▷はじめに
「クリエイターズ・マーケット」
に出店が決まったのは仲間のトビーが話を持ってきてくれたからだ。
このイベントは家具を貸し出す会社「EASE」が主催するもので、東京都目黒駅の直ぐ近くにある撮影用のセットで行われていることになっている。
このセットは普段は一般人は立ち入ることができないのだが、イベントの時だけ入れるようになるみたいだ。
開催は一年に二回なのだが、前回は雨のために決行になってしまったようだ。だからイベント自体は1年ぶりということだ。
今回お世話になった高木さん。けっしてマリオっぽい職業の人じゃありません。
「世界一周で雑貨を仕入れてくるから、ふたりで2万5千円づつ出し合って、それを10万にしよう!」
相棒のまおに持ちかけたささやかな悪巧みだったが、雑貨を仕入れ始めると世界にはめちゃくちゃ可愛い雑貨が溢れていることがわかった。
いうまでもなく予算内ではおさまらず僕は貧乏旅を続けるかたわら、世界中の可愛い雑貨を買いあさっていった。
そうして旅を終える頃には海外から送った雑貨はかなりの量になっていた。
最初はどこかのフリーマーケットで売ることくらいにしか考えていなかった雑貨屋さんごっこの企画だったが、クリエイターズ・マーケットは僕たちのアイディアを実現するのにぴったりな舞台のように思えた。
ふうたは今回ドリフトで友達のバンドのCDを売ってました。
▷準備が一番大変!
実はこれリンゴの箱です。
最初はなかなか腰が上がらなかった。
だって最初にやったことと言えば、雑貨を全部出してそれを一枚一枚写真に撮ることだったんだから。
その間に、会場となる場所で行われている別のイベントにトビーと出かけて行って、スタッフの皆さんと顔を合わせたりなんかもした。
出店料が振り込まれていない時なんて、別の日に行って土下座をかましたりした。
そこで学んだのは「圧倒的誠意」が大事だってことだった。
いや、マジでスタッフのみなさんがすげーいい人たちで助かったよ。友達つながりってほんとうに素敵ね。フツー、出店料振り込み忘れたら当日出させてくれないよ。
僕は初めての出店ということもあり、遅々として準備は進まなかった。
『一体どこまで作り込みをやれば出店できるのだろう?』と具体的なイメージもわかなかった。
値札なんてなくなっても旅と同じようにお客さんに直接訊いてもらえばいいじゃん?なんて甘くみていた。
出店への準備はまるで夏休みの宿題そのものだった。
前日までほとんど手つかずで、当日になって「ヤベェ…!!」って焦るあの感じを久しぶりに思い出したのだ。
僕が一番準備をしたなと思ったのは、
それこそ前日にまおとホームセンターに行って装飾品を買いに行ったとき
だろう。
コルクボードや世界地図、他にも細々した備品を買ったのだけれど、あの日一番盛り上がったのは塩化ビニール製のパイプでディジュリドゥを作ったことだったかな?
「えっと、ここから60cmのとこカットして欲しいんスよ」「何作るの?」「ディジュっす!」
切る前の超長いディジュ。
やっぱり一人じゃここまで準備はできなかったと思う。同じ悪巧みをする仲間がいてこそ、作り込みも楽しくなるのだ。
▷遊ぶなら人数が多い方がいい
出店料の振り込み忘れ問題があって、直前まで自分たちが出店できるのかはわからなかったのだけれど、僕は前々から出店の際には声をかけたい人間がいた。
マクラメ作りのアサミちゃんとはコロンビアで会い、帰国後は新宿で道売りのコラボレーションをした仲。アサミちゃんの作品とドリフトの雑貨がコラボすればいい味が出るにちがいない!と僕は確信めいたものがあった。
だけれどもアサミちゃんに声をかけたのはイベントの三日前。超直前だ。
強引に「一緒にやろうぜ!」と言ったようなもの。ドリフトの他のメンバーにはアサミちゃんの参加が決定してから事後承諾をとった。
ちょっと気まずいかな?と考えもした。
そして僕は幼稚園や小学校の時の微妙な人間関係を思い出した。
「今日は◯◯ちゃんと遊ぶから△△ちゃんは仲間に入れてあげられないんだ」っていうあれ。
あの時の自分たちは何をくだらないことを考えていたんだ、と思う。
人間関係を気にして人を誘ったり誘わなかったり、仲間に入れなかったり。
まぁ、実際あまり仲のよくない子がグループに加わった時の微妙な空気感が存在したことは否めないんだけど。
でもさ、遊ぶなら大勢いた方がいいだろう?
だってこれは大人になった僕たちの真剣な「遊び」なのだから。
▷いざ本番!
前日僕は一睡もしていなかった。
雑貨のストーリーを伝えるためのポップ作りをしていたのだ(不運なことにその苦労して作り上げたポップが使われることはなかった…)
不思議とそこまで眠くなかった。
この日のために準備をしてきたわけだし、アイディアが実現するのはいつだってワクワクする。
ただ、どういったレスポンスが帰ってくるのかわからなかった。自信を持って仕入れた雑貨も全然売れないことだってあるだろう。
車の中で「今日はデイキャンプみたいに楽しめたらいいよね」と、まおと話した。まず大事なのは自分たちが楽しむことだ♪
10時にはみんなで集合して設営を始めた。
なんせ初めての設営なので、どう商品を並べたらいいのかイメージがわかない。あれこれ手探り。しかも11時にはお客さんが入ってくるのでのんびりやっている暇もない。
こういう時に仲間がいることに助けられた。
各雑貨ごとに設営や雑貨のディスプレイをしてもらうと、なんとか時間までにはお店の体裁が整った。
今回はイベントの主催者である「EASE」から什器をいくつか借りていたこともあったし、出店スペースもいい場所だった。
まるで自分の家先でガレージセールをやっているそんな感覚を覚えた。
おおっ!ぽい!それっぽいよぉぉお!
ちなみに僕が担当した設営エリア。ポーチ/コインケース類。
11時になると、お客さんが入ってきた。
始まったばかりということもあって、最初の方は雑貨を見て去っていくお客さんばかり。
この時になってようやく気がついたこともある。やはり雑貨には値札をつけた方がよかったってこと。
だって、お店の人に訊くやりかただと、全部の雑貨の値段を把握していなきゃいけないものね。それか、適当にその場で値段をつけるかだ。きっと発展途上国の雑貨屋さんたちはテキトーに値段をつけてたんだろうな(笑)
「クリエイターズ・マーケット」自体はのんびりとしたイベントだった。僕たちはみな、缶ビールを飲みながらゆるく雑貨屋さんごっこを楽しんだ。
「あ!ずるい!おれにもビール!」
ふうたのディストロはこんなかんじ。
隣の出店者さん、青空散髪やってる。
唐突に店の前で始まるビール売り(EASEのみなさん)のコント。
日中の暑さには参ったけれど、午後になると段々とお客さんも増えてきた。
雑貨に対するお客さんのレスポンスも想像していたより良かった。
旅の話はあまりできなかったけれど、僕が世界一周をしてこれらの雑貨を集めたのだというと、お客さんは興味を示してくれたし、けっこうな割合で雑貨に対して「安い!」と言ってくれるお客さんが多かった。
一番人気だったのはインドで買った星型のライトカバーだろう。店頭のハンガーラックにぶら下げて吊るしておくと、道行くお客さんたちが興味を示してくれた。
他にも嬉しかったのは友達や家族が来てくれたことだろう。
驚いたのは僕のブログの告知を見て遊びにきてくれた人がいたことだ。ブログには時々コメントがもらえるけれど、現実にレスポンスがあるとちょっとびっくりするし、あぁ、僕が発信していたものは誰かに届いていたのだなと思った。
「マサトさんとモロッコで会ったんですよぉ〜♪あ!ちなみにシミさんのブログのランキングのバナーは一度も押したことないですけど!」「あ、そ、そうなの..」
「金丸さんのブログ読んでシミさんの名前が出てきたんで、それからちょっと読んでました」「(あ、僕だけじゃないのか)あ、ありがとうございます!」
似顔絵のオーダーもしていただき、嬉しかったです♪
ぼぶえちゃんから出店祝いの花束!
仲間のつながりってすごい!
アサミちゃんの方もマクラメが売れたり、オーダーが入っているようで、いい感じのレスポンスを得ていたので、僕もほっとした。
雑貨屋をしている最中に、アサミちゃんからマクラメのプレゼントをもらった。シンプルなデザインにラブラドライトが埋め込まれたネックレス。雑貨屋をやっている時にはずっと首から下げていた。初めてネックレスなんてつけるよ。ありがとね。大切にします。
お客さんめっちゃうれしそうやん!
▷はじめての雑貨屋さんを終えて
いい場所に出店できたなと思う。
ここでの出店の話を持ちかかけてくれたトビー、手伝ってくれた仲間たち、そしてこの日、僕たちの初めての出店を見にきてくれたみんなに改めてお礼が言いたい。
やっぱりワクワクするようなアイディアは実行に移してこそ、得られるものが多い。
今までの僕たちは、地元のバーで「こんなんできたらいいよね♪」くらいの話しかしてこなかった。
アイディアを実現するためには準備が必要不可欠だし、それに力を注いだ分だけ帰ってくるものも多い。
また、実際にトライしてみたことによって分かるエラーもあった。
それらの「できなかったところ」は次に活かせばいいと思う。
『あ〜楽しかった♪』と言って終わるのではなく、次につながるようにしっかりと反省点を洗い出し、そしてできなかったところは次に活かせば、よりよりものが出来上がるだろう。
これはビジネスじゃない。
当日の人件費なんて考えたらみんなに給料なんて払えないし、そもそもお金のためにやってるんじゃない。
雑貨屋をやる上でのDRIFTのコンセプトは
「日本でも使ってもらえる雑貨を友達にプレゼントするように売る」だ。
そう思って僕は雑貨を仕入れてきたつもりだ。手渡してた誰かが使ってくれるのを想像して。
「遊び」の質が子供の頃と変わった。
そこにお金がかかるようになったが、できることが一気に増えた。
今は誰かと会えるのが楽しいし、僕はさらなる出会いに胸を躍らせている。
当日DRIFTに遊びに来てくれた人、関わってくれた人たち全てにあらためて感謝の気持ちを伝えたい。
どこかで出店する際にはまた遊びに来て欲しい♪
またのご来店お待ちしております♪
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