2月13日/オーストラリア、パース
なんて言ったって今日は土曜日だ。
昨日のレスポンスのよさだ。今日もバッチし稼げるに違いない!
午前中の過ごし方はもう決まった。
朝シャワーからの図書館でWi-Fiタイム+充電。もうパースの7割型は僕の手中に収まったと言っていいだろう。
12時に意気揚々とマレーストリートへと向かった。
その途中で駅の橋の上で日本人のバスカーにあった。
ナオキくんという名の彼もまた世界一周をしている旅人だった。ボードには49ヵ国を回ったと書いてあった。

話してみるとヤッケン兄さんのことを知っていた。僕と同時期に南米を旅していたようだ。一時帰国を挟みオーストラリアには弾き語りの練習に来たとナオキくんは言っていた。「日本だと練習場所を抑えるだけでお金がかかりますからね」と彼は付け加えた。
1日にどれくらい稼ぐのかと尋ねたところ、いい時で200ドルはいくらしい。おいおいソイツはどんなやべえ演奏なんだと僕は驚いた。唄っている曲は日本語の曲オンリーでそれにオリジナルがいくつか混ざっているらしい。
僕は2ドルほどコインをケースに入れて彼のオリジナル曲をリクエストしてみた。
アンプとマイクを使っているので音は大きかったがどうも歌詞が聞き取りずらい。サビの「恋のなんたら〜…」くらいしか聞き取ることができなかった。
それに演奏も下手ではないけれど、かといってバリくそ上手いわけではない。コードメインだし、言ってしまっては悪いけれど『えっ?これで200ドル稼いでいるの?』と彼の言葉が信じられなかった。
まぁそう言ってしまえば僕の絵のレベルでお金を稼いでいるのもおこがましいのかもしれないけどね。まぁ、こっちはお客さんと話す時間も長いし、リアクションもしっかり伝わってくるから、マグレの稼ぎじゃないゼッ!
…はい。負け惜しみです。
まぁ人の感想なんてそれぞれだもんね。きっとオーストラリア人には響いたの、かも。

『アイツには負けてらんねえ!』と鼻息を荒くして僕はマレーストリートに向かった。
だが、そこは心なしか平日はよりも人が少ないように思えた。どうやらマーケットが開かれるのは毎週金曜日だけのようだ。通りには他のバスカーの姿は見られない。
今日はマレーストリートのショッピングモールの二階の通路でバスキングをやってみることにした。
やはり漫画と似顔絵のバスキングで重要なのは人との距離感だろう。
カッコよく言うと「間合い」だ。
マレーストリートは確かに人通りが多いのだが、通り過ぎる人人との距離にはバラつきがある。できれば通る人全てが10秒くらい視界に僕を入れる距離感がベスト。
そこで実際にやってみるとどうだろう。
人通りはマレーストリートに比べて少なくなったが明らかにレスポンスはよくなった。漫画が売れ、似顔絵のオーダーがいくつか入った。ワーホリ中のオランダ人と一緒に彼の自転車に施すペイントの案を考えたりもした。


稼ぎはそこそこになっていた。
だが、今日を終えるのはまだ早い!
図書館は20時まで開いているので、そこで少しWi-Fiタイムを取り、今日もジェームスストリートへと向かった。

たまたま会った日本人バスカー、ヨウジさん。僕は彼のスタイル(ギターのみのインスト)の方が好き。だけどあまり稼げていないと言っていた。なぜだ⁈

このバスカーめっちゃ面白い。宇宙的な?「ピニョ〜ン!」とか音を出すDIY楽器を沢山もってダンスミュージックを作る。僕も踊った!
土曜日ということもあり、通りはかなり賑やかだ。
顔なじみのバスカー、サムの姿もそこにはあった。
僕はいつもの音が響く定位置で弾き語りを始めようと思ったのだが、30分もやらずに向かいの通りでアンプを使ったオッサンバスカーが音をぶつけてきた。きっとそこが彼の定位置なんだろう。
正直僕は少し機嫌を損ねそうだったが、糖分をとって頭を冷やした。オーケー。そういうことならおれも似顔絵描いてみるかぁ。
電灯の下でバックパックの上に腰掛ける。
すぐにオーダーが入った。
お、おお⁈
こんな夜にでも似顔絵のオーダーが入るのは驚きだ。
何やら中国の旧正月も重なり中華系の人の姿も多い。っていうかね。やっぱこうして人と話して絵を描くのって楽しいんだよね。金のことなんて考えないもん。
向かいの通りでマイクにエフェクターをかけているオッサンバスカーなんて僕にとっちゃあBGMに過ぎなかった。23時には引き上げることにした。





今日のアガリは195ドル。
手応えを感じて寝床へ引き上げた。

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