「水タバコの音は予感を与える」

世界一周294日目(4/18)

 

荒涼とした大地
を走る列車。

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イランは広いが
人が暮らしていくには
適していない土地もある。

我々はファーミング(農業)にもっと
力を入れたいんだとホセインさんが言った。

だが、ここの大地では
作物を育てるのは難しいだろう。

イランの降水量ってどのくらいなんだろう?
そんなことを考えた。

 

「あそこに水たまりが見えるだろう?
あれはね塩水なんだ。
だから農業には使えないんだよ」

乾燥した大地から
じんわりとにじみ出る塩水。植物も育たない。

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朝8時頃には窓から大きな畑が見えた。

「景色がガラっとかわったね」

マシュハドからテヘランまで
列車12~3時間の旅。もうそろそろだ。

 

 

9:00。

電車がテヘランの駅の
プラットフォームに停車すると、

ホセインさんと僕は同室の若い夫婦が
去った後もしばらく
コンパートメントに残っていた。

僕のバックパックは重いので
荷物を置く場所から引きずりおろすのも
一苦労だった。

 

 

「ホセインさん、
テヘランまで連れてきてくれて
ありがとうございました」

昨日、ホセインさんの申し出を断って
座席のみのサードクラスでここまで来ていたら、
全然眠れなかっただろうし、
到着するのももっと遅くなっていたはずだ。

 

「メールアドレスを教えてくれ。
こちらから何か連絡することがあるかもしれない」

僕はホセインさんから渡されたメモ帳に
自分のメールアドレスを間違えずに書いた。

 

 

「インシャアッラー」

握手をした後ホセインさんが言った。

「この意味をしっているかい」

「ええ。
“God Bless you”とか
そんな感じですよね?」

「ああ。
君の旅がうまくいくといいね」

 

結局最後までホセインさんの
写真は撮れなかった。

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いや、お願いすれば
快く写真を撮らせてくれただろう。

人の写真を撮るのは難しい。
頭の中に残っているのはイメージだけ。

この記憶も徐々に薄れていってしまうのなら、
勇気をだして写真を撮らせて
もらってもよかったかもしれないなぁ。

そうしてホセインさんは
雑踏の中に消えていった。

わずかな時間だったけど
とても良い経験ができた。

 

 

 

 

 

 

 

 

首都。

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旅した他のイランの街とはやはり違う。

人の数、交通量もそうだし、
活気づいていることが分かる。

僕はマップアプリで
最寄りのメトロの駅を探した。

親切なイラン人が「ほら!こっちだ!」と
頼んでもいないのに案内役を買って出てきた。

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僕に途中までついてきて
「ほら!チップ!」
わけのわからんことを言ってきたので、
そこは笑顔でスルーだ。

 

例のごとく方向音痴っぷりで
駅直前で道を間違えたりしたけ
どメトロに乗ることができた。

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事前の下調べもしている。
向かう先はイマーム・コメイニ駅。
マシュハド・ホステル

こういう時に情報系のブログを
書かれている方にはお世話になります。

イランのメトロもレッドとか
イエローとか色で路線が別れているし、
ペルシャ語表記の下にちゃんと
英語表記も書かれているところもありがたい。

僕の地元の新百合ケ丘駅はどうだろうか?

あれ全部感じで書いてなかったか?

車内アナウンスは英語もあるけど、
自分がどこで降りるか分からなかったら
意味ないよね。

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イマーム・コメイニ駅の改札を出ると
大きな噴水が見えた。

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ビルの間からは頂上に雪の積もった山が見える。

この対比がなんとも言えねえなぁ。

スイスとか言ったら
こんなんばっかなんだろうなぁ。
ヨーロッパの国々にも想いを馳せる。

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徒歩だとけっこう時間がかかるようだったが、
ここでもPennyは活躍してくれた。道路も平坦だ。

車に気をつければ車道脇を滑ることができる。

マシュハド・ホステルは
バックパッカーの定番宿らしい。

運良くドミトリーでベッドに
ありつけることができた。

同室は中国人のサイクリスト、
日本人のお兄さん、
坊主頭のフランス人の三人だった。

ベッドは5台しかない。

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ドミトリーで150,000リエル。6ドルくらい!

うん!安い!いまのとこイラン最安値だぜぃッ!

 

 

なぜか一カ所にしかないコンセント。

中国人のあんさんがコンセントに
一番近い特等席のベッドを使っていた。

「いやぁ、すんませんね」と
言いながら電気を拝借する。

イランのどこの宿もコンセントが
絶妙な位置についてるんだよなぁ。

こういう時のドミトリーの
コミュニケーションってすっげー大事だ。
あんさんもいいヤツだったけどね。

 

 

 

 

 

 

ベッドの上に座って
日記を書いた後、
僕は食事をとりに宿を出た。

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電車の中ではお菓子とジュースが出たけど、
それだけではお腹が満たない。

少し離れたところにあるバーガー屋さんで
ジェスチャーで注文する。
日本のビッグマックなんかよりボリュームがある。
お腹も満ちる。

シメのアイスクリームを食べて宿に戻った。

もう何もやる気がしない(笑)

 

 

漫画は明日から描くことにしよう。

宿でしばらくウダウダ過ごした僕は
ギターを持って外に出た。

 

初めての街でのバスキングする時は
場所探しから始まる。

人通りのある道はだいたい車道に面していて、
静かな場所というのはない。
うるさくない場所には人もいない。

ピスタチオやメロンの種
(イランで初めて知った。
中国で言うヒマワリの種みたいに殻割って食べるのだ)

を売っているナッツ屋さん前で
まずはバスキング。

ここでもフレンドリーな
イランのみなさんが僕に絡んでくれた。

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僕の持っているギターは
「Martin Backpacker」
っていうこぶりのトラベルギターだ。

普通のサイズのギターよりも軽いし、
持ち運びには便利なんだけど、
やっぱり音の小ささは否めない。

ギターの音もレスポンスに関わってくる。
どう自分を目立たせるのかに意識がいく。

上手く唄おうと声を意識すれば
体は動かなくなっている時が多い。

ロックミュージシャンの
マイクパフォーマンスとかって
かっこいいよなぁ~っていっつも思う。

ああいう「見せ方」が
ストリートパフォーマンスにも大切なんだろう。
まずは視覚からだね。

それでいて上手く唄えることがベスト。

 

 

ナッツ屋さんの前以外にも
2カ所くらい場所を代えて僕はバスキングをした。

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アイスクリーム屋の兄ちゃんは
僕がギターを持っているのをみると
「ここで唄ってくれ!」と
僕に場所を用意してくれたくらいだ。

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そして、受け取ったレスポンスは
何もお金だけじゃない。

一カ所につきひとつは
何かしらの食べ物が手渡された。

アイスクリーム屋のにいちゃんが
僕に差し入れてくれたのは
バナナシェイクだった。

 

 

 

たまたま見つけた楽器屋さんには
ギターの他にもイラン独自の楽器から
タブラも置いてあるお店もあった。

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そして弦が高ぇ…。

インドとかで600円そこそこで
手に入った弦なんてここにはない。

「アコギの弦ある?」と
スタッフに言って手渡されたのは
ダダリオの15ドルの弦か、

ファニーなガイコツくんの絵が描かれた
アリスってメーカーのもの。5ドル。

僕のギターには

「エクストラ・スリムの
弦を使用してください」

とサウンドホールの中に
貼付けてある紙に書かれている。

そんな細い弦ってないんだよなぁ~。
やめやめ!また今度にしよう!

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案内された別の楽器屋の倉庫。
売りつけようとしてきたのは
中古の弦でした(笑)
なんだよ中古って?

 

 

最後にメトロの入り口前で唄うと
聞いてくれた人から
アイスクリームの差し入れがあった。

「こういうスタイルね。僕好きだよ!」

と言って、手渡されたチョコやバニラの
色とりどりのカップに入ったアイスクリーム。

 

この前にもソフトクリームやら
他にも色々食べちゃったから、
体は糖分を求めていなかった。

でもぅ…、ありがとうっす♪

ギターを横に置いて夕闇に染まる街の中
僕はアイスクリームを残さず食べた。

 

 

 

 

宿に戻ってシャワーを浴び、
洗濯物を屋上に干そうとすると

宿のスタッフたちが
水タバコを吸っていた。

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うらやましそうな顔全開で
見ていたら

「吸う?」

と言って僕に吸わせてくれた。

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吸い込むと中の水が
「ポコポコ」と面白い音をたてた。

味はリンゴの味で
タバコほど強くない。

調子に乗ってそのあとも
何回もシーシャを吸った。

ポコポコポコポコと
ホーカ(イランでいうシーシャ)は
音をたてる。

 

その音はテヘランでの生活が
楽しくなってくる予感を僕に与えてくれた。

よしっ!明日から漫画描きますか!

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イランでバスキングもけっこう面白いっす♪
僕はそんなにがっつり稼ぐようなバスカーじゃないけど、
いいんす。それで。楽しいから。

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4 件のコメント

  • 水タバコみたことあるけど、吸ったことない!うらやましー(^ν^)

    • >れーな★ちゃんさん

      どもっす!

      水タバコ、日本でみかけたら
      是非チャレンジしてみてください!

      ずっと吸っていると
      煙草を吸わない方は
      クラクラしちゃうみたいですけど、
      フレーバーもリンゴとかあるし、
      「味つきの煙を吸う」
      っ感じっすかね?

      サーフィン、てかPennyやってますかぁああ!!??
      やっとこさPenny大活躍してます♪

  • こんにちは。いつも楽しくブログ拝見させてもらってます。
    イラン私もいつか行きたいと思っている国でイラン編特に楽しく見ています(^^)

    シミさんにお伺いしたいんですが、制作した漫画をどうやってスキャンしてらっしゃるんですか?たくさんの荷物を持っているみたいなのでふと疑問に思いました。

    • >イラストレーター志望さん

      えっ!!??
      いやぁ…そのぉ…。
      お恥ずかしい話ですが…。

      「iPhone(4s)のHDで撮って
      トリミングしてMacに取り込んで
      ブーストかけて線を濃くして
      おしまい」

      です。

      で、30ページくらい描き溜まると
      雑貨を相棒の家に送るタイミングで
      原稿用紙も送ってしまいます。

      誰も僕みたいなめんどくさいやり方で
      旅をしながら絵をかかないと思います(笑)
      時代の逆を行ってる自信があります!

      パソコンとペンタブとか
      最低限の道具を持って行けば
      荷物軽くなるんじゃないかな?

      旅をしながら作品を作ることは
      全然難しくないと思います。
      そういう旅漫画があっても面白いっすよね♪

      僕は全然デジタルに詳しくないので
      コテコテのアナログなんすわ。

      コメントざっす!
      イラン楽しんでください!

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