世界一周774日目(8/12)
「ごめん(笑)」
屁をこいたので、マコっちゃんに一言詫びた。
「いや、大丈夫っすよ。時々聴こえてますから」
「え?!」
オナラが出過ぎるのは
昨日バナナばかり食べていたからだろう。
ほら、食物繊維を含む食べ物を食べると
腸内活動が活発になるじゃん?
ここはメキシコ、オアハカ。夜9時発のバスでここを発つ。
11時には宿に荷物を置かせてもらって僕は外に出た。
日記を書くなら今くらいの時間からがいい。
宿にいるとどうも気分が乗らないのだ。
これは日本に戻っても一緒だろうな。
だから職場が欲しいと思う。気軽に逃げ出せないような場所が。
なんとなくソカロを見下ろしながらコーヒーが飲みたかったので、
適当にテラスのあるカフェを当たっていった。
ソカロの一画にあるカフェは観光客用のものがほとんどで
料理の質も値段も高かった。
僕が訪れたカフェ・レストランの二階席のテーブルには
きちんとテーブルクロスがかかり、
フォークが座席分きちんと並べられていた。
僕の他に客がいなかったこともあり、
コーヒー1杯でもテーブルを使わせてくれたのはありがたかった。
昼過ぎからソカロは賑やかになっていった。
多くの人たちがカフェの下を行き交った。
相変わらず教師たちの座り込みは続いていた。
あのテントはいつになったら片付けられるのだろう?
インディヘナのおばちゃんが肩から大量の布を下げて歩いている。
地面にシートを敷いてお土産を売る人たち。
電子音みたいな音のする木琴を叩く地元の音楽家。
トウモロコシやホットドッグの屋台。
CD屋のスピーカーから大音量でポップ・ミュージックが流される。
それらの人々を見下ろしながら僕は日記を書いた。
Wi-Fiが入ったがあえてパソコンでは使わなかった。
一本日記を書くとソカロを見下ろし、
気分転換に「サムライ・チャンプルー」の続きを観た。
16時になるとレストランが混み始めたため、
僕はスタッフから追い出されるようにして店を出た。
でも、ここにはもうこないもんな。いい作業場をありがとう。
外に出ると、旅人料理人のユウトさんが(あの下ネタの好きな人だ)
がコロッケを売っていた。
出発前に挨拶ができたのもいい。
15ペソのコロッケをひとつ買って、
僕はマセドニア通りにバスキングをしに行った。
演奏時間は18時からストップがかけられた19時までの一時間。
レスポンスはボチボチ。アガリは172ペソ(1,314yen)。
まぁ、バス代の半分って考えればまぁまぁだろう。
バスキングが終ったあと、
もう一度ユウトさんに会いに行くと、
そこには日本人の若い夫妻がいた。
話してみると彼らが雑貨屋をやろうとしていることが分かった。
奥さんの方はもともと雑貨屋で働いていたらしく、
4ヶ月で世界一周をする強行ツアーの中でピンポイントで
雑貨を仕入れて行ったらしい。
このメキシコが彼らの旅の最後になるみたいだ。
日本では既に物件を借りているとのこと。
東京に店をオープンさせるらしい。
「今どれくらい雑貨持ってるんですか?」
僕は彼らに質問を投げかけた。
「めちゃくちゃ重いっすよ。
えっと、雑貨だけで50kgはあるかな?」
今回のオアハカでの僕の仕入れはこんなもん。
だって持ち運ぶ量に限界あるんだよ!
二人がこの四ヶ月で使ったお金は200万以上。
話によると、最低で100万円分の雑貨があれば、
ストックも含めてお店を開業することができるらしい。
もちろん送料もかかるので、
今回は機内持ち込みの限界まで雑貨を運ぶというのだ。
旅のスタイルは「Door to Door」。
雑貨は大型のスーツケースに入れて運んでいるそうだが、
重過ぎるために宿までの移動はタクシーがほとんど。
うわぁ~~~…、本職って怖い..。
仕入れた雑貨の話しも面白かった。
奥さんの方は「何が売れるか分かりませんけどね♪」と言うが、
その土地でしか手に入らないものや特産品などの情報を
よく知っているように思えた。
オアハカでは石を仕入れようと考えているらしい。
僕は二個目のコロッケを食べながら二人の話を聞かせてもらった。
いやぁ~~、おれなんて勝負になんねえな(笑)。
ユウトさんのおモテになられっぷりもすごいっすよ。
やっぱスペイン語だな。
宿で
マコっちゃんと待ち合わせをして、ターミナルまで向かった。
ギターの他に雑貨を入れた手提げを持っているので
移動のしんどさが増した。
21時を少し過ぎたとことでバスがやってきた。
エチオピアで乗ったようなオンボロの三等バスだった。
僕は最前列を指定していた。
そこならギターを足下におけるスペースがあると思ったからだ。
だが、三等バスの座席の間隔はかなり狭く、
ギターは一番後ろに置かざるえなかった。
バスはターミナルを出発すると、
町から出る間に何人か客を拾って行った。
マコっちゃんは僕の隣りの席でパソコンを広げると、
「桃太郎電鉄」をプレイし始めた。
マコっちゃんはみるみる負債が溜まり、
キングボンビーに何度も取り憑かれた。
一時間もしないでバスは停まった。
「故障ですかね?」
「う~ん、どうだろ?
遅く着く分には構わないけど」
マコっちゃんがバスの外に出てみると、
荷室にレモンを詰め込んでいる最中だった。
これが三等バスのマイペースさだ。
荷積みが終るとバスは再び走り出した。
町を抜けて高速に入るとバスの速度は上がった。
「あ~、これで事故ったら僕たち死にますね」
「何言ってんの?
おれ魔法使えるから大丈夫だよ」
「この前、鳥取から東京行きの長距離バスが
事故起こしたの知ってます?
運転手の居眠りで中央分離帯に突っ込んだんですよ」
「いや、知らないけど」
「前に乗っていた人たちが死んじゃったみたいですよ。
それに僕の友達も乗ってたんですけど、
運良く後ろの方の席で助かったんですよ。
丁度事故が起こった日にソイツと会う約束をしていて、
遅れて来るからどうしたの?って訊いたんですよ。
そしたら「お前ニュース見てなかったの?」って言ってましたね。
Tシャツに血がついてました。
だから僕がバスに乗る時は後ろの方の席に座るんですけど、
今日はミスったな..」
何を唐突に言いだすのかと思ったら、
とんだ怖い話じゃねえか!
僕はすぐにバスの運転手を見た。
添乗員二人と会わせて会話をしているので
居眠りすることはなさそうだが、バスはかなりのスピードを出していた。
怖い話を聞くと眠れなくなる。
シートも妙に角度が悪かったし、細切れの睡眠を何度も繰り返した。
ふと目を覚ますとバスが猛スピードでトラックとすれ違う。
ハイウェイには電灯がほとんどないので、頼りはお互いのヘッドライトのみ。
ヒヤヒヤするアトラクションだよ..。
まだまだ死ねないぜ…。
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