世界一周141日目(11/16)
「あのぁ~…
弟くん、
呼んでもらってもいい?」
「どうしたの?」
「いや…あのっ、
そのぉ…
トイレが…」
ミャンマーの朝。
トイレの前で気まずくなる僕。
イイちゃんの無表情。
流れない僕のうん◯。
「いいのよ。気にしないで。
後でやっとくから」

昨日手をつないだことが
いけなかったのだろうか?
朝だから低血圧で
元気が出ないのだろうか?
(僕としてはこっちを信じたい!)
イイちゃんの顔には
どことなく冷めた感じがあった。
「あのっ、
これ少ないけど
昨日のガイドしてくれたお返し。
ガイド頑張ってね!」
と言って10,000チャット(1,019yen) を
僕は手渡した。
「うん、ありがと…」
やっぱり冷めてる!!

昨日、弟くんのバルーン製作現場におじゃました時
「ガイド料10,000チャットでいい?」って訊いたら
「うわぁ!ありがと~!私も弟もすごく喜ぶわ!」
って言ってたのに!
こ、これはアレだ!
感情的になると別れが辛くなっちゃうから
わざと冷めたフリをしているんだ!
あったばかりの外国人が調子に乗って
積極的に手をつないじゃったりなんかしたから、
『うわぁ~..
マジ、コイツないわぁ~…』
なんて幻滅しているわけではない!
断じて!

乗り合いトラックが出る場所までは
おじいさんがついてきてくれることになった。

僕はおじいさんに訊いてみた。
「僕は、このまま次の町から
マンダレーへと向かいます。
ここへは今回の旅では
戻ってこないかもしれません。
でもー…機会があったら、
また、戻ってきてもいいですか?」
「もちろんだよ。
君のためにいつでも
家のドアは開けておくから」

真夜中にタクシーに騙された、
ホテルがないなどわめいて
突然転がり込んできた見ず知らずの日本人に
ここまで優しくしてくれるその根源は
どこにあるのだろうか?
僕も彼らの様に優しくなれるのかな?
おじいさんに見送られて
僕は朝8時出発の乗り合いトラックに乗った。
次なる目的地は
インレー湖のある町
Nyaung Shwe(ニャンシュウェ)
ミャンマーの地名に中国っぽさを感じるのは僕だけだろうか?
乗り合いトラックで1,000チャット(102yen)。
かなり安い。やっぱり高いのは観光なんだね。
トラックに揺られることおよそ一時間。
僕はインレー湖のある町の中心地に降ろされた。

一応マンダレー行きのバスの値段を調べてみると
10ドルが最安値のようだった。
うん、そこまで高くないな。
電車で乗り継いで行くよりも安い。
マンダレーまではバスで行くとしよう。
新しい町についてから
まずやらなければいけないことは安宿探しだ。
ただでさえクソ高いミャンマーの宿の中から
最安値の宿を探したい。
目標は10ドル以下!
いつものようにバックパックを背負って
ニャンシュウェの町を歩き回る。
「How much?」
「20ドル?そうですかー…」
「How much?」
「満室?マジかー…」
「ハウマッチ?15ドル?
少し高いが観光地で野宿とかはできまい。
ここにしとくかー…って、ここも満室ですか…」
インレーの町は宿が高いばかりか
満室のところが多い印象を受ける。
15ドルのJOY HOTELのスタッフは
僕に別のホテルを紹介してくれた。

「”Big Drum”だったら安いわよ」

マーキングしてもらった地図を片手に
辿り着いた宿は絶賛工事中で川沿いにあった。
インレー湖へ行く観光用のモーターボートやら
地元民の足になるようなボートが
ひっきりなしにエンジン音をあげて走って行く。
レセプションに行くと
部屋は17時過ぎにならないと
用意できないと言われたので、
僕は荷物を置かせてもらい
インレー湖に自転車で向かうことにした。
「JOYなら貸してくれるわよ。
先にJOYでシャワーでもあびさせてもらえば?」
ここの宿とJOY HOTELは
どういう関係にあるんだろう?

「Big Drumに泊まってるんですけどぉ~」
って言ったら普通にWi-Fiも貸してもらえた。
(ただし、クッソ遅かったが…)

インレー湖までの道のりは
アップダウンはないがボコボコしたオフロードを行く。



一応、舗装されて入るのだが、
ところどころヒビ割れていたり、
道路が途切れてしまっていたりする。
前から後ろからバイクや大型トラックが
気遣いのかけらも感じさせずに
「追い越すぞ!」とクラクションを鳴らし
僕にビビらせる。
車に追い越されるたびに
排気ガスや砂煙がモクモクとのぼる。

もちろんインレー湖までは
宿のあつまる中心地から運河が走っており、
モーターボートで向かうことだってできる。

だけど、僕は自転車なのだ!
「い、インレー湖に着いたら
コーラでも飲もう…」
たかだか1時間の距離でも
車からのプレッシャーで精神を
すり減らされてしまった。

インレー湖にかかる木の橋を前にして
さてどうしたものかと考えていると、

後ろから同じ様にママチャリでやって来た
背たかのっぽの欧米人が一人。

なにやら英語で話しているけど
欧米人の英語はまだまだ聞き取りずらい。
それでも東南アジアの人たちは
彼らが何を言ってるのか
わかっちゃうんだからすごいよね。
リスニング能力の一番高いのは
東南アジアの人々なのではないかと
思っちゃうくらいだ。
インレー湖は自転車と一緒に
ボートで渡ることも可能なんだけど、
後からやって来た背たか欧米兄さんが
川は渡らず30分そこらボートに乗りたいと
話しているのを聞いて、思わず
「よかったらシェアさせてもらえないかな?」

とお願いさせてもらった。
45分で4,500チャット(459yen)。
一人当たり200円弱。安い。
お兄さんの名前はロー。

オランダ出身。
business administrator(ってどんな職業だ?)。
「ペダルボートの方が
モーター音がなくて静かでいいからね」

と言うロー。
インレー湖で生活する人々とすれ違う度に
「ミングラーバー(こんにちは)」
と挨拶をする。


ほんとに彼はしょっちゅう挨拶するんだ。
目に入ってくるミャンマー人全てに
って言った方がいいくらい。
外国人からこんなに親しげに挨拶されたら
現地の人も悪い気がしないだろうな。
僕も見習おうと思った。
のんびりとしたボートが好きだと言っていたので、
自分から積極的に話しかかる様なことはしなかった。

出身地だとか仕事だとか
どうして旅をしているの?だとか
当たり障りのない質問くらい。

こうして旅に出て思うのは
世界中の観光地には
必ずと言っていいほど欧米人がいるということ。
彼らがどの国出身なのかは判別がつかないけど、
日本人なんかよりもよっぽど
海外に出ることが好きな民族なんだと思う。
「ローはどこをどれくらい旅をしているの?」

「う~ん、タイとミャンマーを旅して、
今ちょうど半分くらいかな?
トータルで81日」
「よくそんなに休みが取れたよね。
日本でそんな長期休暇取れないよ。
仕事を辞めるか、
会社側になんとか理解してもらって
休職扱いにしてもらうかだよ」
「僕の雇用主もいいヤツだったんだと思う。
週に40時間の労働が決められていて、
それよりもプラス10時間、
もしくは、休日にちょっと余分に働くと
まとまった休みがもらえるんだよ」
「へぇ~…なんだかよくできたシステムだ…」

僕は日本で言う「社会に出る」を経験していない。
「漫画家になる!」って決めて就職活動なんてしなかった。
だから、日本と海外の休暇取得システムの
比較なんてできないけど、感想として言うなら
彼らの仕事には
余裕がある

ということだ。
バイト時代に会ったお客さんたち、
社会人やってる友達の話などを聞く限り、
日本はほんとにガチガチに働く国だなぁと思うった。
『休んでいたら利益が上がんない!』
とでも言わんばかりに。
飲食店なんてそうだ。
お店を借りているスペースの家賃もあるし、
競合他社が多い分、休んでなんかいられない。
休まないことが美徳のようにも思える。
働き続けることでのアドバンテージもあるだろう。
社会保障はもちろんのこと、
暮らしの物質的充実。昇進、
給料アップ(能力があればの話だけど)。

まぁ、海外をふらふら旅をしている僕が
日本の労働の是非を書いても説得力はない。
そうだったね。
長期休暇中のロー兄さんのことだったね。
まぁ海外には色んな旅人がいるんだなってことだ。
こういうビジネスマンしてる旅人には
初めて出会ったよ僕は。
その人が自分の国で
どう生きてるのかを訊くのは野暮かなと思って
あまりそういうことは尋ねないようにしてたんだけど
これからは取材がてら訊いてみようと思う。
「へぇ、旅する漫画家…
すごいな!
オランダに立ち寄った時には
ぜったい僕の家を尋ねてくれよな!
そうすれば宿代が浮くから♪」
ボートを乗り終えて桟橋の前に戻ってきた後
iPhoneのアルバムに入っている僕の漫画を見せると、
ローは嬉しくなる様なリアクションをとってくれた。
僕は即席で名刺を描き
(っていうか机もない状況で描いた名刺だったので、
クオリティも低過ぎて写真を撮る気も起きなかった)
Facebookの連絡先を交換して別れた。
ローはこれからワイナリーに行くらしい。
彼らはほんとうに旅を楽しんでいるように見える。
長身のローの漕ぐママチャリは
見ていて気持ちよくなるくらいに加速して
その場を去って行った。

Big Drumに戻り
通された部屋にはベッドが二つあった。

工事中、従業員用レストラン脇
(ここではレストランも経営している)の水シャワー使用
ということで宿代は一泊7ドル。
僕がブログの下書きをしていると
体に痒みを覚えた。
蚊に刺されるあの感覚じゃない。
目には見えない「何か」に刺される感覚。
手には無数の刺された跡が。
床ジラミだ。
たぶん軟禁虫よりか症状は軽度だが
厄介なんだよなぁコイツら。
僕はブルシをベッドに敷いて
バックパックから寝袋をひっぱりだして
それにくるまった。
それでも時々体に痒みを覚える。

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★世界一周ブログランキングに参戦しております。
ちょ、ちょっとずつだけど
書き溜めたブログをアップしていくぞぉ…
今はマンダレー。
8ドルの宿です。
シャワー場に体洗いタオル置き忘れたら
戻ってきませんでした…
(たぶん、捨てられてしまった…)
あれ、ミャンマーとかタイで
買えるんでしょうか?
地味に重要ですね。アレ。
背中洗えねえ…
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