世界一周724日目(6/23)
飛行機
が真上を飛ぶせいに加えて、
初めての場所での野宿だったこともあり
前日はほとんど寝付けなかった。
地面もボコボコしているせいもある。
8時半に目を覚まし外に出てみると、
少し離れたところでホームレスが眠っているのが分かった。
夜中に感じた人の気配はコイツだったのかと納得する。
なんだかんだで他人には接触してこないんだよなと
ホームレス同士のマナーのようなものをあらためて感じた。
僕がテントを片付けている間はソイツは一度も目を覚まさなかった。
彼も飛行機の音で眠りにつけたのは朝方のようだ。
荷物をまとめてそのまま待ちへと降りていった。
ここはアメリカ、サンディエゴ。
世界一周を終えた泉夫妻の結婚式のウェルカムボードの製作中。
式は9月に挙げられるそうだ。
僕はマクドナルド以外に
作業ができる場所を探すことにした。
ダウンタウンのオフィス街のような場所を通り抜けて
海の方まで言ってみたが、
そこにはビーチがないのはすぐに分かった。
巨大なフェリーが停泊しているのが見えたからだ。
作業に向きそうなカフェは海沿いには見当たらなかった。
迷い込んだホテルの吹き抜けではビュッフェ形式の朝食が並んでおり、
僕はそれを横目にトイレへと入っていった。
温水で濡らした木綿タオルを軽く石鹸で揉み、
簡易的な汗拭きシートのようなものを作る。
車いす用の大きめのトイレに荷物を置くと、
先ほど作ったタオルで体をぬぐった。
Tシャツももみ洗いし、ホテルを後にする。
もちろんホテルにはバックパックを
背負ったヤツなど僕以外に存在しない。
デニムとTシャツというシンプルな格好にブーツだからか
ろうじてセキュリティのチェックを免れているのかもしれない。
もっと汚らしいヒッピーのような格好をしていたのであれば、
ここには入れなかっただろうな。
そんなことを思いながら僕はホテルを後にした。
そのまましばらく待ちをうろつき、
見つけたのはショッピングモールにある
「Panera Bread(パネラ・ブレッド)」
というカフェ・ベーカリーだった。
レジでコーヒーとベーグルを注文すると
あっという間に5ドルはかかってしまう。
作業をするのにもお金がかかる。
コンセントのあるテーブル席を見つけたので、
そこに道具一式を広げた。
ソケットをコンセントに差し込んだだけでは
電気は使えないことが分かった。
アメリカのコンセントの形状は日本と同じ。
だが、ここには二カ所の穴に加えて
もう一カ所ソケットの差し込むような穴がある。
きっと業務用かなんかだろう。
ソケットを差し込む角度でどうにかならないかと試していると、
適度にコードに張力をかければ電気が使えることが分かった。
さぁ君がもし僕と同じ
シチュエーションにいたら
どうする?
僕は南アフリカの空港でのことを思い出した。
バックパックからガムテープを取り出し、
電気のくる絶妙なポジションでコードを固定した。
はい。こんな感じですね〜。
お店のお姉さんも「ごめんねー使えないでしょっ..て、やるわね!」
とお褒めの言葉を頂戴しました(笑)
ガムテープの汎用制は高いです!
これで作業環境は整ったあとは手を動かすだけだ。
だが、最初はいつものようにFacebookなんかを見てしまうのが
僕の悪いところだ。
こうして考えてみると、Facebookの有用性というのは
知り合った友達同士の連絡手段がメインだろう。
時々面白いニュースがシェアされていることがあるが、
大体は無駄に時間を過ごしてしまう。
最近Facebook離れというのが起こってきているそうだ。
使うんだったら割り切らなくちゃだよなぁと思う。
惰性でアニメを見ていた幼少期から成長していないように感じて
自分のアホさ加減に気がつく。
まぁ、いいさ。作業しようじゃないか。
日記を一本とブログをアップすると、
僕はウェルカムボードの作製に取りかかった。
昨日は左半分を埋めたので。今回は右半分だ。
世界一周をしたツバサさんたちの旅の記憶のコラージュ。
緻密な絵で埋めていく。
僕はこういう細々した絵を描くのが昔から好きだった。
下描きが完成してすぐにペン入れに写るとことはしなかった。
この紙が一体どの種類のインク/ペンに合うか
知る必要があったからだ。
いつもイラストや漫画を描いているコピー用紙とは訳が違う。
少し厚めで表面の手触りはスケッチブックのよう。
インクを吸収しやすいので通常よりも線が細くなることは分かる。
紙は二枚あったので、一枚にイラストを描くことにした。
これに地味に時間がかかり、いざペン入れをしたのだが、
一番太い0.8ミリの”GRAPHIX”のペンはインクが
滲んでしまうことが分かった。これは失敗だ。
持っているペンを他にも試してみて、
一番適したのが
サクラ・カラー・プロダクツ(日本製)の
「MICRON(マイクロン)」
であることが分かった。
このペンは0.2までの太さしかない。
この大きい紙のサイズで漫画特有の線の強弱は出せない。
そんな練習イラストを一本仕上げると、
いよいよウェルカムボードの清書へと突入だ。
絵を描くのも環境や道具によって出来が違ってくる。
まさに生もの、ライブだ。
絵を描きながら慣れていった。
今日はここまで!
作業を
19時まですると僕は店を後にした。
昨日見つけた「フード・アウトレット」で
晩飯を買いにきたのだが、
どういうわけだか手が伸びたのは昨日と全く同じ
プリングルスとクッキー、そしてバナナ。
長い時間集中すると無性にお菓子が食べたくなるのだ。
あぁ、マジ健康もクソもあったもんじゃねえ。
店の前でパクパク食べているとセキュリティに
「ここにたむろすな!」と追い出しを喰らった。
横で食パンをかじっていたカートを持ったホームレスのおじいさんは
「やれやれ」と言った顔をした。
お互い肩身が狭いですねぇ..。
そしてそのまま
マクドナルドへGO!!!
テーブル席で再びイラスト製作の続きに取りかかる。
22時過ぎまで作業していると店内清掃のため
追加注文をしなければならない状況になった。
今アメリカのマクドナルドではコールド・ドリンクであれば
1ドルで頼めてしまう。シュガーレスのティーを注文したのだが、
人工甘味料の味ですぐに気持ち悪くなった。
23時には集中力も続くかなくなり、
閉店と同時に僕は昨日もテントを張った公園へと
向かうことにした。
公園のどこかしらではスプリンクラーが起動している。
昨日とは違う場所にテントを張った。
またテントの外に誰かの気配を感じる。
「起きているんだぞ!干渉するな!」
と舌打ちを打つ。
ただの被害妄想かもしれないけれど。
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