「タンザニア ムベヤ マラウィ行きバス」

世界一周609日目(2/28)

 

 

半開き

になった窓から吹き込んでくる夜風のせいで、
夜中に何度も目が覚めた。

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バックパックからボタンシャツを取り出して身に付け、
その上にブランケットまでかけているのにもかかわらずだ。

タンザン鉄道は夜もただひたすらレールの上を走った。
Asian Kung-Fu Generationの「ブルートレイン」という曲を思い出した。

 

 

 

ここはタンザニア。僕はタンザン鉄道に乗り、
マラウィとの国境付近の町、ムベヤに向かっている

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辺りが徐々に明るくなって行く。
朝靄に包まれた景色が窓の外に見えた。

上段に寝ていた二人のタンザニア人は
朝早くにどこかの駅で降りて行った。

再びこのコンパートメントには
僕と韓国人のソンジュンの二人になった。

 

 

ソンジュンは進行方向に対して逆向きの席だったので、
夜風に凍えることもなく(日中は暑さに喘いでいた)、
ぐっすりと眠っていた。

僕は窓際に寄ると、
また飽きもせずに外の景色を眺めていた。

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一体同じ様なシチュエーションが何回あっただろうか?

一回として同じ景色はなかった。

僕は『この景色を忘れまい』と願うのだが、
また新しい景色を通過する度に、前の景色は色褪せていった。

それがどこか寂しくもあり、旅とはそのようなものなのだと思う。

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ソンジュンが起きてきても、
僕は外の景色を眺めていた。

 

 

「おれさー、日本に帰ったら、
ホームレスになろうかなぁ…?」

「ははは。シミはそんなことにはならないって」

「いやさ、
日本って土地を借りたり買ったりするのに
とてもお金がかかるんだよ。
そのくせ人口は減少して誰も住んでいない家は沢山あるのに、
不動産の価格は上がったままなんだ。
これって変な話じゃないか?

おれはアーティストとしてはすぐにお金が稼げないかもしれない。
それなら、ホームレスに近い暮らしをして
その経験を漫画にしてみても面白いかもしれない。
そんなこと考えているんだよ(笑)」

 

 

「別にホームレスなんてしなくても、
日本を旅しながら漫画を描けばいいんじゃない?
韓国にはお金も持たずに国内を旅する貧乏旅行者がいるんだよ。
彼らは行く先々で働いたりして
ちょこっとお金稼いだりしながら旅を続けるんだ」

「へ~~~。韓国にそんな文化があるんだ」

「まぁ、文化ってわけじゃないけどね。
そういう若者がいるよ」

「でもさー、長い話を描くには
どこかに留まらないといけないんだよ」

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最近、
少しづつではあるが、日本に帰国した後に
どのようにして漫画製作に取り組んで行くのか、
また、どのようなことにチャレンジしてみたいのかが、
見えて来た気がする。

もちろんホームレスというのは冗談だが、
新しいライフスタイルというのを
自分なりに模索してみたいと考えている。

 

 

 

「結局、キリン見れなかったね」

「うん。そうだね。バオバブもなかったしね」

 

 

タンザン鉄道に乗れば自然保護区を通過した際に
キリンが見れると聞いて、僕たちは楽しみにしていたのだが、
とうとうキリンは見つからずじまいだった。

あたりの景色はジャングルからのどかな田舎町に変わり、
少しずつ人家も増えてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

13時

になるとムベヤに到着した。

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「それじゃあ、彼女と幸せにね!」

そう言ってソンジュンとは握手をして別れた。

ソンジュンはどこか寂しげな顔をしていた。
彼はあと2日この列車に乗って
ザンビアのルカサの町を目指すのだ。

 

 

タンザン鉄道の旅そのものもよかったけど、
僕は彼と会えたことがよかった。
また韓国のヤツらに良い印象が持てたよ。

こういうのを繰り返していけば、おれらもっと仲良くなれるよな。

それにお互いの国の言葉はほとんど知らなくても、
英語が中学生レベルにちょこっと毛が生えた程度で
意思疎通がとれる。

やっぱり、英語って便利な言語だなと思うのだ。

 

 

 

 

 

ムベヤ駅に降りると、外は少し雨がちらついていた。

駅の外に出ると、ミニバンの集金係たちが
各々に行き先を叫んでいた。

中にはこのままマラウィとの国境まで向かうバスもあったのだが、
僕はタンザニアの滞在が短かったこともあり、
最後にムベヤの町に泊まろうと考えていた。

集金係に連れられるがまま、
ムベヤの町行きのミニバンに乗り込んだ。

たかだか2~3kmの距離なのに2000シリング(131yen)かかった。
ダルエスサラームだったら普通のバスで500シリングだったのになぁ。
どうしてミニバンだと値段が上がるのだろう?

 

 

 

 

そのままバスターミナルまでミニバンは走った。

ターミナルに到着し、車を降りると集金係が
「明日マラウィのどこに行くんだ?」と僕に訊いてきた。

 

 

「あぁ。カロンガかな?」

「ならこっちだ!」

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急に僕の手を掴み、
沢山あるバス会社のオフィスの中のひとつに
僕を連れて行った。

カウンターの向こう側に回り、
チケットに僕の名前やらその他の情報を記入して行く。

 

 

「ハウマッチ?」

「カロンガ行きなら
35000シリングだ(2,288yen)」

「はぁ」

「時間は?」

「え、じゃあ朝イチので。
5時~6時の便ってあります?」

「じゃあ6時だな」

 

 

そう言って、ペラペラと台帳をめくり、
集金係は文字を殴り書きしていった。

 

 

「それじゃあ、明日の8時半頃だ!」

「え…??!!6時って言ったじゃないですか?」

「あ、そうだった!」

「あの~、バスってどこに来るんですか?」

「あぁ、ここら辺だ!」

『ずいぶんアバウトだな。ほんとに来んのかよ?』

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ムベヤの町で気をつけておかねばならないこと

それはマラウィまでの直通バスがあると騙され、
国境手前までしかいかないくせに
高めの金額をふんだくるというものだった。

 

 

僕は事前にマサトさんからそのことを聞いていた。

だが、それは駅周辺のことなのだと、
買ってに勘違いしていたのだ。

少し高い気がするが、国境を越える際には
それくらいかかるのかもしれない。

集金係は汚い文字でチケットの空欄を埋め、
ミシン目に沿ってそれを切り離し、チケットを僕に渡した。

 

 

 

 

 

外に出ると他の客引きが僕に宿を案内してくれたが、
そのどれも、予算外だった。

僕の進行方向の前を歩き、さもガイド気取りだ。
まぁ、いいけどさ。別にお金払わないから。

 

 

 

見つけた宿はテント泊ができた。

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キャンプサイトと呼べないような小さな芝生スペースに
テントを立ててもいいらしい。

値段も12000シリングだったが、
10000シリング(654yen)まで値下げすることができた。

Wi-Fiはなかったが、
温水の出る共同シャワーが使えるがいいところだった♪

 

 

 

 

シングルルームとテントの違いについて考える時がある。

なんでったってアフリカではテント泊を
許可しているのだろうか?そっれて利益が出ているのだろうか?

 

 

きっとテント泊というのは
シングルルームよりさらに下のグレードなのだ。

選択肢が増えたそれでよしとしよう。面白いよね。アフリカって。

 

 

 

 

 

宿のすぐ近くにインターネットカフェがあった。

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一時間で1000シリング(65yen)だった。

Wi-Fiがない場所でも、
インターネットカフェ(ていうかネット屋)があれば、
場合によっては自前のノートパソコンにLANケーブルをぶっさして
インターネットを利用することができる。

ここのネット屋は、
事前に自分がどれだけインターネットを利用するのかを告げ、
お店の人がその分の時間をパスワードと共に
パソコンに打ち込むスタイルだった。

これなら時間きっちり守られる。

 

 

 

僕はメールを返したり、情報収集をして最初の30分を過ごした。

日本にいる誰かが、
僕にコメントやメールをよこしてくれるのは、素直に嬉しい。

そこには僕が戻って行ける場所があるような気にさせくれるし、
会いたい気持にさせてくれる。

貴方が送ってくれるメールが僕と日本を結びつけているんです。

そんなメッセージが心をじんわりと温めてくれる。

雨がパラつく曇り空の、こんなアフリカの小さな町にいたとしても。

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「あれ…???」

 

 

僕は
嫌な情報
を見つけてしまった。

 

 

それには、ここムベヤの町のバス会社に騙されて
高いチケットを買わされたという話がゴロゴロ出てきた。

「気にかけておいた方がいい」というよりかは
「知っておかなければならない」レベル。

まだこれが国境を抜け、カロンガの町まで行くのであればいい。

 

 

だが、タンザニア/マラウィ間には
国際バスというものが存在しないのだ

つまり、僕は高いバスチケットを買ったばかりか、
明日は国境で置いてけぼり。

さらにつ追加のお金を払って
自分で交通手段を確保しなければならない。

 

 

念のためにネット屋のスタッフにチケットを見せて、
これがカロンガまで行くのか訊いてみた。

 

 

「あ~、これね。
ボーダー(国境)までしか行かないよ?」

 

 

 

うそ~~~~ん…!!!

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「すいません。
警察呼んでもらってもいいですか?」

 

 

僕はスムーズに返金してもらとうと警察を呼んでもらうことにした。

これはまだ明日のチケットだ。返金されてしかるべきだ。
騙されてもいない。ジャスト・クーリングオフ!

 

 

ネット屋のお兄さんは親切だった。

だが、警察はここには来てくれないらしい。

わざわざバイタクで1000シリングも払って
警察署まで行かなければならないと言うのだ。

それに、場合によっては警察は
バスターミナルまで出向いてくれないかもしれない。
往復2000シリングが無駄金になることだってある。

 

 

 

これはー、

 

 

その瞬間、僕には
演技力が求められていた。

最初は穏便にニコニコ友好的に。

そして、チケットの説明を求めて、
「カロンガまで行くっしょー!」と言っているところを
iPhoneのビデオに収める。

それを元にヤツをゆすれば、
チケット代はすんなりと返金されるに違いない。

 

 

 

 

スタスタと先ほどのバス会社まで行った。

先ほどの集金係の姿はない。

 

 

「あの~、すいません、
このチケットってカロンガまで行くんですよねぇ?」

「ん?どれどれ?
これ国境までしか行かないよ。
ってかそもそもうちの会社のバスじゃねーし」

 

 

 

「ふざっけんじゃね~ぞコノヤロウ!!!

おれはさっきここのスタッフから
チケットを買ったんだぞ?
ここに売ったヤツの署名があるよなぁ?
なんで違うバス会社のチケット売っとんじゃ???
(演技)

 

 

後ろに座っていたおばさんが、
「中国人が何アツくなっちゃってんの?」
とケタケタ笑ってる。

あぁ?ナメてんのか?

 

 

 

「バン!バン!!バン!!!」

 

 

カウンターを手で叩く。

コンクリートの室内に音が反響する。

これが冗談じゃないのを伝わらせるためだ。
大きな声で自分が怒っているのをアピールする。
後ろのおばちゃんの顔が曇った。

 

 

 

「おい?テメェ、ふざけてんじゃねえぞ?
さっさとコイツ呼べよ?」

「こ、コイツはうちのスタッフじゃない!」

「はあっ???
ならおたくの責任だね。
なんで部外者がチケット売ってんだよ?
35000返せよ?ポリス呼ぶぞ?
ポリーーース!」

「ちょ、ちょっと待て!」

 

 

そう言って、電話をかけるバス会社のスタッフ。

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警察はハッタリだ。

そしてこれ見よがしにバス会社の内装をiPhoneの写真に収めた。

 

 

 

だがよく考えてみて欲しい。この時点でおかしいのだ。

なぜここのスタッフは部外者である集金係の番号を知っている??

チケットは現地の言葉で書かれていたが、
少なくともヤツは偽名ではなく本名で書いていたということだ。

てかバス会社もグルじゃねーか。

 

 

 

 

ここからは粘りの勝負だった。

向こうのトンズラをかました集金係が戻ってくる見込みはない。

だが、ここには騙されたことに気づき、
返金を求めているヤツがいる。しかも警察沙汰になりかねない。

 

 

沈黙させることはしなかった。
バンバンとカウンター叩く僕はチンピラ役だったら
いい味出していただろう(だが上映15分以内に殺される役だ)

 

 

そして10分後にこのオフィスのボスらしき人物がやって来た。

顔を曇らせ、

「そのまま騙されておけばよかったものの..」

と顔に書いてあった。

 

 

 

「おい?
このまま返金しないとあんたの会社は潰れるぜ?
おれはロンリープラネットや
他のガイドブックの会社とコネがあるんだ。
もうおたくらの写真も撮った。ここにはもう客はこない。
それに警察呼べばパーフェクトさ」

 

 

ボスは何も言わずに
僕に30000シリング返金した。

5000足りない。

 

 

 

 

「おい、どういことだよ?」

 

 

英語の喋れる野次馬が
「キャンセル料がは発生したたのだ」などと言う。

偽物のチケット売っておきながらキャンセル料ってねえ。バカ?

 

 

だが、ここから僕は態度を一辺させた。

いままでわめき散らかしてきたのに、声のトーンを変え、
あえて落ち着いた素振りを見せる。

 

 

「まぁまぁ。
あと5000返してくれたら、水に流すよ?」

 

 

ボスはそっぽ向いてオフィスを出る。
逃さないように僕もボスの後を追いかける。

 

 

「国境までは5000シリングだろ?
じゃあ明日ここに来ればその分のバスを手配してくれるの?
それならレシートくれないかな?」

 

 

だんまりを決めるボス。

腕に優しくタッチし、諭すように言う。

 

 

「うん。おれらもう子供じゃないんだからさ。
素直に残りの5000シリング返してくれないか?」

 

 

 

 

そしてとうとうボスは折れた。

 

 

残りの5000シリングも回収完了。
僕は騙されていない。ただ返金してもらっただけ。

 

 

 

最後にボスが
「どうして分かったんだ?」と訊いてきた。

 

 

「ネットに書いてあったんだよ。
それに他の人にも訊いた」

と僕はサラッと答えてやった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たとえ演技

でもお怒るのは疲れる。

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近くの露店でミルクティーと揚げパンをかじり
精神を安定させた。

夕食代わりのバナナ二本買うと、
アルビノ(色素のない白人のような)ヤツが
「そのバナナ一本くれっよ」とせびってきたので、
素直に一本分けてやった。

いやさ、怒った分徳を積まないと。

 

 

お腹も減っていなかったので、
焼きトウモロコシを食べて宿に戻ってシャワーを浴び、

そしてテントの中で日記を一本書くとそのまま寝た。

 

 

やれやれ…。

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情報収集しておけば騙されなかったものの、ツメが甘かったってことですね。ふう。
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