1月26日/オーストラリア、ゴールドコースト
「明日はナショナルホリデーだね」
なんて誰かが言うもんだから、僕は今日も一日中ゴールドコーストにとどまることにした。
そして昨日は面倒臭がっていつもの公園まで歩かずに、サーファーズパラダイスの近くの公園で寝た。テントを立てると目立つのでテントの本体(蚊帳みたいなやつだ)の中に入って寝袋みたいな感じで寝たのだが、暑苦しくってちっとも眠ることができなかった。
寝不足でボヤボヤした頭を抱えて思う。
『あぁ、考えてみればおれ、27歳にもなってこんなことやってるんだな。ちょーウケる!』
ほら、お友達があんなとこで寝ているね♪
片付けを済ませると僕はそのままスターバックスに行った。
いやぁ、スターバックスってオーストラリアの中では安い方なんだよね。一番安い「Brewed coffee」が2.8ドルなんだもんな。
ショッピンングモールとか行くとフツーに4ドルとかするんだよ。一番安いのはセブインイレブンの1ドルのコーヒーなんだけど、さすがにセブンにはWi-Fiもテーブルもないしね。
だから作業ができて充電もできちゃうスターバックスは都市型キャンプ生活者にしてみたら、けっこうコストパフォーマンスのいい場所なんだよね。欲を言えばWi-Fiを時間制限なしで使わせてほしいところだけども。
それで僕は昼過ぎまでCavill Avenueを眺めながら作業をしていた。日記を書いたり落書きをしたりだとそんなだ。
12時になると僕はバスキングを始めることにした。
まぁ、よくに目がくらんでいたんだよ。なんてったって今日はナショナルホリデーだからね。休日だからと言っても、ここは元から観光地だ。人がいつも以上に多くいいるとそういうわけでもなかった。
僕はいつも場所でブランケットを広げてバックパックに腰掛けた。
漫画を描いていると、親指を立ててコップに5ドル札を入れてくれる人がいた。これはいい調子だな!とテンションが上がってきたところで警察がやって来た。前回注意された警官だったかはわからなかったけど、「お前次やったら罰金だから」みたいなことを言われたので、僕はヘラヘラ笑いながら撤収しなければならなかった。30分もバスキングしていなかっただろう。おいおい。最終日にこんなのってありかよ?
またスターバックスに戻る気分でもなかったので、僕は仕方なしにウールワースへ行って普段買わないような特売のクッキーを買ってやった。時々自分で自分にご褒美をあげるみたいなことをするんだよ。特にクッキーが食べたい気分でもなかったんだけどね。
それで外に出るとついに雨が降ってきた。煙のような小雨で風に乗ってサラサラとあたり一面を濡らした。
僕は雨を見ながら
『あぁ、こういうことなんだなって』
って妙に納得した。
さっきの警察のストップはこのためだったんだなって。この雨じゃどっちみしば路上で漫画や似顔絵なんて描けなかったし、止めるんだったらあのタイミングがベストだったんだって。
僕はウールワースの前で雨が止むのを待っていた。
Wi-Fiも入ることがなければ、特に読む本もない。雨具はもっているけど、この中を歩いて特別行きたい場所なんて、 ない。
なんだか「雨宿り」がすごく贅沢な時間の使い方のように思えた。
きっと日本にいたら、傘をさして時間に追われるように出て行かなくちゃならないんだろう。何もするわけでもなく、その場で時間をやり過ごすのもバックパッカーが持つ贅沢な時間のひとつなんじゃないかなと僕は思った。これもあと少しで終わるんだな。
雨が止むと僕はビーチ沿いに行ってみることにした。
さっきまで空を覆っていた雲はどこかへ消え去っていた。
不完全燃焼だった僕はそこでまたバスキングをしてみることにした。今度は似顔絵じゃなくて、久しぶりの弾き語りだ。
久しぶりにギターを弾いてみると違和感を感じた。コードもうまく抑えられないし、声も思うように出ない。あぁ、そうだ。最近ほとんど練習していなかったーんだ。
漫画と似顔絵のバスキングに切り替えてから、僕は全くと言っていいほどギターを弾いていない。ただ移動の時にもっているだけだ。これが自分のあるべき姿なのはわかるのだが…
やはり練習しないと腕は鈍るのだ。
ニュージーランド以前は機会さえあれば弾き語りのバスキングをしていたのに、最近はギターを弾くことは少なくなってしまった。
そもそも、僕は「ギターの練習」というものをほとんどしたことがなかった。カバーをしたり、 リズムを考えてコードを当てて自分の曲を作ることがあっても、弾き語りのテクニックを身につけるような練習はほとんどしてこなかった。2年半もギターを持っていても、僕はたいしてギターのレベルが上がったようには感じない。
そうだ。
とても今更なことなのだけど、ギターが上手くなりたければ練習しなければいけないのだ。ある程度のカバーならコードさえ押さえられれば、持ち歌の数を増やすこともできるだろう。だけど、ギターの上達で大事なのたくさん歌が唄えるだとか、ウケのいい曲を上手く唄えるだとかじゃない。
漫画では最近新しいことをチャレンジすることになって、引き出しも増えてきた気がする。今まで描いたことのないような絵を描くように心がけていることもあって、スキルアップは実感できている。
物事の上達とは常にの新しいことを身につけていくことなのではないだろうか?新しいことが身についたら、また新しいことへ。それが成長なのではないだろうか?
いつだって僕の人生はどこか遠回りで、大事なことに後々になって気づく。ギターの上達とは、これいかに?
弾き語りのバスキング一時間半を二回に分けて今日のアガリは30ドル。サーファーズパラダイスはもう十分だ。罰金なんて食らいたくないしね。
ブロードビーチ近くのマクドナルドで時間をつぶし、いつもの公園でテントを張った。
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