▷キャンプサイトの火を囲んで

 

 

 

 

 

『また行きたいかも』

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と思っている僕はマゾかもしれない。

いや、そういう気はなきにしもあらずだが..。

 

 

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前回の反省点を活かして僕は朝霧JAMに参加した。装備さえ整っていれば雨をしのぐのもだいぶマシになった。

まったくの平気ってわけじゃないけど、以前よりも雨に耐性ができたって言った方がいいのかもしれない。雨自体も降っていたのはせいぜい朝方の7時から11時くらいで、それ以降は止んでいた。

 

装備で役に立ったものと言えば「野鳥の会」の長靴だろう。一足4000円くらいだし、デザインもいいし、何より折りたたんで持ち運ぶのも楽だ。フェスに行くとけっこうな割合で「野鳥の会」の長靴を履いている人の姿を目にする。雨でドロドロになった地面を歩くのにかなり重宝します。

防寒着もばっちし持っていたのだが、今年は例年よりも寒くなかったのも幸いだった。Tシャツ、ネルシャツ、アウターの組み合わせで日中は十分だった。半袖で大丈夫な時もあったくらだい。あー、でも、雨が降っている時はジーンズはよくなかったかも。

 

 

 

 

 

 

 

前回同様、僕はNGO「iPledge」のボランティア・スタッフとして参加した。

ステージ脇にある「Love & Peace テント」でフラッグ作りのワークショップとカンバッチ作りをお客さんといっしょにやる一方で似顔絵も描いていた。

 

 

ん?

似顔絵?

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いやいや断っておくけどゲリラ的にやってたんじゃないよ!ちゃんと許可とってやってますから!

自分でもどういうわけで、朝霧JAMで似顔絵を描くことになったのかはわからない。いつも仲良くしてもらっているアイプレッジのカンタさんとぼぶえちゃんから、「似顔絵描いてみない?」というお誘いをいただいたのだ。

自分でも驚いた。『まさか。そんな企画が主催者側に通してもらえるわけない』と思っていたのだが。すんなり通ってしまった。

 

普通このような大きなイベントの場合、出店料を払うことによって商売をするスペースを得ることができるのだが、今回僕が負担する分は一切なかった。その代わりにいつもより低めに似顔絵の値段を設定して儲けたお金もみんなでシェアということで話は決まった。

実際のところ、お客さん自体はそれほど多くは来なかった。一日目は10組。二日目は4組って感じ。まぁ、ゆる〜く似顔絵を描いていた。

わざわざ声をかけてくれたみなさま、ありがとうございました。スラスラと短時間で描けたらいんだけど、けっこう待たせちゃってましたよね。えへへ。

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僕の朝霧JAMへの参加は6年ぶり、二度目なのだけれども、アイプレッジとは前身の「ごみゼロナビゲーション」時代からの付き合いがある。

2009年の秋にコアスタッフとして関わり始め、一年間勉強させてもらった。ごみゼロを卒業した後もペイント系のイベントにはちょくちょく顔を出していたし(フジロックに設置するごみ箱のペイントなんかがそうだ)、ボランティアとしてもいくつかのイベントにも参加した。

 

旅をしていた期間はもちろん直接的な関わりはなかった。それでも細く、長く、彼ら(彼女たち)と関わってきた。

その理由は中学校の同級生のまおが今までずっと職員をやっていて、僕を繋げてくれたということが一番の大きな理由なんだと思う。

僕自身は割とドライな人間だ。自分のことが忙しくなってしまうと、周りと疎遠になってしまう傾向がある。きっと物を造る人間なら共感してもらえることがあると思う。

そんな僕をちょくちょく誘ってくれたのは彼だし、そうしてできたささやか繋がりから、また別のイベントに呼んでもらえたりするのは実にありがたいことだった。いや、今でもそうだ。今回のイベントだってお誘いがあって、ボランティアスタッフとして参加させてもらうことになったのだから。

 

 

別にお客さんとして行くわけじゃないのでステージ前で他の来場者といっしょにがっつり音楽を聴くことはできないし、休憩時間はあっても、ずっと遊びっぱなしというわけでもない。

それでも楽しく感じるのは、

気の合う仲間たちと数日行動を共にすることに意味があるからだろう。

日常的で頻繁に会うような間柄ではないが、同じようなベクトルを向いている、そんな人たちと朝から晩まで数日を共に過ごすのはめったにない経験だろう。

そして、そんな風にフレッシュな人間関係を築くことができるのは刺激があって新鮮だ。会った時よりも、イベントを通して一緒に活動を終えた時にはもっとお互いを知れるようになってる。

今回僕がいっしょに活動してきたのは「恵比寿のバーテンダー」や「英語が堪能でセクシュアルなアーティスト」、「今現在学生スタッフをしていて大学では栄養管理士の勉強をしている女の子」、「寝る時は口を全開、半目にするJK(見た時は爆笑した)」、などだ。

一人一人の話を聞いてみると、彼らが普段会わないような人たちであることがわかる。

ボランティア・スタッフとして参加することの面白さはここにある。確かにフェスそのものも楽しいが、その数日間をより密度の濃いものにしてくれるのはそんな彼らと出会うからだろう。

 

 

だが、ボランティアスタッフの中には

何度も同じイベントに参加しているとそのうち飽きを感じてしまう者もいるようだ。

学生の時から何年も同じイベントで参加していれば、そのイベントがどのようなものかわかってきてしまい、面白みを感じなくなってしまうみたいだ。

就職して会社勤めを始めた人間であれば、新しい自分の生活がスタートし、休みも思うように取れなくなってくるだろう。

そのような人たちはアイプレッジ(ごみゼロ)からごく自然に離れていってしまう。

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今回の朝霧JAMではアイプレッジを卒業生したOB/OGが来場者として来ていた。

例年よくあることらしい。きっと今度は来場者の立場でこのイベントを楽しんでみたかったのだろう。

一日の活動が終わり、ボランティアスタッフたちで彼らのテントを訪れる機会があった。

 

来場者のテントはメインステージの前以外にも広がっている。

メインステージから10分ほど歩いた場所には多くのテントが張られていた。夜10時過ぎでもテントの外にはチラホラと人の姿が見えた。テントの前に小さなテーブルを出して暖をとりながら酒を飲んでいるのはちょっと羨ましい。そういうのを見ているとキャンプサイトでは別の催しものが開かれている、そんな気がした。

 

僕たち(ボランティアスタッフ)がOB/OGの泊まるテントに着いた時、彼らはまだ起きて僕たちの到着を待ってくれていた。まるで遠くから旧来の友人が訪ねてきたかのように暖かく僕たちを迎えてくれた。

周りにはラムやワインなどの酒が置かれ、足元にはスナックやナッツなどのつまみが置いてある。みなが火を囲んで椅子に座っていた。パチパチというかすかな音が響き、風向きが変わるとどこか懐かしい匂いが鼻先をくすぐった。

そこにいたOB/OGたちは世代的には僕と直接の関わり合いがない者たちがほとんどだった。ただ、この場が初めての顔合わせということでもなかった。というのも、たびたび僕がアイプレッジに顔を出すので、誰かとはどこかの何かしらのイベントで一緒に活動したことがあったからだ。

一体この場にだれが来ているのか僕は辺りを見渡して、気づいた。

それは、

 

 

 

 

その場にいる自分が一番の古株だということに。

 

 

 

 

朝霧JAMに僕よりも多く参加している人間はいるが、僕が一番の年長者で彼らがアイプレッジと関わるよりも前からこの団体を通して活動してきた。

もちろん関り方やそこで過ごしてきた時間は職員や学生スタッフの方が断然上なので、僕がアイプレッジと深い付き合いができているかというとそうわけではない。ただ、ちょっと前から知りあっていただけだ。

そうだな。

分かりやすくいうと、ラブストーリーなんかで男女の幼馴染がいたとして、男の子の方は女の子に好意を抱いているんだけど、女の子の方はそれに気付きながらも別のヤツと付き合っちゃって、ズルズルとお互い歳を重ねていくみたいな、そんな感じかな?ほら、「フォレストガンプ」観たことある人ならわかるんじゃないかな?まぁ、僕の場合はそこまで恋愛チックじゃないけどさ。

 

 

 

そこにはかならず「世代」というものが存在する。

当時、僕といっしょにスタッフとして活動していたみんなは、今はそれぞれの人生を生きるのに忙しく、ほとんど関わり合いを持たない。Facebookでお互いの近況を知るくらいだ。何人かはFacebookさえ使わないので現状がほとんどわからない。

彼らにはもう僕のようにボランティアという形で関わる時間はほとんどないのだろう。

僕が特殊なんだ。みんな堅実に人生を生きているんだ。

ここへはまた新しい人間がやってきて、以前からいた人間は新しいフィールドへ出て行くだけだ。

それだけのことじゃないか。当然さ。

 

 

 

 

その時、僕はなぜだか小中学校の先生の気持ちが痛いほどわかった。

「アイプレッジ」という団体がある以上は、そこに留まり続けて組織を運営する人が必ず存在する。

彼らもまた、僕と同じように寂しい思いを感じてきたのかもしれない。

いくら仲良くなってもその関係性は限定されたものだ。自分以外の人間はいつかは去っていく。そして関係性が濃かった分、別れの悲しみも大きい。

いや、考えてみたらいつまでもずっと続く関係性そのものが稀有なのかもしれないな。

 

 

そんなことを考えながら僕はしみじみとウィスキーをすすった。

 

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