「帳尻」

世界一周672日目(5/2)

 

 

ぐっすり

眠れたのは、
昨日ヒッチハイクで何時間も立っていて
クタクタだったせいもあるし、
誰も僕を起こしに来なかったってのもある。

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テントを立てたガソリンスタンドの裏手は、
「誰があのホームレスを追い出すのか?」
という役割分担が曖昧だったのだろう。

そのくらい近距離に会社の違うガソリンスタンドが乱立している。

 

 

テントが朝日を受けて中がじんわりと温かくなってきた。

テントの外に顔を出すと、外はテントの中よりも寒いことが多い。
テント持っていてよかったなぁと思う瞬間でもある。

テントを畳み、そのままガソリンスタンドンの近くで
いつものようにコーヒーとクッキーを買う。

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外に出て食事を済ませた。

 

周りにはちょっと高級そうな車が止まっていたが、
ここで負い目のようなものを感じても仕方がない。

心はビッグアーティストになった気持ちだ。
チャールズ・チャップリンの子供の時のように。

必要なのはちょっとのお金と些細な想像力。

心の中では優雅に朝ご飯を食べた。

 

 

 

100mほど近くにあるハイウェイの入り口まで歩いて行き、
そこでヒッチハイクを始めた。

ハイウェイの直前にはここにも
ヒッチハイクを禁止した標識が立っていたが、
僕はそんなことなどお構いなしに
元気よくボードを掲げて親指を立てた。

今日の目的地も引き続き”North Platte”。

今いるYorkの町から150kmほど離れた場所にある。
これならすぐに捕まるだろう。

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よく見ると「hitchhike」の部分だけ消されてる。粋だね!

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車が止まってくれたのにかかった時間は
10分も経っていなかっただろう。

昨日120km進むのに4時間も待ったのが嘘のようだ。

 

 

 

 

「あなたがガソリンスタンドの前で
コーヒーを飲んでいたのが見えたの。
だからあなたを乗せたのよ」

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と言う運転手のシェリーさんは、
どこか上品な空気感を持った年配の女性だった。

夫が歯科医らしく、綺麗な歯並びをしていた。
もしかしたらインプラントなのかもしれない。

 

 

「それでー、今日はどこまで行かれるんですか?」

「コロンビア州のグリーリーよ」

「ま、マジですか??!!
僕、デンバーに行こうと思ってたんですよ!
もしよければそこまで車に乗せていただけませんか?」

「いいわよ♪」

 

 

おいおい。マジかよ…。

昨日あれだけ待ったのは
この日のヒッチのためだったんじゃないか?

なんだかんだで、帳尻はとれているような気さえする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして

僕は6時間のドライブを
シェリーさんと共にすることになった。

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シェリーさんはもの静かな見た目とは異なり、よく喋る方だった。

シェリーさんのトークは唐突に
カード社会、アメリカにおける信用問題の話
を皮切りに始まった。

 

 

「ほら、あなたも知っている通り
この国ではみんなカードを使って決済を済ませるのよ。
だけど、そこには問題があるの。お金の持っていない人が、
自分の銀行口座に預けてあるお金以上の物を
平気で買えちゃったりするわけ。おかしいでしょう?」

「は、はぁ」

 

 

いきなりり社会問題を振られ、なんと言っていいのか分からない。
とりあえず「フフン..」と話を聞いてることを
アピールする音しか出せない。

電子通貨は便利な面もあるが、
しっかりと自分の使える金額を管理しておかなかればならないだろう。

日本も通貨ではなく、どんどんデータとしてのお金でもって
物が売買されていくだろう。

僕も日本にいたころは旅の装備をAmazonでポチしていた。

だが、僕は通貨で持っていないと自分がお金を持っているという実感が
薄れていくような気がするのだ。

財布にカード一枚あればいいのは確かに便利だ。
だけど、人間の頭はそんなにスマートじゃないと思うんだよねぇ。
あれ、絶対多くお金使っちゃうよね。

まぁ、カードが持つ問題はこれだけじゃないのだろう。
僕がアメリカのカード社会に対して抱く意感想なんてものは
このくらいが関の山。勉強しなくちゃね。

 

 

話の途中にシェリーさんは、
ハイウェイ沿いに流れる川だとか、
ここに生息する鳥だとか、近くにどんな畑があるのかなど、
ツアーコンダターのように色々と説明してくれた。

 

 

 

シェリーさんは比較的他のアメリカ人よりも
質素な暮らしをしていると言っていた。

必要以上に物を欲しがり、溜め込むことを
“hoard(ing)”と言うらしい。

ライフスタイルに興味がある僕には面白い話だった。
食べ物にも気を遣っているらしく、地元の農家が育てた野菜を食べ、
きちんと自分で料理をしていと言っていた。

この国はジャンクフードだらけで
(と言っても日本と変わらない気がするが)、
遺伝子組み換え食品やケミカルな食品で溢れているという
ステレオタイプを僕は持っていたが、

それは他の国にやってきて現地の地産地消を破壊するのではなく、
同時にこの国に住む人々も疲弊させているように感じたのだ。

そのため一部の人たちはかなり健康に気を使い、
ランニングをする人の人口が多いようにも感じる。
アメリカで食に感心が向かったのは当然の流れなのではないだろうか?

 

 

僕だって毎日のように安い物ばかり食べて、
ファストフード店に入り浸っている今の生活を
なんとかしなくちゃなとは思っているのだが、

利便性の方が僕にはまだまだ重要で、なかなか抜け出すことができない。

いや、みんな同じなのかもしれないな。

「食」と「金」って密接に繋がっていやしないか?

 

 

 

 

途中によったファストフード店で、
僕とシェリーさんはサラダを食べた。

チキンの入ったサラダに、マヨネーズとBBQソースをかけて食べる。
うーむ。美味しいけど、これで野菜を摂った気になってしまうのは
注意しなくちゃな。

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そして話のトピックは

最近の「人種問題」に関することから、

徐々に聖書へと移っていった。

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オバマ大統領は黒人初の大統領だが、
人種問題はますますひどくなっていく、
それ以前の大統領の時にはそんなことはなかったという
シェリーさんの発言も少しレイシストじみているようにも感じた。

後々自分でもオバマ大統領が信奉する宗教が
どんなものか調べてみたけど、
キリスト教の複雑さ調べているだけで頭が疲れた。

なんでたって神様を信じるのに、
そのスタイルが複雑かされなくちゃいけないんだろう?

 

 

シェリーさんはおばあさんの代から使われて来たらしい
新約聖書を持っていた。

「これに全て書いてあるわ」
というシェリーさん。

 

 

 

 

聖書は一体誰が書いたものなのだろと思う。

何千年と時間をかけて書かれた普遍的な言葉たち。
人間は根本的な面では変わっていないのかもしれない。

まぁ、僕があーだこーだ言うには全然知識が足りないし、
旅を通して言えるのは
「まぁまぁ、ゆったりスローに気楽にいきましょうや」
ということだけだ。

世界規模で宗教だの人種だのを考えてしまうとややっこしくて、
自分の無力さを痛感するだけだが、自分のできる範囲であれば、
わざわざ複雑になる必要ない思っている。

シンプルをどこまで体現できるのか?それかな?僕の場合は。

 

 

 

6時間も英会話をしていると、さすがに脳みそが疲れて来た。

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眠気を覚え、寝ないようにこらえたが、
シェリーさんは
「疲れているでしょう?寝てもいいのよ?」
と声をかけてくれた。

お言葉に甘えて30分くらいまどろみ、
目が覚めると、さっきの会話の勢いは
どこかに過ぎ去ってしまったように思えた。

僕はグリーリーの中心地に近いガソリンスタンドで降ろしてもらった。

 

 

別れ際に感謝の気持ちとともにシェリーさんとハグをして別れた。

近くにいた移民系の男たちを見て、シェリーさんは
「あの人たちには気をつけないさいよ」という忠告してくれたが、

うーん…、
見た目で判断されてしまうとは
ちょっと哀しいなぁと思うほかなかった。

収入があって上品な白人のひとたちからしてみたら、
肌の浅黒くラフな格好をした人は
「注意すべき人物」に写ってしまうのだろう..。

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ダウンタウン

をひまず僕は目指してみることにした。

ここには大学があり、その周辺は治安が良さそうに思えたのだが、
それ以外は移民、それもメキシコからの人々が
多いような町が広がっていた。

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中心地に近い場所にあるSUBWAYで
僕はコーヒーとクッキーを食べながら時間をつぶした。

アメリカのSUBWAYはほとんどWi-Fiが使えず、
僕はポータブルバッテリーなどを充電しながら
日記を書くくらいしかできなかった。

グリーリーの町にそれほど惹かれなかった僕は、
夜になると歩いてハイウェイに近い場所まで歩いて移動した。
つまりヒッチハイクポイントに近づくいつもの作戦だ。

 

 

途中に見つけた24時間営業(深夜12時まではなく)で作業をして、
ブログを連投して夜を明かした。
最近ほとんど作業できてなかったから
こういう時間って大切なんだよね。

それでも深夜3時を過ぎると、頭がぼんやりしてきて、
『あぁ、テント張るべきだったな』と後悔したのだ。

 

 

 

明日にはデンバーへ辿り着けるだろう。もう目と鼻の先だぜ。

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