「16時間」

世界一周215日目(1/29)

 

一週間滞在した
ジョードプルとも今日でお別れだ。

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9:45の列車で僕が向かう先は
ネパールとの国境の一歩手前の街、
Lucknow(ラクナウ)。

その演技のよささそうな名前に惹かれたのと、
ネパールにアクセスしやすそうな
規模の街だったのでここに行くことにした。
たぶんバスかなんかで行けるんじゃないかと。

 

情報収集サボりがちな僕でも、
ちゃんとどこの国境から陸路で
ネパールに入れるのかは調べている。

ネパールガンジという町から入れるみたいだ。

 

だけど、そろそろ情報収集を
しっかりやんないとな。

もう一度インドに戻った後はいよいよ中東だ。
ワクワクより不安の方がデカい。

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朝7時半に起きてパッキングをし始める。

だんだん温かくなってきたからとはいえ、
ジョードプルに寒さを感じるんだから、
これより北に位置するラクナウや
ネパールはもっと寒いんだろうな。

モンゴルでもらった
サバイバル・シートの破けた部分を
ガムテープで修理する。

サブバッグの中にたたんで
丸めたシートをつっこんだ。

 

宿のママとハグして僕は駅へと向かう。
またいつかここへ戻って来よう。
そして同じ街の同じ宿に泊まろう。

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いつもの屋台で朝食を済ませ、
ここへ来る時と同じ道を通って駅へと向かった。

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「Rescheduled」
電光掲示板に表示される文字。

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どうやら列車は2時間遅れのようだ。

 

なんだよー。
それならまだ宿でゆっくりできたじゃん。
Wi-Fiどころかネットだってこの後、
いつ使えるのかわからないからね。

 

 

 

駅のベンチで昼寝をして時間をつぶした。

ジョードプル駅の天井は
途中まで水色に塗ってあった。

たぶんシートが途中で破けちゃったんだろう。

上からしたたったペンキで
ベンチはグラデーションのように水色がかっていた。

 

残念なことに、駅は薄暗く水色なのか
グレーなのかホワイトなのかはっきりとは分からない。

天井を見上げた際に、窓からの光で
『あぁ、水色に塗ってる最中だったのね』
と気づくのだ。

 

 

まるでジョードプルが
僕との別れを惜しんでるようだ。

今までほとんどの都市で
時間通りに来た列車は2時間遅れ。
珍しいことに車両の外には名簿が貼っていない。

自分の席の下にバックパックをつっこみ、
靴を脱いで寝台下段に座って足を伸ばした。

また列車の旅が始まるんだ…。

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「そこ、君の席?」

両手に荷物をもった男が僕に尋ねる。

 

「いや、ここの上段だよ」

「チケット見せて!
ここは僕の席うんたらかんたら~…」

 

またか。

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「オイオイ、
だって普通は下の段って
みんな座席として使ってるじゃないか。

それより君の方こそ
チケット持ってるんだろうな?
僕から見せるのはフェアじゃない。
まずは君から見せろ」

「うんたらかんたらちんたら~…」

「だからチケット先に見せろって!」

「…なんだ予約席か」

 

そんなことを呟いて
彼は次の席に行ってしまった。

なんなんだアイツらは?
「チケットを見せろ!」と言ってくるくせに、
みんな決まってチケットを見せようとしない!

 

 

 

 

 

そして僕が席を外して
戻ってくるとインド人が二人。

 

いや、正確に言うと僕の席じゃない。
僕が予約したのはサイドアッパーの席。
寝台の上段はちょっとした優遇席なのだ。

というのも寝台下段の席は
みんなが寝る時間までは上段のひとたちと
一緒に座ってなくちゃならない。

しかも三段あるうちの真ん中の寝台の人が
たたまれていた寝台を広げてしまうと
下段の人たちは窮屈で座ることができない。

つまり寝台上段の人たちは
自分の好きな時に上り下りできるし、
寝る前での間は下段に座っていてもいいのだ。
実質2段使えるわけだね。

それに僕のデカいバックパックは
三段寝台の一番下に収納できないのだ。

 

だから僕は座席を予約する時は
必ず寝台2段分のサイドアッパー、
上段を予約する。

 

 

 

「なに?
さっきから三段とかサイドアッパーだとか。

全然わかんないんだけど。
てかその話まだ続くの?」

 

ってごめん…。

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いずれにせよ普段僕が座っている席には
イスラム教徒がかぶるキッパ(帽子)をかぶった
インド人が二人座っていたんだ。

そりゃもちろん

「僕の席は上の段なんですけどぉ
(普通なら下段に座ってもいいっすよね?)

と彼らに訊いた。

 

「あぁ。気にしないで」

 

やれやれ。

 

幸い車内はすいていたので、
僕は他の寝台下段で昼寝をかましてやった。

これから16時間の列車の旅。
ラクナウ駅に着くのは深夜か夜明け前だろう。
寝れる時に寝ておかなきゃね。

 

IMG_3792 途中の駅でお祈りを始めた彼ら。

 

 

 

 

僕が他の席に座っていると、
さもそこが自分の席であるかのように、
荷物を僕の席に置いてくるヤツも中にはいた。

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はぁ、なんてフリーダムなんだい?インド。

ジョードプルの居心地の良さがウソみたいだよ。

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日の沈み、
読書ができなくなるくらい暗くなると、
僕は早めに寝ておくことにした。

ラクナウで降りるインド人は
「4時に着くよ」と言っていた。

駅のベンチで仮眠するよりかは
横になれるいまのうちに寝ておいたほうがいい。

 

時刻は20時。
自分の席に置いてあった誰かのバッグを
他の寝台にどかし、
僕はpatagoniaのアウターを羽織って横になった。

車内はうっすらと寒い。

こういう時を想定して靴下、ジーンズ、
八部袖のカットソーを着てきたんだけどー…

 

 

寒い…!特に足!
たぶんこれからもっと寒くなるだろう。

我慢できるか?いや、ここはー…。

 

サブバッグの下から引っ張りだした
サバイバル・シート。

広げたり、中でもぞもぞと動く度に
「クシャクシャ~…」ってうるさいし、
折りたたむのが一苦労のサバイバル・シート。

ちょっとでも切れ目が入ってしまうと
そこからスパッと破けてしまう。

体を包む時も乱暴に扱えば
すぐに使い物にならなくなってしまう
デリケートなヤツ。

だが保温力は抜群だ。

 

 

「なんだ?アイツ。
変なモノにくるまってるぜ?」

 

という周囲の奇異の目をやりすごし、
サバイバル・シートにくるまる。

ある程度体に密着させないと暖かくないのだが、
ないとあるのでは大違いだ。
世界一周の旅に持って来て良かった物の
一つに間違いなく入るだろう。

まぁ、持って来ない物の方が多いんだけども..。

 

 

 

 

 

 

 

ほとんどの乗客は
寝台列車に毛布やブランケットなどを持ち込む。

ある者はブランケットをデカいバッグに入れ、
ある者は薄っぺらいシーツで全身をミイラの様に包む。

スーツケースより一回り小さいくらいの
四角いビニールバッグなんかに
毛布を折りたたんで持ち込むヤツもいる。

寒い季節、寒い地域で夜を明かす場合、
インドの寝台列車には体を覆う物必須なのだ。

 

 

サバイバル・シートの中でiPhoneに入った

 

「パタゴニア 着ることについてのストーリー」

 

 

というショートフィルムのような映像を見る。
ジョードプルでダウンロードしてから
何回もこの動画を見ている。

 

相棒のまおがこの動画をオススメしてくれたんだけど、
構成や映像の美しさ、バックで流れる音楽、
そしてメッセージ性、まるで短い映画を
観ているような気持ちになる。

 

長くひとつの衣類や道具を使っていると、
そこにストーリーが生まれる。

 

バックパックはもちろんのこと、
旅に連れて来たPenny Boardや
愛用のnudie jeans(穿いて一年が経過した)、
漫画製作の道具たち。

日本にいたころは周りや流行に流されて
「旬」な物を持ってることが大切のように思えた。
いくつも物を手に入れ、いくつも捨ててきた。

 

 

 

でも、旅を続けていると分かる。

ほんとうに必要な物は
そんなに多くないんだってことが。

 

 

バックパックという限られた容量の中で
持てる荷物は決して多くはない。

世の中には100L以上のバックパックが
存在するようだが、荷物を持てば持つほど
移動しにくくなる。

正直、僕の荷物はミニマムには
まだまだほど遠い。

カメラマンなど特定の職に着く人の荷物は
軽くはないが(僕だって原稿用紙200枚持ってる)、
そういう枠組みをとっぱらって考えると、
僕たちはそんなに物を持たなくてもいいじゃないか?

 

最近考えるのはそんなことだ。
相変わらず相棒は僕には持ってない
いいセンスを持っている。

 

僕たちは何につき合ってるんだろう?

—————————————-
★世界一周ブログランキングに参戦しております。

時々テレビで「物が捨てられない」人に段ボール箱を渡して、
断捨離をさせる特集がありますが、

今それをやったら間違いなく僕の荷物は
半分に減ることでしょう(笑)

 

 

「この一度も使ったことのない
雨具のズボンはいります?」

「いや、雪国なんかで使うかなと…」
「送り返してください」

 

「原稿用紙いりますか?」
「はい!」
「200枚も?」
「いや、だってそれはー…」
「送り返しましょう!」

 

「てかスケボーいります?」
「大事な相棒ですから!」
「ほとんど使う機会なにのに?」
「…」

 

Pennyなぁ~…。
誰か僕の代わりに、世界中にどれだけPennyできる場所が
あるのか引き継いでくれたらなぁ。
もちろん帰国後はちゃんと返してもらう約束で!

 

 

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