「二回目のアイルランド」

世界一周642日目(4/2)

 

 

8時間20分

の一本目のフライトが終り、飛行機はアブダビの空港に着陸した。

 

 

南アフリカとは時差がプラス2時間あった。
南アフリカは深夜4時だが、こっちは6時というようになっていた。

ということは今日の僕の一日は22時間になってしまった
ということなのだろうか?

地球という同じ惑星に住んでいるのに、
場所によってタイムラグがあることがまだうまく飲み込めない。
時差って不思議だ。

 

 

僕は飛行機の中で配布されたエメラルドグリーンのブランケット
を持ち出してきた。

薄手で大判なのでマフラーのように首に巻くこともできれば、
体を覆うこともできる。

これから一気に寒くなると思われるカナダに行くのに
役に立ってくれそうなブランケットだった。

 

 

 

 

 

飛行機の中から外を見ると、
空港は霧だか黄砂のようなものに包まれていた。
50m先になると何も見えないのだ。

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以前と全く違うアブダビに、
僕はここが本当にアブダビなのか確信が持てなくなった。

空港のスタッフの中にはマスクを着用している者がいるのが見えた。
この黄色い霧が体に害を及ぼす毒ガスのように思えてしまう。

飛行機のタラップを降り、シャトルバスに乗って空港まで向かう。
トランジット用の通路を渡り、
航空券に書かれたゲートのある場所に僕は直行した。

 

 

空港内ではアジア人顔のスタッフが多くなった印象があった。
アブダビは移民が多いのだろうか?

出発予定時間まで一時間半を切っていたが、
電子版にはまだ搭乗上受付が開始の合図は出ていなかった。

空港の中ではサクサクのWi-Fiを使うことができたので、
僕はありがたみを感じながら相棒に連絡を取ったり、
Facebookを除いたりして時間を過ごした。

 

 

次に向かうはアイルランド、ダブリンだ

 

 

 

 

 

 

僕はネットに夢中になっていた。

時間はどんどん過ぎ気がつけば出発一時間前になっていた。

電子板には「delay(遅延)」と書かれている。
せっかくWi-Fiも使えるのだ。のんびりと待てばいいだろう。

だが、僕は一緒の飛行機に乗っていた見覚えのある人たちが、
周りにいなくなっていることに気がついた。

 

 

 

『あれ?おかしいな…?』

 

 

そう思い、もう一度搭乗ゲートが表示される電子板を確認すると、

 

 

 

 

 

おいおい。なんでゲート変わってんねん。

 

え、あ、もしかしてこれってーーーー…

 

 

 

ちょ、ちょちょちょちょっっ…!!!やばいやばいやばい!!!

 

 

 

どうして誰もおれに教えてくれなかったの~~~~!!!

今まで人一倍時間にビビリな僕がまさかこんなところで
飛行機乗り過ごすだなんてシャレにならねぇぞ!

たたでさえもうお金も50万円くらししか残ってないのに、
これで航空券買い直すなんてことになったら、
もうどうしよう?

日本帰ろうかな?

 

 

 

 

僕は変更されたゲートに向かって全速力で駆け出した。

上の「25~50」だと書いたサインを頼りに、
エレベーターの床版みたいなのにも乗らず、

ダッシュダッシュダッシュ!

 

 

 

こういう時に限って目当てのゲートはフロアの一番端っこにあったりする。

マジクソファック!これで乗り過ごしたら
一体誰を呪えばいいんだい??!!

 

 

急な搭乗口の変更ということもあり、
まだゲートの前には列ができていた。

列に並んでいる人に
「こて?ダブリン行きですよね?」と確認した。
僕が訊ねたアジア人顔のお兄さんは

「さっきアナウンスで言っていたじゃん?
みんな知ってるよ?あんたバカ?」

みたいに僕に言う。

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とっさに思いついたのは
「あぁ、ガールフレンドとメールしてたんだよ」という一言で、
彼は「なら仕方ないよね」と理解してくれたみたいだ。
僕はこういうどーでもいい嘘をつくのが好きだ。

そしておれの人生ってつくづくコメディだなぁってよく思う。

 

 

飛行機には無事乗り込むことができた。

手荷物は貴重品の入ったサブバッグのみなので、特に問題はない。
気がかりなのはヨハネスブルグで預けたギターだ。大丈夫かな..??

 

 

 

 

 

 

飛行機は靄に包まれたアブダビ空港を離れるのには2時間ほどかかった。

整備用の車が霧の中に消えて行くのが飛行機の窓から見えた。

 

 

 

 

エンジンが回る。

鈍い振動が座席にまで伝わる。

滑走路までの道のりをゆっくりと飛行機は走り、
滑走路に着くと一呼吸を置いて飛行機は走り出す。

ガタガタと揺れ、「ふっ…」と機体が浮上する。

あっという間に地上は見えなくなり、窓の外に移るのは白い雲。
飛行機は雲の中に突入したようだ。

これでニアミスにでもなったらおれの人生終わりだなと思い、
機長を信じるしかないので観念する。

隣りのおっちゃんはアイルランド人らしく、
僕にメントスのようなお菓子をくれる。あざっす。

そして、雲を突き抜けた飛行機は
ピタリと空中で停止したように雲の上に出た。

あたり一面には青空が広がっていた。

空の上

 

 

 

二本目のフライトもエティハド航空だった。

先ほどと全く同じクオリティの高いサービスを受けることができた。

機内では最新の映画「バード・マン」や、
幼馴染みの男女を題材にしたラブコメディなんかを見たりして
時間を過ごした。

 

 

今回のフライト時間も8時間だった。
アブダビとダブリンの時差はマイナス3時間。

あれ?僕の一日は一体何時間なんだ?
飛行機を何回も乗り継ぐと一日という感覚がなくなっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二回目

のアイルランドに僕はワクワクしていた。

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トランジットに22時間もあるため、僕は一度ダブリンの町に出て、
ギネスビールでも飲もうと考えていたからだ。

景気付けに一杯やっておいたほうがいい。

 

 

ここに来た人間たちはどんな者でも
かならず入国審査を受けなければならなかった。

前回僕がここにやって来た理由は
入国審査が厳しいと言われていたイギリスに行くからだった。

特に予定も立てないで
「ギネス美味いっすよねぇ~~~♪」なんてニコニコしながら
あっという間に入国できたのだが、

 

 

今回は違った。

 

 

 

 

もうあからさまに顔の険しい入国審査官が
僕のパスポートをチェックする。

そしてネイティヴ・イングリッシュでペラペラと怒った口調で質問する。

あたふたして、うまく答えられないと、審査官の顔色は曇った。

おいおい一体どうすりゃいいのさ?
おれのどこが怪しいってーの?

 

 

「す、すいません、ちょっと話すのが早くって
うまく聞き取れないんですけど?」

「ああ??それはあんたの問題だろ?
自分の感覚をおれに押し付けるな」

「あ…は、はぁ。」

「で、どっから来たんだ?」

「へ?は、は、ジャパンです」

「んなこたぁパスポート見れば分かるんだよ?」

「すいません、えっとアブダビ?」

「あ?自分がどかから来たか分からないのか?」

「いやぁ、えっと…」

 

 

マジで何て言っているのか分からない。”Where”くらい。

“My destination?(僕がどこに行くかってことですか?)”

みたいに、簡単な英語に置き換えても、まずヤツ(審査官)には
僕と仲良くなるつもりなんて微塵もないのだ。

たぶん彼は、パスポートやチケットの半券から
目的地を訊くつもりだったのだろうが、
そんなんチケット見りゃどこ行くかそっちこそ分かるではないか!

 

 

「で、今日はどこに泊まるつもりなんだ?」

「いや…、空港泊するつもりです…」

 「チッ…」

 

 

苛立たしげにパスポートにスタンプが押されて入国審査は終った。

あれ?アイルランドってこんな国だっけ?

 

 

 

 

空港内に入っても、以前来た時とは印象が違っていた。

時刻は18時で、空港内にはほとんど人がいない。

僕はとりあえず三本目のチケット(ダブリンからトロントに行くものだ)
を発券してもらおうとエティハド航空のブースにまずは向かった。

なぜだかエティハド航空のスタッフだけは
天使のような微笑みを僕に投げかけてくれた。おばちゃんだったけど。

だが、ここでチケットの発券はされていなかった。

アイルランド航空のブースに行きって下さいと言われて、
そこで訊いてみたのだが、
チケットは明日にならないと手に入らないということだった。

ここのブースのおじいさんは先ほどの入国審査官のように
露骨に態度に表す人物ではなかったが、
英語が全く聞き取れなかったため、イライラしているのが感じられた。
今まで旅で培って来た自信がどんどんなくなっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『とりあえず外に出なくっちゃ』

 

 

 

楽しいことは外にあるもんだ。
中に籠っていても何も得ることはできない。

 

 

僕は空港内のATMで40ユーロ(5,235yen)をおろして
外に飛び出した。

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外はアイルランド特有の小雨混じりの天気で、
気温は一気に下がったが、フリースとマフラーで
しのげるくらいの寒さだった。

バスは往復で10ユーロ(1,309yen)。
片道だと6ユーロもするので、2ユーロお得だ。

 

 

前回僕がここに来た時はどんなだったっけ?

そうだ。金丸さんがちょうど日本に帰国した時だったよなぁ。
そんなことを思い出した。

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街の中心地で僕はバスを飛び降りた。

小雨なんて気にせずに早足で歩く。

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どうして二度目の場所はこんなにも安心、
自分の街のように歩けるのか不思議だ。

というか、最初の街に対して抱く不安が
いつものことなのかもしれない。

 

 

 

たまたま見つけた電気屋
僕はポータブルバッテリーを買うことにした。

南アフリカでは7~8千円しそうなバッテリーが
ここでは3500円で買うことができた。
8,000mAの容量なのでiPhoneを三回程度は充電することができるだろう。

店の人間はパキスタン出身だった。

「インド人顔」と括ってしまうのは失礼なのだが、
どうしてか僕は彼らの顔を見るとどこか安心する。

 

 

 

 

店を出て僕が向かったのは、
前回もダブリンに来た時に訪れた楽器屋だった。

これと言って特に買いたいものはないのだが、
あると分かるとどうしても足を運んでしまうお店が
僕の中にいくつかある。

nudie jeansのコンセプトストアだったり、パタゴニアだったりだ。

 

 

自分の記憶を頼りに周辺を歩いてみたのだが、
なかなか楽器屋を見つけることはできなかった。

近くのお店にここに楽器屋がないか訊ねてみたのだが、
もう既に営業が終ってしまったあとだった。それなら仕方ない。

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ここですべきことはまだ他にもあった。

その前に一応帰りのバスが何時まであるのかを
インフォメーションで調べ、空港行きのバスが止まる場所も
確認しておいた。

 

 

 

そして次に向かったのがTESCOだった。

忘れてはならないのが、
アイルランドやスコットランド、イギリスの
TESCOで売られているクッキーはクッソ美味しいということだ。
甘党の僕にはこれをはずすことはできなかった。

見つけたTESCOで5枚入りのクッキーを
ダブルチョコレートとホワイトチョコレートの味違いで二袋を購入。
この時点で400円近く使っている。

アフリカで400円あったらもっと買えるけど、今は気にしない。
短時間でアイルランドを楽しむことが僕の目的だ。

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僕が最後にしなければいけないことは
ギネスビールを飲むことだった。

ちょうどTESCOの近くにライブバーを見つけたので
スルリと中に入る。

 

 

店内の小さなステージでは年配のギター弾きと
リズム担当の奥さんらしき人が
大きなタンバリンのような打楽器を叩いていた。

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そしてその前では、独身女性のパーティなのだろうか?
「次に結婚するのは私!」みたいな感じの英文が
書かれたたすきをかけた女性たちが5人くらいハイになっていた。

僕はバーカウンター越しに「ギネス!」と大声で注文して
5.5ユーロを支払った。

今日はケチケチしてても仕方がない!
僕はこのためにわざわざ空港から出てて来たのだ!

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店内はそこそこ盛り上がっていたが、
僕には彼らがノっている音楽がよく分からなかった。

ただ純粋に演奏に耳を傾け、この空気感を楽しんでいた。

最後の数曲は僕でも知っている
ビートルズの「ヘイ・ジュード」や
日本のCMなんかでも耳にしたことがある有名なカバー曲だった。

たぶんその時が一番店内が盛り上がっていた時だと思う。

僕も分かるサビの部分だけ大声で唄い、周りのみんなが笑顔だった。

 

 

そうだ。だから僕はライブが好きなのだ。

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 っていうか後ろのお姉さん、可愛かったなぁ…。

 

 

その場にいる人間が感じるある種の一体感。
日本以上にみんなが周りなんか気にしないでその一瞬を楽しんでいる。

そうか。カバーする意味はここにあったのだな。

 

 

同時に気づいたことは、
誰でも知っているようなヒット曲をカバーすることの意義だった。

僕はバスキングをしているうちに、
誰かが作った曲にあやかってコインをもらうことに対して
違和感を覚えていた。

おいおいそれって、その曲を生み出したアーティストのおかげだろ?
だから稼げるんだろ?

それなら自分のオリジナルを唄った方がいいんじゃないか?と。

 

 

それは違う。

 

 

路上の音楽家たちの役割は
目の前の人を少しでも楽しませることにある。

 

 

中には路上演奏が生活の糧になっている人間もいるだろう。

答えやその人がとるスタイルはいくつもあるが、
少なくとも僕は改めて「カバーすることの意義」を理解した。

だって、突然やって来たおれですら楽しめたんだもん♪
やっぱ音楽てすげーな。

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酔いも手伝って、気持よく空港まで帰ることができた。

帰る前に今日のシメに
ガーリックマヨネーズのかかったチップス(フライドポテト)を食べた。
野菜食ってないけど、気にしない!

 

 

 

 

 

空港は来た時以上に静まり返っていた。

空港内のコンセントで充電をしていると、
エチオピアで買ったマルチタップがショートし、
SAMSUNのプラグとUSBコードがお陀仏になった。

はーーーー、やれやれ。安物を買うとこんなんばっかだなぁ。

 

 

 

まぁ、いいや。今日は楽しかった。

起きてずっと作業していたかったが、
2時半になるとさすがに頭が働かなくなってしまった。

僕はベンチに座ったままの姿勢で
エティハド航空からもらってきたブランケットを体にかけて目を閉じた。

 

 

 

さてと明日はカナダだ…。

入国できるのかしらん…??

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