「トルコバイバイ。そしてチンコトークは突然に」

世界一周380日目(7/13)

 

夜型のサジュークは

今朝はしっかり起きていた。

 

 

「ここまでトルコの旅を楽しめたのはサジュークがいてくれたからだよ」

「もし、漫画出版することになったら送ってくれよな」

「もちろん♪何年かかるか分からないけどね(笑)」

 

 

いい旅立ちだ。

40日以上旅したトルコもそろそろお別れ。

まさかトルコにここまで滞在するとは思わなかったな。

 

 

向かう先はエディルネという場所。

ブルガリアとギリシャの両方に面した国境の町だ。

サジュークが言うには
オールド・イスタンブール側にある
サーケジとかいう名前の駅から
直通で電車に乗れるそうだ。

10ドルくらいでいけるらしい。
それくらいならヒッチハイクしなくてもいいな。

 

 

 

僕はみんなにお礼を言って出発した。

重たいバックパックを背負ってガラタ橋を渡り、
駅のチケット売り場のおばちゃんに尋ねた。

 

 

「すいませーん!エディルネまでいくらですか?」

「はっ!ないよ」

「え??えでぃるー…」

「ないよ!」

 

 

ちょっと半ギレのおばちゃんに
たじろぐ僕。

えっ?列車がないってー…、

 

 

「じゃ、じゃあバスって
どこから出てるか知ってます?」

「知らないよ!
隣りのインフォメーションで訊きな!」

 

 

おばちゃんはバサっと言い捨てると
カウンターの向こうで椅子をひいた。

『これ以上私を苛つかせないで!』
とでも言うように。

そして分かったことは、
トラムを乗り継いでいかないことには
バスターミナルに行くことができないということだった。

トラムに乗るためには
磁気カードを購入しなければならない。

 

 

「ぐっ…ここに来て出費が…。
トラムのカードっていくらですか?」

「8リラ(383yen)だね!」

たかっ!!!

しかもチャージされてない状態だからね!

まったく信じられないよ!
町から出るのにお金がかかるなんて。

 

 

追加で5リラ(239yen)チャージして
僕はトラムに乗った。

町から出るのにどんだけお金がかかるんだっての!

最初はバスターミナルに向かうつもりだったが、
僕はだんだんと気持ちが変わってきた。

ここまでヒッチハイクで旅してきたんじゃないか。

トルコの最後の町まで

やっぱ、
ヒッチハイクっしょ!

 

 

 

サジュークにヒッチハイクで
イスタンブールを抜け出す場所も
訊いておいてあった。

行き先をエディルネから、
別の国境の町である
イプサルへと針路を変更する。

 

 

幹線道路に近い駅でトラムを降り、
「ここまで行きたいんですけど」と
駅員さんに目印になりそうな大学の名前を告げる。

駅員さんはメトロバスに
乗ればいいよと教えてくれた。

うむ!順調!

 

 

トラムの次は
メトロバス
という2台連結のバス。

幹線道路にはメトロバス専用の車道がある。

さっき手に入れたカードは
メトロバスでも使うことが出来る。

不足金額をチャージして
イスタンブールの端の方にある大学へ。

 

 

 

 

サジュークから教えてもらった
ヒッチハイクポイントだったが、
実際に言ってみると
ここでヒッチハイクは難しいことが分かった。

車がビュンビュン走っており、
スピードを落として止まるスペースが見当たらない。

バス停のすぐそばでシミット(ごまパン)を
売っているおっちゃんに隣り町まで行くバスに
乗れるか尋ねると、おっちゃんは気を利かせて
僕がどのバスに乗ればいいのかを教えてくれた。

サンクス!おっちゃん!

 

 

イスタンブールの郊外にある隣り町、
シリヴリまで6リラ(287yen)。

こうして僕はイスタンブールの町を抜け出したのだ。

町から抜け出すのも楽じゃないぜ。

 

 

 

 

 

 

 

隣町の
バスターミナルから

トコトコと歩いて幹線道路へと出る。

さぁ~!元気よくヒッチハイクしていきましょう!

 

 

トラックは比較的早い時間帯で止まってくれた。

IMG_2456

 

 

 

一発ゲットのイプサル行きのトラック。
乗っていたのは二人のおっちゃん。

バックパックを荷台に積み上げてもらい、
僕は運転席と助手席の間に挟まるようにして座った。

 

 

「なんだ、男かよぉ」

「ははは。そうなんだよね。
髪が長いから女かと思ったろ?」

 

 

冗談っぽく僕のTシャツを
まくり上げて確認する運転手。

僕を乗せてくれたこの二人の男、
かなり下ネタが好きな人たちだった。

こちらも車に乗せてもらってる身だし、
「下ネタ好きです!」的なノリを
演出して話を合わせる。

 

 

 

「お前、ほんとうに男なのか?
チンコ見せてみろ?」

ニタニタしながら運転手のおっちゃんが
僕の股間に手を当てて来た。

 

 

「ちょ!ふざけんなって。
それはさすがにしねーから(笑)」

「おれのを触ってみるか?
トルコ人のチンコはこんなに長いんだぜ?」

助手席のおっちゃんと交互に下ネタで僕に絡んで来る。
これでイプサルまで行くのか…。

 

 

「ここまで長くなるんだぜ?
お前のはどのくらいの長さなんだよ」

だんだん対応に困ってくる僕。

とりあえず車内の空気を悪くしないために、
しなやかにチンコトークに対応する。

適当にあしらっていけば相手も飽きるだろう。
い、イプサルまでの辛抱だ。

ヒッチハイクしたのが女のコだったら、
マジ引いただろうな..。

 

 

 

 

「なぁ、
おれのチンコ舐めろよ?」

 

 

 

 

「ははは冗談はキツイよ☆」

 

 

たまに卑猥なジェスチャーを交えてくる運転手。

『おれは男だっていけるんだぜ?』
みたいなことを言ってくるが、
どこまで冗談なのかわからない。

会話が終わる度に僕のチンコを触ろうとする。

 

 

 

 

トラックはイプサルよりずっと手前で僕を降ろした。

 

 

 

「チンコ舐めろよ?」

「ははは。
断るっっっ!」

 

 

僕に興味をなくした二人は、
荷台からバックパックを降ろして、
あっという間に走り去っていった。

IMG_2457

 

 

 

 

 

 

最後の最後で
ヒッチハイクで嫌な思いを味わった。

一気にテンションが下がる。
口角を上げるパワーがない。

 

 

トルコで何度もヒッチハイクをしてきたわけだが、
こういう事態も十分起こりうることは分かっていた。

それでも、トルコのみんなを信頼してたんだ。

そしてこんなアジア人の僕を乗せてくれた
ドライバーさんたちと仲良くやってきた。

甘えと言っちゃあ甘えだけどね。

 

 

力なく親指を立てる。

止まってくれたミニバスは
数キロ先の町まで僕をタダで乗せてくれた。

善意で僕を乗せてくれたのに、
僕は「ありがとう」が上手く言えなかった。

IMG_2458

 

 

 

 

それでも、次の町でも親指を立てた。

いつもは親指を立てるだけじゃなくて、
フリーハンドで手を振ったり、
ダンスみたいにコミカルな動きを交えて、
運転手の気を引くように努めていたが、
今回はそんな元気もなかった。

直射日光に顔をしかめながら、
車が近づいて来ると
不自然にニコニコして親指を立てた。

こういう時の僕の笑顔ってどんなんだろ?

ぜんぜんうまく笑えねえ。

 

 

 

止まってくれたのは
子供を二人乗せたフィアットだった。

IMG_2459

 

 

 

奥さんが運転して、
後部座席で子供の相手をしたいた旦那さんが
助手席へとずれる。

穏やかにヒッチハイクすれば、
その波長に近い人が止まってくれるのかもしれない。

 

 

後部座席には幼い二人の兄弟がいた。

僕が乗るとおにいちゃんは急に黙りこむ。

そりゃ、びっくりするだろう。
突然変なヤツが車に乗り込んで来たんだから。

僕もコミュニケーションを計ろうと、
「ハーイ!」とか顔芸をしたが、
おにいちゃんは相変わらずむすっとしたままだ。

チャイルドシートに座った弟は
そんな僕らを楽しむように
おにいちゃんの顔を無邪気に手ではたいた。

 

 

ヒッチハイクのポイントで
僕はフィアットから降ろしてもらう。

旦那さんは僕に
1リットルペットボトルに残った水をわけてくれた。

ありがたいっす。

 

 

 

よし。ちょっとだけ元気になったぞ。

あと一回のヒッチハイクでイプサルまで行ける距離だ。

さっきと同じように、
余計な動作は交えずにバックパックを背負ったまま
親指を立てる。もちろん笑顔は忘れない。

 

 

10分もしないで車が止まる。

乗っていたのはお父さんと、
助手席に座った3歳くらいの女のコだった。

どこか優しい気持ちになれる。

僕が言えるのはティシュケレデレムだけだけどね。

ありがとう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イプサルは
小さな町だった。

とりあえず、どうやったら
ギリシャまで行けるのか
バスターミナルを探してみる。

だが、ここから国境までは
タクシーしか出ていないようだ。

10ドルちょっとの金額。
うーん、どうしよう?

 

 

今日はこれ以上歩き回る気にはなれなかった。

下ネタにうんざりすることもあったけど、
ここまでこれたし、よしとしよう。

 

 

 

寝床になりそうな公園をチェックして、
公園の近くにあるカフェでチャイを頼む。

テーブルの上に旅ノートを広げて、
マップアプリとにらめっこする。

明日からまた新しい国の旅が始まるんだ。

どこに行こうか?

 

 

 

町はラマザンの気配一色だった。

町のメイン通りにはテーブルと
プラスチックの椅子がずらりと並び、
お兄さんたちが食べ物を準備している。

 

 

イスタンブールでもそうだった。

日が沈むと町のみんなでご飯を食べる。

 

 

トルコのラマザンはそこまで厳しくない。

僕はWi-Fiをもとめて
別のアイスクリーム屋さんに入った。

両替に使えない分の小銭を消化する。
トルコで食べるドンドルマも最後だ。

 

 

「ねえ、ラマザンって何時に終わるの?」

 

僕はお店の兄ちゃんに尋ねた。

こんな小さな町で、パーティみたいに準備しているんだ。

町はとても静かだった。
せいぜいカフェでおっちゃんたちがチャイを飲むくらい。

食事をしている人の姿は見られない。

 

 

「そうだね。9時頃だよ」

「ふーん。そっか」

 

 

お店のテーブルにパソコンを広げて日記を書いた。

 

 

 

僕には浅はかな
狙いがあったのだ。

もしかしたら
タダメシに
ありるけるかもしれないと!

 

 

こんな小さな町で、
テーブルを埋め尽くす人数がいるだろうか?
きっとご飯が余るに違いない!

ラマザンが明けたらそれとなく訊いてみよう。

 

 

9時になった段階で、お店のおっちゃんに
僕もご飯が食べられないか尋ねてみた。

するとおっちゃんは「ついて来い!」と
僕をテーブルへと案内してくれる。

お、おお!

 

 

みんな突然の来客に興味津々。

日が沈んで、テーブルに用意されたご飯を前に
ソワソワ、ワクワクしているのが伝わって来る。

 

 

ラマザンが終わると、町の偉い人が何か言い、
花火がボンッと一発打上った。

そしてみんなが一斉にご飯を食べ始めたのだ。

町のみんなが一度に募って、ごはんを食べ合う。

まるでとても大きなひとつの家族のように。

そんな一コマを見ることができて
僕はほんわりと
あたたかい気持ちになることができた。

 

 

 

なんだかんだで、
来るべくして来るようになってるんだよ。

こういうささいな偶然に、
僕はどうしても意味を見つけてしまう。

 

 

 

町のみんながご飯を食べ終わり
空席が目立つようになると、

子供たちが一斉に残飯を漁りだした。

たぶん彼らはトルコ人じゃない。

肌の色が少し黒い。
もしかしたらシリアから
流れて来た子供なのかもしれない。

ペットボトルに入った水や
手のつけられていないご飯を持っている
ビニール袋や手提げバッグに集めていく。
とても楽しそうに。

そんな子供たちをイプサルの町の警察は
追い払おうとしたが、
子供たちの逃げ足の速さにはかなわない。

そんな彼らの姿を見て、この場にいる僕は
一体何者なのだと考えずにはいられなかった。

 

 

 

 

僕を町のみんなとの夕食の席に招いてくれた
アイスクリーム屋の主人、オヌルさん。

「食後の運動だ!」と
仲間たちと一緒に町の通りを歩いた。

「マイネームイズ〇〇!マイネーム、イズ△△!」
とちょっと間違った英語で指差しながら
友達の名前を僕に教えてくれる。

 

 

そして僕はみんなと一緒になって
ワールドカップの最後の試合を観た。

ワールドカップが始まってから
一度もまともに試合を観てなかったけど、
ドイツとアルゼンチンのアツいゲームに
何度も声が漏れた。

4年に一度のにぎやかなお祭りが終わった。

優勝したドイツは明日の朝までお祭り騒ぎだろうな。

 

 

 

 

歯を磨いてみんなにお休みと言った。

みんな自分の家へと帰っていく。

僕は近くの公園のベンチの上に寝袋を広げた。

 

 

野良犬がうるさく、たまらず遊具の上に避難する。

鳥たちは1時間おきに、
それが何かの決まり事であるかのように一斉に飛び立った。

鳥たちが飛び立つ音があまりも大きくて、
僕は全然眠ることができなかった。

眠りに就くことができたのは
空が明るくなってきてからだった。

寝る前にちょっと観てしまった
高橋歩のトークライブのせいかもしれない。

 

そんなトルコ最終日。僕は明日ギリシャへと向かう。

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よし!それでいいのだ!

そう思えることが大事。『べつにいいや』って。

誰かがちょっとでも楽しみにしててくれれば嬉しいっす♪
今日も世界のどこかを気ままに旅してます。
そしてそんな僕のブログを読んでくれてありがとう。

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