難しいけれど、
きっとそれは、ミュージシャンでいうギターの弦の種類に似ているのかもしれない。
ピグメントライナーの場合、どのような味があるのかというと
独特のかすれ具合
と言っていいだろう。
また、使い込んでいくとペン先が徐々に磨耗して、
描く線が細くなっていいくのもポイントのひとつだ。
旅をしている最中は自分のイメージする線を引きたいがために、
同じ太さのペンをかすれ具合や磨耗具合で使い分けている時もあった。
多分、僕が漫画を描き始めた段階で初めて手に取ったミリペンが
この「ピグメントライナー」というペンだろう。
本当のことをいうと、似たようなミリペンで
「SAKURA MICRON PIGMA」という別のメーカーのミリペンがあるんだけど、
はじめ僕はそれが欲しかったのだ。
ONE PIECEの作者、尾田栄一郎がそのペンを使ってワク線を引いていたから。
けれど、僕の近所の文房具店にはそのペンは売ってはいなかった。
だから、似たような名前のペンを買い求めたのだ。「ドイツ製だし、ま、いっかー」という感じで。
それから、それから8年くらいずっとこのペンを使い続けている。
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ステッドラーは旅の仲間
一番このペンが活躍したのは僕が世界一周の最中、
チェコで荷物をまるっと盗まれてしまった後だろう。
あの時はなんとか絵を描こうと、手帳にこのペンでイラストを描いた。
なぜだか日本より本場ドイツの方が値段が高かったけど、
それでも、どこの国でも手に入れることのできるブランドもののペンであることは間違い。
カナダだかで日本の二倍近い値段で売られているのを目の当たりにした時は、
その値段の差は一体どこからくるのだろうか、とても疑問に思ったのだけれど。
いつもポーチの中には0.05ミリから0.8ミリまでの太さのペンを入れ、
いたるところで手帳にイラストを描き込んだ。
それは終業間際のマクドナルドのテーブルの上だったり、
カフェで一番安いコーヒーをすすりながらだったり、
どこかのゲストハウスの机に向かってだったり。
シチュエーションはさまざまだけど、このペンは僕に取っての旅の仲間だった。
現在はどうかというと、ここまで書いておいて非常に申し訳ないのだけれど、
漫画を描くことにはピグメントライナーのペンはあまり使っていない。
今の自分のスタイルと、ステッドラーのインクが微妙に合わないからだ。
漫画を描く上で限られたシチュエーションでしか使わない。
だが、漫画以外の場面においては頻繁に使っている。
特に手帳に文字に書き込む際には「このペン以外にありえない!」というほどにこのペンを愛用している。
僕は紙を文字や絵で埋めるのが好きなのだけれど、
ステッドラー・ピグメントライナーを使ってページを埋めていくのはワクワクするのだ。
あとで手帳を見返した時に、そこには自分の残した「記憶(ログ)」が確かに存在している。
これはあくまで僕の勝手な思い込みなのだけれど、
ピグメントライナーは安っぽい紙と相性がいい。
漫画の原稿用紙みたいに厚みがあって、ツルツルした紙に対してはインクはあまりなじまない。
反対に、どこでも見かけるようなコピー用紙なんかに絵を描く時は、不思議とハマることが多い。
きっと、僕はあれこれ色々なペンを使いながらも、結局はこのペンに戻ってくるのだろう。
漫画の画材を買ったときなんかにストックとしてついつい買ってしまったりもする。
気づいたら0.05が4本もってた(笑)
いつでもカバンに入れておきたい
そんなペンが
STAEDTLER ピグメントライナーなのだ。
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