「アメリカ横断はヒッチハイクで」

世界一周659日目(4/19)

 

 

胸のポケット

に入れたiPhoneのバイブで僕は5時半に目覚めた。

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正確に言うとレンガのような素材の床が思いのほか冷たくて
しっかりとした睡眠を取ることができなかった。

まぁいいさ。

 

 

今度こそ僕はニューヨークを脱出するのだ。

 

 

ここはアメリカ。NY。バスターミナル。向かう先はシカゴ

 

 

 

 

行き先はAllentownという小さな町だ。

もちろんこれからの移動のほとんどはヒッチハイクで
行こうと思うのだが、
アメリカは州によってはヒッチハイクを禁止している。
ニューヨーク州もそのうちのひとつなのだ。

そこで僕はこれからバスで2時間ほどの距離にある、
ペンシルヴァニア州の小さな町へ行き、
そこからヒッチハイクをする計画を立てたのだ。

(おなじみの”hitchwiki”がオススメしてたからなんだけどね)

 

 

 

 

 

バスの中ではほとんど眠っていたので、
気がついたらアレンタウンに到着していた。

ニューヨークの郊外へ出る高揚感なんてものは全く感じなかった。
ようやく出れたのだという安堵感の方が大きかった。

アレンタウンは見た感じかなり小さな町のようだった。

たぶん今日は日曜日ということもあり、人の姿はほとんど見当たらない。

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僕はバスターミナルとも呼べないような
小さな停留所の近くにあったSUBWAYに入った。

少々高い2ドルのヘーゼルナッツの香りがするコーヒーをすすって
脳みそを目覚めさせた。僕の旅にはコーヒーは必要不可欠。
これがないと朝が始まった気がしないし、どうもしっくりこない。
これは完璧な中毒だと思う。

 

 

 

 

バスターミナルからヒッチハイクのポイントまでは少々距離があった。
マップアプリを確認しながら
僕は日曜日のアレンタウンを歩いてみることにした。

ニューヨークにいた時は、巨大な街の空気感に圧倒されていたが、
地方都市に来てようやく『アメリカに来たんだな』と思えるようになった。

通りに並ぶこじんまりとした家々。
通りの寂れ具合は先進国と言えども日本もアメリカも変わらないと思う。

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途中で見つけたスーパーマーケットで
パンとトマトとバナナを買っておくことにした。

これからは節約のために宿をとることはないだろう。

毎回マクドナルドなどのジャンクフードで済ませるわけにもいかない。
意識してフルーツや野菜を摂取することが大事になってくるに違いない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一時間かけて

ヒッチハイクポイントまで歩いた。

アメリカのヒッチハイクの基本となるポジションは
ハイウェイの手前のようだ。

僕は300kmほど離れた
「Harrisburg」と書いたボードを掲げて親指を立てた。

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なぜだか

「ヒッチハイクと言えばアメリカ」

のような固定観念が
僕の頭の中にはあった。

それは映画で度々、主人公がヒッチハイクするシーンを
見てきたからだと思う。

だからこそ、アメリカでのヒッチハイクは
ひょっとすると簡単なのではないか?
とも頭のどこかでは楽観視していた。

 

 

 

 

実際は自分の思い描いていたヒッチハイクはそこにはなかった。

そもそもヒッチハイクをしている今のポジションは
かなり微妙なところにあった。

ハイウェイへ入る前のカーブで、
車の止まるスペースはかろうじてあるかどうかのポジションだった。

目の前がT字路になっており、信号もあるので、
車の速度はそこま出てはいないのだが、
ドライバーがヒッチハイカーの姿を認識して速度を落とすまでの時間が
あまりないように思えた。

僕は1kmほど離れた別の場所へと移動しようか迷っていたが、
近くにいたおじさんが
「ヒッチハイクするならそこだよ」的なことを言うので
彼を信じてヒッチハイクを続行したのだが、

ヒッチハイクの「手応え」のようなものは全く掴めなかった。

 

 

 

『意外とアメリカでのヒッチハイクは
厳しいかもしれない』

その時の僕はそう思った。

 

 

州によって人柄というのも異なってくるようだ。

僕が横断するのはアメリカ北部。

もしかしたらペンシルヴァニア州の人々は
ヒッチハイカーに優しくないのかもしれない。

 

 

 

 

僕は最初のヒッチハイクポイントに見切りをつけて
場所を替えることにした。

次の場所はショッピングモールの近くにあることが分かった。

15分ほど歩いてショッピングモールの駐車場を突っ切ると、
そこはヒッチハイクに完璧なポジションだった。

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でかでかと行き先が書かれた看板が立っており、
その下に突っ立っていれば
嫌でもドライバーの目につくようなポジションだった。

ドライバーからのレスポンスもかなり好感触だった。

「がんばれ」というエールや、「乗せられない」、
「行き先が違う」というジェスチャーも確認することができた。

 

 

さっそく一台の車が止まってくれたが、
僕が掲げているボードは見ていなかったらしい
「ハリスバーグは遠過ぎるわ」と言って
インド人顔のおばちゃんは去って行った。

一台車が止まってくれれば可能性があるということ!

 

 

ここなら絶対行ける!

 

 

ヒッチハイクの追い風を僕は感じた。

 

 

 

 

行き先が途中までの二台の車を見送って、
僕はひとまずアレンタウンを脱出することに決めた。

止まってくれた三台目の車に乗り込んだ。

 

 

ドライバーのクリスはトラックの運転手だったが、
趣味はアーティスティックな男だった。

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Photoshopで加工した彼の写真を見せてもらったのだが、
彼の住む町で催されたお祭りの写真が絵のようになっていた。

クリスは映像も撮るらしく、空撮用のドローンも持っているらしい。

走行中は話に熱中するあまり、
iPhoneに残していある自分の作品を僕に見せようと、
頻繁に脇見運転をしていた。事故を起こさないことを祈るばかりだ。

 

 

 

 

 

クリスには車で30分ほど行った町が目的地だったので、
ハイウェイの入り口付近で降ろしてもらった。

そこはかなり交通量が多く、
道路を横断するのに注意しなければならない場所だった。

これで警察に見つかったら
ここでのヒッチハイク続行は不可能かもしれないな。

 

 

どこか悪いことをしている気持ちで
ヒッチハイクによさそうな場所へと歩いて行った。

ハイウェイへと交わるランプから少し離れた場所で
僕はヒッチハイクを再会した。

やって来る車のスピードはなかなかに早かったが、
次の車は

5分以内に止まってくれた。

 

 

 

 

ドライバーのジェイソンはギターの先生をしているらしい。

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ギターを持って旅をしていると、
彼のような音楽好きと巡りあえるのも嬉しいところだ。

彼と話していて一番面白かったのは、
彼が「アパラチアン・トレイル」を半年かけてハイクしたことだった。

 

 

「だから僕もバックパッカーの気持ちが分かるんだよね」

そう言うジェイソンはなんとギターも持って旅をしていたらしい。
アホとしか言いようがない。いや、それは僕も同じか。

パシフィック・クレイスト・トレイルを
舞台にした映画「Wild」をこの間の飛行機の中で観たばかりなので、
話も盛り上がった。

本当に旅の中で出会った人たちは「友達」だと思う。
そう思えるのはなぜだか分からないけど。

 

 

 

「君と話せてよかったよ!」

そう言ってジェイソンはハイウェイ手前のランプ(上り坂)で
僕を降ろしてくれた。

 

 

「Have a nice trip!!」

そう言って彼は3ドル札を僕にくれた。

「Thanks!」と言って
僕はそれをジャケットのポケットに入れた。

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降ろされた場所はそこまで交通量が多くはなかったが、
ドライバーからのレスポンスはそれなりにあった。

今日の目的地にしているハリスバーグまでは
車で一時間程度の距離らしい。
これならあと一台の車が捕まりさえすれば
辿り着くことができるだろう。

 

 

中には飲みかけの水だったが、
僕にペットボトルをくれるヤツもいた。

助手席から放られたペットボトルを僕はキャッチした。

大げさにコメディにキャッチしたことを喜ぶジェスチャーをすると、
目の前に車が止まっていた。

僕はてっきり、その水を僕にくれた車だと思ったのだが、
今目の前に止まっている車は続車だったようだ。

 

 

本日三台目のドライバーのニコラス
20歳で海軍に所属していた。

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これから軍のあるウェイスト・ヴァージニアの
ビーチまで戻るところらしい。

20歳という若さだったが、
かなり気の利く青年で飲料水をわけてくれたりもした。
これからキャンプが始まるので、水がもらえるのはありがたかった。

彼の目的地は南の方で、ハリスバーグは通過してしまうようだった。

それならば、と彼が通る範囲で
僕も進めるだけ進んでしまおうと僕は考えた。

マップアプリを見ながらどこがベストかウンウンと考える。
ニコラスはそんな僕につき合ってくれ、
二転三転する降ろすポイントの変更に快く応じてくれた。

僕の言っていることを了解すると「I got you」と何度も言った。

 

 

 

 

僕はカーライルという場所にあるガソリンスタンドで
車を降ろしてもらった。

ニコラスを見送ると、ガソリンスタンドにある売店で
コーヒーとクッキーを買い、ここまで来れたことをささやかに祝った。

外で食事をとっていると、別のドライバーが
「どこまで行くんだい?」と声をかけてくれた。
方面がが違ったので、僕はお礼を言って断った。

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時刻は16時。

今の季節、アメリカは日が長い。
これならあと一回はヒッチハイクができるだろう。

 

 

地図で見る限りシカゴはかなり遠いように思われた。

出来る限り進んで距離を稼いでおきたい。

ハリスバーグから「Pittsburgh」と修正液を使って
無理矢理に行き先を書き換えて、
僕はハイウェイの手前まで歩いて向かった。

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夕方になると風が吹くようになってきた。

ギターを風にあおられながらヨタヨタと歩く。

途中また車が止まってくれた。行き先が異なることが分かると、
ドライバーのおじさんは僕に10ドルを渡した

 

 

「セーフ・トラベルをな」

 

 

そう言っておじさんは小さな聖書まで僕にくれた。

僕はそれをサブバッグのフロントポケットにしまうと、
お礼を言ってヒッチハイクポイントまで向かった。

 

 

 

 

 

夕方を過ぎると大型のトラックの量が増えた気がした。

僕が今立っている場所は、
ヒッチハイクをする上では申し分ないポジションだった。

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ただ、なかなか車が止まらない。

一発でピッツバーグまでは行けるとは思っていない。

せめてその半分まで。

 

 

そう思ってヒッチハイクを続けたのだが、
もう今日の分の運は使い果たしてしまったのだろうか?

時間帯もあり、ドライバーからのレスポンスも
どんどん少なくなっていった。

 

 

ヒッチハイク開始1時間が過ぎ、さらに時間が過ぎた。

18時になったら今日のヒッチハイクは終わりにして、
近くのバーガー屋のウェンズデイにでも
逃げ込もうかと考えていたその時だった。

まさか僕の様な小汚いヒッチハイカーなんて
乗せないだろうというような、
黒光りするスタイリッシュな車が止まった。

僕は急いで車にかけより、助手席側から
「ピッツバーグ方面まで行きます?」と訊ねた。

 

 

 

 

 

「あぁ!行くよ!
さぁ乗りな!」

 

 

運転手のお兄さんが元気よく僕を呼び込む。

 

 

おいおいこんなことってありかよ??!!

だって今日ヒッチハイクを始めた時は、
アメリカのヒッチハイクが難しいかなって考えてたんだぜ?

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トロイはアイルランド、ダブリン出身の建築家だった。

もうそれだけで僕たちの話は盛り上がってしまった。

「アイルランド」と言えば
世界一ヒッチハイカーに優しい国だと僕は思っている。

二週間でアイルランド一周し、
多くのドライバーたちにお世話になってきた。

そして、つい先日トランジットで僕はダブリンに立ち寄った。
下戸の僕だがギネスビールなら飲める。

 

 

そしてうちの親父は建築家だった。

共通の話題から、話はどんどんと派生していく。

なぜだか分からないけど、
アイルランドの英語は僕にとってかなり聞き取りやすかった。
もちろんトロイが分かりやすく喋ってくれているというのもあるのだが、
人との波長が合うとこれはもうジャムセッションばりに楽しいものになる。

 

 

トロイはバーやカフェなどの
比較的小さな物件をデザインするのが仕事のようだ。

今はアメリカに短期で旅行に来ているという。
このあとはバンクーバーに向かうらいしい。

今僕の中でアツい坂口恭平さんも建築家だが、
かなり独特な活動をされている。
それもあってかトロイの話は僕の興味をそそるものばかりだった。

 

 

また、トロイは背中を悪くしてからというもの、
生活面でかなり気を使っているようだった。

酒もタバコもやらないし、もちろん食事にだって気を使う。
コーヒーでさえほとんど飲まなくなってしまったのだと言う。

持ち物に関しても、大事に物を使っていくというのだから、
僕はその話を聞いてますます彼に好意を抱いていった。

 

 

ちなみに彼の運転している車はレンタカーなのだという。

「こんな車を手に入れて女のコを口説きたい!」
そう冗談めかしてトロイは言っていた。

 

 

「なあシミ知ってたか?
ピッツバーグはアンディ・ウォーホールの美術館があるんだ。
アメリカの中でもアートな町なんだ」

「うそ?!
それって僕が行くための町のようなものじゃないか!」

 

 

実は三台目のヒッチハイクの時まで、南部に行くか、
あまり旅人が行かない北部に行くべきか決めあぐねていた。

 

 

「何があるか分からないからこそ、行ってみよう!」

とピッツバーグへと舵を切ったのだが、それがアタリだった。

昨日はバスターミナルで寝てまともな睡眠が
取れていなかったのにも関わらず、車の中で眠くなることはなかった。

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途中パーキングエリアでカフェイン中毒者の僕は
コーヒーを買っておいた。

ドライブの途中雨が降り出した。

アメリカのハイウェイには日本ほど街灯がなかった。

その代わりに路面にポツポツとライトが埋め込まれていたが、
暗い中で車を運転する分には心もとない感じがした。

車内でかけている音楽はクラブ・ミュージックになり、
運転に集中するため、僕たちの会話は少し少なくなった。

 

 

 

 

 

 

21時を過ぎたとことで僕とトロイのドライブは終った。

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三時間のドライブがあっという間だった。

「会えてよかったよ!」
そうお互いに言ってトロイとは別れた。

こんな出会いもあるのだ。

なんでったってヒッチハイクは出会いの連続なんだ。

そしておれは出会ったドライバー意外の何に感謝すればいいんだ?

これらの出会いを招いてくれる
「目には見えない何か」
に僕は手を合わせたい気持ちで一杯だった。

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トロイに降ろしてもらった場所はバスターミナルだった。

どうやらグレイハウンドのような格安バスの発着所らしく、
24時間で待合室は開いていた。

僕はベンチに座りながら目を閉じた。

一日が三日分くらいに感じる。

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★世界一周ブログランキングに参戦しております。

そして電源のないマクドナルドでバッテリーを気にしながら

この日記を書いているわけです。

うん。

やぱっぱり感謝をすること。

そして、この出会いを当然のことと思わないこと。

それが大事なのだと思います。

明日もヒッチハイクです。良い出会いがありますように。
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2 件のコメント

  • 初めまして、僕もヒッチハイクでアメリカ横断しようとしていて色々お話し聞きたくて連絡しました。

    • >久米祐宜さん

      どーもです♪

      アメリカでヒッチハイクをするなら

      ①”hitchwiki(英語のサイト)”でヒッチハイクの情報を集めよう!→ヒッチハイクのオススメポイントやヒッチハイクを禁止している州の情報が出てます。NY州とかは禁止してますね。

      ②適度にグレイハウンド(バス会社)を利用しよう!→事前予約で割引してくれる100年の歴史を持つ老舗会社。時にはローカルバスを使って街の外に出るよりも安く行けます。

      ③笑顔とノリ、そしてダンボールを忘れずに!→ヒッチの醍醐味はなんと言っても出会い!行き先が書いたダンボール大事。

      ❹オフラインでも使えるGPSアプリ”Maps me(有料)はマスト!→どこからヒッチハイクすればいいか目処が立つよ。

      只今ニュージーランドで$300を失って、
      バスキング、野宿生活だからすぐにレスポンスできないけど、Facebookで友達申請とかしてもらえたら、メッセンジャーでやりとりできると思います。

      また何か聞きたかったら気兼ねなくドーゾ!

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    ABOUTこの記事をかいた人

    「旅する漫画家」。世界一周後(2013-2016)、現在は海沿いの町に潜伏中。そろそろ旅がしたいぞ!