「考察。場所探し。浮遊する塔」

世界一周295日目(4/19)

 

まずは場所探し。

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旅をしながら漫画を描く上で
大切なアクティヴィティーだ。

残念ながら今泊まっている宿には
勉強机がない。

同室のみんなは各々のベッドの上で
スマートフォンやらiPadやらをいじっている。

シングルやダブルルームには
机があるみたいなんだけど、
今僕が泊まっているのは一日6ドルくらいの
ドミトリーだからね。外に出よう。

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まず最初に発見したのはローカルな
「チャイハネ」だった。

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シーシャを吹かしながら紅茶を飲んだり、
食事をとるおっちゃんたちの憩いの場。

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他の飲食店に比べてテーブルの数が多い。

お客さんも僕を含めて3組くらい。
これは漫画を描くのにいいかもしれないぞ!

とりあえず紅茶をオーダーして
テーブルについてみると分かった。

テーブルが低い。

それに思っていたよりも暗い。
そして暑い…。

長時間のデスクワークで
自分の体に合わない机で
作業することは致命的だ。

すぐに肩や腰が痛くなってしまう。

それでも僕はオーダーしてしまったので、
角砂糖をかじりながらストレートティーを飲み、
なんかとか漫画を描こうとがんばってみる。

時刻は朝方9時過ぎ。
気づいた時には他のテーブルは
暇そうな大人たちで埋まっていた。

中途半端に中身の残った
僕のティーカップを見て
お店のおっちゃんはしきりに
カップを下げようとする。

あぁ。分かったよ出てけばいいんだろ?

20分も作業することなく僕は
紅茶のお金10,000リエル(40yen)を払って
チャイハネをあとにした。

 

 

 

 

そのまま漫画製作の
場所探しは続く。

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バザールは人で溢れていた。

歩行者優先の道路には
時々機関車の形をした車が走って行く。

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ここでバスキングやったら
けっこう稼げそうだなと思いつつも、
今僕が持っている物は漫画道具の入った
手提げバッグとPenny Boardのみ。

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ちくしょう。
なんでったってこういう時に
ギター持ってきてないんだ?

テヘランにいる間は
ここで一回はバスキングしてやる!

 

 

 

通行量の多いまさに
バスキングにうってつけの
バザールを横目に場所探しは続く。

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マップアプリを見ても
どこに行けばカフェがあるのか
なんて分からない。

あてもなくフラフラとテヘランの街をさまよう。

イラン人はここでも
陽気に声をかけてくるが、
今の僕にとってはうざったくてしょうがない。

心に余裕のない時に
この絡みはけっこうしんどいぜまったく。

「Where are you from?」

って訊くならまだいいよ。

でも

「チーン!」

ってすれ違いざまに言われると
どうしても

「いや違うから!」

って訂正したくなる。

てか彼らは中国人に
会ったことがあるのだろうか?

「ジャポーン(日本)」
って知ってんのか?

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まぁ仮に中国人だったと
確証が持てるなら(そんなのどこから持ってくるんだ?)

「チーノ!(中国人)」
と声をかけるのもありかもしれない。

イランでは親中国で
中国との関わりが密であり、
そのため中国人がチヤホラされる。

そういうんだったらまだ分かるよ。

 

だけど彼らはどう見ても
アジア人としての中国人を
バカにしているようにしか思えない。

しかも見た目でシンガポール人なのか
ネパール人なのか日本人なのか
分かりもしないくせに
中国人と決めつけるのは
失礼だとは思わないのだろうか?

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僕も欧米人がドイツ人なのか
フランス人なのかアメリカ人なのかは
区別がつかない。

イランの若造ども
気持ちも分からんでもない。

だが、見た目でその人が
どこの国の人間かなんて判断はしない。
分からなかったらどこの国出身か尋ねる。

 

 

絡んでくるくせに

「アジア人☞中国人☞かつバカにしている」

という条件付きなのが納得できない。

嫌いなら声をかけるな。
親しくしたいなら
最低限のマナーを持てっつーの。

まぁ、もちろんそんなヤツら
ばかりじゃないんだけどね。

 

漫画製作の場所探しでさ、ほら、
なかなか良い場所が見つからないと
イライラするわけよ。

 

「チーン!」

「ジャポンだっつってんだろぉぉおおおお!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どこへ行ったら
いいのか分からない。

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メトロで移動するのも
ひとつの手かもしれないが、
どこで降りればいいのかわからない。

無駄に移動して収穫なしだったら
漫画を描く前に疲れてしまう。

 

 

ふらふらと電気街を抜けた。

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SonyやSAMUSUNGなどの
有名メーカーの看板が
デカデカとかかげられている。

 

それにしも、テヘランは
日本語を喋れるイラン人の割合が多い。

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このおっちゃんも日本語で僕に話しかけてきた。

 

僕は彼らに対して
何年頃に日本にいたのか質問するのだが、
その全てが40代~60代くらいのおっちゃんで、
日本でイランがホットだった
1990年を過ごした人たちだった。

そして彼らは自動車関連の半数以上は
自動車関連の仕事に就いていた。

あの時代を過ごしたイラン人は
テヘランに集まるのだろうか?

そう言えば宿の近くは自動車のパーツやら
バッテリーやらを売っているお店が多い。

 

 

イラン人の絡みについて考察しながら、
ふと横を見ると一軒の
ピザ屋。

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テーブルは7台くらいで、
お客さんなんだかお店の人なんだか
分からない人が4人くらい。

こ、ここでなら漫画が描けるんじゃないか!?

 

追い出される可能せいもあるので
小さなサラダを買って
僕は一番明るい入り口のテーブルについた。

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ひと呼吸おいて漫画の原稿用紙を
テーブルに広げる。

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やるぞ!

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ここはデリバリーもやっているお店だった。

従業員がサンドイッチを入れた
ビニール袋をぶら下げて、
外に停めてあるバイクで配達へと向かう。

頻繁に入り口が開閉され、
最後まで閉まり切らないドアからは
風が吹き込んできた。

風が気になりだすと僕は席を立って
ドアを閉め直さなければならなかった。

店内はそこまで暑くないはずなのに
全然シャーペンの芯がのらない。

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もっと細い線が描きたいのに…。

同じシャーペンの芯を
使っていても線にムラがある。

 

 

僕は下描きは線が細すぎても
ペン入れの際に下描きに捕われてしまうから、
アバウトにかける鉛筆感覚の0.9の太さの
シャーペンの芯を使っている。
濃さは消しゴムで綺麗に消せるように2B。

だけど、線の太さは温度や湿度、
どこで漫画を描くかによって変わってきてしまう。
旅に出てからそのことを学んだ。

あぁ、日本でBも買っておくべきだったなぁ。

今、このシチュエーションだったら
「B」なんだよ!

 

 

なかなか自分のおもうように絵がかけず、
かなり苦戦したがなんとか下
描きを終わらせることができた。

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旅をしながら絵を描くとどうしても
「描かないスパン」が空いてしまう。

てかいつも描いてると旅が楽しめないし。

だけど、あまりにも
描かなさ過ぎると腕が鈍っていく。

大丈夫だ。
きっと前よりも前進してるはず!
と自分に言い聞かせ、フキダシを描き、
描ける範囲で枠線を引き、
一ページ目の一番太い線にGペンを入れた。

シャーペンの線が太くなってしまう分だけ、
インクの伸びはいい。
それがせめてもの救いだった。

 

 

作業内容的には下描きを
終わらせることができたが、

結局ここでお店の人の顔色をうかがって
チキンサンドを食べてしまい、
いつもよりも食費がかかってしまった。

僕はここに来た時に「紅茶ないの?」と
一番安そうなメニューを尋ねたが、
あいにくピザ屋には紅茶なかった。
ピザというよりかは
宅配サンドイッチ屋なんだけど。

 

だけどこの日の活動の最後の方に
スタッフは僕に紅茶をごちそうしてくれた。

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紅茶を飲み切ってしまうと、
角砂糖を口に入れて下描きをした。
疲れた脳に糖分が染み渡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日が沈む前に
僕はメトロに乗って
ある場所を目指した。

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ネットでテヘランの観光名所を
調べている時にそこを見つけたのだ。

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路線図を何度も確認しながら
自分の乗り換える場所をチェックし、

友好的に声をかけてきた
イラン人のおっちゃんは
どこで降りるのが一番いいのか教えてくれた。

 

 

地下鉄駅から地上に上ると、
向こうの方にそれの一部が見えた。

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Azadi towerだ。

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日中よりも日が沈みライトアップされると
このタワーが宙に浮かんで
いるように見えるんだとか。

僕はベンチに座って
タワーがライトアップされるのを待った。

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イランは太陽が上っている時間が長い。

20時をまわってようやく太陽は
地平線の向こう側へと沈んだ。

期待していたほどの浮遊間はなっかったが、
その大きさとユニークな形のAzadi towerは
ライトアップされると
不思議な感覚を僕に与えてくれた。

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iPhoneでお気に入りの曲を再生し、
タバコを吹かした。

 

 

 

 

 

宿に戻ってシャワーを浴びると
おっちゃんが
「水タバコあるぞ!」
ジェスチャーで教えてくれた。

今日は宿に泊まっている別のイラン人の
おっちゃんたちと楽しく
水タバコを吹かす。

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炭の扱いがめんどくさそうね。

 

 

あぁ、
そりゃ嫌なこともあるけど、
やっぱりこういうイランのみんなの
フレンドリーさが好き♪

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うむ。明日も漫画描こう。

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イランでの漫画製作場所探しはマジでしんどかったです。
どこに行ったらカフェがあるんだよぉぉおおお~~~~???

それに漫画を描くとお金がかかるって…。
こっちがお金欲しいくらいだよ!

まだまだぁっす!頑張ります!

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