世界一周483日目(10/24)
日付が
切り替わって二時間経った頃、
バスを降ろされた。

乗客は各々の手に
パスポートを持って列を作っている。
僕は最後尾に並んだ。
二人の審査官がバシバシと
パスポートにスタンプを押して行く。
『どうなるんだろうか?』
だって
僕はイギリスの入国スタンプを持っていない。
なんならアイルランドの
出国スタンプさえ持っていないのだ。
アイルランドのベルファストから
フェリーでスコットランドへと渡った際、
どちらのスタンプもパスポートには押されなかった。
これってもしかして
「お前どっから来たんだ!!??」みたいな
めんどくさいことになるのだろうか?
別室で質問攻めにあっちゃったりして、
僕一人を残してバスは出て行く。
そんな可能性もなくはない。
僕はこういう自体の時に備えてちゃんと
フェリーのチケットを捨てずに持っていた。
審査官の表情に何か不穏なものがあったら、
すぐさまそれを提示するつもりだ。
「は、ハロー」
「ペラペラペラペラ~(ノートめくる音)」
「バンッ!!!」
EU入国です☆
深夜二時という
時間帯のせいもあったのだろうか?
審査官はどこを見てるんだか分かんないけど、
一通りパスポートのページをめくって、
顔写真を確認するとあっとうまにスタンプを押した。
これでまたシェンゲン協定国内に戻って来たわけか。
どこかのバスターミナルで降ろされた。

7時前だってのに、あたりは真っ暗だ。
一緒のバスに乗っていた子たちは
一世に散って行った。
その半分はバスターミナルで
次のバスのチケットを買ってる。
僕はバスターミナルで
1ユーロのブラックコーヒーを飲むと、
街の中心地に向かって歩き出した。
気温はかなり低い。だんだんと空が白ずんでくる。
ここはオランダ、首都のアムスダム。

ボヤボヤ
歩いていると自転車に轢かれそうになった。

『自転車ってこんな
スピード出せる乗り物だっけ?』
と思うくらい、
みんなが自転車をかっとばして
専用道路を走っている。

こんなに自転車に乗っている人たちが
いる場所に来たのは初めてだ。
中心地を囲むように水路が
いくつも流れていることが
マップアプリから分かった。
そして、その水路に
面白い船が停泊しているのだ。
どうみても人が住んでいるように見える。

あれって、家…なのか?
ぱっと見、思い出すのは
デンマークのコペンハーゲンにあった
自由なヒッピーたちが作った自治区、
クリスチャニアだ。
あそこにもこんな感じの水辺に
立てられた家をいくつも見ることができた。
そうか。
ここもヒッピーたちがいる国なのかもしれないな。

アムステルダムに対する僕のイメージはここが
「自由な場所」
だってことだ。
自由っていうか、ヒッピー的な。
他の人のブログとかでも、
「コーヒーショップ」と言うなの
合法的にマリファナが吸える場所が
あるのは知っていたし、
「飾り窓」という
国から認められた売春街もある。
ドイツでヒッチハイクした時に、
映画で見るようなヒッピーたちが乗ったバスを見た。
あれもオランダを示す「NL(Nederland)」だった。
ここはそういう人たちが
たくさんいる場所なのかもしれないな。
水路に浮かぶボートハウスを
ワクワクしながらiPhoneで写真に収めた。
船全体を写そうと自転車様の道路にはみ出しては
自転車に轢かれそうになる。
いや、冗談じゃなくて、
マジでこの国には自転車が多いんだよ。
それにかなりにスピードで走ってくるんだ。
あれ、ぜってー日本と作りが違うぜ?

街の中心地の近くにある公園で
一休みしていると、
ホームレスに声をかけられた。
僕は荷物が盗まれやしないかと、
少し身構えたのだが、
彼はフレンドリーに握手を求めて来た。

「Nice to meet you。
警戒しないでくれ。
どうもどうもこんにちは。
僕はポーランド出身なんだけどね。
10セントを
よかったらくれないかな?」
「…。
や、スンマセン、自分、
今ここに着いたばかりなんで。
ほら、見えます?ギター?
これで旅しー…」
「あ、そう。じゃあいいや。
さよなら!」
はやっ!
しかも10セント(14yen)???
その紳士的ホームレスは
小銭の入った小さなジップロックを持っていた。
10セントくらいならあげてもよかったかな。
「おう。おっちゃんも頑張ろうぜ!」って。
一瞬そんな気がしたが、
おっちゃんは華麗にその場から立ち去って行った。
や、話しかけたタイミングが悪かったよ。
これで、僕が眠くなくて、
気分もよかったら、そうなってたかもしれない。
それに空が晴れてりゃあな…。

路面が濡れてる。
もしかしてオランダも立地場、
天気の悪い国なのだろうか?
空は白く早朝のようだった。
気温も低く、そのせいで
今が9時前だなんて思えない。
気を取り直して僕は中心地へと近づいて行った。
タバコ屋の前で
タバコを吸いたい欲求に抗っていると
(いや、実際コミカルな動きしてたんだよ)、
お店から出て来たお兄さんがタバコを一本くれた。
ありがとうと言ってもらいタバコを吹かした。
次にホームレスから10セントねだられたら
あげてもいいかな?
僕自信、泊まる場所がないっていう意味では
ホームレスまがいなことやってるから、
時度、紙コップにコイン入れたりするんだけどね。
同士としてさ。だけど、さっきのは唐突だったよ。
中心まではまだ500mほど距離があったが、
水路が囲む静かな街は完璧に思えた。

今まで訪れたどんな国よりも
完成されているかもしれない。
まわりも観光客に媚びるようなチェーン店もないし、
アムステルダムの雰囲気っていうのが
しっかりと残っている。
ベンチに座ってギターを弾いた。
この街でバスキングしたら罰金を
喰らわされることは、バスキングをする
ブロガーさんの方々からしっかり教わっている。
ここはやらないほうがいいんだろうな。
練習する分には文句はないだろうけどね。

見つけたスターバックスもまた、
お洒落なお店だった。
お店の中央にあるテーブルの下にはコンセントがあり、
充電しながら作業ができるようになっていた。
僕は一番安いフィルター・コーヒーの
トールサイズをすすりながら
昼過ぎまで作業していた。



そうかここには
ゴッホ美術館もあるんだな。ゴッホは見たい。
暖房の
効いていた店内から外に出ると、
一層寒さを感じた。
『こんなんで野宿すんのか???』
自分が今夜やろうとしていることが
とんでもなく無謀なことのように思える。
「うぅ~~~…」と寒さに
体を丸めながら中心地へ足を踏み込むと、
さっきの静かなアムステルダムの雰囲気は
どこかへ消え去ってしまった。
狭い路地には店・店・店!


それに負けないくらい人が歩いている。
確かにここでバスキングしたら
稼げそうっちゃ稼げそうだけどー…、
今回はなしだ。

これだけ物に囲まれていると、
『おいおい、そんなに物が欲しいのかよ?』
と思ってしまう。
そしてショッピングストリートは
うんざりするほど長く続いていた。
通りの最後まで歩ききるころには、
少し疲れを覚えた。


値段みたけど、一番安いヤツで3ユーロとかだったよ。
そりゃ観光客が押し寄せるわけだわ。
サブウェイで時間をつぶし、
飾り窓を冷やかしに行ってはみたものの、
実際に前を通り過ぎると、
どこか気持ちが落ち込んだ。

下着姿の大柄な女性たちが
暇そうにスマートフォンをいじっていた。
この天気じゃー、暇なんだろうね。


あれー、おかしいな。
最初はあんなに楽しかったのにな。
ショッピングストリート以降、なんかー…

「ふう…」
宿をとらない僕は、
23時までファストフード店で時間をつぶした。
お店のご主人は
そんな遅くまでいる僕を
邪見にするようなことはなかった。

寝床をゴッホ美術館の近くに選んだ。
公園には夜遅くまで人がいる。
こんな時間でも相変わらず自転車は走っているし、
何度も小雨が降ったりやんだりした。
明日どうなってるかなぁ…。

———————————————-
★世界一周ブログランキングに参戦しております。
うーーーん…、
やっぱり観光地の街の中心地って
どこも同じようなお店しか入っていないのかもしれませんね。
わかってても行っちゃうんだよなぁ。
なんか期待しちゃうんだよね。面白いものがありそうでさー、
面白いけどねアムステルダム!
天気が悪いと気分も落ちる!そんだけだ!
バナーをポチしてページの読み込みが完了すると
ポイントが入る仕組みです。
にほんブログ村
★Facebookページ「旅する漫画家」も
よろしくお願いします。
★ひっそりつぶやいているTwitterもね!「Indianlion45」
コメントを残す