「嵐を呼ぶムールーラバ」

1月29日/オーストラリア、ブリスベン⇨ムールーラバ

 

 

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「シミさんならムールーラバで稼げると思いますよ!」

 

 

同じようにオーストラリアをバスキングで旅していた同業者の方からそうコメントをいただいた。(セブンセンシズさん!ありがとうございます!)

僕のこと買いかぶり過ぎです。僕なんてまだまだっスよ。えへへぇっ♪

 

まぁ、ムールーラバはヌーサの途中にあるわけだし、途中で寄るのもあるかなと思ったのだ。

それに稼げるのであれば損なことはなかろう。場所もここから100kmも離れていない。簡単にヒッチハイクで行けるだろう。

 

 

 

 

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テントを片付けて水飲み場で体を洗うと、バスに乗ってサイトに出ていたヒッチハイクポイントまで向かった。

ヒッチハイクポイントまでたどり着くのには少々時間がかかった。街の中心地からバスに乗ればいいだけだったのだが、バスの本数は少なかったし、バスを降りた後も少し歩かなければならなかったからら。そしてヒッチハイクポイントまで行ってみて分かったことは、

 

 

 

 

これ、無理じゃね?

 

ということだった。

 

 

ヒッチハイクにおいて、確かに成功率の高い場所というものが存在する。

だが僕は半分くらいは「柳の下のドジョウ」だとも思う。場所そのものが車が止まりやすく、目的地へ行く車が多く通るような場所もある。

だけど車が止まってくれるかどうかなんてドライバー次第だ。その日の気分次第でドライバーさんが(あれ、なんで敬称つけたんだ?)今日はヒッチハイカーを乗せたくないのであれば、場所がよくても車が止まってくれないことだってある。その国の国民性、ヒッチハイクに理解があるかとかは関係するだろうけどね。

 

 

サイトに書かれていた場所はランプ(一般道からハイウェイへ続く坂道のような場所)だったのだが、問題は車の止まれるスペースがほとんどなく、車が次から次へとやって来るような場所だった。

ヒッチハイクにおいては、車が来すぎるというのもヒッチハイク成功の阻害要因のひとつにもなりうるのだ。

僕は10分ほどそこで親指と立ててみてみたがすぐ止めた。三方向からくる車のうち、一本に道を絞ってヒッチハイクをすることにした。

 

いざヒッチハイクを再開しようと道路の脇に立った時、サブバッグに入れたペッドボトルから水が漏れていることに気づいた。僕は慌ててサブバッグの中身を全て取り出した。

 

『はぁ、、、うまく行かねえな…』

僕は額から吹き出る汗を手の甲で拭いながらそう思った。

 

 

だけど、大抵のことものごとはそういうものなのだ。

ヒッチハイクがうまくいかないことも、ペッドボトルから水が漏れることも、焦たってしょうがないことなのだ。大事なのはこれを重く受け止めず、『まぁそういうもんさ』と軽く流し、次に切り替えること。全てのものごとにはバイオリズムが存在する。

僕は軽く深呼吸をしてアホみたいに口を開けて青空を眺めた。

 

 

 

 

サブッグが半分ほど乾くとヒッチハイクを再開した。レスポンスは薄いような気がする。

ここで大事なのは『止まってくれない。無理だ』なんて後ろ向きなことは考えないようすることだ。

『大丈夫さ。そろそろ車が止まってくれるはず』『これだけ待ったのは、何か特別な出会いがあるからだ』とできるだけポジティヴに感がて親指を立てる。きっとそういう内面も意外に外から見る人たちには伝わっていると思うから。

色んな国々で何度もヒッチハイクをしていると、どんな時にヒッチハイクが成功するのかが分かってくる。期待値も下げるのも心に余裕を持たせる手段だ。

『今日はムールーラバに到着できればいいかな?』とマイペースに肩の力を抜いてリラックスしてヒッチハイクを続けた。

二時間経ってようやく一台の車が止まってくれた。

 

 

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運転手のジョージさんは旅好きのお父さんだった。

バックパッカーのスタイルではなかったが、スーツケースを片手に世界中を飛び回っていたようだ。今では15歳になる息子がいるらしく、息子さんは描き方を勉強しているのだとか。共通する話題があれば話も弾んだ。

ジョージさんは次のヒッチハイクの入り口で僕を下ろしてくれた。ブリスベンの郊外にまで出られてしまえばあとは楽チンだろう。

 

 

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2台目の車はほんとうのすぐに止まってくれた。

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レイさんはケタケタ笑うユーモアのある人で、会話の中にしょっちゅう「アック」だの「シット」といった単語が混ざったかなり訛りの強いおばちゃんだった。

会話も弾んでいるようで、僕は彼女がなんと言っているかよく分からなかった。僕は適当に解釈して返事を返していた。若いとき時オーストラリアをヒッチハイクで旅したのよ!みたいなことは言ってたかな?

レイさんもまたムールーラバの途中までしかいかないようだった。

それは理解できたのだけど、

降ろされたのはなんとハイウェイのど真ん中だ。

 

おいおい。困るよ。せ、せめてハイウェイの出口までは連れて行ってもらわないと。警察に見つかったら、まぁ適当に言い訳できるけどさ、ハイウェイのど真ん中でヒッチハイクが成功するとでも思っているのかしらん?

レイおばちゃんはとても清々しい顔をして去っていった。

 

 

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僕は仕方なしにムールーラバのある方へハイウェイを歩いて行った。

太陽が照りつけて一瞬のうちに体から汗が出てくる。室内と屋外の温度の差がありすぎて、僕は空間というものを意識するようになった。

 

僕が歩いていると、一台の車が路肩に止まっているのがわかった。中から黄色い服を着た人が出てきたかと思うと、こちらに向けて歩いてくる。一瞬僕は警察官なにかだと思って、言い訳を考え始めたのだが、彼が僕に手を振っているのが分かった。

 

 

『これは…もしや?』

 

まさか親指を立てずして車が止まってくれるだなんて。しかもハイウェイのど真ん中で!

行き先も今度こそムールーラバだった。最初の二時間待ちはこれのためにあったのかと思わずにはいられない。

 

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ドライバーのグレムさんは陽気な方だった。

このクソ暑くてムシムシとした夏のオーストラリアで、ただでさえ何かに悪態をつきたくなるのに、オーストラリアの人たちはフランクでフレンドリーだ。ヒッチハイカーを見つけたら、「おう、どうしたの?」って。

何度もヒッチハイクで車に乗せてもらっていると、いつの日か自分が彼らと同じことを旅人に対してできるのか?そんなことをまた考えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ムールーラバに到着したのは13時過ぎだった。

バスキングをやる時間はまだまだ残されている。

町はとても小さく、観光客が集まるビーチ沿いはこじんまりとしたものだった。カフェやブティック店が立ち並び、店先に出されたパラソルの下で人々は優雅にくつろいでいた。

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僕はすぐにバスキングを始めずに通りを歩いてみることにした。

バスカーは一人だけしか見当たらなかった。セブンイレブンの前でおっちゃんバスカーが渋い声でな味のある唄い方をしていた。セットも充実しており、キックペダルをつけたカホンの上に座り、アンプもマイクも、エフェクターまであったと思うと。ギターケースの中に20ドル札が見えた。

 

 

現在僕は路上で描いた漫画を売る他に似顔絵を描くバスキングをしているのだが、いったい何時頃がバスキング向けの時間なのかはよくわかっていない。とりわけビーチ沿いの町なんかに来たときは。なるべく直射日光のあたらない日陰がいいし、潮風をモロに受けるようま場所ではできない。

 

一時間半ほどあたりをウロついて、汗だくになってスーパーに逃げ込んだ。そこでフルーツを買い、トイレでTシャツを洗濯して濡れたままの状態で着た。さぁそろそろバスキングを始めようじゃないか。

 

 

再びビーチ沿いの通りに戻ると、人はめっきり少なくなっていた。

僕はグズグズと通りを往復したが、バスキングができるほど人がいなきなってしまったのだということに気がついた。あ、あれ?

 

ついには雨が降り出した。

風は強めでヤシの葉がなびいている。僕は行き場をなくて、再びスーパーに戻ったりもした。冷房を求めてだ。さすがに雨の日はバスキングなんてできない。曇り空に時折雷が光った。

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僕はスターバックスに行くといつものように一番安いコーヒーを注文して席についた。一度停電になったせいでWi-Fiを使うことはできなかった。

たまたま相席したポールという名前のおっちゃんがiPadを使っていたのでどちらが話しかけるともなく会話が始まった。

僕がここへバスキングをしにきたのだということを話すと、娘の似顔絵を描いてくれれば今日はうちに泊めてあげるよという願っても無い依頼を僕にしてくれた。見せてもらった写真は娘さんとアメリカのニューオリオンズを旅行した時の写真だった。

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ポールさんはビーチから車で5分もかからないアパートメントに一人で暮らしていた。

家を見た感じ家族と暮らしいている様子は見られない。ここの越してきてまだ日も浅いのだということを言っていた。ポールさんは段ボールの中から娘さんが幼い時に描いたであろう、家族が描かれた絵皿を取り出して僕に見せてくれた。

もしかして奥さんとは離婚をして娘さんは別の場所で暮らしているんじゃないかと僕はそんな妄想をした。だが、それを知ってどうなるっていうのだ。そういうのを野暮な質問と呼ぶんじゃないか?僕はなるべく聞く必要のない質問、詮索はしないよう心がけている。

 

 

ポールさんは以前の仕事をセミリタイアし、今は為替の取引で生計を立ているらしい。

一日に働く時間はわずか30分というから驚きだ。為替取引についてそうとう勉強したら最後く、他にも為替取引のネット教材を売ったり、授業をしているらしい。今は120名ほどの生徒がいるのだとか。為替取引は統計的がどうとか、計算式がどうとかポールさんは言っていた。僕はそういうのに向かない。

また、ポールさんは以前のマーシャルアーツを学んでいた時期もあったようで、その時にマッサージも身につけたと言っていた。

 

 

自分の部屋からマッサージを施すための寝台を持ってきて、僕にマッサージをしてくれることになった。

はっきし言って、この時はかなりヤバかった。

最初は首だけだったんだけど、気づいたらボクサーパンツ一枚の姿にさせられていて、ニベアのクリームを全身に塗られていた。なぜだか電気も消されていた。

 

 

僕はゲイか否かの線引きに頭を悩ませた。

このままパンツまで剥がされたらその時は「アイム・ノット・ゲイ!」と叫んで荷物をまとめて雨の中に出ていかなければならないだろう。

いや、そうなる前になんとか嘘をついてやんわりこの場をやり過ごさなければならない!

僕は頭をひねった。

「日本に僕を待っているガールフレンドがいるんだ(ま、いないんだけどさ…)」なんて言えば婉曲的かつダイレクトに伝わるのではないだいろうか?。

状況としては「ライ麦畑でつかまえて」のホールデン・コールフィールドがアントリーニ先生に真夜中に頭を撫でられているのに飛び起きたシチュエーションと似ている気がした。

 

マッサージはかなりきわどいところまで及んだんだけど、パンツの中に手が入ってくることはなかった。

いや、マジで困ったな。親切にしてくれた分だけ相手をゲイ扱いしちゃうのは失礼だと思うし、それにさっき娘さんの写真を見せてくれたし、インチキなマッサージのために寝台は買わないだろうと思ったからだ。

10分くらいはマッサージされていただろうか?ようやくそのマッサージから解放され、僕はお礼を言ってそろそろ寝ますねと言った。

 

 

幸い夜中に部屋にやって来るようなことはなかった。

ポールさんは、た、ただのとっても親切で出会ったばかりの小汚いバックパッカーにマッサージを施してくれる心優しいおじさんだったんだよ。

そう信じたいばかりだ。

 

 

この日は台風が来ていたらしい。

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6 件のコメント

  • シミさんこんにちは‼️ブログに書いて下さってありがとうございます‼️ムールーラバは残念でしたね‼️‼️
    まだオーストラリアに居られるのですか?

    • >目覚めよ!セブンセンシズ‼︎さん

      いやはや、オフシーズンだけはしょうがないですね…。

      現在パースに潜伏中です。24日までオーストラリアで、その次は台湾です。
      台湾は二十日ほど滞在予定。もうまもなく帰国です!

      • ぜひシミさんに会って似顔絵を描いていただきたかったです‼️‼️帰国までお気をつけて‼️

        • >センシズさん

          ふふふ。
          どっか旅人さんの受け売りですが、
          路上で生きる者は路上で会えますよ。いつの日かね♪

      • お役に立てなくて申し訳ございませんでした
        24日には出られるのですね⁉️僕21日からオーストラリア戻る予定でしたのでもし機会があればと思ったのですが…
        3月から僕の友達が台湾でバスキングをするようなので見かけたら声をかけてやって下さい

        • >目覚めよ‼︎セブンセンシズさん

          あれ?ニュージーランドから戻られるのですね。いかがでしたか?

          僕は23日の夜にはパースの空港へ行きそこで一泊して朝の便で台湾へ向かいます。
          ですので、ちょっと無理そうですね。

          台湾には3月18日までの滞在予定です。
          わかりました!日本人のバスカーを見かけたら声をかけてみます!

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    ABOUTこの記事をかいた人

    「旅する漫画家」。世界一周後(2013-2016)、現在は海沿いの町に潜伏中。そろそろ旅がしたいぞ!