世界一周748日目(7/17)
さすがに
3日宿に籠っていると発狂しそうになる。
だんだん今いるのが
メキシコかさえも分からなくなってくる始末だ。

あ、メトロの路線図です。
ちんぼts..
じゃなかった、
「合宿」も一旦切り上げて
今日は外に出ることにした。
相棒もフジロック直前ということもあり
スムーズな連絡がとれないので依頼された漫画も
どこまで手をつければいいのか分からない。
ここはメキシコシティ、
日本人宿「ぺんしょん・あみ~ご」。
只今滞在4日目。
8時に過ぎにモソモソと起きだし朝食をいただくと、
いつものように日記を書いた。
一日中パソコンのキーボードをパタパタ叩いていれば
日記もリアルタイムに追いつきそうだが、
一日に二本書くのが精一杯だ。
やりたいことは沢山あるのに
それを全てやろうとすると反対に作業は捗らない。
サイトにアップしていないだけで
漫画だって公開できていないものもある。
こんな音の響くいい環境で録音ができそうだけど、
なんだかんだ言ってやってない。
あれもしたい。これもしたい。
無駄に焦りのようなものを感じてしまう。
そんな焦燥感に輪をかけて
MacBook ProのWi-Fiの調子がまた悪くなりやがる。
これって宿のWi-Fiの問題なのか??
まぁ、結局一日にできることってのは限られているんだろう。
そんなにたくさんやりたいことがあるんなら睡眠時間削れっての。
そう考えるとまだまだ自分に甘いんだろうな。
14時まで日記を書くと、僕はようやく外の世界へと飛び出した。
引きこもり
が外に出る気持ちがなんとなく分かった。
ちょっと緊張するんだよ。
もちろんギターを持ってだ。行き先は決めてある。
というのも宿にいるブラジル国籍を持つ謎のお兄さんが
以前ここに泊まっていたクリスタルボールのジャグラーの人が
“ポランコ地区”という場所をメインにバスキングをしていたということを
教えてくれたのだ。
そのポランコ地区というのは
お金持ちの人たちが暮らすエリアらしいのだ。
レボルシオン駅からメトロでタクバ駅まで行き、そこで乗り換えた。
メキシコには駅員よりも警官の方が多くいる。
彼らに自分の行きたい場所を尋ねればやさしく教えてくれるのだ。
メトロも日本の地下鉄と違って複雑ではない。
どこかしらに路線図があるので、
行く方面さえ分かっていればそこまで迷うこともないだろう。
地下鉄構内は人で溢れていた。
やはり今まで見てきたメキシコとは別段に違う。
メトロを乗り継ぎ30分ほどでポランコ駅に到着した。

地上に出てはみたが、
お金持ちが済んでいるエリアには見えなかった。
どこで路上演奏できるのかも分からない。
ひとまずあてずっぽうでそれっぽい方角にプラプラと歩いて行った。

歩き始めると綺麗なビルが目につくようになった。
「ニューバランス」などのブランド店もある。
カフェもどこか高そうな印象だ。
だが、なかなか歌えそうな場所は見つからない。

1時間もウロウロしていたのだが、
分かったことはここではギターの路上演奏は向かないということだった。
クリスタルボールだからこそ稼げるエリアだったのかもしれない。
道幅はそこまで広くはない。日本車や高級車がそこを走る。信号も多い。
確かに車相手にパフォーマンスをするのには
うってつけの場所なのかもしれないな。

このLEDの信号機でお金持ち度合いが分かるよね。
歩いていると使われなくなった線路を見つけた。
線路の両脇を3mほどの壁が立てられている。
僕はそこに吸い込まれるように入っていった。
しばらく歩くと壁にはペイントが施されていた。
中にはサッカーコートもあった。
どこかの工場の従業員たちが楽しそうにボールを蹴り合っていた。
こういう光景を見ると、
自分が何やっているんだと思う反面、
どこかピースな気持ちになれる。
オフィスビルが向こうに見えるが、
ここはアットホームな雰囲気だった。
壁に伝うようにして線路沿いを歩き、
大通りに突き当たると僕は線路から直角に曲がるようにして
また街の中心地へと向かった。
見覚えのある道を歩いているのが分かると、
僕は気分転換に15ペソ(114yen)のアイスを買った。
休憩時間なのだろう。
首からIDカードを下げたシャツを着たおばちゃんたちも
嬉しそうな顔をしてダブルのアイスを注文していた。
なんかこういうのっていいよね♪

メキシコシティと言ってもかなり大きい。
その全てを僕は味わうことができないだろう。
ただ、こういうふとしたきっかけで訪れた場所を歩くのは好きだ♪
マップアプリを見るとここには
大きなショッピングモールがあることが分かった。
よし、そこに行ってみようじゃないか。
7月のメキシコシティは日本に比べるとまったく暑くない。
メキシコシティそのものが高所にあるというのだ。
さすがに何kmも歩くと汗は滲むのだが、
ベトベトになるというわけでもなかった。
ショッピングモールはかなり綺麗な場所だった。
ここでギターなんて弾いて歌うものなら、
即行で追い出されることはすぐに分かった。

モールないをぶらつくと
「iShop」 を見つけることができた。

そうだ。僕のMacBook Proの調子が悪いんだった。
直すなら今のタイミングだろう。
スタッフにパソコンを見せたのだが、
こういう時に限ってWi-Fiはバリバリで使えるのだ。
おちょくってんのかコンチクショウ。
「これのどこが問題なの?」
スタッフのお兄さんは不思議そうな顔で僕に尋ねる。
絵を描いてパソコンの問題を伝えても
「それはきっと宿のWi-Fiが弱いからだよ」と片付けられてしまう。
ちなみに修理にかかる値段は850ペソ。
70ドルくらいだ(Wi-Fi修理)。日本と変わらないだろう。
ここで修理を受けてくれれば彼らの利益になるはずなのに、
スタッフのお兄さんは「ノープロブレム」の一点張りだった。
仕方ない…か。
モールの近くにはミュージカルの劇場もあった。
さすがポランコ地区と行ったところ。
ライオンキングが上映されているみたいだった。
そのよこには近未来的の六角形を組み合わせただけの建物があった。
まるでエヴァンゲリオンにでも出てきそうな建物だった。
さらにその近くにコストコや水族館を見つけた。

そこで別のバスカーを見つけたのだ。
フラフープを持った女のコと
ジャグリングのクラブを持った男の二人組だ。
彼らもバスキングをする場所を探しているように見えた。
彼らとはあまり会話をしなかったが、
今自分たちがどんなシチュエーションにいるのかは
言葉を介さなくても理解できた。
「お互いがんばろーぜ」と男の方から拳が向けられた。
それにコツンと拳を合わせた。
ここで2時間以上ウロウロしていたわけだが、
結局路上演奏できる場所を見つけることはできなかった。
歩いている途中にチュロスを見つけた。
20ペソ(160yen)もするものだったが、
中に空いた穴にカスタードクリームを注入してくれるのだ。
糖分があれば脳ミソハッピーだ。さぁそろそろ引きあげんべ。

先ほどと
逆のルートで僕は宿まで戻ることにした。

乗り換え駅のタクバでバンドを見つけた。
バンドと言ってもマリンバとか大きめの打楽器で編成される
メキシカン・ミュージックのバンドだ。
ただでさえ反響する地下鉄構内でアンプを使っているため、
音はくぐもって聴こえた。何よりかなり大きな音量だった。
ってか、ここで演奏していいんだ。

もちろん彼らは許可を取っているのだろ。
いやいや。弾き語りって言ったら地下鉄だろう。
NYのメトロで何組かギターを弾いているヤツがいたのを思い出した。
僕は乗換駅のイダルゴ駅で降りてみることにした。
宿のあるレボルシオンのひとつ手前の駅だ。
人の行き交いの多い通路の壁際で立ち止まり、
そこがバスキングに適した場所か辺りを見回した。
こんな場所で歌うだなんてギャグとしか言いようがない。
ここで演奏する自分の姿を想像すると笑えた。
だが、ためらっていても何も始まらないだろう。
さっき演奏しているヤツを見たんだ。
レッツ・トライ☆
ギターケースを足先のほんのちょっと前に
セッティングしてギターを構える。
人々は『なんだコイツは?!』といった顔でこっちを見ている。
すぐに体に汗が滲んだ。
最初のストロークでこの場所が演奏にぴったしだ
ということが分かった。
音が響くので声を張る必要がない。
すぐにポロポロとレスポンスがあった。
そしてすぐに警察がやって来た。
だが、メキシコの警察は申し訳なさそうにストップをかけてきた。
「演奏しているとこ、悪いねぇ。ここじゃあやっちゃダメなんだよ」
表情でそう語ってくれている。
威圧的な態度なんて一切感じなかった。
改札の外を指差すので、ひとまず外に出た。
イダルゴ駅にはもっといい地下道が続いていた。
改札から離れた場所で再びギターを構える。
帰宅ラッシュと重なっていたのもあるだろう。
レスポンスはよかった。
何人かは日本に興味を持ってくれているようだった。
記念撮影をお願いしてくる人も中にはいたくらいだ。
家に帰って家族や友達、彼女に話す面白いネタが
提供できたのではないだろうか。
ギター一本の路上演奏は場所を選ぶと思う。

ここまでシチュエーションがぴったし合うと、
ギターの本領は最大限に発揮される。
音もいつもよりもよく聴こえ、
声もいつもの3割増くらいでよく聴こえる。
三日間宿に籠っていたせいもあり、喉の調子はかなりよかった。
まず楽しい♪
20時になると僕は地下道を引き上げた。
アガリは412ペソ(3,126yen)。
歌った後のコーラが喉に沁みる。

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