世界一周736日目(7/5)
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いい目覚めだった。
テントの外を出ると隣りのテントの周りには
メキシコ人の家族がいた。
その前に止まったワゴン車には色々と荷物が積まれている。
バケーションだろうか。
『車で寝るよりもテントの方が寝やすいもんなぁ~』
と僕は妙に納得した。芝生が生えているってのある。
これでコンクリートの上だったら車で寝てたかな。
まぁ、僕ならコンクリの上でも寝ちゃうんですけど。
ここはメキシコ、
テピックの町外れにあるガソリンスタンド。
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コンビニで朝のコーヒーを飲み、外のトイレで髪を洗った。
そこでテントを張っていた家族の男性陣は歯を磨いていた。
地図を見てどこからヒッチハイクするのが一番よさそうか確かめる。
目的地であるグアダラファラまで続くハイウェイの始まりへは
4km近く歩かなければならなかった。まぁ、のんびり行こうぜ。
バックパックを背負って道路の脇を歩き出す。
最近ブーツが足に馴染んできた。
皮自体がいくらかやわらかくなっているので、
足にフィットする時間も長くかからなかったのかもしれない。
ヒッチハイクポイントまで行くのには時間がかかった。
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道自体は道路に沿って町の外側を歩いて行くだけよかったのだが、
同じような景色が続くので時間や距離の感覚も鈍くなる。
以前インドでお会いしたお兄さんが四国のお遍路の話をしていた。
「長距離を歩くことで大事なのは急ぎすぎないで
一定のペースを保つことなんだよ。無理に歩調を早めると
足にダメージが溜まりやすいからね」
とそう言っていた。
ここにきてようやくその意味が分かったような気がした。
僕が今履いてるブーツが旅向きじゃないってのはもちろんのことだが、
重たい荷物を背負って長い距離を歩くのだから、
何も背負っていないときと同じように歩くのは無理な話だ。
焦らずに気持ちペースを落とし、
さらには視覚的なプレッシャーを減らそうと視線を落として歩いた。
これで音楽聞きながら歩けばパーフェクト。
音楽聴きながら両距離歩くと気持ちが楽になる。
最近またCARAVANを聴いてる。
ガソリンスタンドに到着したのは11時前だった。
地味に時間が経っていた。
ひとまず汗でベトベトになったTシャツをトイレで洗い、濡れたまま着た。
トイレの前では足に大けがを負ったおじいさんがトイレの番をしていた。
どうしてそうなってしまったのかは分からないが、
左足は痛々しい傷を負っており、紫色の薬品が塗ってあった。
それでもおじいさんはニコニコしながらトイレの番をしていた。
トイレの掃除が彼の仕事のようだった。
こういうところに雇用があっるって
実はすごいことなんじゃないか?
このおじいさんを雇ったガソリンスタンドを僕は少し尊敬した。
僕はガソリンスタンドの出口で
ヒッチハイクを開始することにした。
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ガソリンスタンドには自家用車が多く止まっていた。
トラックのように行き先を尋ねることは難しかった。
今日が日曜日ということも関係しているのだろうか?
どの車も乗車定員マックスで
僕とバックパックが乗れるスペースなんてなかったからだ。
そこでどれくらい待っただろう?
時間はあっという間に過ぎ、車はほとんどとまらなかった。
終いには雨が降って来たので僕は売店屋根の下に逃げ込んだ。
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メキシコでそんなに簡単に
ヒッチハイクが成功するだなんて思ってない。
もしかしたら車が捕まらずここで夜を明かすこともあるかもしれない。
いつもそうやって僕は覚悟している。
ダメだった時の場合どうすればいいかを考えると、
気持ちが少し楽になる。
まぁ、本当に無理だったら、町まで戻ってバスに乗ればいいさ。
「お願いしまーす!」
やってくる車ごとに日本語で口に出してしまう。
ヒッチハイクはひとつの社会実験にも似ているな。
どれだけ外国人を乗せてあげる人がいるか。
ヒッチハイク
開始から二時間、一人の車が僕の前で止まった。
車の窓越しにおじさんが僕に声をかけくる。
「どこまで行くんだい?」
「あ、グアダラファラです」
「いいよ。乗せてあげよう」
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お、おおぉぉぉ~~~~!!!
車はワゴン車で中には奥さんと息子さんが乗っていた。
後ろにもう一台ワゴン車が繋がれている。
見た感じ、故障車を牽引しているようにも見えた。
中には荷物がどっちゃりと積み込まれていた。
ホセさんはわざわざ僕のために助手席を空けてくれた。
運転している方の車の荷物をいくつか後ろのワゴン車に移す際、
中にギターとキーボードが積まれているのが分かった。
後ろの席に奥さんが移ってくれた。ありがたい。
「も、もしかして、ミュージシャンなんとか?」
「ははは。まさか。友達のだよ。」
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あ、あのままハイウェイに入るのか…??
楽しそうにも見えるし、キツそうにも見える..。
ホセさんは英語がペラペラだった。
この間までいたサンディエゴにホセさん一家は暮らしているらしい。
ホセさんがメキシコからアメリカに移り住んで
もうかれこれ30年以上になるのだとか。
だが、奥さんと息子さんは英語が喋れなかった。
きっとスペイン語を日常的に話すコミュニティがあるのだと思う。
僕は覚えたてのスペイン語で自己紹介をすると、
奥さんは嬉しそうに笑ってくれた。
やっぱり中南米を旅するのに
スペイン語を覚えておくことに越したことはないな。
英語の喋れるホセさんの隣りに座ったのも理解できた気がした。
僕が何か英語で喋ると、ホセさんが分かりやすく、
息子のホセくん(お父さんと同じ名前なのだ)と奥さんのテレサさんに
スペイン語で言い直してくれたからだ。
グアダラファラに向けて車は山道を走った。
道路のコンディションもぐっとよくなった気がする。
時折見える畑で何か作られているのか
ホセさんは僕に説明してくれた。
途中にあった小さな町や村では
テキーラを育てて収入を得ているものがいくつかあった。
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ホセさんたち現在アカプルコに向かっているそうだ。
「あそこは是非言った方がいいよ!美しい町さ!」
「治安が悪そうなので…、
ちょっと今回は遠慮しておきます」
「そう?全然そんなことないけどなぁ」
やっぱり現地の人の情報の方があてになる気がする。
今回は予算の都合上、最短距離で南下します。
和やかなドライブに安心したのか、
最後の方はウトウトしてしまった。
グアダラファラ
の町外れにあるガソリンスタンドに車を止めると、
そこで記念撮影をし、別れ際にホセさんはコーヒーとクッキーを
僕にごちそうしてくれた。
今回もいいヒッチハイクができました。
ありがとうございました。家族旅行楽しんでください。
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まぁ、例のごとく最初の最初の家族写真は一番最後に撮ったものなんですね。
時刻は16時を回っていた。
車を降ろしてもらった場所からセントロまでは10km以上離れていた。
地図を頼りにバスに乗れそうな場所まで歩いた。
今回はどこに宿があるのかをちゃんと調べておいた。
宿まで続く一本道で僕はバスに乗ろうと思ったのだが、
なかなか目当てのバスは現れなかった。
グアダラファラはバス専用の車道があり、
5分おきくらいにバスがやって来るのだが、
番号が違うのか、全くバスが止まらない。
『バスの止め方みたいなのがあるんじゃないか?』
と思ったくらいだ。
バス停を移っても同じだった。
番号の違うバスだけが何台も通過していった。
結局僕は4kmほどを歩かなければならなかった。
今日は歩いてばかりだな..。
グアダラファラの町はかなり整った印象を受けた。
歩いた4kmの中で大型のショッピングモールやサーカスを見た。
今日は日曜日だ。サーカス小屋の前では行列ができていた。
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メキシコにスケートパークを見つけたのも意外に思った。
ここでだったら野宿しても平気な気さえした。
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なんとかセントロ行きのバスに乗り込んだ僕は、
宿の近くで下車した。
周りは宿のありそうな町並みじゃなかった。
繁華街でもなければ、綺麗で閑静な住宅街といったところか。
日曜日でどこの店もしまっており、目をつけていた宿が見つからなかった。
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仕方なしに見つけたバックパッカー・ホステルで
ドミトリーの料金を訊いてみることにした。
レセプション前の共有スペースには
ラフな服装をしたヨーロピアンたちがたむろしていた。
清潔感がある。スタッフはもちろん英語が喋れた。
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「あ、すいません、
ドミトリーってあります。いくらですか?」
「180ペソ(1,412yen)だね」
「…、すいません、
たぶんまた来ると思うんスけど、
ちょっと考えさせください」
やはり欧米人向けの宿は高い。
それは間違いない。
先進国に住まう彼らはたかだか15ドルくらいにケチケチしたりしない。
ってかそれってヨーロッパと値段変わらないじゃないですか…?
宿の外のテーブルでは中国人の女のコが
スマートフォンをいじくりながらオレンジを食べていた。
話しかけると、
彼女はここでスペイン語の勉強をしているという。
メキシコの前はチリやアルゼンチンを旅してきたそうだ。
彼女は僕が安宿を探しているというと、
宿のWi-Fiを使って安宿情報を調べてくれた。
もう少し中心地に近づけば120ペソの宿があるらしい。
「だけど、これってユース会員だけなのよね」
「まぁ、とりあえず行ってみるよ。ありがとう」
お礼を言ってホステルを後にした。
野宿する可能性の方が高い..。
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大きな
カセドラルの前に出ると、
そこでは週末のイベントが開かれていた。
沢山の出店が並び、広場の一角では音楽隊が演奏していた。
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ヒッピーたちがマクラメのアクセサリーを売り、
インディアンのおばちゃんが布を売っている。
あぁ、これでお金があれば雑貨が仕入れられるのに。
散財したい気持ちを抑えて僕は軽食を食べるにとどまった。
『ここでバスキングをしてみるのもありかもな。
宿探しはその後でもいいじゃないか』
そい考えた僕は広場をウロウロしてみたが、
アコギを弾けるようないいポジションは見つからなかった。
ダメもとでカセドラルの横の路地でギターを弾いた。
これがメキシコ二回目のバスキング。
レスポンスにはあまり期待していなかった。
だが、どうだろう?
レスポンスがいいのだ。
中には足を止めて歌を聴いてくれる人さえいる。
ポンポンとコインがケースの中に投げ込まれる。
家族づれだとわざわざ小さな女のコが引き返して
コインを入れてくれさえした。
みんなニコニコしている。そのウェルカムな雰囲気に僕は驚いた。
暗くなり、電球が灯るまでの1時間半歌った。
そしてアガリを集計せずにその場を後にした。
日が暮れりと広場はより一層盛り上がったような気がした。
日曜日ってすごいんだな。
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![IMG_6660](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
目線を会わさずにシャッター切ります。
彼女もポーズをとろうか迷ったのでしょう。
僕は宿探しを再開することにした。
見つけた小さな宿は150ペソだった。まだわずかに高い。
もう少し安い場所を探しているのですが、と
オーナーのおっちゃんに伝えると、彼は別の宿を紹介してくれた。
だが、そこはもっと高い場所だった。
メキシコだけ(?)で有効なユースカードというのがある。
僕がもっているインターナショナルの
ユースホステルのカードは使えなかった。
何より一年の期限がとっくに過ぎてしまっている。
2013年に中国で作ったものだ。
僕は別のユース・ホステルにも当たってみることにした。
どんどん街並みは繁華街のようになっていき、若者の姿が多くなった。
商店街の中にユースホテステルを見つけた。
値段は先ほどホステルと同じ180ペソ。
どうやらこの街自体物価が高いようだ。
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ここで僕はグアダラファラを離れることに決めた。
僕はこの先にある町に行きたかったのだ。
英語の喋れるホステルのスタッフは親切に
バスターミナルへ行くのにどこからローカルバスに
乗ればいいのか教えてくれた。
「ム~チョ・グラシャス!」とお礼を言って、
僕は急ぎ足でそこへ向かった。
メキシコの日が暮れるのは遅い。22時でも町には活気があった。
バスの本数は少ないようで、バス停では
人々がわざわざ車道に出て首を伸ばしバスが来ないかと待っていた。
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『バスはまだか…?』
すぐ目の前にあるコンビニでスプライトを買い、
ゆっくりとバスを待った。
バスターミナルまで12ペソ。
行き方はホステルのスタッフ、もしくはバスの運転手にお伺いください。
7km離れたバスターミナルまでの間、
僕はたった数時間しか滞在しなかったグアダラファラの街並を眺めた。
似た様な商店街で形成されており、
今日が日曜日でなければ活気があったことが予想できた。
40分ほどでバスターミナル付近に到着した。
暗い夜道は少し治安が悪そうに思えたが、
バスターミナルが目に入ったと瞬間、
僕は思わず「なんじゃこりゃ..」と口にした。
ターミナルは煌々と輝いていたからだ。
![IMG_6673](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
それが目に入った時、僕はこれがカジノかなにかだと思った。
メキシコはかなりバスに金をかけている。
バス会社もいくつもあって、
それは長距離を移動する人々に欠かせない移動手段だ。
バス会社がいくつもあるのでひとつづつ値段を訊いて回った。
![IMG_6674](http://yosukeshimizu.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
僕が行きたいと思ったのは「グアナファト」という町だった。
名前が似ているが、ここは観光地だ。
メキシコの情報を調べている時に見つけた山の斜面に建つ
カラフルな建物の写真を見つけたとき、
僕は『ここに行きたい!』と強く思った。
中南米特有のカラフルさに僕は惹かれたのだ。
「すいません、グアナファトまでいくらですか?」
「398ペソ(3,111yen)ですね♪」
高っっ!!!
だって、300kmもないよ?
バスで4時間の距離らしいけど、
いくらなんでもそりゃ高過ぎじゃない?
いやいや、待てよ。
ここのバス会社が高いのかもしれない。
すんません、ちょっと作戦ターーーイム!
近くのテーブルに着くと、さっき稼いだコインを数えた。
手元には280ペソ(2,189yen)。おっ!けっこういってる!
集計を終え、他のバス会社にも
グアナファト行きのバスの料金を確認したのだが、
さらに高い金額だった。
考え方を改めて、
結局僕の出費は千円くらいだって思うことにした。
いやでもなぁ~~、高ぇなぁ..。
深夜一時半のバスに僕は乗ることになった。
これなら宿代も浮いたし、いいんじゃないか?
バスに乗る前には荷物検査が行われ、
金属探知機が体に当てられた。
金がかかっている分、セキュリティもしっかりしている。
しかも乗車前に軽食がもらえるのだ!
あ、それならこの金額も納得かも!
走行中、バスの中ではWi-Fiが使えた。
僕はブログの更新をするでもなく、
手塚治虫のブラックジャックのお蔵入りのストーリーや
ピノコと先生の関係性にちょっと萌えたりしたのだ。
あの絶妙な関係性って計算で描かれているのかなぁ?
「私、お父さんと結婚するの!」的な?
むぅ~~~…。
一話形式だから何巻からでも読めるよね。
あ~~~、それより映画観てぇ。
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2年も旅をしているなんて、想像してみると気が遠くなりそうです。
安全で素敵な旅を願っています。
マサトさんの本が出版されて、シミさんもアマゾンデビューですね!
>あっきーさん
二年旅している僕としては体感はあっというまです。
エジプトにいたのがもう半年以上前だなんて!!
半年前から「お金がない!」とは言っているのですが、
そろそろ本格的にヤバそうです。僕の旅の終盤なので
安全にいきたいと思います。
マサトさんの本がついに出版されましたね!
僕はさっそKindleで買いましたよ!
アンナプルナのトレッキング、僕もやっておけばよかったなぁって
思いました。